株価 (2021/8/10) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
---|---|---|---|---|
2,853円 | 10.3兆円 | 33.5% | 11.8% | 14.8% |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
11.49倍 | 9.53倍 | 1.34倍 | 3.85% | 3.0倍 |
2022年3月期第1四半期決算
NTTの2022年3月期第1四半期決算の結果は
売上高 | 2兆8,926億円 | (前年同期比4.6%増) |
---|---|---|
営業利益 | 4,863億円 | (同2.3%減) |
四半期純利益 | 3,400億円 | (同24.7%減) |
海外売上高 | 46億ドル | (全売上高の17.4%、前年同期比5.9%増) |
海外営業利益率 | 4.1% | (前期比1.9pt改善) |
増収増益の決算だった。
営業利益ベースで前年同期比113億円(2.3%)の減益となったが、内訳はNTTドコモの減益貢献が▲361億円、長距離・国際通信事業(NTT Communications)の減益貢献が▲115億円だった。一方、地域通信事業(NTT東、NTT西)の増益貢献が211億円、データ通信事業(NTTデータ)の増益貢献が206億円だった。ドコモの減益は5Gエリア拡大やスマートライフ領域の拡大に向けた施策強化等によるものであり、業績の悪化ではない。
上場廃止になったNTTドコモの第1四半期決算は、営業利益が2,444億円とNTTグループ全体の営業利益の約50%を占めた。通信事業は売上高は前年同期比6.1%増の9,041億円、営業利益は同15.9%減の1,845億円だった。「ahamo」「ギガホプレミア」等戦略的新料金の導入により、純増数、MNPは順調に推移した。携帯電話契約数は同3%増の8,292万人となった。5G契約数は535万と順調に拡大、年間目標の1,000万に向けて順調に推移した。
NTTドコモのスマートライフ領域(スマートライフ事業、その他事業)の売上高は前年同期比3.9%増の2,655億円、営業利益は同2.1%減の599億円だった。dポイントクラブ会員数は同9%増の8,373万人、dポイントカード登録数は同18%増の5,257万人だった。dポイント利用数は同22%増の697億ポイント、提携先利用は同31%増の527億ポイントだった。dカード取扱高は同32%増の1兆5,000億円、d払い取扱高は同72%増の2,660億円だった。決済・ポイント利用可能箇所は同81%増の352万か所となった。
地域通信セグメントは売上高が前年同期比5.2%増の7,748億円、営業利益が同16.8%増の1,468億円だった。フレッツ光(コラボ光を含む)の契約数は同4%増の2,281万契約、ひかり電話の契約数は同0.9%増の1,871万契約だった。
長距離・国際通信事業の売上高が前期比3.0%減の2,440億円、営業利益は同10.2%減の352億円だった。
NTTデータの決算は、受注は前期に獲得した大型案件の反動により前年同期比4.1%減だったものの、売上高は前年同期比11.3%増の5,908億円、営業利益は同77.1%増の473億円、四半期純利益は同62.3%増の311億円だった。営業利益率は3.0pt改善の8.0%だった。セグメント別受注では製造業向け案件の受注により法人・ソリューションが53億円の増加、スペイン等での案件獲得によりEMEA・中南米で288億円の増加があった。一方前期に獲得した中央府庁向け大型案件の反動減により公共・社会基盤は154億円の減少、前期に獲得した銀行向け大型案件の反動減により金融は399億円の減少、大型案件の計上時期の遅れなどにより北米は68億円の減少だった。
2022年3月期予想
業績予想については従前予想を維持した。
売上高 | 12兆円 | (前期比0.5%増) |
---|---|---|
営業利益 | 1兆7,300億円 | (同3.5%増) |
当期利益 | 1兆850億円 | (同8.4%増) |
増収増益、過去最高益を予定している。事業別では地域通信事業は減収、移動通信、長距離・国際通信、データ通信その他通信では増収を予定している。
NTTドコモの新料金プラン「ahamo」の契約数が180万を突破した。また、dポイントカードを含むスマートライフ事業の高成長が続いており、ユーザーの囲い込み戦略は順調に推移している。
当期利益は、ドコモの完全子会社化による利益取込み影響等により、対前年673億円(24.7%)の増益で、第1四半期として過去最高益を更新した。
中期経営計画は順調に進捗しており、5G契約数も会社予想を上回る勢いで推移している。ドコモの第一四半期の減益は5Gエリア拡大やスマートライフ領域の拡大に向けた施策強化によるものであり、第二四半期以降はドコモのスマートライフ領域の増益や販売チャネルのデジタル化推進によるコスト削減、海外事業での増収や構造改革効果による増益等を見込んでいる。NTTデータの海外事業は第一四半期決算で構造改革の成果が数字に表れた。現中期財務目標の2023年度EPS目標320円については、1年前倒しの達成を目指している。
株主還元の充実を図るため、自己株式の取得2,500億円(上限)を決算と同時に発表した。
アナリストによる投資スタンス
通信企業の中でのNTTグループの圧倒的な優位性は変わらず、中長期的な成長ストーリーは不変である。順当な決算結果と自社株買いは好感され株価は上昇したが、2%弱と小幅である。現在の株価バリュエーションは予想PERが9.53倍、PBRが1.34倍、EV/EBITDAが3.0倍、配当利回りが3.85%と割安な状況である。株式市場の不安定な状況でも安心して長期保有できる銘柄である。
NTTに関する投資アイデア
他の投資家がNTTをどのようにみているか、アイデアブックでご確認いただけます。
プロフィール
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
当社は、本記事の内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更または削除されることがございます。当社は本記事の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
本記事の内容に関する一切の権利は当社に帰属し、当社の事前の書面による了承なしに転用・複製・配布することはできません。