株価 (2020/8/12) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
---|---|---|---|---|
8,456円 | 10.6兆円 | 17.9% | 14.79% | 11.29% |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
17.92倍 | 20.24倍 | 2.38倍 | N / A | 11.0倍 |
2021年3月期第1四半期 決算分析
■2021年3月期第1四半期決算売上高 | 1兆9,689億円 | (前年比2.2%増⤴) |
---|---|---|
営業利益 | 2,283億円 | (同1.1%減⤵) |
四半期純利益 | 2,332億円 | (同53.3%増⤴) |
営業利益は過去最高を記録した前年同期から微減だったが、営業外損益で投資有価証券評価益を969億円計上し、四半期純利益は前年同期比53.3%増の2,332億円だった。
コロナによる巣籠需要が追い風となりゲームの利益が大幅に伸び、全体の営業利益の54%はゲーム&ネットワークサービス分野からの貢献だった。
セグメント別ではゲーム&ネットワークサービス分野はゲームソフトウェア、プレイステーション®プラス(PS Plus)の大幅な増収により売上高が前年同期比32%増の1,486億円、営業利益は同68%増の1,240億円だった。プレイステーションプラスの会員数は巣籠需要もあり4,500万人に到達した。
音楽分野は有料会員制ストリーミングサービスの売上は増加したものの、パッケージメディアの販売の減少、広告型ストリーミングサービスによる売上の減少により売上高は前年同期比12%減の251億円、保有株式の売却益を65億円計上し、営業利益は同8.8%減の349億円だった。
映画分野では新型コロナによる映画館の閉鎖にともなう興行収益の減少やメディアネットワークの広告収入の減少により売上高は前年同期比6%減の110億円だったが、映画制作の広告宣伝費の減収により営業利益は6倍以上増加の247億円だった。
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野はデジタルカメラ、テレビ、オーディオ・ビデオの販売台数の減少により売上高は前年同期比31%減の1521億円、営業損益は342億円悪化し、▲91億円だった。
イメージング&センシング・ソリューション分野はデジタルカメラ向けイメージセンサーの販売数量の減少やモバイル機器向けイメージセンサーの販売数量の減少などにより、売上高は前年同期比11%減の245億円、営業利益は減価償却費、研究開発費の増加により同48%減の254億円だった。
金融分野はソニー生命の大幅増収、特別勘定における運用益の増加、ソニー銀行における有価証券評価損益の改善により前年同期比33%増の1,098億円、営業利益は変額保険の市況の変動などにともなう損益の悪化、コロナ関連費用の計上などにより増収分ほど利益は伸びず同2.3%増の472億円だった。
2021年3月期予想
■2021年3月期の会社発表の業績予想売上高 | 8兆3,000億円 | (前年比0.5%増⤴) |
---|---|---|
営業利益 | 6,200億円 | (同26.7%減⤵) |
当期利益 | 5,100億円 | (同12.4%減⤵) |
前提となる為替レートは1米ドル=107円前後、1ユーロ=120円前後を想定している。
今期はAI×ロボティックスに代表されるグループ横断での事業探索活動や新規事業 開発への投資、「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」への拠出など、中長期的な成長や社会貢献のための費用増を見込んでいる。
通期の業績予想に関して、唯一金融分野のみ増収増益の予想をしている。
ゲーム & ネットワークサービス分野に関しては年末のPS5発売により30%近い増収予想をしているが、セグメント利益はPS5導入によるコスト増によりほぼ横ばい予想をしている。
映画分野に関してはコロナによるネガティブな影響が映画作品、テレビ番組の製作の遅れ、劇場公開の延期に出ているが、今期だけでなく後2、3年は続くものと会社側は予想をしている。
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野に関しては、コロナの影響を最も早くから大きく受けてきたが、サプライチェーンの復旧はほぼ完了し、需要も回復基調にある。また、Eコマース販路の強化も進めている。
注意を要するのはイメージング&センシング・ソリューション分野である。米国国務省が5月に決定したファーウェイ向けの制裁で、120日間の猶予期間を経た9月中旬に規制が発動され、TSMCのファーウェイとの取引は停止している。ファーウェイの高価格帯のスマートフォンの売上が落ち込めばファーウェイ向けにカスタム供給してきた利益率の高いCMOSイメージセンサーの売上も減少する予想される。会社予想では売上高は前年比7%減の1兆円、セグメント利益は45%減の1,300億円を予定している。
CMOSイメージセンサーでグローバルシェアがトップの長期的な成長は変わりないが、今期に関してはファーウェイの失速の影響を免れない状況である。
アナリストによる投資スタンス
株価バリュエーションは予想PERが20.24倍、PBRが2.38倍、EV/EBITDAが11倍と割安になっており、既に通期の減益予想を織り込んでいるようである。
しかし、ゲーム、画像センサー、金融に支えられる長期的な成長のストーリーは不変であると考えている。
過去のソニーの決算ハイライト
プロフィール
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
当社は、本記事の内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更または削除されることがございます。当社は本記事の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
本記事の内容に関する一切の権利は当社に帰属し、当社の事前の書面による了承なしに転用・複製・配布することはできません。