【銘柄注目ポイント!】
上場来初の減収、広告単価は1Qに続き更に下落で業績回復は困難に
株価 (2022/8/10) | 時価総額(百万ドル) | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
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178.34 USD | 479,300百万USD | 74.1% | 25.48% | 24.27% |
PER (実績) | PER (予想) | PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
14.8倍 | 18.2倍 | 3.8倍 | N/A | 9.5倍 |
旧社名Facebook、2021年10月に社名変更。傘下にFacebook、Instagram、WhatsApp、Messengerのアプリ事業とAV/VRを手掛けるReality Lab事業がある。
2022年2Q決算
Meta Platformsの2022年2Q決算結果は
総売上高 | 288億2,200万ドル | (約3兆9,300億円、前年同期比1%減、1Q22比17%減) |
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営業利益 | 83億5,800万ドル | (同32%減、同2%減) |
四半期純利益 | 74億6,500万ドル | (同36%減、同27%減) |
希薄化後EPS | 2.46ドル | (弊社予想2.92ドル) |
上場以来初の減収となり四半期純利益は前年同期比36%と大幅減少の決算だった。
売上高は市場平均予想を下回り、EPSは市場平均予想を上回った決算だった。営業利益率は前年同期比13.6pt低下し28.9%となった。1Qは売上高の伸びが一桁台に留まったが、2Qはついに減少に転じた。
AR/VRを手掛ける部門のReality Labの損益は売上高が前年同期比48%増、前四半期比35%減の4億5,200万ドル、営業損益は▲28億ドルだった。(前年同期は▲24億3,200万ドル、1Qは▲29億6,000万ドルだった。)
営業利益の大幅減少は売り上げが前年同期比1%減に抑えられたが、総コストの大幅増によるものであった。
研究開発費はメタバース関連で同43%増の87億ドル、一般管理費はメタバース関連の人件費増等により同53%増の30億ドル等、総コストが同22%増の205億ドルとなり大幅な営業減益となった。
従業員数は同32%増の83,553人となった。
1Qの平均広告単価が前年同期比8%低下したのに続き2Qには同14%と更に低下した。一方広告の表示回数は同15%増加した。
ロシア、ウクライナ戦争の長期化でマクロ経済の環境は一層厳しくなっており、広告主の企業も広告予算を削減せざるを得ない状況にあり、またiPhoneやiPad上でのFacebook、Instagramの広告ターゲティング機能のユーザーによる拒否も合わせて更に下落するだろう。
3Qの業績のガイダンスであるが、総売上高は260億~285億ドル、Reality Labの売り上げは2Qより低下するとしている。また現況のドル高が継続すると仮定して売上に対する影響は▲6%と試算している。
年間の総コストは850億~880億ドル、設備投資(ファイナンスリースの元本支払いも含む)は300億~340億ドルになるとしている。
税率については2Qの税率18%より高く、10%台後半になるだろうとコメントしている。
Metaの株価は年初から7月27日の決算発表前まで約半減したが、2Q決算で売上が上場来初の減収だった事から時間外取引で5%下落し、翌日のマーケットでも前日比5%下落した。
その後はナスダックの動きに連動しており、8月10日に米国の7月のCPIが市場予想を下回り大幅利上げの可能性が後退すると6%近く株価は上昇した。
昨年4月のAppleの広告規制以降Metaの利益率は低下し始め、2Qで営業利益率は20%台後半まで落ち修正EBITDAマージンは30%台半ばまで低下した。
TikTokに対抗する為にFacebookのショート動画リールにインセンティブをつけても売り上げ回復には貢献していない。
一方新規事業のメタバースに注力するために設備投資額、従業員数共に増加の一途である。2Q末で従業員数は83,000人を超えた。
主力事業が減速する一方で社運を賭けた新規事業の黒字化は長期間望めず、その間にリセッション突入となれば大規模なリストラ、事業の売却の可能性も出てくると思われる。
投資判断
3か月前までザッカーバーグCEOは利益回復に楽観的であったが、やっと現実を直視し弱気に転じたようである。今のところ業績回復の一手はなく、このままリセッション突入となれば更に企業はデジタル広告予算を絞る事が予想され、PERは10倍台後半まで下落すると考えている。
MetaのKPI推移
(Meta Platforms社の決算資料に基づき株式会社pafin作成)
Metaの業績推移
(Meta Platforms社の決算資料に基づき株式会社pafin作成)
Metaの業績予想
(Meta Platforms社の決算資料に基づき株式会社pafin作成)
投資アイデア
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プロフィール
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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サムネイル画像クレジット:AM NIKOM/Shutterstock.com