株価492.19USD(日中取引終値)
時価総額2,154億USD(約31.8兆円)
自己資本比率42.2%
ROE 21.23%
ROIC N/A
PER(実績)48.47倍
PBR9.62倍
配当利回りN/A
EV/EBITDA 10.66倍

*株価は2024/1/23時点。過去12カ月のEPS実績値を使ってのPER。 

2023年4Q決算結果

売上高88億3,300万ドル(約1兆3,099億円、前年同期比12.5%増、3Q比3.4%増)
営業利益14億9,600万ドル(同172%増、同▲21.9%)
営業利益率16.9%(同9.9pt増、同▲5.5pt)
四半期純利益9億3,800万ドル(同17倍、同▲44%)
希薄化後EPS2.11ドル
会員数 2億6,028万人(前年同期比12.8%増、3Q比5.3%増)

4Qのネットフリックスの決算は売上は市場予想を上回り、EPSは市場予想を下回ったものの、4Qの会員数が市場予想を大幅に上回る1,312万人増加し、過去最高の会員数2億6,028万人を達成した。時間外取引で株価は8%以上上昇した。

売上高は前年同期比12.5%増、3Q比3.4%増の88億3,300万ドル、営業利益は同172%増、同▲21.9%の14億9,600万ドル、営業利益率は同9.9pt増、3Q比▲5.5ptの16.9%、四半期純利益は同17倍増、同▲44%増の9億3,800万ドル、希薄化後EPSは2.11ドルであった。4Qは通常製作費が嵩むために営業利益及び四半期純利益は3Q比減少する。

4Qの広告付き低額プランの加入者数は3Q比約70%増と新規加入者獲得に大きく貢献した。

4Qの地域別内訳は以下の通りである。

アメリカ・カナダでは売上は前年同期比9.3%増の39億3,100万ドル、会員数は同7.8%増の8,013万人、会員一人当たり平均売上額(ARM)は同3.1%増の16.64ドルであった。

ヨーロッパ・中東・アフリカでは売上は同18.5%増の27億8,400万ドル、会員数は同15.7%増の8,881万人、ARMは同3.1%増の10.75ドルであった。

ラテンアメリカでは売上は同13.7%増の11億5,600万ドル、会員数は同10.3%増の4,600万人、ARMは同3.6%増の8.6ドルであった。

アジア・太平洋では売上は同12.4%増の9億6,300万ドル、会員数は同19.3%増の4,534万人、ARMは同▲4.9%の7.31ドルであった。アジア・太平洋地域に関しては広告付き低額プランの他にインド市場をターゲットに戦略的に低価格に設定しているという事情がある。

キャッシュフロー、資本構成

4Q中に550万株、25億ドル相当の自社株買いを行い、自社株買いプログラムの残高は84億ドルである。

4Qの営業キャッシュフローは前年同期比4.25倍、3Q比▲16.5%の16億6,300万ドルとなった。フリーキャッシュフローは同4.8倍増、同▲16.3%の15億8,100万ドルとなった。2023年通期の営業キャッシュフローは前年比3.7倍増の73億ドル、フリーキャッシュフローは同4.3倍増の69億ドルとなった。これにはハリウッドのWGA、SAG-AFTRAのストライキにより遅延した支払い10億ドルも含まれる。2024年のフリーキャッシュフロー予想は60億ドル、コンテンツ投資は170億ドルを予定している。2024年1Q中に4億ドルの優先債の償還があるが、手元流動性で賄う予定である。

4Q末時点でのグロス有利子負債は145億ドルで、このうちの4億ドルは前述したように1Qに償還する。有利子負債のレベルは会社予想の100億~150億ドルのレンジ内に抑えてでいる。現預金と短期投資の合計は71億ドルで、ネットデット(純有利子負債)は4Q末時点で74億ドルであった。

1Q2024ガイダンス

1Q2024のガイダンスは売上が前年同期比13.2%増の92億4,000億ドル、このうち為替によるインパクトは▲3%、営業利益は同26.2%増の24億2,000万ドル、四半期純利益が同51.4%増の19億7,600万ドル、希薄化後EPSは4.49ドルと発表した。

業績推移

Netflix4Q221Q232Q233Q234Q23
(単位:百万USD、EPSを除く)     
      
売上高7,8528,1628,1878,5428,832
売上原価5,4044,8044,6734,9305,307
マーケティング費用832555627558917
テクノロジー開発費用674687658657673
一般管理費392401401479439
営業利益5501,7141,8271,9161,496
営業利益率7.0%21.0%22.3%22.4%16.9%
営業外収益(費用)     
 支払利息(171)(174)(175)(175)(175)
 受取利息、その他収益(340)(71)27 168 (173)
税引前利益391,4691,6791,9091,148
法人税等16 (164)(192)(232)(210)
普通株主に帰属する純利益551,3051,4881,677938
完全希薄後株式数452452452450444
完全希薄後EPS0.122.883.293.732.11
      
営業キャシュフロー4442,1791,4401,9921,663
フリーキャッシュフロー3322,1171,3391,8881,581

(注:Netflix社決算資料に基づき株式会社pafin作成)

業績予想コンセンサス(決算発表前時点)

 1Q実績2Q実績3Q実績4Q実績1Q予想
売上高(百万USD)8,1628,1878,542   8,832  9,300
EPS    2.88     3.29      3.73    2.11   4.11

(注:株式会社pafin調べ)

投資判断

広告付き低額プランにより新たな顧客を獲得し、会員数が大きく伸びホリデーシーズンの会員数は過去最高の2億6,028万人を達成した。会員数増に加えARMも戦略的低価格プランを提供しているインド以外の全地域で伸びている。2022年の業績低迷から完全に回復したと言えるだろう。コンテンツのグローバル化で各地域に人気の番組を提供し、着実にストリーミング市場でシェアを拡大している。一時ディズニーに追い上げられていたが、2023年はネットフリックスがまた盛り返しており、安定的な成長を継続するのではと考えている。

サムネイル画像クレジット:wutzkohphoto/Shutterstock.com