執筆:西村 麻美

スクウェア・エニックスの株価情報

株価
(2021/02/22)
時価総額自己資本比率ROEROIC
6,590円8,126億円73.3%9.1%10.1%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR配当利回りEV / EBITDA
36.87倍32.77倍3.35倍0.93%14.1倍

 

2021年3月期第3四半期決算

 

スクエア・エニックスの2021年3月期の第3四半期決算(累計)の結果 

売上高2,536億円(前年比33.7%増⤴
営業利益410億円(同47.7%増⤴
当期利益183億円(同4.3%減⤵

増収微減益の決算結果だった。営業利益は大幅増益だったものの、為替差損を約23億円、臨時休業による損失を約22億円計上した事などで当期利益は微減となった。

営業利益率は売上増とデジタル販売比率の上昇により前年同期比6.1pt改善し20.73%となった。デジタルエンタテインメント事業の販売本数は1,580万本でディスク販売が807万本、ダウンロード販売が773万本だった。

 

デジタルエンタテインメント事業はHD(High-Definition:ハイディフィニション)ゲームにおいては、「FINAL FANTASY VII REMAKE」「Marvel’s Avengers(アベンジャーズ)」等の大型タイトルの発売があったことに加え、カタログタイトルの販売が好調に推移したこと、ライセンス収入等により、前年同期比で増収、黒字転換となった。

MMO(多人数参加型オンラインロールプレイングゲーム)においては、前年同期に「ファイナルファンタジーXIV」拡張版ディスクの発売があったため減収となったものの、同タイトルの月額課金会員数が前年同期比で増加したことにより増益となった。

スマートデバイス、PCブラウザーゲーム等については「ドラゴンクエストウォーク」 、「WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争」、「ドラゴンクエストタクト」等の収益貢献により、前年同期比で増収増益となった。デジタルエンタテインメント事業の売上高は2,035億円(前年同期比48.6%増)となり、営業利益は422億円(前年同期比43.0%増)となった。

アミューズメント事業は緊急事態宣言解除後に店舗休業を終了し売上は回復したが、臨時休業による損失をカバーする事はできなかった。売上高は243億円(前年同期比27.8%減)となり、営業損失は11億円(前年同期は営業利益1,496百万円)となった。

出版事業はマンガアプリの「マンガUP!」や電子書籍等のデジタル媒体での販売が大幅に増加し、また紙媒体での販売も好調に推移し、前年同期比で増収増益となった。売上高は201億円(前年同期比45.0%増)となり、営業利益は88億円(前年同期比77.8%増)となった。

ライツ・プロパティ等事業は自社コンテンツのキャラクターグッズ、サウンドトラックの販売等が好調に推移し、前年同期比で増収増益となった。売上高は70億円(前年同期比6.7%増)となり、営業利益は18億円(前年同期比154.2%増)となった。

 

2021年3月期予想

2021年3月期の通期予想は第二四半期決算発表時のものを据え置いた。

売上高2,900億円(前年比11.3%増
営業利益400億円(同22.1%増
当期利益240億円(同12.4%増

通期の営業利益予想額が400億円だが、既に第3四半期で410億円を達成している。大型タイトル(FF7)をローンチしたのが第1四半期で大きな売上を計上したが、以降第2四半期、第3四半期と下落傾向にあり、また休業による損失計上や為替差損などを考慮して当期利益は保守的に予想しているとみられる。

 

アナリストによる投資スタンス

株価バリュエーションは予想PERが32.77倍、PBRが3.35倍、EV/EBITDAが14.1倍と任天堂に比べると割高に感じる。

 

スクウェア・エニックスに関する投資アイデア

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プロフィール

株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


 

 

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