株価408.59USD(日中取引終値)
時価総額3.04兆USD(約448兆円)
自己資本比率50.6%
ROE 39.11%
ROIC 26.09%
PER(実績)39.07倍
PBR13.8倍
配当利回り0.73%
EV/EBITDA 26.66倍

                        *注:株価は2024/1/30時点。ROE、ROICは過去12カ月の実績数値。

2024年2Q決算結果

売上高620億ドル(約9兆1,450億円、前年同期比18%増、1Q比9.7%増)
営業利益270億ドル (同33%増、同0.4%増)
営業利益率43.6%(同4.9pt増、同▲4.0pt)
四半期純利益219億ドル(同33%増、同▲1.8%増)
希薄化後EPS2.93ドル   

 

「アジュール」の売上の伸びが過去四半期最大の伸びの30%となった事に牽引された好決算であった。売上高は前年同期比18%増の620億ドル、営業利益が同33%増の270億ドル、四半期純利益が同33%増の219億ドル、希薄化後EPSは2.93ドルであった。全セグメントで粗利益率が改善し、全体の粗利益率が同1.6pt上昇の68.4%となり、販管費の伸びを抑えた事等により営業利益率は同4.9pt上昇の43.6%となった。2Qにゲーム会社大手のアクティビジョン・ブリザードの買収が完了したが、More Personal Computing部門の売上の伸びに貢献した。

2Q2024中にマイクロソフトは自社株買いと配当で計84億ドルを株主に還元した。

Azureとその他クラウド・サービスの売上は217億ドルとなり総売上高の44%となった。引き続き法人向け需要が好調であった。Dynamics365( Azure 上で提供されているSaaS型のCRMパッケージ)が同27%増、Azureとその他クラウド・サービスが同30%増と高い伸びであった。Office365は同12%増であった。

セグメント別内訳

  • Productivity & Business Processes事業法人および個人顧客向けの”Office”、”Office 365”、”Dynamics”と”Dynamics CRM Online”等。
セグメント売上高192.5億ドル前年同期比13.2%増
セグメント利益102.8億ドル同25.7%増
セグメント利益率53.4%同5.3pt増

Office365とDynamics365の好調な伸びで粗利益は同14%伸びた。会計上の変更の影響を除き粗利率はProductivity & Business Processes事業全体で1pt改善した。営業費用は同▲5%となり、セグメント利益は25.7%の伸びを達成した。

 

  • Inteligent Cloud事業:”Windows Server” ”SQL Server””System Center” ”Azure””Enterprise Services”などのサーバ製品およびサービス等。
セグメント売上高258.8億ドル同20.3%増
セグメント利益124.6億ドル同40%増
セグメント利益率48.1%同6.7pt増

Azureと他のクラウド・サービスの高い伸びに牽引されて粗利益は同20%増加した。会計上の変更の影響を除き粗利率はAzure等の粗利益率改善により1pt上昇し、営業費用は同▲9%となり、セグメント利益は同40%増と大幅増益となった。

 

  • More Personal Computing事業:”Windows”OSのライセンス収入、”Surface”や等のデバイス類、”Xbox”などのゲーム製品、検索型広告等
セグメント売上高168.9億ドル同18.6%増
セグメント利益42.9億ドル同29.2%増
セグメント利益率25.4%同2.1pt増

セグメント売上高の前年同期比の伸び18.6%のうち15%はアクティビジョン・ブリザードの売上貢献によるものである。粗利益は同34%増、そのうち17%はアクティビジョン・ブリザードの貢献であり、残りはディバイスとセールス・ミックスの粗利率改善によるものである。営業費用は同38%増であったが、主にアクティビジョン・ブリザード関連であった。セグメント利益は同29.2%増となった。

3Q2024のガイダンス

為替の影響は全売上高、全事業別売上に1pt以下の影響と想定している。3Qの事業別の売上のガイダンスはProductivity & Business Processes事業の売上が193~196億ドル、Inteligent Cloud事業の売上が260~263億ドル、More Personal Computing事業の売上は147~151億ドルを予想をしている。

為替が現状のままと仮定して売上原価は買収した米ゲームソフトウェア会社Activisionの無形資産の減価償却費用7億ドルを含み186~188億ドル、営業費用はActivisionの統合費用、仕入れ会計の調整3億ドルを含み158~159億ドル、営業外損益は約6億ドルの営業外費用を想定している。また法人税率は約18%の予定である。

業績推移

Microsoft2Q233Q234Q231Q242Q24
(単位:百万USD)     
総売上高52,74752,85756,18956,51762,020
売上原価17,48816,12816,79516,30219,623
粗利益35,25936,72939,39440,21542,397
粗利益率66.80%69.50%70.10%71.20%68.36%
研究開発費6,8446,9846,7396,6597,142
営業、マーケティング費用5,6795,7506,2045,1876,246
一般管理費2,3371,6432,1971,4741,977
減損とリストラ費用00000
営業利益20,39922,35224,25426,89527,032
営業利益率38.70%42.30%43.20%47.60%43.59%
営業外利益(費用)ネット-60321473389-506
税引前利益20,33922,67324,72727,28426,526
法人税等3,9144,3744,6464,9934,656
普通株主に帰属する純利益16,42518,29920,08122,29121,870
完全希薄後EPS2.22.452.692.992.93
      
営業キャッシュフロー11,17324,44128,77030,58318,853
設備投資額6,2746,6078,9439,9179,735
フリーキャッシュフロー4,89917,83419,82720,6669,118

(注:マイクロソフト社決算資料に基づき株式会社pafin作成) 

業績予想コンセンサス(決算発表前時点)       

 1Q実績2Q実績3Q予想
売上高(百万USD)56,51762,02056,190
EPS   2.99  2.93  2.43

       (注:株式会社pafin調べ)

投資判断

Azureの売上の伸び率が過去最高を記録し、買収したアクティベーション・ブリザードからの貢献もあり、売上、利益ともに2桁増の好決算であった。AIがAzure等の売上を6pt押し上げ、Azureの顧客は5万3,000社となった。Azureに加え、Office365、Dynamics365等の法人需要は引き続き強いが、昨年9月よりWindows11に生成AIを使ったサポート機能を全面搭載しており個人向け需要の成長も期待される。

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