株価 (2021/2/8) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
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2,798.5円 | 10兆円 | 31.2% | 11.5% | 14.8% |
PER (実績) | PER (予想) | PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
12.10倍 | 12.07倍 | 1.38倍 | 3.75% | 2.9倍 |
2021年3月期第3四半期決算
売上高 | 8兆7,380億円 | (前年同期比1.4%減) |
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営業利益 | 1兆5,023億円 | (同3.6%増) |
当期利益 | 8,312億円 | (同4.3%増) |
海外売上 | 138億ドル | 全売上の16.5% |
海外営業利益率 | 3.0% | (前年同期比0.5pt改善) |
減収増益決算だった。
新型コロナウイルス影響等により、対前年▲1,247億円(▲1.4%)の減収となったが、NTTドコモのスマートライフ事業の増益や、海外収支の改善等により、営業利益は対前年+519億円(+3.6%)の増益、当期利益は対前年+343億円(+4.3%)となり、第3四半期としては過去最高益を記録した。ドコモの買収成立は3Q中で、ドコモを完全子会社化した事による利益増が大きかった。
上場廃止になったNTTドコモの第3四半期(累計)決算は、営業利益が8,218億円とNTTグループ全体の営業利益の54.7%を占めた。通信事業は減収減益だったが、スマートライフ事業は増収増益で、dポイントカードの登録数は前年同期比19%増の7,967万枚となった。d払い取扱高は同119%増、d払いユーザー数は同48%増となった。決済・ポイント利用可能箇所は同101%増で287万箇所となった。ドコモの携帯電話契約数は前年同期比3%増の8,175万となり、解約率は同0.07pt減となった。
事業セグメント別では、ドコモ以外では長距離・国際通信事業が営業利益レベルで246億円増の1,204億円となり、データ通信事業(NTTデータ)は134億円増の1,069億円だった。一方地域通信事業は85億円減の3,892億円だった。
NTTデータの決算は、受注は前年同期比微減だったものの、売上高は微増の1兆6,584億円、営業利益は前年同期比14.3%増の1,069億円、当期利益は同19.6%増の692億円だった。営業利益率は0.7pt改善の6.4%だった。
セグメント別では国内の公共・社会基盤は増益、EMEA・中南米は減益だったものの、事業構造改革の効果と費用減により増益だった。一方、金融、法人・ソリューションは販管費率の悪化により減益、北米は増収による増益はあったものの事業構造改革による費用増で減益だった。
2021年3月期予想
売上高 | 11兆5,000億円 | (前年比3.4%減) |
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営業利益 | 1兆5,900億円 | (前年比1.8%増) |
当期利益 | 8,600億円 | (前年比0.5%増) |
従前見通しを据え置いた。
第3四半期末時点で営業利益は通期予想の94.5%を既に達成しているため、通期では上方修正する可能性が高い。
NTTドコモの新料金プランによる業績影響として、2021年度以降、一定の減収が想定されるが、契約数拡大、スマートライフ事業・法人ビジネスや5G関連事業の成長、ネットワークやオペレーションの効率化によるコスト改善などの取組みにより、対前年増益をめざす。
なお、ahamoへの事前エントリー数は100万を超えており、ahamo発表以降、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)による転入出数にプラス効果が出ている。ahamoにより格安SIMからの乗り換えが起きる事が予想される。
また、dカード事業が順調に伸びており、ahamoユーザーも取り込む事が推測され、スマホとdカードの両方での囲い込みが更に進むと予想される。
ネットメディアのiPhone Maniaの調査によると携帯大手3社の新料金プランのうち、ahamoが首位であったとの事。
2020年度期末配当を年度当初の配当予想から5円増額の55円とし、年間1株当たり配当は105円(対前年10円増)とした。
アナリストによる投資スタンス
中期経営計画は順調に進捗しており、ドコモの完全子会社化の後のahamoプランの発表は乗り換え希望で三社のうち首位であった事から成功であったと考える。
また、NTTデータの海外事業の事業構造改革の効果も出てきている。通期の業績は上方修正の可能性もあり、中長期的な成長ストーリーは不変である。決算発表の後、本日(2021/2/8)は株価が2%以上上げているが、株価バリュエーションは予想PERが12.07倍、PBRが1.38倍、EV/EBITDAが2.9倍と割安な状況である。
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プロフィール
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美
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