株価 (2020/11/10) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
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6,861円 | 12.8兆円 | 20.5% | 23.64% | 8.97% |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
N / A | N / A | 1.76倍 | N / A | N / A |
売上高 | 2兆6,305億円 | (前年比3.6%増⤴) |
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税引前利益 | 1兆4,414億円 | (同22.9%増⤴) |
上半期純利益 | 1兆8,832億円 | (同346.7%増⤴) |
上半期純利益は前年同期比4.5倍の好決算だった。ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の投資損益が大きく回復し、Fund1、2を合計して1兆3,901億円だった。また通信子会社ソフトバンクの好業績も貢献した。SBGのNAV(純資産総額)は27.3兆円となり6カ月で5.6兆円増加した。27.3兆円のNAVのうち20兆円ちかくはアリババによるものである。
SVFの投資利益の内訳はSVF1で投資の売却による実現益(純額)1,414億円の他、公開株式市場の復調に加え、エグジットの決定、デジタルサービス導入の加速による投資先の公正価値上昇により未実現評価益7,299億円を計上。SVF2ではKE Holdingsの上場後の株価上昇等により未実現評価益5,372億円を計上した。
持株会社投資事業からの投資利益 は5,796億円だった。スプリントとT-Mobile USの合併およびその後のT-Mobile株式の一部売却に関連してT-Mobile株式売却関連益を4.218億円、引き続き保有するT-Mobile株式に係る未実現評価益1,001億円、条件付対価の公正価値上昇に伴うデリバティブ関連利益1,770億円を計上した。一方で、上場株式等への投資に係る投資損失1,317億円を計上した。
税引前利益は前年同期比2,688億円増加の1兆4,415億円だった。デリバティブ関連の損失(投資損益を除く)は7,616億円、SVF1における外部投資家持分の増減額▲4,575億円は費用計上した。
ソフトバンク事業のセグメント利益は前年同期比2.9%増の5,332億円となった。Zホールディングス傘下のZOZOの好決算やSBKKの法人向け事業の好調が貢献した。一方SBKKのコンシューマー向け事業は減益だった。
2020年9月にNVIDIAへ最大400億米ドルと評価される取引価値でアーム全株式売却に合意したが、連結財務諸表上はクロージングの蓋然性が非常に高いと判断されるまでの間は引き続き継続事業として認識し計上する予定である。
4.5兆円プログラムの進捗状況は資産売却または資金化を完了した。T-Mobile株式の一部売却および同株式を活用した借入れ、先渡売買契約によるアリババ株式の一部売却(追加売却を含む)で、当第二四半期累計期間の資産売却または資金化額は5.6兆円になった。超過した調達資金の使途は財務バランスを勘案して今後決定する予定である。
自己株式取得については合計2兆円の自己株式取得決定枠のうち2020年9月末までに5,401億円、その後2020年10月末までに1,393億円の自己株式を取得した。
2021年3月期予想
上半期が終了しても2021年3月期通期の業績予想を会社側は発表していない。通信子会社のSBKKの通期業績予想は売上4兆9,000万円(前年比0.8%増)、営業利益9,200億円(同0.9%増)、当期利益4,850億円(同2.5%増)と5月に発表した業績予想からは変わっていない。Zホールディングスの通期予想は売上1兆1,400億円(同8.3%増)、営業利益1,600億円(同5.1%増)と発表した。
SVFの投資損益は大幅に改善したが、SVF1は9月末時点でSVF1は83銘柄を保有し、投資額の合計750億ドル(7兆7300億円)に対し公正価値の合計は764億ドル。SVF2は13銘柄を保有し、投資額26億ドルに対し、公正価値は76億ドルとなっている。
SVF1は含み損を抱えている銘柄はあると推測される。WeWork の9月末の公正価値は53億ドルだったと推測される。WeWorkとは明記していないがリアルエステート&コンストラクション・セクターとして投資コスト99億ドル、9月末時点の公正価値53億ドル、未実現評価損が▲46億ドルと決算短信上で開示している。また、SBGとWeWorkの間の訴訟はまだ継続していると思われる。
Uber Technologiesの先日発表された3Q決算は四半期損失が11億ドル(約1,155億円)と2Qの18億ドルの損失より回復した。Uber Technologiesの9月末時点での公正価値は81億ドル、投資額は77億ドルだった。
SVF1のエグジット前の保有銘柄のうち未実現評価損益がマイナスなセクターはフィンテックが投資コストが47億ドル、9月末時点の公正価値が45億ドルだった。トランスポーテーション&ロジスティックス・セクターは投資コストが340億ドル、9月末時点の公正価値が326億ドルだった。
SVF1のパフォーマンスは価値が増加した企業が38社、合計2.2兆円、価値が減少した企業が42社、▲1.4兆円、ネットで0.8兆円とパフォーマンスは悪い。SVF1の投資先企業については元々投資したタイミングが高値だったという印象が強く株式市場が好調でもSVF1のパフォーマンスの改善には限界があるかもしれない。
上半期の純利益が4.5倍も増加した好決算だったにも関わらず決算発表の翌日に株価は5%近くも売り込まれた。上半期は合計5.6兆円にものぼる資産売却があり財務リスクは低減されたが、いまだにNAVの約70%をアリババ頼みであり、投資事業会社として旗艦ファンドのSVF1のパフォーマンスが良くないのは外部からの資金を集める上でマイナスであると思われる。
アナリストによる投資スタンス
通期業績予想を発表していないため予想PER、EV/EBITDAを算出できないが、PBRが1.74倍は割安である。
プロフィール
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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