【注目ポイント】 リストラと自社株買いはポジティブであるが、本格的な業績回復にはまだ遠い。

 

株価(2023/2/1)    時価総額自己資本比率    ROE*    ROIC*
153.12USD(日中取引終値)4,015億USD(約52兆円)       67.7%  22.4%    26.2%
    PER(実績)  PER(弊社予想)        PBR配当利回りEV/EBITDA
            14.1倍    18.8倍      2.7倍     N/A     8.5倍

                        *注:ROE、ROICは過去12カ月の実績数値。

2022年4Q決算結果

売上高 321億6,500万ドル(約4兆1,815億円、前年同期比 ▲4 %, 3Q比16%増)

営業利益 63億9,900万ドル (同▲49%、3Q比13%増)

営業利益率 20% (前年同期37%、3Q20%)

四半期純利益 46億5,200万ドル(前年同期比▲55%、3Q比5.8%増)

希薄化後EPS     1.76ドル (弊社予想1.59ドル)

 

3四半期連続の減収減益決算だった。売上は前年同期比▲4%、営業利益は同▲49%、四半期純利益は同▲55%と大幅減益の決算だった。平均広告単価は2Qには同14%下落、3Qに同18%下落していたが、4Qには22%下落した。

売上は市場予想を上回った事、また、FB、Instagram、WhatsAppのfamilyのデイリー・アクティブ・ユーザー数も市場予想を上回り同5%増であった事、また400億ドルの自社株買いを好感して時間外取引で株価は18%以上上昇した。

事業別内訳

Family of App*のセグメント売上314億3,800万ドル前年同期比▲4.1%
Reality Labの売上7億2,700万ドル同▲17.1%
総売上高321億6,500万ドル同55%

 

Family of Appのセグメント利益106億7,800万ドル前年同期比▲32.8%
Reality Labの損益▲42億7,900万ドル同▲29.5%
営業利益63億9,900万ドル同▲49%

             *注:Family of Appは Facebook, Instagram, Messenger, WhatsApp。

事業別の内訳は上記であるが、広告収入は前年同期比▲4.1%の314億3,800万ドル、セグメント利益は同▲32.8%の106億7,800万ドルであった。AR/VRを手掛ける部門のReality Labの収入は同▲17.1%の7億2,700万ドル、損益は同▲29.5%の▲42億7,900万ドルであった。

広告事業に関しては2022年4月にアップルが導入したアプリの端末情報の追跡制限によるSNS広告の効果低減が営業利益低減の要因である状況に変化はない。4Qに広告事業の営業利益は3Q比で14.4%増と回復したが、FY2021の2QからFY2022の4Qまでに広告事業の営業利益は147億9,900万ドルから106億7,800万ドルと27.8%も低下した。

リストラ

メタは4Qに大々的なリストラを行った。11,000人の従業員の削減、保有オフィスビルのサブリースに変更、オペレーティングリースをしているオフィスビルの解約等でリストラ費用はFamily of App部門で37億6,000万ドル、Reality Lab部門で4億4,000万ドルであった。リストラ費用がなかったとしたら営業利益率は13ptの上昇、税率は1pt低下、希薄後EPSは1.24ドル上昇していたと試算している。

財務状況、自社株買い

4Q末時点の現預金及び短期有価証券の残高は407億4,000万ドルと1Q初め時点より7.2%減少した。3Q中の8月に100億ドル相当発行したが、この社債の残高は4Q末時点で99億2,300万ドルであった。社債の発行により自己資本比率は2Q末時点の74.1%から4Q末に67.7%に低下した。フリーキャッシュフローは営業キャッシュフローの低下及び設備投資額の増加により前年同期比▲57.9%の52億8,800万ドルとなった。

4Qに69億1,000万ドル相当、通期で279億3,000万ドル相当の自社株買いを行った。12月末時点で自社株買いの枠は108億ドル7,000万ドルであったが、更に本日400億ドルの自社株買いの発表を行った。

1Q 2023のガイダンス

1Qの総売上は260億~285億ドルのレンジを会社側は予想している。売上予想の前提として現行の為替レートとすると売上に▲2%の影響がある事としている。2023年の総コストは890億~950億ドルの予想をしている。リストラ費用は通年で10億ドルを計上する予定で、これはオフィス拠点の統合が主な内容でリストラの進行具合により更に費用計上がある可能性もあるとの事である。設備投資は2023年の1年間で300億~330億ドルの予想をしている。税率は10%台の前半になる予定とコメントした。

業績推移

Meta Platforms 3Q20214Q20211Q20222Q20223Q20224Q2022
(単位:百万USD)      
広告収入28,27632,79426,99828,15227,23731,438
その他収入*734877910670477727
総売上高29,01033,67127,90828,82227,71432,165
売上原価5,7716,3486,0055,1925,7168,336
粗利益23,23927,32321,90323,63021,99823,829
粗利益率80.1%81.1%78.5%82.0%80.8%74.1%
研究開発費6,3167,0467,7078,6909,1709,771
営業、マーケティング費用3,5544,3873,3123,5953,7804,574
一般管理費2,9463,3052,3602,9873,3843,085
営業利益10,42312,5858,5248,3585,6646,399
営業利益率35.9%37.4%30.5%29.0%20.4%20.0%
営業外利益(費用)ネット142117384(172)(88)(250)
税引前利益10,56512,7028,9088,1865,5766,149
法人税等1,3712,4171,4431,4991,1811,497
純利益9,19410,2857,4656,6874,3954,652
普通株主に帰属する純利益9,19410,2857,4656,6874,3954,652
完全希薄後株式数2,8592,7992,7422,7132,6872,640
完全希薄後EPS3.223.672.722.461.641.76
       
修正EBITDA12,46614,59810,62610,39710,97311,783
修正EBITDAマージン43.0%43.4%38.1%36.1%39.6%36.6%
       
営業キャッシュフロー14,09018,10414,07612,1969,69114,511
設備投資額4,3145,3695,4417,5729,5189,043
フリーキャッシュフロー9,77612,7358,6354,6241735,288
       
*その他収入にReality Lab売上が含まれる      

   (注:メタ・プラットフォームズ社決算資料に基づき株式会社pafin作成)    

業績予想       

FY2023予想1Q(予想)2Q(予想)3Q(予想)4Q(予想)
     
売上高27,50028,82227,78232,067
営業利益5,7756,3416,1126,413
税引前利益5,6256,1615,8926,188
法人税等731863825866
純利益(親会社株主帰属)4,8945,2985,0675,322
完全希薄後株式数2,6002,5702,5002,460
完全希薄後EPS1.882.062.032.16

                  (注:メタ・プラットフォームズ社決算資料に基づき株式会社pafin作成)

投資判断

4Qから大規模リストラに着手したが、主力の広告事業の広告単価が下げ止まる事、また社運を賭けたVR/AR事業の損益が黒字に転換しない限り業績的に本格的な業績回復はないと考えている。それまでは自社株買いを継続するしか選択肢がないのではと推測している。しかし、株価的には既に予想PERが10倍台後半まで低下しており、ここから更に大幅に下落するとは考えづらい状況である。

 

 

 

 

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