株価 (2021/5/17) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
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8,513円 | 14.79兆円 | 22.3% | 61.9 | N / A |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
3.2倍 | N / A | 1.52倍 | 0.52% | N / A |
2021年3月期通期決算
売上高 | 5兆6,281億円 | (前年同期比7.4%増) |
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営業利益 | 5兆6,704億円 | (同113倍) |
当期利益 | 4兆9,879億円 | (同大幅黒転) |
当期純利益が前期の9,615億円の赤字から約5兆円の当期純利益へと大幅黒転した決算結果だった。国内企業の純利益で過去最高を記録した。SBGのNAV(純資産総額)は26.1兆円となり一年間で4.4兆円増加した。内訳はアリババが43%、SVF1+SVF2が25%、その他(SBKK、Sprint/Tモバイル、Arm、上場株投資)32%だった。LTV(Loan-to-value ratio、純負債/保有株式)は純負債が3.7兆円、保有株式が29.8兆円の12%となり負債比率が更に低下した。
SVF1:主に Guardant Health(一部)や OSIsoft、Uber(一部)などの投資の売却により実現益(純額)4,237 億円を計上した。上場投資先で合計4兆 2,851 億円の未実現評価益を計上(このうち Coupang で2兆 5,978 億円、DoorDash で 6,611 億円の利益)。未上場投資先で合計1兆 1,930 億円の未実現評価益(純額)を計上した。
SVF2:KE Holdings をはじめとする上場投資先の好調な株価推移などにより未実現評価益(純額)4,903 億円を計上した。
税引前利益 5兆 6,705億円と前期比5兆6,204億円の大幅増加だった。財務費用は3,073億円、デリバティブ関連損失(投資損益を除く)4,803 億円、 SVF1の外部投資家持分の増減額は△2兆 2,464 億円だった。
親会社所有者に帰属する純利益4兆 9,880 億円と前期比5兆 9,495 億円増加した。 非継続事業からの純利益 7,112 億円で、主にスプリントに係る支配喪失利益であった。
IPOはSVF1からは4Qに AUTO1、Coupang、View の3社が上場し、2021年3月期の累計上場社数は 6 社になった。最近SVF1からIPOした企業のGross MOIC(Gross multiple of invested capital、投下資本倍率)は、Coupang(韓国No.1のECカンパニー、2021年3月11日上場)は10.3倍、View(最先端ビル向けのスマートガラスを提供、2021年3月9日上場(SPCと合併))は0.4倍、Compass(米国最大級の住宅取引プラットフォーム、2021年4月1日上場)は1.9倍、Zymergen(AIを活用した新素材開発、2021年4月22日上場)は2.3倍だった。期末に保有する全投資先 81 社のうち、11 社が上場済みである。
SVF2からは 4QにQualtrics が上場。Gross MOICは1.2倍だった。期末に保有する全投資先 44 社のうち、3社が上場済みである。SPACからは4QにSBIAの子会社3社を含む7社の子会社 SPAC(特別買収目的会社)が上場し、期末現在で累計9社が上場済み。このうち1社は事業会社との合併が完了した。
2021年3月末時点のSVF1の普通出資IRRは30%、優先出資IRRは7%、ブレンドIRRは22%だった。SVF2の資本構成はLPはSBGのみで普通出資IRRは119%だった。SVF1+SVF2の普通出資IRRは43%だった。
ラテンアメリカ・ファンドは2019年10月にUSD2.6bn(2,884億円)でファンド運用をスタートし、2021年3月末の時価(グロス)はUSD4.0bn(4,443億円)と1,559億円の増加であった。ラテンアメリカのユニコーン企業ランキング10社のうち6社がファンドの投資先であった。ラテンアメリカ・ファンドの資本構成はLPはSBGのみで普通出資IRRは62%だった。
資産売却または資金化:T モバイル、アリババおよびソフトバンク㈱の株式の一部売却または資金化により、2020 年4~9月の6カ月間で 5.6 兆円の資産売却・資金化を実現した。
自己株式取得:合計2兆円の自己株式取得枠を設定済み。このうち、2021 年3月末までに累計 1 兆 7,422 億円、2021 年4月末までに累計1兆 9,502 億円の自己株式を取得。取得枠上限まで取得を継続予定である。
負債削減:国内社債および外貨建て社債の買入れならびにシニアローンおよびコミットメントラインによる借入金の返済により、当期末までに合計1兆円の負債を削減した。 その他の手取金は上場株式で運用しながら投資機会に備えた資金として保持する予定である。
2022年3月期予想
2022年3月期通期の業績予想を会社側は発表していない。通信子会社のSBKKの2022年3月期業績予想は売上5兆5,000億円(前期比5.7%増)、営業利益9,750億円(同0.4%増)、当期利益5,000億円(同1.8%増)である。Zホールディングスの2022年3月期予想は売上1兆5,200~1兆5,700億円(同26.1~30.2%増)、調整後EBITDA3,030~3,130億円(同2.8~6.2%増)と発表した。ZホールディングスはFintech領域からの高い収益の伸びを見込んでいる。
アナリストによる投資スタンス
決算発表時に追加の自社株買いの発表がなかった事、また世界的な株安傾向に反応して決算発表翌日は株価は3.8%下落した。SBGは投資会社であるために業績は市場に連動するために現時点で今期の業績を予想する事は大変難しいが、現在の株価でPBRが1.52倍と割安である。
ソフトバンクグループに関する投資アイデア
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プロフィール
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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