執筆:西村 麻美

株価
(2020/10/30)
時価総額自己資本比率ROEROIC
684円1,111億円47.017%5.2%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR配当利回りEV / EBITDA
13.16倍17.64倍3.95倍1.10%9.12倍

■2021年3月期第二四半期決算 

営業収益553億円(前年同期比18%増⤴
営業利益86億円(同186%増⤴
四半期純利益63億円(同185%増⤴

連結売上高、連結営業利益、連結当期純利益が過去最高を記録した。

売上総利益の改善及び販管費削減により営業利益率が前年同期比9.2pptも改善し15.6%となった。

ブランド製品事業は、売上高が前年同期比34.8%増の261億円、セグメント損益は43億円と黒字転換した。(前年同期は▲2億円)オンライン教育向け等での、ペンタブレット製品やディスプレイ製品のエントリーモデル新製品への需要増により増収、 売上増加や製品ミックス改善等により、為替の円高影響 (約-1億円) や米国の対中追加関税の直接的な影響増 (約-3億円) を吸収して、セグメント損益は大幅に改善した。

テクノロジーソリューション事業は、売上高が前年同期比6%増の293億円、セグメント利益が同27%増の65億円だった。AESテクノロジーが生産サプライチェーンの制限等から売上が微減、一方で、OEM提供先メーカーからの需要増によりEMRテクノロジー他が売上増加による粗利増等によりセグメント利益は増加した。

 

2021年3月期予想

2021年3月期の会社計画の業績予想は、

売上高990億円(前年比12%増⤴
営業利益90億円(同62%増⤴
当期利益63億円(同61%増⤴

第1四半期末時点より上方修正した。しかし、上半期で既に売上高762億円、営業利益は108億円、純利益で78億円を達成しているために、上記の会社計画の通期予想は現実的ではない。下半期に相当大きな経済悪化要因がない限り再び大幅な上方修正するものと推測される。

2021年3月期に関してワコムは為替の想定レートを
1USドル=108.0円
1ユーロ=121.0円
1中国元=15.5円
期初の想定レートを据え置いた。

為替感応度は1円の円高でUSドルでは5億7,000万円の減収、営業利益はフラット、ユーロでは1億円の減収、6,000万円の営業利益減を予想している。また、対中国元では0.1円の円高で6,000万円の減収、4,000万円の営業利益減を予想している。
現在の為替レートが1USドル=104円台と為替の想定レートよりかなり円高になっている。ユーロ、中国元に関しては想定レートのレンジ内である。

 

アナリストによる投資スタンス

株価バリュエーションは予想PERが17.64倍、PBRが3.95倍、EV/EBITDAが9.12倍とPERベースではかなり割安である。通期での業績上方修正の確率が高い事、また教育市場での成長を考えると魅力的な買い場と言えるだろう。

 

プロフィール

株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


 

 

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