執筆:西村 麻美

SBIホールディングスの株価情報

株価
(2021/5/6)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
3,065円 7.497億円 7.8% 16.0% N / A
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
10.32倍 N / A 1.33倍 N / A N / A


2021年3月期通期決算

SBIホールディングスの2021年3月期通期決算の結果
収益5.411億円(前年比47.0%増⤴
税引前利益1,403億円(同113.3%増⤴
当期利益975億円(同116.7%増⤴

創業以来の過去最高益を達成した好決算だった。


■セグメント別の税引前利益
金融サービス業857億円(過去最高、前年比67.2%増⤴
アセットマネジメント事業848億円(過去最高、同127.9%増⤴
バイオ関連事業▲86億3,000万円(前期比は28億円増)

SBI証券の2021年3月期通期業績は、1年を通して内外の株式市況が活況で売買増に伴う委託手数料が増加。FX、暗号資産取引や外債販売に係るトレーディング収益の増加等も寄与し、営業利益は前期比46.3%増の616億円、当期利益は同64.8%増の461億円を計上し、通期での過去最高益を更新した。

オンライン証券5社の中では個人株式委託売買代金シェア1位、口座数1位、預り資産残高1位、営業利益1位と引き続き圧倒的なポジショニングを維持した。SBIの個人株式委託売買代金シェアは42.8%と前期比3.2pt上昇した。

住信SBIネット銀行は2021年3月末時点で450万口座、預金残高6兆2,939億円を達成し、引き続きネット専業銀行6行の中では競合他社を圧倒的にリードしている。SBIホールディングスにおけるIFRS取り込みベースの持分法による住信SBIネット銀行の投資利益は、前期比23.9%増の7,240百万円だった。

SBIインシュアランスグループの2021年3月期の連結業績は、M&Aによるグループ全体の保有契約件数の堅調な増加により、経常収益は前期比23.0%増の866億円、経常利益は前期比63.2%増の38億円、当期利益は7.6億円を計上した。2015年3月末~2021年3月末の年平均成長率(CAGR) 17.1%と高成長を維持した。

金融サービス事業セグメントにおける暗号資産取引事業及び、その他事業セグメントにおける暗号資産関連事業の2021年3月期の合計税引前利益は、暗号資産市場の時価総額が1年で10倍以上となる中で、前年度より100億円以上増となる約189億円を記録した。

アセットマネジメント事業のIFRSベースの税引前利益は849億円と過去最高を達成。投資先のうち19社のIPOと3社のM&Aが具現化した。 FinTechファンド及びSBI AI&Blockchainファンドは資金回収フェーズに移行し投資先の評価益及び売却益が好業績に寄与した。 韓国のSBI貯蓄銀行は優良資産拡大とともに基礎的収支も順調に拡大したことで過去最高益を更新した。他には、ベトナム、ロシア、タイ、カンボジアの金融子会社において事業基盤が急速に拡大した。

バイオ関連事業は米クォーク社に関して約27億円の減損損失を計上したものの、臨床試験の終了に伴い支出が減少したこと等が寄与し、同事業セグメントの赤字は約28億円改善した。クォーク社は新たな開発を凍結し、事業規模を必要最低限とすべく人員削減を含めた費用削減を強力に推進している。現時点では同社株式売却を優先して複数の候補先と交渉を開始し、クォーク社が保有する知的財産権等の売却についても並行して進めている。

5-ALA(天然アミノ酸)関連事業では、SBIファーマの税引前損失は前期に比べて若干悪化したものの、SBIアラプロモはコロナ禍での健康志向の高まりを受け、5-ALA関連製品の販売が急増し税引前利益が前期比80%増を達成した。またフォトナミックは黒字を維持した。5-ALAを利用した医薬品の主なパイプラインの進捗状況は順調である。


2022年3月期予想

2022年3月期の業績予想は、投資・証券関連事業は、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きいため、業績予想の開示は行っていない。


アナリストによる投資スタンス

決算発表後に株価は多少上がったが、株価バリュエーションはPBR1.33倍と割安に放置されたままである。業績は市場に連動するために予測は困難であるが、基本は積極的なM&Aと様々な業種とのオープンアライアンスで増益基調である。


SBIホールディングスに関する投資アイデア

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プロフィール

株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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