【銘柄注目ポイント!】
国内最大の保険グループ。海外で積極的にM&Aを手掛け、北米で特に利益成長。
株価 (2021/11/22) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
---|---|---|---|---|
6,087円 | 4.1兆円 | 15.2% | 4.0% | N/A |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
26.2倍 | 12.2倍 | 1.0倍 | 4.02% | N/A |
2022年3月期第2四半期決算
東京海上ホールディングスの2022年3月期第2四半期決算(累計)の結果は
経常収益 | 2兆8,856億円 | (前年同期比5.2%増) |
---|---|---|
経常利益 | 3,668億円 | (同236%増) |
中間純利益 | 2,693億円 | (同331.6%増) |
大幅増益の好決算だった。国内外ともに保険引受・資産運用いずれも好調であった。修正純利益の2Q実績は3,181億円と、年初予想対⽐75.0%の進捗率だった。(過去5年平均進捗率42.2%)
正味収入保険料は国内、海外合わせて前年同期比6.1%増の1兆9,203億円だった。うち国内は同2.0%増の1兆2,430億円だった。コロナの反動に加えて、⽕災保険の料率改定効果等によるものだった。海外は同14.5%増の6,775億円だった。ロスコストを意識した、計画を上回る堅調なレートアップ等によるものだった。
生命保険料は国内、海外合わせて前年同期比2.0%増の4,789億円だった。うち国内は同4.2%減の2,737億円だった。事業保険解約の増加により損保様式(解約返戻⾦等を控除)の⽣命保険料は減収だった。海外は同11.6%増の2,054億円だった。TMHCC(Tokio Marine HCC)のMSL(メディカルストップロス保険)やDFGのLTD/STD*(⻑期/短期の就業不能補償保険)が、計画を上回るレートアップや引受拡大等を実現した結果であった。
連結の修正純利益はTMNF(東京海上日動火災保険)が好調に推移していることに加え、海外も計画を上回り3,181億円だった。(年初予想対比の進捗率は75.0%)事業別利益は、TMNFは好調なトップラインや発生保険金の下振れ(コロナ影響や自然災害の減少)等により年初予想を大幅に上回って進捗し(年初予想比の94.8%)1,318億円だった。AL(東京海上日動あんしん生命保険)は4Qに計上されるDelphiへの運⽤委託に係る分配⾦を考慮すると、順調に進捗し227億円だった。(年初予想対比の進捗率は47.5%)海外保険はテキサス州寒波やハリケーンIdaといった自然災害の影響があるものの、保険引受も資産運⽤も好調であり、2Q計画を大幅に上回って進捗し1,276億円だった。(年初予想対比の進捗率は76.4%)通期の予想に関しては、TMNFは370億円上方修正し、1,760億円とした。海外保険は350億円上方修正し、2,020億円とした。
国内損保事業のE/I損害率は前年同期比4.7pt低下の55.4%、事業比率は同0.5pt上昇の31.7%、コンバインド・レシオは同4.2pt低下の87.1%だった。
国内損保事業の資産運用損益は、ネット利息及び配当金収入は政策株式や外貨建てファンドからの配当⾦増加を主因に、年初予想を大幅に上回って進捗し、前年同期比21%増の1,358億円だった。売却損益等計(キャピタル)は売却ペースの差による政策株式売却益の減少により減少し、同13.0%減の427億円だった。なお、政策株式売却額は590億円(前年同期⽐▲120億円)で、年初予想の1,000億円に対して順調に進捗した。
国内生保事業は、新契約年換算保険料は、通期予想に対して順調に進捗し、前年同期比32.2%増の243億円だった。事業別利益も、4Qに計上される、Delphiへの運⽤委託に係る分配⾦を考慮すると、年初予想に対して順調に進捗した。(前年同期⽐では、保有契約の利益貢献や為替ヘッジコストの減少といった増益要因を、販売好調に伴う初年度負担の増加等が打ち消し、16億円の減益)
海外保険事業は、TMHCC、Philadelphia Insurance Companies(PHLY)、Delphiを中心に好調で計画を上回る増収を実現した。海外保険事業の正味収入保険料は前年同期比14.1%増の9,459億円だった。各社の状況は、PHLYは計画を上回るレートアップ(2Q実績+11.1%)と好調な新規契約により増収。収益性重視の引受を継続しているものの、通期予想を上回って推移した。Delphiは好調なLTD/STDを主因に、年初予想を上回って推移した。TMHCCは好調なMSLや良好なレート環境下で計画を上回る増収を実現したことにより、通期予想を上回って推移した。なお、2Qにおける更新契約のレートアップ率は+15%だった。(A&H・Surety・Creditを除く。)欧州ではTMKは収益安定化に向けた引受⾒直しや出再増加の一方、レートアップによる増収を実現(2Q計画対⽐ではオンペース)。アジア・オセアニアはコロナに伴い新⾞販売の回復が想定を下回ったこと等により、年初予想をやや下回って推移した。中南米は企業種目の増収等により、年初予想を上回って推移した。
2022年3月期通期予想
好調な中間決算結果を受けて2022年3月期通期の業績予想を上方修正した。
経常利益 | 4,800億円 | (前期比80%増) |
---|---|---|
当期利益 | 3,450億円 | (同113.2%増) |
EPS | 501.55円 |
上記会社計画は、正味収入保険料については3兆9,536億円(国内は21兆666億円、海外1兆8,870億円)生命保険料については8,960億円(国内7,990億円、海外970億円)を見込んでいる。また、今年度発生の自然災害に係る正味発生保険金については、国内は580億円、海外は650億円を見込んでいる。市場金利および株式相場については、2021年9月から大きくは変動しない前提としている。(2021年9月末のドル/円レート111.92円、日経平均株価は29,452円)
アナリストによる投資スタンス
2021年11月19日の決算発表後週末を挟み本日株価が3%弱上昇した。国内外ともに保険引受、資産運用ともに好調で上方修正した事が好感されたとみられる。株価バリュエーションは予想PERが12.2倍、PBRが1.0倍と割安になっており、配当利回りは4.02%である。東京海上に関しては成長分野(スペシャルティ保険事業)への投資を実行し、ポートフォリオの最適化をしている。金融セクターの中でも抜群の安定感のある銘柄である。
投資アイデア
他の投資家が何に注目しているか、アイデアブックでご確認いただけます。
プロフィール
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
当社は、本記事の内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更または削除されることがございます。当社は本記事の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
本記事の内容に関する一切の権利は当社に帰属し、当社の事前の書面による了承なしに転用・複製・配布することはできません。