執筆:西村 麻美

株価
(2020/11/02)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
3,725円 2,045億円 75.4% 8.86% 8.89%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
36.86倍 30.44倍 5.15倍 0.83% 15.5倍
■2021年3月期第二四半期決算
営業収益332億円(前年同期比20.0%増⤴
営業利益49億円(同27.4%増⤴
四半期純利益33億円(同31.1%増⤴

増収増益だった。ITサービス・セグメントは減収減益だったものの、ネットビジネス・セグメントの大幅増収増益に助けられ全体としては増収増益を確保した。営業利益率は前年同期比0.8pt改善の14.8%だった。

セグメント別では、ネットビジネス・セグメントの売上高は前年同期比38.6%増の222.3億円、営業利益は同50.9%増の38.2億円、営業利益率は17.2%と前年同期から1.4pt改善した。

データ分析をベースとした各施策(無料連載・独占先行配信・オリジナルコミック等)が奏功、外出自粛による需要増も加わり大幅増収だった。特に利益率の高いオリジナル・コミックのヒットが利益率改善に寄与した。緊急事態宣言解除後も電子コミックの売上は失速せず、第一四半期に比べてむしろ伸びが大きかった。

ITサービス・セグメントの売上高は前年同期比5.6%減の109.7億円、営業利益は同17.6%減の10.8億円、営業利益率は1.5pt低下の9.9%だった。病院向けシステムは前年の特需(改元・消費税増税対応)による反動減とコロナ禍による影響も見られたが、企業向けは営業活動の工夫等で堅調に推移した。


2021年3月期予想

第二四半期が終わった時点で通期の業績予想を上方修正した。第一四半期末時点よりも売上高を15億円増、営業利益を4億円増、当期純利益を1億円増と上方修正した。

売上高705億円(前年同期比20.8%増⤴
営業収益105億円(同27.9%増⤴)
当期利益67億円(同20.9%増⤴)

上記業績予想の内訳はネットビジネス・セグメントで売上高460億円、営業利益80億円、ITサービス・セグメントで売上高245億円、営業利益25億円の予定である。

病院向けは案件のリードタイムが長期化し、4Q偏重が例年以上に強まる見通し。企業向けはWeb会議やオンラインセミナー等を活用し、IT需要を取り込み堅調に推移すると予想。

買収した韓国の電子コミック事業のPeanutoonの業績への寄与はまだだが、めちゃコミ作品の韓国語翻訳発信、またPeanutoon作品の日本語翻訳発信を近い将来予定しておりプロジェクトを進めている。

ヘルスケア事業については2020年10月より国内企業向け健康経営サポートサービス「WELSA」の販売を開始した。サービス内容は「メンタル」と「フィジカル」の両面からの健康リスク分析機能により生産性低下による損失額を定量化するものである。

アジア・ヘルスケア・プロジェクトではインドネシアにて病院情報システム100施設の導入実績を持つTeraKorp社との業務提携をし、医用画像システムの販売を2020年8月より開始、また2020年9月には介護人材に特化したマッチングサービスを展開するHomage社に出資し、アジア展開と国内事業化を推進している。


アナリストによる投資スタンス

株価バリュエーションは予想PERが30.44倍、PBRが5.15倍、EV/EBITDAが15.5倍と成長企業としては割高ではない。


プロフィール

株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。



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