【銘柄注目ポイント!】
新生銀行TOBが成立し、業績は絶好調で株価は上昇基調
株価 (2022/2/7) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
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3,050円 | 7,471億円 | 8.0% | 13.3% | N/A |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
10.3倍 | N/A | 1.2倍 | N/A | N/A |
2022年3月期第3四半期決算
SBIホールディングスの2022年3月期第3四半期決算(累計)の結果は
収益 | 5,274億円 | (前年同期比45.6%増) |
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税引前利益 | 1,714億円 | (同82.9%増) |
四半期純利益 | 1,322億円 | (同117.4%増) |
過去最高益を更新した絶好調の決算であった。競合の野村ホールディングスの四半期純利益は前年同期比63.7%減の1,120億円でSBIは野村の業績を超えた。(2021年3Qの四半期純利益は野村3,085億円、SBI608億円。)第三四半期の累計年換算ROEは27.7%となった。(中間決算時は24.6%)
セグメント別の税引前利益は
金融サービス事業 | 648億円 | (前年同期比3.9%増) |
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アセットマネジメント事業 | 1,273億円 | (同194.3%増) |
バイオ事業 | ▲38億円 | (同▲48億円) |
金融サービス事業は堅調に推移したが、アセットマネジメント事業の税引前利益の大幅増益は一部上場銘柄の大幅な株価上昇や新たに資金調達を実施した複数の未上場企業において1株当たりの評価額が上昇したことにより多額の評価益を計上した。バイオ事業はSBIアラプロモにおける大幅な増収増益により、セグメント業績の赤字幅は大幅に縮小した。
SBI証券の2022年3月期第三四半期の業績は、オンラインでの国内株式取引の売買手数料ゼロを目指すネオ証券化に向けた施策の段階的推進により、委託売買手数料は前年同期比7.6%減となったものの、引受・募集手数料や金融収益など株式委託手数料以外のビジネスが寄与し、売上高は前年同期比7.6%増の1,251億円、営業利益は同1.7%増の455億円、当期利益は同▲17.3%の307億円だった。
オンライン証券5社の中では個人株式委託売買代金シェア1位、口座数1位、預り資産残高1位、営業利益1位と引き続き圧倒的なポジショニングを維持した。2022年3月期第三四半期のSBIの個人株式委託売買代金シェアは43.7%、預り資産残高は22.1兆円、営業利益は455億円と二位の楽天証券に大きく差をつけた。オープンアライアンスは順調に進み、顧客の囲い込み戦略は成功している。
住信SBIネット銀行は、住宅ローン事業の堅調な拡大等に伴い、SBIホールディングスにおけるIFRS取り込みベースの持分法による投資利益は、過去最高となる6,285百万円(前年同期比13.4%増)を計上した。2021年10月8日に東京証券取引所へ上場申請をした。
SBIインシュアランスグループの2022年3月期第三四半期の連結業績は、グループ全体の保有契約件数の堅調な増加により業績は伸長した。第三四半期の連結業績は速報値ベースであるが、経常収益は前年同期比3.6%増の656億円、経常利益は同47.1%増の45億円、四半期純利益は同41.1%増の11億円と過去最高を達成した。
アセットマネジメント事業の2022年3月期第3四半期の業績は、収益が前年同期比88.7%増の2,431億円、税引前利益は同194.3%増の1,273億円とIFRS適用以降の過去最高益を記録した。投資先の公正価値評価の変動による損益及び売却損益は、一部上場銘柄における大幅な株価上昇や、新たな資金調達を実施した複数の未上場企業において1株当たりの評価額が大きく上昇したことにより多額の評価益を計上し、過去最高となる1,001億円を計上した。SBI貯蓄銀行(韓国)は税引前利益(SBIホールディングスにおけるIFRS取り込みベース)は、過去最高益の253億円(前年同期比22.6%増)を計上した。
バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業は、SBIバイオテックでのマイルストーン収入の発生や米クォーク社からの完全撤退に向けた費用の大幅削減、SBIアラプロモにおける大幅な増収増益により、前年同期比でセグメント業績の赤字幅は大幅に縮小した。2022年3月期第3四半期の売上高は67億円と過去最高を記録し、税引前利益は▲38億円だった。SBIバイオテックの税引前利益は4億6,600万円、クォーク社は▲13億3,500万円、5-ALA関連はSBIファーマの税引前利益は▲7億6,100万円、SBIアラプロモの税引前利益は2億6,500万円、フォトナミックの税引前利益は2億8,300万円だった。持分法適用会社のメディカル・データ・ビジョンの税引前利益は1億4,500万円だった。クォーク社の株式売却については今年度中に完了する予定である。SBIアラプロモはコロナ感染予防効果に有効との研究結果発表により5-ALA関連製品の販売が増加したことにより大幅な増収増益を達成した。
2022年3月期予想
2022年3月期の業績予想は、投資・証券関連事業は、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きいため、業績予想の開示は行っていない。
第3四半期決算は野村ホールディングスの減益とは対照的にSBIホールディングスは過去最高益を更新し利益ベースでも追い抜いた絶好調の決算であった。新生銀行のTOBも成立し、不透明要素が無くなった事を評価して決算発表以降株価は上昇基調にある。新生銀行の連結P/LのSBI業績への取り込みは、2022年3月期通期に連結財務諸表より実施する予定であるが、新生銀行が抱える負ののれん償却額が加算される予定である。現在の株価でPBRは1.2倍である。
アナリストによる投資スタンス
買収した新生銀行の立て直しは破綻状態だった韓国の貯蓄銀行(現SBI貯蓄銀行)を2013年に買収し、立て直して今期最高益の更新予定であるが、こうした実績からも新生銀行立て直しには期待ができると思われる。
投資アイデア
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プロフィール
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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