【注目ポイント】 AWSまで減速してしまい、しばらく苦境を脱するのは難しそう。

 

株価(2023/2/2)    時価総額自己資本比率    ROE*    ROIC*
112.91USD(日中取引終値)1.15兆USD(約149兆円)       31.6%   8.78%     3.6%
    PER(実績)  PER(弊社予想)        PBR配当利回りEV/EBITDA
            92.9倍    297倍      7.6倍    N/A     22倍

                        注:ROE、ROICは過去12カ月の実績数値。** 年間EPSをマイナス予想としているためにN/A。

2022年4Q決算結果

売上高 1,492億ドル (約19兆4,000億円、前年同期比8.6%増)

営業利益 27億ドル (同21%減)

営業利益率 1.83% (前年同期 2.52%)

四半期純利益 2億7,800万ドル (前年同期比▲98%)

希薄化後EPS  0.03ドル (弊社予想0.29ドル)

増収減益決算だった。ホリデーシーズンにprimeセールの前倒しにより売上高は過去最高を記録したが、コストの伸びが大きく営業利益は減少した。営業外では投資先のRivian Automotive の普通株の評価損23億ドル等も計上し、四半期純利益は前年同期比98%減と大幅減であった。売上は市場予想を上回ったが、EPSは市場予想を下回った。

アマゾンは2022年に100億ドル相当の自社株買いを行った。

セグメント別売上、営業利益

         北米

売上高934億ドル前年同期比13.4%増
営業費用936億ドル同13.4%増
営業損益▲2.44億ドル前年同期 ▲2億600万ドル

               

          インターナショナル

売上高344億ドル前年同期比▲7.5%
営業費用367億ドル同▲5.7%
営業損益▲22億ドル前年同期▲16億ドル

  

 

          AWS

売上高214億ドル前年同期比20.2%増
営業費用162億ドル同29.5%増
営業損益52億ドル同▲1.7%

 

北米では売上、営業費用共に13.4%づつ伸びたが、営業損失は若干拡大した。インターナショナルでは売上が7.5%減少し、営業費用も5.7%減少し、営業損失は拡大した。AWSの売上高は前年同期比20.2%増であったが、営業費用が29.5%と売上よりも拡大し、営業損益は前年同期比1.7%減少した。AWSの営業利益率は営業費用の高い伸びにより5.5pt低下し、24.3%となった。

リストラ

アマゾンではパンデミック中の特需に対応するために従業員を二倍以上に増やしたが、先月上旬に約18,000人(全従業員の6%)の人員削減をすると発表した。主にAmazon Storeと人事に携わるPXT(People Experience and Technology Solutions)部門を中心に実施する予定である。

1Q 2023のガイダンス

4Qのガイダンスは以下の通りである。

売上高:1,210億~1,260億ドル (前年同期 1,164億ドル、前年同期比4%~8%増)この前提として為替からの影響が▲2.1%と想定している。

営業利益:0~40億ドル(前年同期 37億ドル、前年同期比▲100%~9%増)

 

業績推移

 

Amazon3Q20214Q20211Q20222Q20223Q20224Q2022
(単位:百万USD)      
北米      
  売上高65,55782,36069,24474,43078,84393,363
  営業費用64,67782,56670,81275,05779,25593,603
  営業利益880(206)(1,568)(627)(412)(240)
       営業利益率1.3%-0.3%-2.3%-0.8%-0.5%-0.3%
インターナショナル      
  売上高29,14537,27228,75927,06527,72034,463
  営業費用30,05638,899 30,04028,83630,18636,691
  営業利益(911)(1627)(1,281)(1,771)(2,466)(2,228)
       営業利益率-3.1%-4.4%-4.5%-6.5%-8.9%-6.5%
AWS      
  売上高16,11017,78018,44119,73920,53821,378
  営業費用11,22712,48711,92314,02415,13516,173
  営業利益4,8835,2936,5185,7155,4035,205
       営業利益率30.3%29.8%35.3%29.0%26.3%24.3%
       
総売上高110,812137,412116,444121,234127,101149,204
営業費用105,960133,952112,775117,917124,576146,467
営業利益4,8523,4603,6693,3172,5252,737
営業利益率4.4%2.5%3.2%2.7%1.99%1.8%
営業外収益(費用)(537)11,474(8,934)(5970)419(3699)
税引前利益4,31514,934(5,265)(2,653)2,944(962)
法人税等(1155)(612)1,422637 (69)1,227
持分法投資損益(4)1(1)(12)(3)13 
純利益3,15614,323(3,844)(2,028)2,872278 
普通株主に帰属する純利益3,15614,323(3,844)(2,028)2,872278 
完全希薄後株式数51551650910,17510,33110,308
完全希薄後EPS6.1227.76(7.55)(0.2)0.28 0.03 
       
修正EBITDA*16,98016,94212,72113,03018,28521,028
修正EBITDAマージン15.3%12.3%10.9%10.7%14.4%14.1%
*修正EBITDA=営業利益+減価償却費用、のれん代償却費用+株式型報酬 
営業キャシュフロー7,31322,086(2,790)8,96511,40429,173
設備投資(15,748)(18,935)(14,951)(15,724)(16,378)(16,592)
不動産及び設備の売却利益9972,4651,2091,6261,3371,152
フリーキャッシュフロー**(7,438)5,616 (16,532)(5,133)(3,637)13,733
**フリーキャッシュフロー=営業CF-設備投資+不動産及び設備の売却利益 

 (注:アマゾン社決算資料に基づき株式会社pafin作成)    

業績予想       

 

FY2023予想1Q(予想)2Q(予想)3Q(予想)4Q(予想)
     
売上高125,000  126,083132,185159,648
営業利益2,5002,7743,4373,832
税引前利益500   974 1,6371,332 
法人税等50117213133
純利益(親会社株主帰属)450 857 1,4241,198 
完全希薄後株式数10,28010,25010,22010,200
完全希薄後EPS0.04 0.08 0.14 0.12 

                       (注:アマゾン社決算資料に基づき株式会社pafin作成)

投資判断

ECの部分も改善されていないが、頼みの綱のAWSのセグメント利益が前年同期比1.7%減と成長の鈍化が気になる。AWSの今後の動向を注視したい。リストラはポジティブであるが、短期的に業績は回復しないだろう。ECの不調、AWSの減速、投資先の株価下落としばらくは厳しい局面が継続するとみている。

 

 

 

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