株価432.53USD(日中取引終値)
時価総額3.216兆USD(約492兆円)
自己資本比率55.0%
ROE 37.13%
ROIC 22.98%
PER(実績)36.61倍
PBR11.96倍
配当利回り0.77%
EV/EBITDA 24.08倍

                        *注:株価は2024/10/30時点。ROE、ROICは過去12か月の実績数値。

2025年1Q決算結果

売上高656億ドル(約10兆368億円、前年同期比16%増、4Q24比1.4%増)
営業利益306億ドル (同14%増、同9.7%増)
営業利益率46.6%(同▲1pt、同3.5pt増)
四半期純利益247億ドル(同11%増、同12%増)
希薄化後EPS3.3ドル   

売上高と営業利益が四半期として最高を記録した決算であった。売上高は前年同期比16%増の656億ドル、営業利益は同14%増の306億ドル、営業利益率は同▲1ptの46.6%、四半期純利益は同11%増の247億ドル、希薄化後EPSは3.3ドルであった。クラウドコンピューティングのAzureの売上の伸びが3Q24の31%増、4Q24の29%増から1Q25に22%増と鈍化した事が嫌気され時間外取引でマイクロソフトの株価は4%近く下落した。

粗利益率は同▲1.8ptの69.4%となり、運営費用は同12%増の149億ドルとなり、12%の伸びのうち9%は買収したゲーム会社アクティビジョン・ブリザード関連の費用とクラウド・エンジニアリングへの設備投資によるものであった。営業外損益は▲2億8,300万ドルで支払利息と持分適用会社の損失を金利収入で一部相殺した。

1Qの設備投資(ファイナンス・リースで取得した資産を含む)は200億ドルで前年同期比78.6%増、4Q24比%5.3%増とクラウドとAI関連の投資を加速した。

1Q中にマイクロソフトは自社株買い28億ドルと配当62億ドルで計90億ドルを株主に還元した。

引き続き法人向け需要とクラウドが好調であった。"Office Commercial and cloud services" (生産性向上アプリケーションとサービスのパッケージでOffice、Office365、Microsoft365、Dynamics365、Power Platform)は同13%増、"Dynamics products and cloud services" は同14%増であった。Azureを含むIntelligent Cloudは同20%増であった。

セグメント別内訳

  • Productivity & Business Processes事業法人および個人顧客向けの”Office”、”Office 365”、”Dynamics”と”Dynamics CRM Online”等。
セグメント売上高283.2億ドル前年同期比12%増
セグメント利益165.2億ドル同16%増
セグメント利益率58.3%同1.6pt増

上述したように"Office Commercial and cloud services"と"Dynamics products and cloud services"の伸びに牽引されセグメント売上は前年同期比12%増の283.2億ドルとなった。粗利益は同11%増であったが、AIインフラの拡大により粗利益率は若干低下した。運営費用は同2%増加し118億ドル、セグメント利益は同16%増の165.2億ドルとなった。

 

  • Inteligent Cloud事業:”Windows Server” ”SQL Server””System Center” ”Azure””Enterprise Services”などのサーバ製品およびサービス等。
セグメント売上高241億ドル同20%増
セグメント利益105億ドル同18%増
セグメント利益率43.6%同▲0.9pt

Azure他の伸びに牽引されてセグメント売上は前年同期比20%増の241億ドルとなった。粗利益は同15%増加したが、粗利益率は若干低下した。Azureの売上の伸びによる売上ミックスの変化とAIインフラの拡大により粗利益率は若干低下した。Azure関連の投資により運営費用は同8%増加したが、セグメント利益は同18%増加の105億ドルとなった。Azureの1Qの売上の伸びは同22%と3Q24の31%増、4Q24の29%増より鈍化した。

 

  • More Personal Computing事業:”Windows”OSのライセンス収入、”Surface”や等のデバイス類、”Xbox”などのゲーム製品、検索型広告等
セグメント売上高132億ドル同17%増
セグメント利益35.3億ドル同▲4%
セグメント利益率26.8%同▲5.9%

セグメント売上高は前年同期比17%増の132億ドルとなったが、このうち15%はアクティビジョン・ブリザードの売上貢献によるものである。粗利益は同16%増、そのうち12%はアクティビジョン・ブリザードの貢献であった。運営費用は同49%増であったが、殆どがアクティビジョン・ブリザード関連であった。セグメント利益は同▲4%の35.3億ドルとなった。

2Q2025のガイダンス

2Q2025の事業別の売上のガイダンスはProductivity & Business Processes事業の売上が287~290億ドル、Inteligent Cloud事業の売上が255.5~258.5億ドル、More Personal Computing事業の売上は138.5~142.5億ドルを予想をしている。

為替が現状のままと仮定して売上原価は買収した米ゲームソフトウェア会社Activision関連の費用を含み219~221億ドル、営業費用は164~165億ドル、営業外損益はOpenAIの損失等により▲15億ドルを想定している。また法人税率は約19%の予定である。

業績推移

Microsoft1Q242Q243Q244Q241Q25
(単位:百万USD)     
総売上高56,51762,02061,85864,72765,585
売上原価16,30219,62318,50519,68420,099
粗利益40,21542,39743,35345,04345,486
粗利益率71.20%68.36%70.08%69.58%69.35%
研究開発費6,6597,1427,653 8,0567,544
営業、マーケティング費用5,1876,2466,207 6,8165,717
一般管理費1,4741,9771,912 2,2461,673
営業利益26,89527,03227,58127,92530,552
営業利益率47.60%43.59%44.59%43.14%46.58%
営業外利益(費用)ネット389-506-854  -675-283
税引前利益27,28426,52626,72727,25030,269
法人税等4,9934,6564,788 5,2145,602
普通株主に帰属する純利益22,29121,87021,93922,03624,667
完全希薄後EPS2.992.932.94   2.953.30

(注:マイクロソフト社決算資料に基づき株式会社pafin作成) 

業績予想コンセンサス(決算発表前時点)       

 3Q実績4Q実績1Q実績2Q予想
売上高(百万USD)61,85864,72765,58569,830
EPS  2.94 2.95  3.303.22

       (注:株式会社pafin調べ)

投資判断

売上、営業利益は過去最高を更新したが、Azureの売上の伸びが鈍化しているのが気になる。クラウド市場のマーケットシェアはAWSが32%でトップを維持し、Azureが23%、Google Cloudが12%と推測されるが、昨日のアルファベットの決算によると一番後発のGoogle Cloudの売上は前年同期比35%増と高い伸びを達成しており、Azureは売上がGoogle Cloudの倍はある為に、どうしても鈍化しているような印象を与えてしまうようである。

サムネイル画像クレジット:AM NIKOM/Shutterstock.com