【注目ポイント】 

 

株価(2022/10/27)    時価総額自己資本比率    ROE*    ROIC*
110.96USD(日中取引終値)1.13兆USD(約165兆円)       32.1%   9.43%     3.6%
    PER(実績)  PER(弊社予想)        PBR配当利回りEV/EBITDA
            104.15倍    N/A**      8.97倍    N/A     24.51倍

                        注:ROE、ROICは過去12カ月の実績数値。** 年間EPSをマイナス予想としているためにN/A。

2022年3Q決算結果

売上高 1,271億ドル (約18兆5,900億円、前年同期比15%増、2Q比4.8%増)

営業利益 25億ドル (同48%減、同▲23.9%)

営業利益率 2.0% (前年同期 4.4%、2Q 2.74%)

四半期純利益 29億ドル (前年同期比▲9%、2Q比 黒転)

希薄化後EPS  0.28ドル (弊社予想▲0.11ドル)

増収減益決算だった。primeセールや欧州でのprime費用値上げ等で増収は確保したものの物流コスト増、人件費増で営業利益はほぼ半減した。営業利益率は前年同期比半分以下に低下したが最終損益は黒字を確保した。

セグメント別売上、営業利益

            北米

売上高789億ドル前年同期比20.3%増
営業費用793億ドル同22.5%増
営業損益▲4億ドル前年同期 8億8,000万ドル

          インターナショナル

                 

売上高277億ドル前年同期比▲4.9%
営業費用302億ドル同0.4%増
営業損益▲25億ドル前年同期▲9億1,100万ドル

          AWS

売上高205億ドル前年同期比27.5%増
営業費用151億ドル同34.8%増
営業損益54億ドル同10.6%増

北米の営業損益は赤字に転落し、インターナショナルでの営業赤字は拡大した。AWSの売上高は前年同期比27.5%増と高い伸びを達成したが前年同期の39%増より鈍化した。また、コスト増でAWSの営業利益率は同4pt低下した。

4Qのガイダンス

4Qのガイダンスは以下の通りである。

売上高:1,400億~1,480億ドル (前年同期 1,374億ドル、前年同期比2%~8%増)

営業利益:0~40億ドル(前年同期 34億6,000万ドル、前年同期比▲100%~15.6%増)

 

業績推移

Amazon1Q20212Q20213Q20214Q20211Q20222Q20223Q2022
(単位:百万USD)       
北米       
  売上高64,36667,55065,55782,36069,24474,43078,843
  営業費用60,91664,40364,67782,56670,81275,05779,255
  営業利益3,4503,147880(206)(1,568)(627)(412)
       営業利益率5.4%4.7%1.3%-0.3%-2.3%-0.8%-0.5%
インターナショナル       
  売上高30,64930,72129,14537,27228,75927,06527,720
  営業費用29,39730,35930,05638,899 30,04028,83630,186
  営業利益1,252362(911)(1627)(1,281)(1,771)(2,466)
       営業利益率4.1%1.2%-3.1%-4.4%-4.5%-6.5%-8.9%
AWS       
  売上高13,50314,80916,11017,78018,44119,73920,538
  営業費用9,34010,61611,22712,48711,92314,02415,135
  営業利益4,1634,1934,8835,2936,5185,7155,403
       営業利益率30.8%28.3%30.3%29.8%35.3%29.0%26.3%
        
総売上高108,518113,080110,812137,412116,444121,234127,101
営業費用99,653105,378105,960133,952112,775117,917124,576
営業利益8,8657,7024,8523,4603,6693,3172,525
営業利益率8.2%6.8%4.4%2.5%3.2%2.7%1.99%
営業外収益(費用)1,403932(537)11,474(8,934)(5970)419
税引前利益10,2688,6344,31514,934(5,265)(2,653)2,944
法人税等(2,156)(868)(1155)(612)1,422637 (69)
持分法投資損益(5)12(4)1(1)(12)(3)
純利益8,1077,7783,15614,323(3,844)(2,028)2,872
普通株主に帰属する純利益8,1077,7783,15614,323(3,844)(2,028)2,872
完全希薄後株式数51351451551650910,17510,331
完全希薄後EPS15.7915.126.1227.76(7.55)(0.2)0.28 
        
修正EBITDA*18,67919,33116,98016,94212,72113,03018,285
修正EBITDAマージン17.2%17.1%15.3%12.3%10.9%10.7%14.4%
*修正EBITDA=営業利益+減価償却費用、のれん代償却費用+株式型報酬    
営業キャシュフロー4,21312,7157,31322,086(2,790)8,96511,404
設備投資(12,082)(14,288)(15,748)(18,935)(14,951)(15,724)(16,378)
不動産及び設備の売却利益895 1,3009972,4651,2091,6261,337
フリーキャッシュフロー**(6,974)(273)(7,438)5,616 (16,532)(5,133)(3,637)
**フリーキャッシュフロー=営業CF-設備投資+不動産及び設備の売却利益    

                 (注:アマゾン社決算資料に基づき株式会社pafin作成)    

業績予想       

FY2022予想1Q(実績)2Q(実績)3Q(実績)4Q(予想)
     
売上高116,444  121,234127,101145,657
営業利益3,6693,3172,5252,622
税引前利益-5,265   -2,653 2,9442,872 
法人税等1,42263769115
純利益(親会社株主帰属)-3,844 -2,028 2,8722,987 
完全希薄後株式数50910,17510,33110,475
完全希薄後EPS-7.55 -0.20 0.28 0.29 
*1Qの実績EPSは▲7.55ドルであったが、2Qに入り1対20の株式分割を行ったので
年間のEPSの算出には20分の一、▲0.38ドルを使う。  

                                                 (注:アマゾン社決算資料に基づき株式会社pafin作成)

投資判断

ドル高、ガソリン価格の高止まり、人件費増、フルフィルメント・コスト増とアマゾンにとって苦境が継続している。ECの部分以外のセグメントはAWSの高い利益率と成長を投資家は変わらず評価している。ECの中でもサードパーティー売上等は順調に伸びている。4Qはホリデーシーズンではあるが、ドル高を考慮すると二桁増には届かずコスト増から営業利益率は3Qよりも低下する可能性もあるのではないかと考えている。業績が回復するまでは自社株買いを来年も行うのではと推測している。

 

執筆者プロフィール

株式会社pafin 

マーケットアナリスト 西村 麻美

西村麻美/mami.png

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

 

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