株価*207.83USD(日中取引終値)
時価総額6,607億USD(約97兆3,872円)
自己資本比率58.7%
ROE*22.46%
ROIC*18.17%
PER(実績)67.46倍
PBR12.43倍
配当利回りN/A
EV/EBITDA39.65倍

株価は2024/1/24時点。ROE、ROICは過去12カ月の実績数値。

2023年4Q決算結果

売上高251.6億ドル(約3.7兆円、前年同期比3.5%増、3Q比7.8%)
営業利益23.7億ドル (同▲47.1%、同17%増)
営業利益率8.2% (同▲7.8pt、同0.6pt増)
四半期純利益GAAP 79.3億ドル(同115%増、同4.3倍増)
Non-GAAP 24.9億ドル(同▲39.5%、同7.2%増)
希薄化後EPS GAAP 2.27ドル
Non-GAAP 0.71ドル
生産台数494,989台(前年同期比12.6%増、3Q比15%増)
販売台数484,507台(同19.5%増、同11.4%増)

4Qは増収減益決算となった。売上高は前年同期比3.5%増の251.6億ドルと過去最高を記録、営業利益は同▲47.1%の23.7億ドル、四半期純利益(Non-GAAP)は同▲39.5%の24.9億ドルとなった。売上、EPSともに市場予想を下回った。また、2024年は次世代車の開発に取り組むために生産台数は2023年より著しく低下すると決算資料の中で記述した。これを受けて決算発表の後時間外取引で株価は6%近く下落して引けた。

4Qは過去最高売上を達成したが、4QにはEV販売台数世界一の座をBYDに明け渡した。テスラの4Qの販売台数は484,507台だったが、BYDの同期の販売台数は526,409台であった。

テスラは引き続き値下げ戦略を取り、その結果粗利益率は前年同期比▲6.2pt、3Q比▲0.3ptの17.6%となった。粗利の低下に加え、AI関連投資等の研究開発費用負担、サイバートラック開発費用等により営業利益率は前年同期比▲7.8pt、3Q比0.6pt増の8.2%となった。

4Qの生産台数は前年同期比12.6%増、3Q比15%増の494,989台であった。販売台数は前年同期比19.5%増、3Q比15%増の484,507台であった。「モデル3/Y」、「モデルS/X」等のその他モデルの出荷台数内訳は「モデル3/Y」が461,538台、その他モデルは22,969台と量販車がけん引した。

テスラはカリフォルニア州フリーモント、中国上海、テキサス州オースティン、ドイツのベルリンが主力のギガファクトリーであるが、3Qの計画的な稼働停止の後4Qにはグローバルで生産能力が200万台近くとなった。カリフォルニアのギガファクトリーは「モデルS/X」の生産能力は10万台、「モデル3/Y」の生産能力は55万台である。上海のギガファクトリーは「モデル3/Y」を生産しており、生産能力は95万台である。上海はテスラの輸出拠点であるが、ほぼフル稼働であった。ベルリンのギガファクトリーは「モデルY」を生産しており、生産能力は37万5,000台、テキサス州オースティンのギガファクトリーは「モデルY」を生産しており生産能力は25万台、またサイバートラックの生産能力は12万5,000台であるが、4Qにサイバートラックは受注を開始した。

蓄電池事業の4Qの配備量は3Qに過去最高を記録した後低下し、前年同期比30%増、3Q比▲19.5%の3.2GWhとなった。一方、太陽光発電事業の4Qの設置量は前年同期比▲59%、3Q比▲16.3%の41MWとなった。太陽光発電及び蓄電事業の4Qのセグメント売上高は前年同期比9.8%増、3Q比同▲7.8%増の14億3,800万ドル、売上原価は前年同期比▲2.3%、3Q比▲4.6%の11億2,400万ドルとなり粗利益は3億1,400万ドル、粗利益率は21.8%となった。粗利益率は前年同期比9.7pt上昇、3Q比▲2.6ptであった。サービス、その他の売上は前年同期比27.3%増、3Q比フラットの21億6,600万ドルと過去最高を維持した。その他サービスの主力はスーパーチャージャー・ステーション(急速充電できるステーション)である。売上原価は前年同期比31.3%増、3Q比3.4%増の21億700万ドルとなり粗利益は5,900万ドル、粗利益率は2.72%となった。粗利益率は前年同期比▲2.88pt、3Q比▲3.23ptであった。

4Qのフリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローマイナス設備投資)は前年同期比45.4%増、3Q比143.4%増の20億6,400万ドルとなった。営業キャッシュフローは前年同期比33.3%増、3Q比32.1%増の43億7,000万ドルであった。設備投資は前年同期比24.1%増、3Q比▲6.3%の23億600万ドルであった。現預金及び短期有価証券の4Q末時点の残高は前年同期比31.1%増、3Q比11.6%増の290億9,400万ドルとなった。4Q末時点の総負債額(車両とエネルギーのプロダクト・ファイナンスを除く)は3Q比変わらず4,400万ドルであった。4Q末の負債資本倍率は0.08%であった。

業績推移

Tesla4Q221Q232Q233Q234Q23
(単位:百万 USD)     
      
自動車事業売上(排出権クレジットを含む)21,30719,96320,41918,58221,563
発電、畜電事業売上1,3101,5291,5091,559 1,438
サービス、その他売上1,7011,8372,1502,166 2,166
総売上高24,31823,32924,92723,35025,167
総粗利益5,7774,5114,5334,178 4,438
粗利益率23.8%19.3%18.2%17.9% 17.6%
総営業費用(R&D、販管費等)1,8761,8472,1342,4142,374
営業利益3,9012,6642,3991,7642,064
営業利益率16.0%11.4%9.6%7.6% 8.2%
親会社株主に帰属する純利益(Non-GAAP)4,1062,9313,1482,3182,485
完全希薄化後EPS(Non-GAAP)1.190.850.910.66 0.71
      
営業キャッシュフロー3,2782,5133,0653,3084,370
設備投資額1,8582,0722,0602,4602,306
フリーキャッシュフロー1,4204411,0058482,064
現金および現金同等物22,18522,40223,07526,07729,094

(注:テスラ社決算資料に基づき株式会社pafin作成)

業績予想コンセンサス(決算発表前時点)

 1Q(実績)2Q(実績)3Q(実績)4Q(実績)1Q(予想)
売上高(百万USD)23,32924,92723,35025,16726,330
EPS(Non-GAAP)0.850.910.660.710.77

(注:株式会社pafin調べ)

投資判断

BYDとの熾烈な競争は直近ではBYDに軍配が上がったようだ。テスラはBEV(バッテリー車)しか製造しておらず、消費者はハイブリッド車を求めており、BYDは中国でPHEV(プラグイン・ハイブリッド車)の売上を伸ばし、2023年4QはBYDがテスラの販売台数を抜きEVメーカーとして世界一となった。米国でもBEV人気は鈍化しており、トヨタがハイブリッド車で売上を伸ばしている。BYDとの競争からこれからも価格競争は継続し、利益率は更に低下していくと考えられる。今のところはフリーキャッシュフローもプラスであり、負債資本倍率も0.08%と財務リスクは低いが、今年のテスラの業績、株価パフォーマンスは厳しいものになると思われる。

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