執筆：西村 麻美

2021年3月期第二四半期決算

SBIホールディングスの2021年3月期上半期決算の結果 

2013年3月期からのIFRS適用以後、半期業績として過去最高を達成。親会社所有者に帰属する当期利益も
同18.7%増の331億円と高水準だった。

■セグメント別の税引前利益 

SBI証券の2021年3月期 上半期累計業績は、国内株式だけでなく外国株式の売買増に伴う委託手数料の増加や外債販売に係るトレーディング収益の増加等により、営業収益は過去最高の740億円、営業利益は前年同期比50.7％増の272億円、親会社株主に帰属する当期利益は同61.8%増の190億円を計上した。

オンライン証券５社の中では個人株式委託売買代金シェア１位、口座数１位、預り資産残高１位、営業利益１位と引き続き圧倒的なポジショニングを維持した。

住信SBIネット銀行の上半期業績は引き続き増加基調を維持し、2021年3月期も最高益を更新する見込みである。2020年9月末時点で420万口座・預金残高5.7兆円を突破しており、引き続きネット専業銀行６行の中では競合他社を圧倒的にリードしている。

SBIインシュアランスグループの2020年9月末の保有契約件数は、約224万件と堅調に推移。（2020年9月に賃貸住宅入居者向け保険を扱う北海道の『常口セーフティ少額短期保険』の全株式を取得。）M&Aを通じた事業拡大により2015年3月末～2020年9月末の年平均成長率(CAGR) 16.4%と高成長を維持している。

2021年3月期上半期の公正価値評価の変動による損益及び売却損益は154億円と前年同期比で減少したものの、Fintechファンド等の既存ファンドからの新規株式公開や上場銘柄の一部投資先の株価上昇を受け7～9月に73億円の評価益を計上した。投資先の今期のIPO・M&A件数は前期と同水準の25社超を見込んでいる。

韓国のSBI貯蓄銀行は、2020年6月時点で総資産は10兆ウォン（約920億円）を突破した。債権全体の延滞率は1.8％と引き続き低位で推移しており2020年１～９月期の当期利益は過去最高を記録した。

バイオ関連事業はSBIバイオテックはマイルストーン収入と経費削減努力等により前期比で赤字幅が改善、クォーク社は急性腎不全（AKI）予防薬のフェーズⅢ臨床試験費用等を中心とした研究開発費用を引続き計上するも、人員削減を含めた費用削減の結果赤字額が大幅に縮小した。

2021年3月期予想

2021年3月期の業績予想は、投資・証券関連事業は、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きいため、業績予想の開示は行っていない。

アナリストによる投資スタンス

決算発表後に株価は大きく上昇せず、株価バリュエーションはPBR1.19倍と割安に放置されたままだが、通期の決算も利益増が期待できるだろう。

プロフィール

株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト　西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

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