【注目ポイント】 業績回復に打つ手なしか!?
株価(2022/10/26) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE* | ROIC* |
129.82USD(日中取引終値) | 3,489億USD(約51兆円) | 69.4% | 25.48% | 31.93% |
PER(実績) | PER(弊社予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
10.78倍 | 15.43倍 | 2.78倍 | N/A | 6.77倍 |
*注:ROE、ROICは過去12カ月の実績数値。
2022年3Q決算結果
売上高 277億1,400万ドル(約4兆500億円、前年同期比 ▲4 %、2Q比▲3.8%)
営業利益 56億6,400万ドル (同▲46%、同▲32%)
営業利益率 20% (前年同期36%、2Q 29%)
四半期純利益 43億9,500万ドル(前年同期比▲52%、2Q比▲34%)
希薄化後EPS 1.64ドル (弊社予想 2.34ドル)
2Qに続き減収減益の決算だった。売上は前年同期比▲4%、営業利益は同▲46%、四半期純利益は同▲52%と大幅減益の決算だった。平均広告単価が2Qには同14%下落したが、3Qになり更に下落し同18%下落した。ドル高のみならず景気の悪化から企業の広告費用が削減されているのがはっきりと表れた決算であった。
事業別内訳
Family of Appの広告収入* | 274億2,900万ドル | 前年同期比▲3.6% |
Reality Labの収入 | 2億8,500万ドル | 同▲49% |
総売上高 | 277億1,400万ドル | 同▲4.5% |
Family of Appのセグメント利益 | 93億3,600万ドル | 前年同期比▲28.5% |
Reality Labの損益 | ▲36億7,200万ドル | 同▲39.6% |
営業利益 | 56億6,400万ドル | 同▲45.7% |
*注:Family of Appは Facebook, Instagram, Messenger, WhatsApp。
事業別の内訳は上記であるが、広告収入は前年同期比▲3.6%の274億2,900万ドル、セグメント利益は同▲28.5%の93億3,600万ドルであった。AR/VRを手掛ける部門のReality Labの収入は同▲49%の2億8,500万ドル、損益は同▲39.6%の▲36億7,200万ドルであった。
広告事業に関しては昨年4月にアップルが導入したアプリの端末情報の追跡制限によるSNS広告の効果低減がボディーブローのように効いており、FY2021の2QからFY2022の3Qまでに広告事業の営業利益は147億9,900万ドルから93億3,600万ドルと37%も低下した。
コスト増
大幅減益は売上減少に加えてコスト増も原因であった。2Qから引き続きメタバース関連の研究開発費用が大幅に増加しており前年同期比45%増の91億7,000万ドル、一般管理費はReality Lab関連の人件費増により同15%増の33億8,400万ドル、総コストは同19%増の220億5,000万ドルであった。売上に対する総コスト比率は3QFY21は64.1%であったが、3QFY22は79.6%と15.5ptも上昇した。この結果営業利益率は36%から20%と16ptも低下した。従業員数は3Qに同28%増加し87,314人となった。
財務状況等
3Q末時点の現預金及び短期有価証券の残高は417億7,600万ドルと1Q初め時点より13%減少した。メタは今まで社債を発行した事がないが3Q中の8月に100億ドル相当発行したが、この社債の残高は3Q末時点で99億2,000万ドルであった。社債の発行により自己資本比率は2Q末時点の74.1%が3Q末に69.4%に低下した。フリーキャッシュフローは設備投資額の大幅増により前年同期比98%減の1億7,300万ドルとなった。
3Qに65億5,000万ドル相当の自社株買いを行った。9月末時点で自社株買いの枠は177億ドル8,000万ドルであった。
4Qのガイダンス
4Qの総売上は300億~325億ドルのレンジを会社側は予想している。2022年の総コストは850億~870億ドルの予想をしているが、3Qまでに619億ドルを使っているために4Qの総コストは231億~251億ドルになるだろう。設備投資は2022年の1年間で320億~330億ドルの予想であるが、3Qまでに228億ドル1,300万ドルを使っているために4Qの設備投資額は91億8,700万~101億8,700万ドルになるだろう。税率は3Qと同レベルの21%前後になるとコメントした。
業績推移
Meta Platforms | 1Q2021 | 2Q2021 | 3Q2021 | 4Q2021 | 1Q2022 | 2Q2022 | 3Q2022 |
(単位:百万USD) | |||||||
広告収入 | 25,439 | 28,580 | 28,276 | 32,794 | 26,998 | 28,152 | 27,237 |
その他収入* | 732 | 497 | 734 | 877 | 910 | 670 | 477 |
総売上高 | 26,171 | 29,077 | 29,010 | 33,671 | 27,908 | 28,822 | 27,714 |
売上原価 | 5,131 | 5,399 | 5,771 | 6,348 | 6,005 | 5,192 | 5,716 |
粗利益 | 21,040 | 23,678 | 23,239 | 27,323 | 21,903 | 23,630 | 21,998 |
粗利益率 | 80.4% | 81.4% | 80.1% | 81.1% | 78.5% | 82.0% | 80.8% |
研究開発費 | 5,197 | 6,096 | 6,316 | 7,046 | 7,707 | 8,690 | 9,170 |
営業、マーケティング費用 | 2,843 | 3,259 | 3,554 | 4,387 | 3,312 | 3,595 | 3,780 |
一般管理費 | 1,622 | 1,956 | 2,946 | 3,305 | 2,360 | 2,987 | 3,384 |
営業利益 | 11,378 | 12,367 | 10,423 | 12,585 | 8,524 | 8,358 | 5,664 |
営業利益率 | 43.5% | 42.5% | 35.9% | 37.4% | 30.5% | 29.0% | 20.4% |
営業外利益(費用)ネット | 125 | 146 | 142 | 117 | 384 | (172) | (88) |
税引前利益 | 11,503 | 12,513 | 10,565 | 12,702 | 8,908 | 8,186 | 5,576 |
法人税等 | 2,006 | 2,119 | 1,371 | 2,417 | 1,443 | 1,499 | 1,181 |
純利益 | 9,497 | 10,394 | 9,194 | 10,285 | 7,465 | 6,687 | 4,395 |
普通株主に帰属する純利益 | 9,497 | 10,394 | 9,194 | 10,285 | 7,465 | 6,687 | 4,395 |
完全希薄後株式数 | 2,882 | 2,877 | 2,859 | 2,799 | 2,742 | 2,713 | 2,687 |
完全希薄後EPS | 3.30 | 3.61 | 3.22 | 3.67 | 2.72 | 2.46 | 1.64 |
修正EBITDA | 13,443 | 14,353 | 12,466 | 14,598 | 10,626 | 10,397 | 10,973 |
修正EBITDAマージン | 51.4% | 49.4% | 43.0% | 43.4% | 38.1% | 36.1% | 39.6% |
営業キャッシュフロー | 12,242 | 13,247 | 14,090 | 18,104 | 14,076 | 12,196 | 9,691 |
設備投資額 | 4,272 | 4,612 | 4,314 | 5,369 | 5,441 | 7,572 | 9,518 |
フリーキャッシュフロー | 7,970 | 8,635 | 9,776 | 12,735 | 8,635 | 4,624 | 173 |
*その他収入にReality Lab売上が含まれる |
(注:メタ・プラットフォームズ社決算資料に基づき株式会社pafin作成)
業績予想
FY2022予想 | 1Q(実績) | 2Q(実績) | 3Q(実績) | 4Q(予想) |
売上高 | 27,908 | 28,822 | 27,714 | 30,128 |
営業利益 | 8,524 | 8,358 | 5,664 | 5,423 |
税引前利益 | 8,908 | 8,186 | 5,576 | 5,298 |
法人税等 | 1,443 | 1,499 | 1,181 | 1,113 |
純利益(親会社株主帰属) | 7,465 | 6,687 | 4,395 | 4,185 |
完全希薄後株式数 | 2,742 | 2,713 | 2,687 | 2,638 |
完全希薄後EPS | 2.72 | 2.46 | 1.64 | 1.59 |
(注:メタ・プラットフォームズ社決算資料に基づき株式会社pafin作成)
投資判断
ドル高、企業の広告費削減、アップルの端末情報の追跡制限によるSNS広告の効果低減と三重苦に見舞われているメタ・プラットフォームズには業績回復は残念ながら難しいと考えている。社運をかけている新規事業のメタバースも長期間黒字化の目途は立たず設備投資が膨らみ人員も増加の一途である。2Q決算時に予想PER10倍台後半とコメントしたが既に10倍台前半になっており、一桁台後半まで低下する事も有り得るだろう。
執筆者プロフィール
株式会社pafin
マーケットアナリスト 西村 麻美
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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