株価422.92USD(日中取引終値)
時価総額3.143兆USD(約479兆円)
自己資本比率52.4%
ROE 38.49%
ROIC 24.34%
PER(実績)36.98倍
PBR12.53倍
配当利回り0.70%
EV/EBITDA 24.82倍

                        *注:株価は2024/7/30時点。ROE、ROICは過去12か月の実績数値。

2024年4Q決算結果

売上高647億ドル(約9兆8,602億円、前年同期比15%増、3Q比4.6%増)
営業利益279億ドル (同15%増、同1.2%増)
営業利益率43.1%(同▲0.1pt、同▲1.5pt増)
四半期純利益220億ドル(同10%増、同0.4%増)
希薄化後EPS2.95ドル   

売上高と営業利益が四半期として最高を記録した決算であった。売上高は前年同期比15%増の647億ドル、営業利益は同15%増の279億ドル、営業利益率は同▲0.1ptの43.1%、四半期純利益は同10%増の220億ドル、希薄化後EPSは2.95ドルであった。クラウドコンピューティングのAzureの売上の伸びが3Qの31%増から4Qには29%増と鈍化した事が嫌気され時間外取引でマイクロソフトの株価は一時6%超下落したが、後に下落幅を縮小して引けた。

粗利益率は同▲0.1ptの70%となり、運営費用は同13%増の171億ドルとなり、13%の伸びのうち9%は買収したゲーム会社アクティビジョン・ブリザード関連の費用とクラウド・エンジニアリングへの設備投資によるものであった。営業外損益は▲6億7,500万ドルで支払利息と持分適用会社の損失を金利収入で一部相殺した。

4Qの設備投資(ファイナンス・リースで取得した資産を含む)は190億ドルで前年同期比77.6%増、3Q比35.7%増とクラウドとAI関連の投資を加速した。

3Q同様、4Q中にマイクロソフトは自社株買い28億ドルと配当56億ドルで計84億ドルを株主に還元した。

引き続き法人向け需要が好調であった。"Office Commercial and cloud services" (生産性向上アプリケーションとサービスのパッケージでOffice、Office365、Microsoft365、Dynamics365、Power Platform)は同12%増、"Dynamics products and cloud services" は同16%増であった。

セグメント別内訳

  • Productivity & Business Processes事業法人および個人顧客向けの”Office”、”Office 365”、”Dynamics”と”Dynamics CRM Online”等。
セグメント売上高203億ドル前年同期比11%増
セグメント利益101億ドル同12%増
セグメント利益率49.9%同0.4pt増

上述したように"Office Commercial and cloud services"と"Dynamics products and cloud services"の伸びに牽引されセグメント売上は前年同期比11%増の203億ドルとなった。粗利益は同9%上昇したが、粗利益率は若干低下した。会計方針の変更の影響を除くと粗利益率の若干の低下はOffice365でAIインフラを拡大した事による。運営費用はクラウド・エンジニアリング投資、Linkedin関連等により5%上昇したが、セグメント利益は同12%増加し101億ドルとなった。

 

  • Inteligent Cloud事業:”Windows Server” ”SQL Server””System Center” ”Azure””Enterprise Services”などのサーバ製品およびサービス等。
セグメント売上高285億ドル同19%増
セグメント利益129億ドル同22%増
セグメント利益率45%同1.1pt増

Azure他の伸びに牽引されてセグメント売上は前年同期比19%増の285億ドルとなった。粗利益は同16%増加したが、粗利益率は若干低下した。Azureの売上の伸びによる売上ミックスの変化とAIインフラの拡大により粗利益率は若干低下した。Azure関連の投資により運営費用は同5%増加したが、セグメント利益は同22%増加の129億ドルとなった。Azureの4Qの売上の伸びは29%と3Qの伸び31%より低下した。

 

  • More Personal Computing事業:”Windows”OSのライセンス収入、”Surface”や等のデバイス類、”Xbox”などのゲーム製品、検索型広告等
セグメント売上高158.9億ドル同14%増
セグメント利益49.2億ドル同5%増
セグメント利益率31%同▲2.6%

セグメント売上高は前年同期比14%増の158.9億ドルとなったが、このうち12%はアクティビジョン・ブリザードの売上貢献によるものである。粗利益は同21%増、そのうち10%はアクティビジョン・ブリザードの貢献であった。運営費用は同43%増であったが、このうち41%はアクティビジョン・ブリザード関連であった。セグメント利益は同5%増の49.2億ドルとなった。

1Q2025のガイダンス

1Q2025の事業別の売上のガイダンスはProductivity & Business Processes事業の売上が203~206億ドル、Inteligent Cloud事業の売上が286~289億ドル、More Personal Computing事業の売上は149~153億ドルを予想をしている。

為替が現状のままと仮定して売上原価は買収した米ゲームソフトウェア会社Activision関連の費用7億ドルを含み199.5~201.5億ドル、営業費用はActivisionの統合費用、仕入れ会計の調整2億ドルを含み152~153億ドル、営業外損益は持分法適用会社の損失等により▲6.5億ドルを想定している。また法人税率は約19%の予定である。

業績推移

Microsoft4Q231Q242Q243Q244Q24
(単位:百万USD)     
総売上高56,18956,51762,02061,85864,727
売上原価16,79516,30219,62318,50519,684
粗利益39,39440,21542,39743,35345,043
粗利益率70.10%71.20%68.36%70.08%69.58%
研究開発費6,7396,6597,1427,653 8,056
営業、マーケティング費用6,2045,1876,2466,207 6,816
一般管理費2,1971,4741,9771,912 2,246
減損とリストラ費用0000       0
営業利益24,25426,89527,03227,58127,925
営業利益率43.20%47.60%43.59%44.59%43.14%
営業外利益(費用)ネット473389-506-854  -675
税引前利益24,72727,28426,52626,72727,250
法人税等4,6464,9934,6564,788 5,214
普通株主に帰属する純利益20,08122,29121,87021,93922,036
完全希薄後EPS2.692.992.932.94   2.95

(注:マイクロソフト社決算資料に基づき株式会社pafin作成) 

業績予想コンセンサス(決算発表前時点)       

 3Q実績4Q実績1Q予想
売上高(百万USD)61,85864,72765,240
EPS  2.94 2.95  3.17

       (注:株式会社pafin調べ)

投資判断

売上、営業利益は過去最高となったが、Azureの売上の伸びが3Qの31%増から4Qに29%増と鈍化した。またAIインフラ関連の設備投資を加速しており前年同期比77.6%増、3Q比35.7%増の190億ドルとなったが、市場の関心はAI関連の巨額の設備投資に見合うだけのリターンがあるのか懐疑的になってきたような印象がある。しかし、予想PER31倍であれば割高感はない。

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