【銘柄注目ポイント!】
2Qでデジタルコンテンツ販売本数が大幅減。3Qで回復するか!?
株価 (2021/11/2) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
---|---|---|---|---|
3,085円 | 6,586億円 | 76.1% | 18.1% | 17.3% |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
26.4倍 | 21.9倍 | 4.8倍 | 1.16% | 12.3倍 |
2022年3月期第2四半期決算
カプコンの2022年3月期第2四半期決算(累計)の結果は
売上高 | 699億円 | (前年同期比66.4%増) |
---|---|---|
営業利益 | 289億円 | (同61.9%増) |
四半期純利益 | 222億円 | (同71.0%増) |
累計の決算結果だと増収増益に見えるが、第2四半期単独だとどのような結果だったのかを見ると以下のような結果だった。
(単位:百万円) | 1Q単体 | 2Q単体 | 中間決算(累計) |
---|---|---|---|
売上高 | 48,423 | 21,572 | 69,995 |
営業利益 | 23,604 | 5,320 | 28,924 |
営業利益率 | 48.7% | 24.7% | 41.3% |
経常利益 | 23,899 | 5,824 | 29,723 |
純利益 | 17,340 | 4,879 | 22,219 |
第2四半期単独だと売上高は第1四半期の半分以下、営業利益は大幅減益と明らかに減速した決算であった。決算短信の損益計算書を見ると販管費が前年同期比42%増の104億円と膨らんだ事により営業利益が大幅減益であった。
会社側も第2四半期で一時的な営業利益の押し下げ要因として30億円計上したとコメントしているが、この内訳についてはは、会計上の処理に伴い発生した減損と収益繰延、および人材投資に伴う費用であったとの事。減損および収益繰延はデジタルコンテンツ事業で、人材投資は全セグメントで実施したとの説明があった。収益の繰延の金額が開示資料からどの位の金額が繰延されたのか不明である。人材投資の部分が販管費の大幅増の主な要因になっているのだと推測する。
累計の事業別の内訳は
デジタルコンテンツ事業 | 売上高 598億円 | セグメント利益 302億円 |
---|---|---|
アミューズメント施設事業 | 売上高 56億円 | セグメント利益 7,100万円 |
アミューズメント機器事業 | 売上高 16億円 | セグメント利益 3.88億円 |
その他事業 | 売上高 29億円 | セグメント利益 14億円 |
第2四半期単独の事業別の内訳を見ると以下のような結果であった。
デジタルコンテンツ (単位:百万円) | 1Q単体 | 2Q単体 | 中間決算(累計) |
---|---|---|---|
売上 | 43,918 | 15,885 | 59,803 |
セグメント利益 | 24,455 | 5,761 | 30,216 |
アミューズメント施設 (単位:百万円) | 1Q単体 | 2Q単体 | 中間決算(累計) |
売上 | 2,389 | 3,258 | 5,647 |
セグメント利益 | -63 | 134 | 71 |
アミューズメント機器 (単位:百万円) | 1Q単体 | 2Q単体 | 中間決算(累計) |
売上 | 1,282 | 329 | 1,611 |
セグメント利益 | 243 | 145 | 388 |
その他 (単位:百万円) | 1Q単体 | 2Q単体 | 中間決算(累計) |
売上 | 832 | 2,101 | 2,933 |
セグメント利益 | 482 | 888 | 1,370 |
デジタルコンテンツ事業の減速が際立った結果であった。
デジタルコンテンツ事業は2022年3月期第2四半期の累計結果は総販売本数が1,980万本と前年同期を600万本上回った。デジタルコンテンツ事業の売上高は前年同期比69%増の598億300万円、営業利益は同52.2%増の302億1600万円だった。ここでも第2四半期単独の販売本数を見るために以下のようにまとめた。
1Q単体 | 2Q単体 | 中間決算(累計) | |
---|---|---|---|
新作タイトル数 | 5 | 8 | 13 |
販売本数合計 | 13,300,000 | 6,500,000 | 19,800,000 |
海外販売本数 | 10,800,000 | 5,400,000 | 16,200,000 |
国内販売本数 | 2,500,000 | 1,100,000 | 3,600,000 |
ダウンロード販売本数 | 9,100,000 | 4,800,000 | 13,900,000 |
旧作販売本数 | 8,800,000 | 4,400,000 | 13,200,000 |
新作販売本数 | 4,500,000 | 2,100,000 | 6,600,000 |
第2四半期に入り販売本数がほぼ半減した。第2四半期中に新作タイトルは8本と第1四半期より3本多かったが、新作販売本数は約53%減少した。
第1四半期の5月に『バイオハザード ヴィレッジ』をPS5、PS4、Xbox Series X|S、Xbox One、パソコン用に販売したが、全世界で500万本売れた(ダウンロード販売を含む)と会社側は10月28日に発表した。
第2四半期の7月に『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』(Nintendo Switch、パソコン用)を販売したが、こちらは全世界で100万本販売した。前期に発売した『バイオハザード7 レジデント イービル』はシリーズ初の1,000万本を記録した。新作『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』が130万本を突破した。今期は第2四半期以降新作タイトルの販売予定はない。
アミューズメント施設事業は緊急事態宣言の継続に伴い、一部店舗において休業および時短営業などを余儀なくされたが、集客が回復したことにより、前年同期比で増収増益となりました。売上高は前年同期比40.1%増の56億4,700万円、営業損益は黒転し7,100万円だった。(前年同期は▲2億6,200万円)
アミューズメント機器事業は大幅増益だった。新機種『百花繚乱 サムライガールズ』を発売するとともに、前期に投入した『バイオハザード7 レジデントイービル』のリピート販売により、販売台数が前年同期を上回った。売上高は前年同期比21.5%増の16億1,100万円、営業利益は同1,962%増の3億8,800万円だった。
ブランド価値向上に向け、Netflixにおいて主力IPを活用したCGアニメ『バイオハザード:インフィニット ダークネス』および『モンスターハンター:レジェンド・オブ・ザ・ギルド』が全世界で独占配信された。また、海外ゲームとのコラボレーションによる収益拡大やキャラクターグッズ展開による販売拡大などに努めた。eスポーツでは、「CAPCOM Pro Tour Online 2021」を4月から世界19地域を対象にオンラインで開始した。「Intel World Open」では、『ストリートファイターⅤ』の決勝大会が7月に開催された。売上高は前年同期比121.7%増の29億3,300万円、営業利益は同13億7,000万円だった。
2022年3月期予想
2022年3月期通期の業績予想に関しては従前予想を維持した。
売上高 | 1,000億円 | (前期比4.9%増) |
---|---|---|
営業利益 | 420億円 | (同21.4%増) |
当期利益 | 300億円 | (同20.4%増) |
決算短信で開示された第2四半期の累計決算の数字のみを見ると増収増益であるが、第2四半期単独の数字を見ると主力のデジタルコンテンツ事業での大幅な減収減益がとても気になる。会計上では一時的な営業利益を押し下げ要因として30億円を計上したとの事だが、主力のデジタルコンテンツの販売本数も第二四半期で大きく減速しているのが気掛かりである。また、第3四半期、第4四半期と新作タイトルがないなか更に減速するのかの見極めが難しいところである。
アナリストによる投資スタンス
10月28日に決算を発表した翌日に株価は10%以上急落した。その後は下げ止まったが、第2四半期の減速が嫌気された売りであったと思われる。現在の株価でPERは21.95、PBRが4.78、EV/EBITDAが12.3倍と割高感はないが、第3四半期でデジタルコンテンツ売上が回復するのか見極めない限り積極的には買えない状況のようである。
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プロフィール
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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