【銘柄注目ポイント!】
コスト増からプライムの値上げが市場から高評価、AWSは着々と利益増
株価 (2022/2/7) | 時価総額 (百万ドル) | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
---|---|---|---|---|
3,158.7 USD | 1,600,000M USD | 32.9% | 28.81% | 17.84% |
PER (実績) | PER (予想) | PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
54.31倍 | 43.29倍 | 11.68倍 | N/A | 19.44倍 |
2021年4Q決算
Amazon.comの2021年4Q決算結果は
総売上高 | 1,374億ドル | (前年同期比9.4%増) |
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営業利益 | 35億ドル | (同49.3%減) |
四半期純利益 | 143億ドル | (同98.6%増) |
希薄化後EPS | 27.75ドル | (前年同期14.09ドル) |
増収増益の好決算であった。売上、純利益ともに過去最高を更新した。昨年10月に会社側から4Qは労働力不足による人件費増、サプライチェーンの混乱による物流費増によりコストが数十億増加になるとのコメントがあったが、営業費用の大幅増加により営業利益が前年同期比ほぼ半減した。営業利益率は前年同期比3.0pt低下し、2.5%となった。しかし、2021年にIPOをしたEVメーカーのRivian Automotiveの普通株への投資による118億ドルの税引き前評価益が営業外利益として計上された事などにより純利益は前年同期比ほぼ倍増した。決算発表と同時に米国でのプライム料金の値上げを発表した。(2月から月額料金システムは12.99ドルから14.99ドルにと15%、年会費は119ドルから139ドルと、17%の値上げ)好決算とプライム値上げが好感されて決算発表された2月4日の時間外取引にAmazon.comの株価は前日比14%上昇した。
セグメント内訳(単位:百万米ドル)
セグメント別内訳 | 4Q 2020 | 4Q 2021 | 2020年通期 | 2021年通期 | |
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北米 | 売上高 | 75,346 | 82,360 | 236,282 | 279,833 |
営業費用 | 72,400 | 82,566 | 227,631 | 272,562 | |
営業損益 | 2,946 | ▲206 | 8,651 | 7,271 | |
営業利益率(%) | 3.9 | N/A | 3.7 | 2.6 |
インターナショナル | 売上高 | 37,467 | 37,272 | 104,412 | 127,787 |
---|---|---|---|---|---|
営業費用 | 37,104 | 38,899 | 103,695 | 128,711 | |
営業損益 | 363 | ▲1,627 | 717 | ▲924 | |
営業利益率(%) | 1.0 | N/A | 0.7 | N/A |
AWS | 売上高 | 12,742 | 17,780 | 45,370 | 62,202 |
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営業費用 | 9,178 | 12,487 | 31,839 | 43,670 | |
営業損益 | 3,564 | 5,293 | 13,531 | 18,532 | |
営業利益率(%) | 28.0 | 29.8 | 29.8 | 29.8 |
セグメント別の売上高、営業損益、営業利益率は上記になる。4Qは北米、インターナショナル共に物流コスト増等で営業損益は赤字だったためにAWS(Amazon Web Service、企業向けのクラウド・インフラ事業)のみが黒字であった。
AWSの4Qの売上高は加速し、前年同期比40%増の177億8,000万ドルだった。3Qの伸び率39%や前年同期の伸び率29%を上回った。AWSの営業利益はドル高による利益8,300万ドルを除くと前年同期比46%の増加であった。
会社発表の2022年1Qのガイダンスは売上高が1,120億~1,170億ドル(前年同期比3~8%増)、営業利益が30~60億ドル(前年同期は89億ドル)である。
アナリストによる投資スタンス
実質Amazon.comは利益ベースでは、ECではなくAWSが主力の企業であるが、AWSは自社のEC事業のために構築された巨大なサーバーシステムの一部を他社に開放している状況のためにコスト競争力が全く違う。EC事業で設備投資を回収できているためにAWSは過去10年間に何十回も値下げをしてシェアを拡大してきた。また常に機能のバージョンアップをしており常に最新の機能を備えているとの顧客からの信頼が高いために他ベンダーからの乗り換え、自社サーバーからの乗り換えも多い。EC事業とAWS事業は切り離す事はできなく、特にAWSの成長余地はまだまだ大きいだろう。
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プロフィール
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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サムネイル画像クレジッ:Frederic Legrand - COMEO/Shutterstock.com