執筆:西村 麻美

 

【銘柄注目ポイント!】

他の大手IT企業が成長鈍化する中でマイクロソフト社はどこまで利益成長するか?

株価
(2022/4/29)
時価総額
(百万ドル)
自己資本比率ROEROIC
277.52USD2,070,000百万 USD47.3%49.05%33.32%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR配当利回りEV / EBITDA
28.97倍27倍12.74倍0.89%20.61倍

 

2022年3Q決算結果

Microsoftの2022年3Q決算(2022年1~3月期)結果は

総売上高493億6,000万ドル(前年同期比18%増
営業利益203億6,400万ドル(同19.5%増
四半期純利益167億2,800万ドル(同8.2%増
希薄化後EPS2.22ドル(前年同期2.03ドル

売上、利益ともに市場予想を上回る好決算だった。1~3月期としての売上高は過去最高を更新した。
セグメント別ではクラウド事業が前年同期比29%増の191億ドルと伸び率が一番高かった。
クラウド・コンピューティングの”Azure”単独の売上の開示はなかったが、Azure及びその他のクラウド事業は前年同期比46%増と高い成長率であった。
ロシアでの売り上げは総売上高の1%未満であったので業績に与える影響は大きくなかった。

 

セグメント別内訳

Productivity & Business Processes事業:法人および個人顧客向けの”Office”、”Office 365”、”Dynamics”と”Dynamics CRM Online”等。

セグメント売上高158億ドル(前年同期比17%増
セグメント利益71億8,000万ドル(同19%増
セグメント利益率45.4%(前年同期42.5%

Inteligent Cloud事業:”Windows Server””SQL Server””System Center””Azure””Enterprise Services”などのサーバ製品およびサービス等。

セグメント売上高191億ドル(前年同期比26%増
セグメント利益82億8,000万ドル(同29%増
セグメント利益率43.4%(前年同期42.5%

More Personal Computing:”Windows”OSのライセンス収入、”Surface”や携帯端末などのデバイス類、”Xbox”などのゲーム製品等。

セグメント売上高145億2,000万ドル(前年同期比11%増
セグメント利益49億ドル(同7%増
セグメント利益率33.7%(前年同期35.2%

 

昨年発表の音声認識とAIのソリューションを提供している企業のニュアンス・コミュニケーションズの197億ドルの買収を3月に完了した。

 

会社発表の2022年4~6月期の事業別売上高ガイダンスは

Productivity & Business Processes事業166.5億~169億ドル
Inteligent Cloud事業211億~213.5億ドル
More Personal Computing事業146.5億~149.5億ドル
売上原価166億~168億ドル
営業費用148億~149億ドル
営業外収益▲500万ドル
実効税率17%

 

投資判断

4月26日の決算発表後に市場予想を上回る決算が好感され時間外取引で一時6%高まで株価は上昇した。
マイクロソフト社は他の大手IT企業と違いビジネス・ポートフォリオ的に最も分散されており、マクロ環境の悪化に影響されづらい企業と言って良いだろう。
4~6月期も全事業セグメントで増収を会社側は予想しているが、半導体不足、サプライ・チェーンの混乱等からの影響を殆ど受けない事業内容なので利益増も期待できるだろう。

 

業績推移

(注:Microsoft社決算資料に基づきクリプタクト社作成)

 

業績予想

(注:Microsoft社決算資料に基づきクリプタクト社作成)

 

投資アイデア

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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

 

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サムネイル画像クレジット:AM NIKOM/Shutterstock.com