株価*291.26SD(日中取引終値)
時価総額9,325億USD(約130兆円)
自己資本比率56.4%
ROE*27.99%
ROIC*N/A
PER(実績)85.66倍
PBR19.35倍
配当利回りN/A
EV/EBITDA53.81倍

*株価は2023/7/19時点。ROE、ROICは過去12カ月の実績数値。

2023年2Q決算結果

売上高249億ドル(約3兆4,760億円、前年同期比47%増、1Q比6.8%増)
営業利益24億ドル (同▲2.6%、同▲9.9%)
営業利益率9.6% (同▲5.0ppt、同▲1.8ppt)
四半期純利益GAAP 27億ドル(同19.7%増、同▲7.6%増)
non-GAAP 31億ドル(同20%増、同7.4%増)
希薄化後EPS GAAP 0.78ドル
non-GAAP 0.91ドル
生産台数479,700台(前年同期比85.5%、1Q比8.8%増)
販売台数466,140台(同83%増、同10.2%増)

増収増益の好決算であった。自動車事業以外にエネルギー、サービス等も好調であった。売上高は前年同期比47%増の249億ドル、営業利益は同2.6%減の24億ドル、四半期純利益(GAAP)は同19.7%1増の27億ドルとなった。決算発表の後時間外取引で株価は4%下落して引けた。BYDとの競争激化は続いており、2Q中の四月に値下げを行い利益率は大幅に低下した。粗利率は同▲6.8pptの18.2%、営業利益率は同▲5.0pptの9.6%となった。値下げの他に自社開発の電池製造費用の増加、サイバートラック製造、AI関連のプロジェクトによる営業コストの増加、ドル高等が営業利益率低下の要因であった。

2Qの生産台数は前年同期比85.5%と大幅増、1Q比8.8%増の479,700台であった。販売台数は前年同期比83%増、1Q比10.2%増の466,140台であった。「モデルS/X」「モデル3/Y」の出荷台数内訳は「モデルS/X」が19,489台、「モデル3/Y」が460,211台と量販車がけん引した。

テスラはカリフォルニア州フリーモント、中国上海、テキサス州オースティン、ドイツのベルリンが主力のギガファクトリーであるが、全工場において過去最高の生産台数を記録した。カリフォルニアのギガファクトリーは「モデルS/X」の生産能力は10万台、「モデル3/Y」の生産能力は55万台である。上海のギガファクトリーは「モデル3/Y」を生産している。上海の生産能力は75万台と最大であり、テスラの輸出拠点であるが、過去数カ月間ほぼフル稼働であった。ベルリンのギガファクトリーは「モデルY」を生産しており、生産能力は37万5,000台、テキサス州オースティンのギガファクトリーは「モデルY」を生産、サイバートラックの部品装備をしており「モデルY」の生産能力は25万台である。今年の生産台数は180万台を目標としている。

蓄電池事業の2Qの配備量は前年同期比222%と大幅に増加し、3.7GWhとなった。蓄電池事業の配備量の大幅増加はカリフォルニア州ラスロップに蓄電池専用の工場を新設した事による。太陽光発電事業の2Qの設置量は前年同期比38%減、1Q比微減の66MWとなった。太陽光発電及び蓄電事業の2Qのセグメント売上高は前年同期比74%増の15億900万ドル、売上原価は同60%増の12億3,100万ドルとなり粗利益は2億7,800万ドル、粗利益率は18.4%となった。粗利益率は1Q比7.4.ppt改善した。サービス、その他の売上は充電器売上の貢献が大きかった。フォード、GM、メルセデス、日産等が米国内でテスラ式充電器を採用した。サービス、その他の売上は前年同期比46.7%増の21億5,000万ドルと過去最高を達成した。売上原価は同40.7%増の19億8,400万ドルとなり粗利益は1億6,600万ドル、粗利益率は7.7%となった。

2Q0のフリーキャッシュフロー(営業キャッシュフロー-設備投資)は前年同期比61.8%増の10億500万ドルとなった。現預金及び短期有価証券の2Q末時点の残高は同22%増の230億7,500万ドルとなった。2Q末時点の総負債額(車両とエネルギーのプロダクト・ファイナンスを除く)は1Qからフラットの4,400万ドルであった。2Q末の負債資本倍率は0.000915倍と限りなく0の状況が続いている。

業績推移

TeslaQ2-2022Q3-2022Q4-2022Q1-2023Q2-2023
(単位:百万 USD)     
自動車事業売上14,60218,69221,30719,96320,419
 うち排出権クレジット売上344286467521282
発電、畜電事業売上8661,1171,3101,5291,509
サービス、その他売上1,4661,6451,7011,8372,150
総売上高16,93421,45424,31823,32924,927
総売上原価12,70016,07218,54118,81820,934
 自動車事業売上原価10,52113,48015,78515,75517,179
 発電、蓄電事業売上原価7691,0131,1511,3611,231
 サービス、その他売上原価1,4101,5791,6051,7021,984
総粗利益4,2345,3825,7774,5114,533
   自動車事業粗利益4,0815,2125,5224,2083,240
   自動車事業粗利益率27.9%27.9%25.9%21.1%15.9%
 発電、蓄電事業粗利益97104159168278
 サービス、その他粗利益566696135166
粗利益率25.0%25.1%23.8%19.3%18.2%
営業費用1,7701,6941,8761,8472,134
営業費用比率10.5%7.9%7.7%7.9%8.6%
営業利益2,4643,6883,9012,6642,399
営業利益率14.6%17.2%16.0%11.4%9.6%
受取利息2686157213238
支払利息(44)(53)(33)(29)(28)
営業外収益28 (85)(42)(48)328 
税引前利益2,4743,6363,9832,8002,937
法人税等205305276261323
純利益2,2693,3313,7072,5392,614
非支配株主に帰属する純利益10392026▲ 89
親会社株主に帰属する純利益2,2593,2923,6872,5132,703
完全希薄後株式数1,1553,4683,4713,4683,478
完全希薄後EPS1.950.951.070.730.78
      
修正EBITDA*3,7914,9685,3094,2674,536
修正EBITDAマージン22.4%23.2%21.8%18.3%18.2%
*修正EBITDA=税引前利益+減価償却費用、のれん代償却費用+株式型報酬
      
営業キャッシュフロー2,3515,1003,2782,5133,065
設備投資額1,7301,8031,8582,0722,060
フリーキャッシュフロー6213,2971,4204411,005
現金および現金同等物18,91521,10722,18522,40223,075

   (注:テスラ社決算資料に基づき株式会社pafin作成)

業績予想コンセンサス

 1Q(実績)2Q(実績)3Q(予想)通期
売上高(百万USD)23,32924,92725,360100,160
完全希薄化後EPS0.73ドル0.78ドル0.88ドル3.5ドル

           (注:株式会社pafin調べ)

投資判断

値下げ戦略が功を奏して生産台数、販売台数、売上は過去最高を記録した。Earnings call上でマスクCEOはModel Yはトヨタ・カローラ、ゴルフ等を追い越し世界一の販売台数となったとコメントし、EV市場のみならず自動車市場全体のマーケット・リーダーとなった。値下げにより利益率は大幅に低下しているものの、財務的にしっかりしておりリスクは限定されていると考えている。また、米国内で多くの自動車メーカーがテスラ式充電器を採用しており、デファクトスタンダードになりつつある事もポジティブである。

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