株価 (2022/1/4) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
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17,500円 | 1.9兆円 | 73.2% | 13.0% | 12.1% |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
21.4倍 | 20.0倍 | 2.8倍 | 0.8% | 11.7倍 |
2022年2月期第3四半期決算
ニトリの2022年2月期の第3四半期の決算結果(累計)
売上高 | 6,062億円 | (前年同期比12.2%増) |
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営業利益 | 1,079億円 | (同8.9%減) |
四半期純利益 | 757億円 | (同1.3%減) |
前期のコロナ特需がすっかり剥げ落ち、既存店売上高が前年を下回る状況となった。第3四半期中の10月末に緊急事態宣言は解除されたが、それまでに最大30店舗が休業を余儀なくされたことに加え、全国的に大雨が発生した時期やオリンピック期間中などにおける外出控えが見られたこと等の要因から既存店の前年比推移は、売上高前年比は91.6、客数は90.9、客単価は100.8だった。全店では売上高は94.2、客数は95.3、客単価は98.9だった。
EC事業は前年同期比ほぼフラットの100.4%の528億円だった。ニトリネット新機能として、ニトリ従業員による「スタッフコーディネート」の運用開始をした。また、「店内モード」の運用を開始した。お店を指定し、商品の売場位置、在庫状況、納期等の情報を簡単に確認が可能になった。新機能が増え顧客の利便性は向上したものの、大幅な売り上げ増には結びつかなかった。アプリ会員数は2021年11月末時点で1,220万人を達成した。今期末(2022年2月)のアプリ会員数の目標は1,300万人としている。
海外事業に関しては第三四半期中に台湾、中国でそれぞれ4店舗ずつ出店した。東南アジアでは2022年1月にマレーシア、3月にシンガポールで1号店の出店を予定している。今後5年間でマレーシア20店舗、シンガポール10店舗の出店を計画している。
連結売上高(累計)の内訳は海外店を含む店舗売上は前年同期比91.8%の4,313億円、通販売上(海外EC含む)は同100.8%の531億円、法人&リフォーム売上は同103.7%の76億円、賃貸収入が同101.2%の56億円、その他が同152.9%の68億円だった。
前期に買収した島忠については、2021年11月に島忠のプライベートブランド商品の第一弾として、日常使いに適した紙製品(トイレットペーパーとBOXティッシュ)の販売を開始した。相対的に販売数量の多い品や荒利益率の低い品を優先してPB商品開発へ。日用消耗品、ペット用品、日用品雑貨に先行着手している。島忠の営業損益は既に黒字に転換している。
ニトリが注視している主要KPIの22項目のうち17項目はクリアし、5項目は未達だった。
出店状況は、2022年2月期期首の国内店舗数はニトリ467店、Deco Home 106店、N+17店、ニトリHomes(島忠含む)61店の651店。海外は台湾35店、中国34店、米国2店の71店。国内、海外合わせて722店だった。第三四半期(累計)にニトリを15店、ニトリExpressを2店、Deco Home23店、ニトリHomesは2店閉鎖、台湾7店、中国7店の計14店出店し、775店になった。
2022年2月期予想
2022年2月期通期決算の会社計画は従前予想を維持した。
売上高 | 8,736億円 | (前期比21.9%増) |
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営業利益 | 1,439億円 | (同4.5%増) |
当期利益 | 986億円 | (同7.0%増) |
ニトリの2022年2月期の重点課題は成長を再加速する事である。日本国内の寡占化を進める為にニトリ、デコホームで80店出店の予定である。
物流拠点の最適配置と機能集約を柱とし、2025年までに総額2,000億円超の大規模投資を行う物流戦略プロジェクトを前連結会計年度より開始している。石狩DC(distribution center)の建設着工に続き、関西圏の広域配送に対応する拠点として新たに神戸DCの建設を開始した。自社で車両を保有し、港から各物流拠点までの輸送効率を向上し、コストを削減。今後の国内物流拠点再配置に合わせ、ドレージ事業(海外からコンテナで輸送されてきた荷物を、直接目的地まで陸送する方法)の拡大をする方針である。
アナリストによる投資スタンス
年末の第3四半期決算結果の発表の翌日に株価は減益を嫌気して1万6,000円台まで下落したが、すぐに1万7,000円台に戻した。第4四半期に入り緊急事態宣言が完全に解除された状態であるので会社側は売上が戻ってくる事を期待している。
第3四半期で気になったのは今まで高い伸びを達成していたEC事業が前年同期比ほぼフラットであった事である。EC事業の成長が頭打ちになったかどうかを判断するのは時期早尚であるが、第4四半期がどうなるか気になるところである。また、通期業績予想を会社側では増収増益としているが、達成できるか微妙である。株価バリュエーションは予想PERが20.0倍、PBRが2.8倍、EV/EBITDAが11.7倍とやや割安になっている。今期は再成長加速のための準備期間のために短期的な株価上昇は望みづらいように思われる。
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プロフィール
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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