エヌビディアの2025年2Q決算発表を昨日終えて、昨日リリースした決算ハイライトの投資判断で「10-Qの開示によると地域別売上でアメリカの1Qの売上が134.96億ドルだったが2Qに130.22億ドルと3.5%減少した事はリスクであると考えている。一時的なものかどうか顧客企業の設備投資動向が気になるがエヌビディア株に関しては慎重になった方が良いと考えている。」と書いたが、誤解を招く表現だったかもしれない。

昨日決算ハイライトを書いた時点で、10-Q(四半期報告書)で開示されていた地域別売上情報によると2Qのアメリカでの売上が1Q比3.5%減少した事が2Q決算での唯一のネガティブ情報であった。7月からのAI関連銘柄は利益低下懸念から冴えない展開が続いており、このようなネガティブ情報に市場は大きく反応する状況のためにリスクであると表現した。アメリカでの売上の減少が継続するものかどうかは昨日時点では勿論不明であった訳で、そのように結論づけるつもりもなかったが、エヌビディアに関してネガティブな見方に変わった訳では決してない。

昨日の決算発表後の時間外取引で約7%急落、また日付が変わり現地時間8/29の日中取引でもエヌビディア株は6%以上下落をした。二日連続の下落の要因は①3Qの売上成長の鈍化懸念、②次世代チップのBlackwellの歩留まりが悪く、製造工程に変更を加えているとearnings call上で述べられた事であった。

①まず、3Qのガイダンスは売上高は325億ドル±2%。粗利率はGAAPベース、Non-GAAPベースで74.4%と75.0%の間で±0.5ptである。売上を325億ドルとしたら前年同期比で79%増という事になる。2Qの売上成長率は前年同期比122%増だったので、成長率の鈍化と解釈されたようだ。売上規模が大きくなるにつれて成長率が低下するのは避けられない事であり、それを成長率の鈍化と解釈されたのはやはり市場の期待値が高過ぎたと思われる。また、粗利率についてはガイダンスの数字の中をとり74.7%としても2Qの粗利率75.1%(GAAPベース)、75.7%(Non-GAAPベース)から大幅に低下とは言えない。特にBlackwellの製造工程の改善に取り組んでいる最中なのでその分コスト増になり、2Qに比べて低下するのは避けられない事である。

②Blackwellの歩留まりが悪く、製造工程に変更を加えている事に関してであるが、エヌビディアの現在の主力製品はHopperであり、Hopperベースの新製品は3Q、4Qもローンチ予定があり、上半期のHopperベースの売上よりも伸びる予測であるとの見解を昨日のearnings callで述べられていた。Blackwellは次世代製品であり、4Qより売上が数十億ドル発生する予定であるとの事である。また、エヌビディアは依然として供給不足の問題があり、需要に追い付けていない状況でサプライ・チェーンの改善に取り組んでいるものの供給不足はしばらく継続する可能性がある。つまり供給を遥かに上回る需要がある状況は続いており、3QのガイダンスとBlackwellの歩留まり改善の問題を成長鈍化と結びつけるのは無理があり、エヌビディアの成長はまだ継続すると考えている。

ただ、市場が過剰な期待をエヌビディアに対して持っていた事により少しでもネガティブに思える情報に対して大きく反応してしまう状況である事は心に留めていた方が良いかもしれない。

 

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