株価 (2021/2/9) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
---|---|---|---|---|
9,850円 | 18.5兆円 | 20.1% | N / A | N / A |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
N / A | N / A | 2.33倍 | N / A | N / A |
2021年3月期第3四半期決算
売上高 | 4兆1,380億円 | (前年同期比6.1%減) |
---|---|---|
営業利益 | 3兆3,615億円 | (同133.0%増) |
当期利益 | 3兆551億円 | (同541.1%増) |
第3四半期決算(累計)は純利益が前年同期比5.4倍増と大幅増益の決算だった。ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の投資損益が大きく回復し、Fund1、2を合計して2兆7,288億円だった。持ち株会社投資事業からの投資利益は8,465億円だった。SBGのNAV(純資産総額)は22.9兆円となり9カ月で1.2兆円増加した。LTV(Loan-to-value ratio、純負債/保有株式)は純負債が4兆円、保有株式が26.9兆円の15%となり負債比率が更に低下した。
SVF1の投資利益の内訳は投資の売却により実現益(純額)2,093億円を計上。DoorDash、Uberなどの好調な株価を反映し上場投資先で合計1兆5,415億円の未実現評価益(実額)を計上した他、未上場投資先でも公正価値上昇を反映し、5,306億円の評価益を計上した。
SVF2ではKE HoldingsおよびSeerの上場後の株価上昇などにより未実現評価益(純額)5,427億円を計上した。
スプリントとT-Mobile US Inc.の合併およびその後のTモバイル株式一部売却に関連して、Tモバイル株式売却関連利益4,218億円、引き続き保有するTモバイル株式の未実現評価益が3,276億円、条件付対価の公正価値上昇に伴うデリバティブ関連利益3,245億円をそれぞれ計上。
一方で上場株式等への投資に関わる投資損失3,014億円を計上した。
税引前利益は前年同期比1兆9,118億円増加の3兆3,615億円だった。デリバティブ関連の損失(投資損益を除く)は4,807億円、SVF1における外部投資家持分の増減額▲9,567億円は費用計上した。
投資先の上場が続いた。SVF1の投資先のDoorDashが2020年12月9日にニューヨーク証券取引所に上場した。2020年12月21日にOpendoorがSPAC(特別目的買収会社)との合併によりNASDAQに上場した。
SVF2の投資先のSeerが2020年12月4日にNASDAQに上場。2021年1月8日、SBIA(SB Investment Advisers (UK)Limited)子会社のSPACであるSVF Investment Corp.がNASDAQに上場した。
4.5兆円プログラムの進捗状況は資産売却または資金化を完了した。T-Mobile株式の一部売却および同株式を活用した借入れ、先渡売買契約によるアリババ株式の一部資金化、およびSBKK株式の一部売却(追加売却を含む)で2020年4月から9月の6カ月で5.6兆円にのぼる資産売却または資金化を完了。4.5兆円を超過した調達資金の使途は財務バランスを勘案して今後決定の方針である。
自己株式取得については合計2兆円の自己株式取得決定枠のうち、2020年12月末までに累計1.1兆円、2021年1月末までに累計1.3兆円の自己株式を取得した。
負債削減に関しては2020年9月末までに国内無担保社債1,676億円(額面総額)の買入およびシニアローン3,000億円の期限前返済を実施した。
2021年3月期予想
第3四半期決算が終了しても2021年3月期通期の業績予想を会社側は発表していない。通信子会社のSBKKの通期業績予想は売上5兆1,000億円(前年比4.9%増)、営業利益9,700億円(同6.4%増)、当期利益4,900億円(同3.6%増)と第2四半期決算を発表した時点より小幅に上方修正した。Zホールディングスの通期予想は売上1兆1,400億円(同8.3%増)、営業利益1,600億円(同5.1%増)と発表した。
SVFの投資損益は大幅に改善した。SVF1は2020年12月末時点で92銘柄を保有し、うちエグジットした銘柄数は10銘柄、未上場株が74銘柄、上場株が8銘柄である。投資額の合計845億ドル(約8兆8,300億円)に対し公正価値の合計は1,048億ドル(約10兆9,600億円)。SVF2は26銘柄を保有し、うち未上場株が24銘柄、上場株が2銘柄である。投資額43億ドル(約4,493億円)に対し、公正価値は93億ドル(約9,718億円)となった。
SVFの中でIPOをした銘柄のリターンであるが、各銘柄のGross MOIC (Money on invested capital、投下資本に対してどれだけのキャッシュフローを回収したかの尺度)を以下に記す。
SVF1のDoorDashのは13.2倍、Opendoorは3.7倍、Relayは3.9倍、金融壹账通(OneConnect)は0.9倍、VIRは3.0倍、Uberは1.5倍、Guardant Healthは8.9倍、衆安保険(ZhongAn Insurance)は0.7倍である。SVF2のSeerは3.0倍、BEIKEは4.8倍である。
SVF1のパフォーマンスの改善はDoorDashのIPOの成功、Uberの高株価によるものが大きい。SVF1の約3兆円の上場株ポートフォリオのうち、DoorDashは9,304億円、Uberは1兆1,730億円だった。SVF2の上場株ポートフォリオは約7,000億円で、BEIKEが6,658億円、Seerが168億円だった。
今回の決算発表ではSVF1の投資先企業で価値が下がった銘柄が何社かという開示がなかった。SBGはWeWorkに対して986億ドル(約10兆3,800億円)とかなり大きな投資をしたが、今回の決算資料では全く触れられていない。
Arm Limitedの全株式を米国の半導体メーカーであるNVIDIA Corporationに対して400億米ドル(約4.2兆円)売却する契約は2020年9月に締結したが、本取引は、英国、中国、EU及び米国を含む必要な規制当局の承認、その他の一般的なクロージング要件の充足を条件としており、取引の完了までには約18カ月かかると見込まれる。
昨日の好決算発表から本日SBGの株価は4%以上株価が上昇している。SVFの新規のIPOが順調な事、また投資損益の大幅改善が好感されている。自己株式取得に関しては後7,000億円分が実施される予定である。
かねてから噂されるMBOに関しては昨日の決算説明会ではノーコメントであった。
アナリストによる投資スタンス
通期業績予想を発表していないため予想PER、EV/EBITDAを算出できないが、PBRが2.33倍に割高感は全くない。
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