株価* | 180.59USD(日中取引終値) |
時価総額 | 5,723億USD(約76兆6,882億円) |
自己資本比率 | 55.9% |
ROE* | 32.5% |
ROIC* | 29.39% |
PER(実績) | 51.6倍 |
PBR | 13.2倍 |
配当利回り | N/A |
EV/EBITDA | 32.6倍 |
*株価は2023/4/19時点。ROE、ROICは過去12カ月の実績数値。
2023年1Q決算結果
売上高 | 233.3億ドル(約3兆2,262億円、前年同期比24.4%増、4Q22比▲4.1%) |
営業利益 | 26.6億ドル (同▲26.1%、同▲31.7%) |
営業利益率 | 11.4% (同▲7.8pt、同▲4.6pt) |
四半期純利益 | GAAP 25.1億ドル(同▲24%、同▲31.8%) |
non-GAAP 29.3億ドル(同▲22%、同▲28.6%) | |
希薄化後EPS | GAAP 0.73ドル |
non-GAAP 0.85ドル | |
生産台数 | 479,700台(前年同期比85.5%、1Q比8.8%増) |
販売台数 | 466,140台(同83%増、同10.2%増) |
過去最高の業績を達成した4Q2022の後、1Q2023のテスラは増収減益決算となった。売上高は前年同期比24.4%増の233.3億ドル、営業利益は同26.1%減の26.6億ドル、四半期純利益(GAAP)は同24%減の25.1億ドルとなった。決算発表の後時間外取引で株価は6%下落して引けた。BYDとの競争激化によりテスラは今年に入り6回の値下げを行い利益率は大幅に下落した。粗利率は同▲9.8ptの19.3%、営業利益率は同▲7.8ptの11.4%となった。値下げの他に原材料価格、ロジスティクス費用、保証費用の上昇や新しいギガファクトリーの稼働率の低さ等が営業利益率低下の要因であった。
1Qの生産台数は前年同期比44.3%増、4Q22比0.3%増の440,808台であった。販売台数は前年同期比36.4%増、4Q22比4.3%増の422,875台であった。「モデルS/X」「モデル3/Y」の出荷台数内訳は「モデルS/X」が10,695台、「モデル3/Y」が412,180台と量販車がけん引した。
テスラはカリフォルニア州フリーモント、中国上海、テキサス州オースティン、ドイツのベルリンが主力のギガファクトリーであるが、全工場において過去最高の生産台数を記録した。カリフォルニアのギガファクトリーは「モデルS/X」の生産能力は10万台、「モデル3/Y」の生産能力は55万台である。上海のギガファクトリーは「モデル3/Y」を生産している。上海の生産能力は75万台と最大であり、テスラの輸出拠点であるが、過去数カ月間ほぼフル稼働であった。ベルリンのギガファクトリーは「モデルY」を生産しており、生産能力は35万台、テキサス州オースティンのギガファクトリーは「モデルY」を生産しており生産能力は25万台である。今年の生産台数は180万台を目標としている。
蓄電池事業の1Qの配備量は前年同期比360%と大幅に増加し、3.9GWhと過去最高を記録した。太陽光発電事業の1Qの設置量は同40%増の67MWとなった。太陽光発電及び蓄電事業の1Qのセグメント売上高は同148.2%増の15億2,900万ドル、売上原価は同97.8%増の13億6,100万ドルとなり粗利益は1億6,800万ドル、粗利益率は11.0%となった。粗利益率は4Q22比1.1pt低下した。サービス、その他の売上は同43.6%増の18億3,700万ドルと過去最高を達成した。特に中古車の販売が好調であった。売上原価は同32.3%の17億200万ドルとなり粗利益は1億3,500万ドル、粗利益率は7.3%となった。
1Qのフリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローマイナス設備投資)は前年同期比▲80%と大幅減の4億4,100万ドルとなった。現預金及び短期有価証券の1Q末時点の残高は同24.4%増の224億200万ドルとなった。1Q末時点の総負債額(車両とエネルギーのプロダクト・ファイナンスを除く)は同100%減の4,400万ドルまで低下した。4Q末の負債資本倍率は0.00092倍と限りなくゼロに近くなった。
業績推移
Tesla | Q1-2022 | Q2-2022 | Q3-2022 | Q4-2022 | Q1-2023 |
(単位:百万 USD) | |||||
自動車事業売上 | 16,861 | 14,602 | 18,692 | 21,307 | 19,963 |
うち排出権クレジット売上 | 679 | 344 | 286 | 467 | 521 |
発電、畜電事業売上 | 616 | 866 | 1,117 | 1,310 | 1,529 |
サービス、その他売上 | 1,279 | 1,466 | 1,645 | 1,701 | 1,837 |
総売上高 | 18,756 | 16,934 | 21,454 | 24,318 | 23,329 |
総売上原価 | 13,296 | 12,700 | 16,072 | 18,541 | 18,818 |
自動車事業売上原価 | 11,322 | 10,521 | 13,480 | 15,785 | 15,755 |
発電、蓄電事業売上原価 | 688 | 769 | 1,013 | 1,151 | 1,361 |
サービス、その他売上原価 | 1,286 | 1,410 | 1,579 | 1,605 | 1,702 |
総粗利益 | 5,460 | 4,234 | 5,382 | 5,777 | 4,511 |
自動車事業粗利益 | 5,539 | 4,081 | 5,212 | 5,522 | 4,208 |
自動車事業粗利益率 | 32.9% | 27.9% | 27.9% | 25.9% | 21.1% |
発電、蓄電事業粗利益 | ▲72 | 97 | 104 | 159 | 168 |
サービス、その他粗利益 | ▲7 | 56 | 66 | 96 | 135 |
粗利益率 | 29.1% | 25.0% | 25.1% | 23.8% | 19.3% |
営業費用 | 1,857 | 1,770 | 1,694 | 1,876 | 1,847 |
営業費用比率 | 9.9% | 10.5% | 7.9% | 7.7% | 7.9% |
営業利益 | 3,603 | 2,464 | 3,688 | 3,901 | 2,664 |
営業利益率 | 19.2% | 14.6% | 17.2% | 16.0% | 11.4% |
受取利息 | 28 | 26 | 86 | 157 | 213 |
支払利息 | (61) | (44) | (53) | (33) | (29) |
営業外収益 | 56 | 28 | (85) | (42) | (48) |
税引前利益 | 3,626 | 2,474 | 3,636 | 3,983 | 2,800 |
法人税等 | 346 | 205 | 305 | 276 | 261 |
純利益 | 3,280 | 2,269 | 3,331 | 3,707 | 2,539 |
非支配株主に帰属する純利益 | ▲38 | 10 | 39 | 20 | 26 |
親会社株主に帰属する純利益 | 3,318 | 2,259 | 3,292 | 3,687 | 2,513 |
完全希薄後株式数 | 1,157 | 1,155 | 3,468 | 3,471 | 3,468 |
完全希薄後EPS | 2.86 | 1.95 | 0.95 | 1.07 | 0.73 |
修正EBITDA* | 5,023 | 3,791 | 4,968 | 5,309 | 4,267 |
修正EBITDAマージン | 26.8% | 22.4% | 23.2% | 21.8% | 18.3% |
*修正EBITDA=税引前利益+減価償却費用、のれん代償却費用+株式型報酬 | |||||
営業キャッシュフロー | 3,995 | 2,351 | 5,100 | 3,278 | 2,513 |
設備投資額 | 1,767 | 1,730 | 1,803 | 1,858 | 2,072 |
フリーキャッシュフロー | 2,228 | 621 | 3,297 | 1,420 | 441 |
現金および現金同等物 | 17,576 | 18,915 | 21,107 | 22,185 | 22,402 |
(注:テスラ社決算資料に基づき株式会社pafin作成)
業績予想コンセンサス
1Q(実績) | 2Q(予想) | 3Q(予想) | 4Q(予想) | |
売上高(百万USD) | 23,329 | 22,522 | 27,890 | 31,857 |
営業利益 | 2,664 | 2,703 | 3,347 | 4,460 |
税引前利益 | 2,800 | 2,718 | 3,407 | 4,481 |
法人税等 | 261 | 326 | 443 | 538 |
純利益(親会社株主帰属) | 2,513 | 2,392 | 2,964 | 3,943 |
完全希薄後株式数 | 0.73 | 3,375 | 3,300 | 3,250 |
完全希薄化後EPS | 0.73ドル | 0.73ドル | 0.9ドル | 1.21ドル |
(注:テスラ社決算資料に基づき株式会社pafin作成)
投資判断
やはり中国市場ではBYDが猛追しており、テスラは値下げせざるを得ない状況にあるようである。中国市場のみならず米国では今年に入り6回の値下げを実施した。また欧州、中東等でも値下げをしている。純粋にEVのみではテスラはまだ首位を保っているが、マーケット・リーダーであり続けるために値下げを継続し、その分台数を追及する戦略である。earnings callではマスクCEOは受注が生産を超えているとコメントしたが、受注残の開示をしていないために確認はできない。しかし、グローバルベースでテスラの受注残は昨年から下落傾向にあると推定している情報もあり成長が鈍化したのかの見極めが必要である。
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