株価 (2021/8/5) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
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11,360円 | 14兆円 | 24.4% | 17% | 11.6% |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
11.9倍 | 20.11倍 | 2.04倍 | N/A | 10倍 |
2022年3月期第1四半期決算
売上高 | 2兆2,568億円 | (前年同期比15%増) |
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営業利益 | 2,810億円 | (同26%増) |
当期利益 | 2,118億円 | (同9%増) |
平均為替レートが1米ドル=109.5円、1ユーロ=131.9円
第1四半期決算としては最高益を更新した。音楽事業、エレクトロニクス事業の大幅増収増益、円安メリットなどで最高益を達成した。
セグメント別ではゲーム & ネットワークサービス分野は、売上高が前年同期比1.6%増の6,158億円、営業利益が同32.7%減の833億円だった。為替の影響は売上高に255億円、営業利益に97億円のプラスの影響があった。PS5の販売は好調であったが、ソフトウェアの販売は減少した。ネットワークサービス売上は、コロナ前である2019年度の第1四半期との比較では38%増加した。
自社制作ソフトウェアの開発をグローバルに統括するPlayStation Studiosは、開発力の強化に向けた投資を加速している。 6月に、PlayStation Studiosの13番目のスタジオとなるHousemarqueの買収をした。 Housemarqueは、フィンランド拠点のスタジオで1QにPS5独占タイトルとしてリリースした『Returnal』は高い評価を受けた。
音楽分野は売上高が前年同期比44%増の2,549億円、営業利益は同55%増の554億円だった。有料会員制ストリーミングサービスの成長、また『劇場版「⻤滅の刃」無限列⾞編』のパッケージメディアの貢献などにより大幅増収増益であった。営業利益ベースでは、前年同期は株式譲渡に伴う一時的な利益72億円があったが、197億円と大幅増の554億円となった。
新人タレントを発掘・育成しヒットを生む力も着実に向上し、第1四半期にSpotifyのグローバル楽曲ランキング上位100曲中、平均して36曲がランクインした。音楽分野の通期見通しについては、売上高を、前回見通しから500億円増の1兆400億円、営業利益を280億円増の1,900億円と上方修正した。また、第1四半期には戦略投資を加速させたので、音楽分野の貢献が更に大きくなるだろう。
映画分野では売上高が296億円増、前年同期比17%増の2,047億円、営業利益は同6%減の254億円だった。メディアネットワークや映画製作は増収であったが、営業利益レベルではテレビ番組制作での減収や制作コストの増加などにより減益であった。映画分野の通期の見通しは、映画作品の劇場公開やテレビ番組作品の納入が、期初想定から後ろ倒しになった事により、売上高を前回見通しから200億円減の1兆1,200億円、 営業利益見通しは、減収の影響はあるものの、ライセンス収入の増加などにより、前回見通しから70億円増の900億円とした。
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野の売上高は前年同期比59%増の5,763億円、営業利益は806億円の大幅損益改善により718億円であった。テレビやデジタルカメラの販売台数増や、為替の影響で大幅増収となり、増収効果や製品ミックスの改善などにより営業損益は前年同期の▲89億円から718億円となった。テレビについては、低価格帯の中小型商品市場では、巣籠もり需要に翳りが見え始めているものの、主力製品である高付加価値・大画面商品の市場は引き続き堅調に推移している。パネル需給がタイトな中、価格維持と高付加価値モデルへの販売シフトを進め、平均販売価格は前年同期比38%増と大きく上昇した。デジカメについては、需要の回復と高機能・高性能商品への市場シフトを背景に、高い商品競争力で、全ての地域において好調な販売で推移している。通期の見通しについては、売上高を前回見通しから600億円増の2兆3,200億円、営業利益を220億円増の1,700億円と上方修正した。
イメージング&センシング・ソリューション分野の売上高は前年同期比6%の2,181億円、営業利益は同16%増の305億円だった。中国特定顧客(ファーウェイ)向け出荷の減少を、中国以外の大手顧客向け出荷の順調な伸びと、デジタルカメラ向けイメージセンサーの需要回復が補い前年同期を上回る売り上げ、利益を確保できた。2022年前半の、各社フラッグシップモデルへの高付加価値イメージセンサーの受注も今のところ順調である。通期の売上高見通しは、前回見通しから300億円減の1兆1,000億円と下方修正したが、営業利益見通しは、前回見通しを維持した。
金融分野の売上高は、前年同期比6%減の4,144億円、営業利益は同33%と大幅減の240億円であった。ソニー生命における特別勘定運用益の減少により減収になり、営業利益は、主にソニー生命子会社における一時的な損失計上の影響により、前年同期比120億円減の240億円となりました。昨日ソニー生命が発表した通り本年5月、ソニー生命の海外子会社SA Reinsurance Ltd.において、同社名義の銀行口座から、同社が承認していない約170億円の送金が行われたことを確認後同額の損失を計上した。通期の見通しに関しては、売上高は前回見通しを維持し、営業利益見通しは前回見通しから170億円減の1,530億円と下方修正した。
2022年3月期予想
売上高 | 9兆7,000億円 | (前期比7.8%増) |
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営業利益 | 9,800億円 | (同2.6%増) |
当期利益 | 7,000億円 | (同32%減) |
第1四半期の好決算を受けて通期の見通しを前回見通しより営業利益を500億円増、当期純利益を400億円上方修正した。前提となる為替レートは1米ドル=110円前後、1ユーロ=131円前後を想定している。
アナリストによる投資スタンス
好決算発表を受けて、翌日は株価が2%以上上昇している。懸念されていた半導体不足の問題もPS5の販売目標台数1,480万台を達成する分のチップは既に確保済みであるとのコメントがあった事、祖業のエレクトロニクス事業の大幅増収増益、また前期不調であったイメージング&センシング・ソリューション分野で新規顧客の開拓により増収増益と回復基調がハッキリした事が好感されたものと考える。また、エンターテイメント分野での戦略的投資を加速させている事も中長期的な利益成長を確実にしていると認識されている印象がある。
ソニーに関する投資アイデア
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プロフィール
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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