株価138.81USD(日中取引終値)
時価総額1.729兆USD(約259兆円)
自己資本比率68.9%
ROE 23.33%
ROIC 27.32%
PER(実績)26.59倍
PBR 6.41倍
配当利回りN/A
EV/EBITDA 18.78倍

                        *注:株価は2023/10/24時点。ROE、ROICは過去12カ月の実績数値。

2023年3Q決算結果

売上高767億ドル(約11兆4,897億円、前年同期比 11%増、2Q比2.8%増)
営業利益213億ドル (同28%増、同▲2.3%)
営業利益率27.8% (同3.0pt増、同▲1.5pt)
四半期純利益197億ドル(同41.5%増、同7.2%増)
希薄化後EPS1.55ドル  

アルファベットの3Q決算は増収増益決算で、売上、EPS共に市場予想を上回った。しかし、クラウド事業の売上が市場予想を下回り、かつ同事業の売上の前年同期比の伸び率が2Qの28%から22%に減速した事が嫌気されて時間外取引でアルファベットの株価は時間外取引で6%下落した。

他の事業に関しては、Google Searchの売上は前年同期比11%増の440億ドル、YouTube広告は同12%増の79.5億ドル、一方Network広告は同▲2.6%の77億ドルであった。Google のその他の収益は、Pixel phone、YouTube のサブスクリプション収益等に牽引されて同21%増加した。

売上高は同11%増であったが、売上原価は同1.7pt改善し、研究開発費用は同9.6%増、営業、マーケティング費用は同▲0.6%、一般管理費は同10.6%増で営業利益は同28%増、営業利益率は同3.0pt上昇の27.8%となった。営業費用は1億4,600万ドルと前年同期の9億200万ドルの費用より大幅に改善し、四半期純利益は同41.5%増の197億となった。

以上の決算結果に3Qにリストラ費用8,600万ドルとオフィス・スペース削減に1,600万ドルを計上したものが含まれている。また会計基準の変更(サーバーと他のネットワーク機器の耐用年数の変更)により3Qに減価償却費用が9.77億ドル低減され、四半期純利益が7.61億ドル増加、希薄化後EPSへの影響は+0.06ドルであった。

セグメント売上、トラフィック獲得コスト

グーグル検索、その他の広告収入440億ドル前年同期比11%増
YouTube広告79.5億ドル同12%増
グーグル・ネットワーク広告77億ドル同▲2.6%
その他グーグル83億ドル同21%増
グーグル・サービス計679.8億ドル同11%増
グーグル・クラウド84億ドル同22%増
その他事業2.9億ドル同42%増
為替ヘッジによる利益▲100万ドル同▲100.1%

 

総売上高767億ドル前年同期比11%増
トラフィック取得コスト(TAC)126億ドル同6.9%増
総売上高に占めるTAC割合16.5%同▲0.6pt

セグメント別営業損益

グーグル・サービス239億ドル前年同期比27%増
グーグル・クラウド2.66億ドル黒字転換
その他▲11.9億ドル赤字幅が同2.5%縮小
コスト未配分▲16.6億ドル赤字幅が同約20倍拡大
営業損益合計213億ドル同25%増

*注:コスト未配分の大幅増加はAI研究を別々にしていたGoogle Researchの一部のGoogle Brain TeamとDeepMindを統合し、Google DeepMindチームとなり、このチームのコストをコスト未配分のセグメントで計上したために大幅に増加となった。               

Google Cloudは前年同期では黒字転換し、セグメント利益率は3.2%であった。しかし、2QのGoogle Cloudのセグメント利益率は5%であり、2Q比利益率が▲1.8pt低下した。

Googleサービスに関しては前述したようにGoogle Search、YouTubeともに好調であった一方Network広告は不調であった。またその他Googleも好調であったためにGoogleサービスのセグメント利益は前年同期比27%増と高い伸びであった。

なお、アルファベットは次の四半期のガイダンスを通常行わない。

業績推移

Alphabet3Q224Q221Q232Q233Q23
(単位:百万USD)     
総売上高69,09276,04869,78774,60476,693
売上原価31,15835,34230,61231,91633,229
粗利益37,93440,70639,17542,68843,464
粗利益率54.90%53.50%56.10%57.20%56.70%
研究開発費10,27310,26711,468 10,588 11,258
営業、マーケティング費用6,9297,1836,5336,781   6,884
一般管理費3,5975,0963,759   3,4813,979
営業利益17,13518,16017,41521,83821,343
営業利益率24.8%24.0%25.0%29.3%27.8%
営業外利益(費用)ネット-902-101379065-146
税引前利益16,23317,14718,20521,90321,197
法人税等2,3233,523   3,1543,5351,508
普通株主に帰属する純利益13,91013,910  15,05118,36819,689
完全希薄後株式数13,09712,94712,82312,79412,696
完全希薄後EPS1.061.051.171.441.55
      
営業キャッシュフロー23,35323,61423,50928,66630,656
設備投資額7,2767,5956,28968,8888,055
フリーキャッシュフロー16,07716,01917,22021,77822,601

  (注:アルファベット社決算資料に基づき株式会社pafin作成)    

業績予想コンセンサス(決算発表前時点)       

 1Q実績2Q実績3Q実績4Q予想
売上高(百万USD)69,78774,60476,69384,820
EPS1.171.441.551.62

        (注:株式会社pafin調べ)

投資判断

広告需要が回復し、検索型広告、YouTube広告ともに売上が大幅増加となる中Google Cloudの売上の伸びの鈍化が一番の懸念材料である。また、Google Cloudのセグメント利益率も2Q比▲1.8ptの3.2%となった。Google Cloudに関しては鈍化が一時的であるか開示された資料だけでは判断がつかないために今後の動向を注視したい。AIのBardやSearch Generative Experienceなど試験的にローンチされ、これから課金サービスとなる可能性が高いサービスもあり、中長期的な成長ポテンシャルは大きいと考えている。

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