執筆:西村 麻美

 

【銘柄注目ポイント!】

ストリーミング市場の競争激化から業績はピークアウト?

株価
(2022/1/31)
時価総額
(百万ドル)
自己資本比率ROEROIC
427.14USD189,600M USD35.5%38.02%15.06%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR配当利回りEV / EBITDA
32倍38.9倍10.05倍N/A8.86倍

 

2021年4Q決算

Netflixの2021年4Q決算結果は

総売上高77億932万ドル(3Q比3.6%増前年同期比16%増
営業利益6億3,177万ドル(同64%減33.8%減
四半期純利益6億743万ドル(同58.1%減12.0%増
希薄化後EPS1.33ドル 

売上高は微増だったものの、コストが3Q比24.5%増と大幅増だったために営業利益が同64%減と大幅減となった。2021年の最大のヒット作は「イカ・ゲーム」であった。4Qの新規会員数は828万人となり会社予想の850万人、アナリスト予想平均の830万人を下回った。新規会員は北米以外が殆どであった。2021年末の会員数は2億2,180万人だった。営業利益率は3Qより15.3ptと大幅に低下し8.2%となった。2021年通期の営業利益率は20.9%だった。市場予想を下回る4Q決算結果を受けて決算発表をした1月20日の時間外取引でNetflix株は20%以上下落した。

4Q決算後にリリースした株主へのレターの中で「ストリーミング市場の戦争の激化が自分達の成長に影響を与えているかもしれない。」と明言しており、成長の鈍化を示唆したような印象を与えた。4Qの営業利益率の大幅悪化は製作費が膨らみ過ぎた事だが、これは事前に分かっていた事であった。会社側は4Qの営業利益率予想を6.5%と予想していたが、製作費が結果として予想より少し抑えられた為に会社予想より高い8.2%となった。

2022年1Qの会社からのガイダンスは新規会員数が250万人としている。2022年通期の営業利益率は19~20%と予想している。(為替レートが大きく変動しない事を前提条件として)

Netflixの株価は新年より下げていたが、1月20日の市場予想より悪かった4Q決算結果を受けて下落が加速し年初来36%の下落となっていた。しかし、1月31日(米国時間)午前に発表された1月のシカゴPMIが市場予想を上回った事、またセルサイド・アナリストがNetflixの投資判断を引き上げた事等から株価は11.13%上昇した。

 

アナリストによる投資スタンス

ストリーミング市場は飽和状況になっており、昨年は「イカ・ゲーム」という世界的に大ヒットしたコンテンツがあったが「イカ・ゲーム」終了以降は新規会員数が伸び悩んでいる。新規にゲーム市場に参入も含めて製作費が膨らんでいる。次の大ヒット・コンテンツの登場までは新規会員数が大幅に伸びるとは考えづらく、予想PER40倍近くはやや割高な印象がある。

 

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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

 

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