今年の最後の米国雇用統計、消費者物価指数、FOMC決定会合が終わり、相場は年末の冬眠期間に入った。2021年の初めからS&P500を皮切りに、世界の主なリスク資産はこの三つのイベントを境に方向性が定まり、投資家の運命が頻繁に左右されてきた。この記事を読んでいる皆さんは2023年に関心を移し、十数年ぶりとなった大きなベア相場は来年に終息するのか、まだまだ続くのかを知りたいところだろう。
皆さんに来年への希望を是非お伝えしたいが、残念ながら現段階では希望の量に限りがある…。結論を先に言うと、2022年同様、投資判断が非常に困難な状況がつづくと思われる。今年中に何度かお伝えしてきたが、場合によっては長年の横這い相場を覚悟することも必要かもしれない。最後に高インフレと高金利に見舞われたのが1970年代だったが、当時は4割の大幅な下落局面を伴いながら10年間をわたって平均的に年率1.6%しか上昇しない、ほぼ横ばいの長期低迷相場となった。そのような状況を乗り越えるために参考になる情報や指標を中心に、この記事でヒントとなるような見解を提供できるよう心掛けた。
さて、2023年の展望を語るには、5つの「K」にスポットライトを当ててみたい:
- 金融政策
- 雇用と物価
- 景気
- 個人消費
- 株価
金融政策
2021年春先から2022年を「政策ミス」の年と呼んできた。もう少し正確に言うと、2020年、2021年、2022年、そして2023年はすべて「政策ミス」の年に該当する。原因はもはやいうまでもないが、新型コロナウイルスに対する、全世界規模での過度の金融緩和・財政出動と、その過剰さがもたらした流動性を甘く見たことと、そして自分たちの失敗を是正するために乱暴にブレーキを踏んだこと。それらすべてがミスであり、本来なくてもいい上下のボラティリティが作り出された人災である。
2023年の金融政策を議論する前にまずこれまでの金融政策を振り返ってみよう。主要各国が2020年2月から2021年末まで、たった2年でマネーサプライを11.5兆ドル(約1500兆円)拡大させた(図1)。それだけではその規模感が伝わりにくいかもわからないが、11.5兆ドルというのは各国が2007年から2014年の間に7年かけて増やした金額と同じ規模であることがわかる。
図1:グローバルマネーサプライ
同じ推移を図2でも示しているが、1.5年間をわたり前年対比で増やした「お金の量」は瞬間風速的にリーマン危機後の約2.5倍に匹敵。ドルだけに限定して申し上げると、世界に流通しているドル全体量の3分の1がここ2年間で供給された。この記事で2022年に起きた煩わしいドルバブルに触れないが、自国の通貨を一番希薄させた国がその通貨を最も評価してもらえたのは、2022年の摩訶不思議の一つ。
図2:グローバルマネーサプライ増減
2021年から始まったインフレは供給網のひっ迫や戦争から来たというのは意図的に不誠実すぎる。インフレの種はウクライナ戦争が始まる前に蒔かれていたのだ。ごく短期間でGDP比20%前後の財政出動と同時にマネーサプライを30%増やすと、インフレが暴走するのは当然であろう。
さて、2023年の金融政策(ミス)を見ておこう。
年初から始まった引き締めは文字通りの「金利の壁」を作り上げている。図3では米国、欧州、日本、英国、カナダ、豪州の各中央銀行の政策金利を合算したチャートを作成した。コロナ危機で崖から落ちる勢いで全金利がゼロとなり、2022年3月からトップガンのトム・クルーズでも気絶しそうなGフォースで急上昇。そして薄色の棒グラフで現在、翌日金利先物が織り込んでいる推移を示している。利上げは、少なくとも来年の半ばまでつづく見込み。
図3:主要中央銀行政策金利合算レート
12月14日に行われた2022年最後のFOMCの記者会見でパウエル議長は改めてインフレ対策に対する強い姿勢を示した。しかし、FOMCメンバーが形成するドットプロットが2023年末に5%以上の政策金利を予想しているにも関わらず、市場の金利はまだ5%未満のレベルに留まっている。一部の市場参加者は2023年の利下げさえも見込んでいる。「一時的」の妄言で信頼を失ったパウエル議長は市場を説得するのにきっと、苦労しているであろう。市場参加者の中で、ピーク金利に達する前に引き締めを諦めざるを得ない説が濃厚であろう。
リスク資産投資家は、2023年の金融政策を見据えて、「ピボット」の存在を切に望んでいる。本来は「利上げの停止」だったが、「ピボット」の定義が何度か変わっている。特に、今は「利上げの減速」(14日のFOMCにて実施済み)だが、来年は再び「利上げの停止」に戻ると予想される。一方、QT(バランスシートの縮小)は引き続き行われるが、もし引き締めの影響が小さくなれば「きっとベア相場が終わり大きく上がる!」と多くの投資家が願っているだろう。
しかしながら、パウエル議長は何度も述べているように、金利政策の見直し(利上げの停止)は「インフレが明確に目標の2%に向かっている」事が必要。その発言は市場に信用されてないが、インフレの中身と牽引役を見ると投資家はもう少し警戒したほうがよさそう。
雇用と物価
2022年10月と11月の米国消費者物価指数は市場予想を下回り、物価上昇率の減速を告げた。「やった!インフレにおさらばだ!」と喜ぶ参加者がS&Pを安値から一時14%反発した。確かに、図4で示しているように総合CPIとコアCPIの伸び率が鈍化している。
図4:米国消費者物価指数(CPI)
しかし、よく見ると、「コアサービス」の項目は底堅く上昇をし続けていることがわかる。コアサービスとは、エネルギー関連サービスを除くサービスを指し、帰属家賃や医療費、教育費などを含むシリーズ。12月14日の記者会見でも、パウエル議長はこれらに触れていた。確かに、供給網問題の緩和により耐久財やエネルギーの価格が調整しているが、CPIバスケットの約半分を占めるコアサービスはまだ高水準を維持している。なお、連銀はCPIではなくPCEを目標に政策運営しているが、一般消費者及び投資家はより多くの品目を細かく集計するCPIによって左右されやすいと考えられる。
一つのインフレの転換点はサービス価格が下がるタイミングだが、もう一つの転換点が賃金である。「物の値段」に対し「人の値段」である賃金はCPIとある程度連動するが、それよりも従業員の期待値によって方向づけられる。特に、人手が不足している昨今では労働者の意向がより強く賃金に表れるケースが構造的に増加している。12月のFOMCでは、パウエル議長は改めて雇用情勢を「強すぎる」と指摘し、あるべき労働人口より約400万人少ない状況にあるとコメントした。図5では、パウエル議長が指したであろう現象を表しているが、労働人口がコロナ前の水準を回復したものの、長年のトレンドを大きく下回っている。
図5:米国民間労働人口(季節調)の推移
パウエル議長は、400万人のうちに数千万人が新型コロナウイルスで亡くなり、さらに多くの人が早期退職で労働市場から撤退したことを解説した。その際は自分がもたらしたバブルがそれを可能にしたというコメントは相変わらず割愛した。
そのような構造的な人手不足は、労働単価にも明らかに表れている。8月に行われたJUST Capitalの世論調査では、アメリカ人の87%が、企業が賃金を物価に連動させるべきだと答えた。その発想は、明確に転職市場でも顕在化している。賃金を追いかけるための複数のマクロデータがあるが、より頻繁に発表されるのは、雇用統計の中の時給と、アトランタ連銀が発表しているウェイジ・トラッカー(WT)の月次。図6では、これらの推移を示しているが、CPIと異なる動きをしているのがわかる。
図6:米国平均時給(前年同月比)
特に転職者の賃上げが堅調で、月次で足元+8%前後で推移。「給料が上がらないなら転職する!」というのは、日本になかなか根付かない労働概念。
そのため、2023年の金融政策を雇用と物価の観点で予想するには、物価を追いかけるのはもちろん重要だが、それと同等の位置づけで賃金に目を向けるべき。
景気
さて、利下げはインフレの減速だけで決定されるのだろうか。一部の著名投資家やインフルエンサーは、景気や雇用が想定よりも早く悪化してしまえばインフレの状況に関わらず利上げの停止、そして場合によっては利下げがありうるともコメントしている。これは、まさに過去の過ちを彷彿させる。「The historical record cautions strongly against prematurely loosening policy.」とパウエル議長が最近何度も警鐘を鳴らしている。しかし、1970年代のバーンズ議長も同じ状況に追い込まれ、いくら中立的だとはいえ利上げで景気が急減速した場合は中央銀行が政治的圧力を受けることになる。実際、パウエル議長はウォーレン議員等からすでに批判を受けている。
“The historical record cautions strongly against prematurely loosing policy.”
「歴史的記録は、政策を早期に緩和することに対して強く警告しています。」
しかし、これまでの急速な引き締めにも関わらず、景気が突然冷え込んでいると言い難い。テクノロジーや金融企業の解雇、オンラインマーケティングの減速、一部製造業指数(PMI)の悪化は見られるが、景気全体は持ち応えている。それらの動向に関してエコノミストの方のレポート等で確認できるが、市場参加者の立場で景気が「予想対比」でどうかがより重要になってくる。図7では、シティグループのマクロサプライズ指数を掲載している。
図7:米国マクロサプライズ指数
マクロサプライズ指数とは、市場の予想と実際の統計データの乖離状況を示す。プラスの値は「予想を上回った」事を意味し、マイナスの値は「予想を下回った」事を意味する。ウクライナ戦争後には、供給網問題やエネルギー不足等によりネガティブ・サプライズが発生した。そのため、統計データが市場の予想を大きく下回る状況が一時期続いたが、足元期待値がリセットされ、概ね市場の見込み通りの着地となっている。ネガティブ・サプライズが多かった時期は、成長懸念が浮上し、金利が低下し、株価上昇の局面もあった。
市場参加者が、パウエル議長の警告を無視して、利下げ観測をさらに強めるには、おそらく景気減速のペースが速まる必要がある。そのためには、足元にあまり見られないマクロのネガティブ・サプライズが必要であろう。
もし2023年にそのような状況が起きた場合、悪材料で上昇といった、今年の8月や10月のような値上がりが繰り返される可能性もある。
個人消費
2023年における経済動向を見る上で特に注目されているのが、アメリカのGDPの約7割を占める個人消費。その中でも、最も懸念されている指標の一つが個人の貯蓄率(図8)。
図8:米国貯蓄率(可処分所得対比)
可処分所得のうち、貯蓄に回る比率は、確かに急落し、現在では過去2番目に低い2.3%まで低下している。コロナ対策のばらまきで手にした現金給付を使い果たし、間もなく「消費のガス欠」(=消費する余力が突然なくなる)にぶつかる懸念を抱いているコメンテーターが多い。しかし、消費者の蓄えは本当になくなっているのであろうか。
図9:米国個人銀行口座の平均残高
JPモルガンが定期的に発表している「Household Pulse」の家計調査では、個人の銀行口座の残高推移を分析している。図9の通り、2022年第2四半期末まで、低所得者から高所得者までのチェッキング口座の残高が2019年末対比約60%増加。これは、貯金に回す割合が低下しているものの、ばらまかれた現金はまだある程度温存しており、インフレを吸収する余力が想定よりもあるとも考えられる。
個人に限定されない現象だが、今回マネーマーケットファンド(MMF)の残高も非常に高止まりしている。図10に過去30年間の推移を表しているが、ITバブルやリーマンショックの後は、MMF残高が崩され、消費や他の投資に回ったが、今回は豊富に供給されたドルがMMFに入ったまま。これは過去と異なり、FEDが常設したリバースレポの短期金利でも十分なリターンが得られるため、個人だけではなく企業や機関投資家もコロナショック後の蓄えが過去最高の領域にあることを示している。さらに、これらの手段があるため、株式やその他リスク資産に過度なウェイトを置く必要もなく、10年ぶりに「TINA」(=株しか勝たない)が通用しないとも言える。
図10:米国MMF残高
前述の通り、これも結局市場が想定している以上のインフレ対抗力を表しているかもしれない。本来であれば、値段が上がってしまった商品やサービスの消費が減り、在庫処分等で早い段階で価格が調整されるはずのものが、お金に困ってない層の消費力で意外と長く値上げを我慢できるともいえそう。
それでは、インフレ、景気、個人消費次第で金融政策が緩和の方向に動く可能性があるものの、大胆な金融緩和なしに株価はそもそも買っていい水準だろうか。
株
「バフェット指数」とは、コロナバブル期間中に多くのメディアで取り上げられた。これは、国の株式の評価方法の一つであり、全株式の時価総額をGDPで割ってその倍率で割安か割高かを判断するもの。図11には、1970年以降の米国の推移を示している。ITバブルのピークで1.4倍、コロナバブルのピークで2倍強、そして現在は1.58倍。1.5倍を超えると割高と判断するかどうかは、やや難しいところ。過去数年間は確かに1.5倍程度で推移していたが、ゼロ金利・緩和時代の前は概ね1倍未満。バフェット指数は特に金利を考慮しないが、金利の水準も、もちろん、株価のあるべきバリュエーション(時価総額)に影響する。
図11:米国バフェット指数
さらに、金利の話をする前に、金利に大きく影響を及ぼすインフレについて話す必要がある。金利水準に関わらず、実はインフレと株価にもある程度連動性がある。それは株式市場の配当利回りである。図12には、過去40年間のS&P500の配当利回りと総合CPIの差を表しているが、ほとんどの場合、-2%~+2%で推移してきたことがわかる。つまり、インフレが比較的に安定している時代において、株式に投資することで、インフレ分の目減りを補うことができたともいえる。ただし、インフレが急速に上昇している現在では、インフレによる損失を株式の配当利回りではほとんどカバーできない状況。
コロナバブルのピーク時には、約-7%に急低下した後、現在はー5.29%まで回復している。株価の下落とインフレの低下である程度、平均回帰している。しかし、これまでの40年間の差を基準にするとすれば、インフレが突然2~3%に収まらない限り、過去のレンジに戻るには、株価はさらに20%前後の下落余地があるように見える。
図12:米国総合CPI/S&P配当利回りの差
さて、金利と株価を語るには、これまで何度も紹介してきたエクイティリスクプレミアムの話を避けて通れない。エクイティリスクプレミアム(ERP)とは、株価益利回り(EPS/株価)とインフレを考慮した実質金利(金利-コアインフレ率)の差であって、リスクフリー資産(国債)に対して株式投資にどの程度のリスクが織り込まれているかを表す。例えば、ITバブルの最中にERPが0%を下回ったが、その際は国債利回り対比、株式投資で取っているリスクに一切リターンが見込めない状態であったと言える。言い換えれば、ERPの観点で株式に投資する意味はなかったのだ。
ERPを求めるには複数の変数(収益、株価、金利、インフレ)があり、それらすべてが時代とともに異なる影響を与える。図13にあるように、ERPは、金利・インフレ環境によって、平均的に異なる水準に推移する。金利もインフレも安定していた1980年代後半からリーマンショックまで2%を前後に上下し、実質金利で得られるリターンに近いリスクプレミアムを保った。2008年以降のゼロ金利・緩和時代になったことで、金利から得られるリターンが大幅に低下したことで株式が自然と金利対比「割安」となり、5%の水準まで切りあがった。そして現在は8%。
図13:S&P500エクイティリスクプレミアム
8%だけを見ると「株価が安い!」と思うかもしれないが、8%の中身が重要。現在、ERPが上昇しているのは、実質金利が大幅にマイナスであることが要因。つまり、収益も上がらず、株価もそこまで大きく調整せず、インフレを理由に金利の魅力が低下し、株価に相当のリスクが織り込まれているようにみえる。実は、こういった時代は過去にもあった。1970年代の二桁インフレにおいて、ERPのボラティリティが高まり、約8%を軸に大きく上にも下にブレる局面が多くあった。つまり、現在の8%が割安とも言えず、インフレ再燃と金利上昇のセットでも、株価の収益低下でも、ERPが下がるシナリオ(株価が割高になる)もありうるが、インフレ鎮静化と金利低下でERPがさらに上がる(株価が割安になる)も可能。
「なるほど!でも難しい!もっとわかりやすい指標がいい!」と思われるかもしれない。そこで、最後にお馴染みの業績とPERに目を向けよう。図14には、2023年度の一株当たり利益(EPS)の市場予想と、それに基づいたPERを掲載。年初19倍だったPERが、足元17倍弱に低下しているが、来期のEPS予想の下方修正が始まっている。来年度のEPS予想は、2022中のピークから約7%下方修正、年初から2%低下している。企業が来期のガイダンスを出すタイミングで、EPS予想がさらに下がるであろう。そうすると、来期の予想PERが実際は17倍~18倍の間になるだろう。過去(これまでの10年間の実績)から見て特段割安には見えない。二桁のインフレがあった1970年代には、S&PのPERが一桁から15倍未満だった。金利が高いほど、ディスカウントレートが上がり、妥当PERが低下する。そのため、現在のPERが実は、以前として割高とも考えられる。
図14:S&P500 23年度予想EPS/PER
ここまで来て、皆さんは「この人、最初は希望とか言ってなかったっけ」とさぞかしがっかりしているであろう。
しかし!高金利下のベア相場でもチャンスはある!リーマンショック後に、ゼロ金利と量的緩和が導入されたことで、リスクフリーレートがゼロ近辺で推移しているため、利益を見込めないグロース企業でも「グロース」であれば長年にわたり買われてきた。バリューが放置され、企業の本質的な収益力に基づく評価が長年棚上げにされた。
2022年はこの長年の流れに変化が見られた。図15で示しているように、年初からバリューがグロースに対し30%以上勝っている。これまでの勝利幅は15年ぶりであり、市場参加者は投資の判断基準を変えていることがわかる。財務体質、収益力、キャッシュ総出力など、バリュー銘柄が強い要素が評価され、安定的なキャッシュフローに基づく高配当を支払う銘柄などが健闘している。2023年も、再びゼロ金利に戻らない限りこの傾向がつづくと考えるのも合理的であろうと思われる。個別銘柄選択、ファンダメンタルズの勉強が一層、重要になってくる。
図15:S&Pバリュー対グロース
まとめ
いかなる評価方法を用いても、現在、米国株式市場が割安であると言い難い状況にある。バフェット指数、配当利回り、PERからすると、今の水準から10%~30%の下落がありうるとも考えられる。一方、エクイティリスクプレミアムの観点から見ると、そこまで悲観する必要もないだろうが、少なくとも現在の水準が妥当な評価であるというのが精いっぱいのところだろう。
全体が割安ではないが、2023年に投資のチャンスはないとも限らない!先ほど紹介したバリュー株の有利な相場がしばらく続く可能性が高い。
一方、この記事では深堀していないが、インフレ低下のペースが想定を上回ると、市場全体の評価もしやすくなるであろう。個人の体力と賃金上昇のペースを考えると、インフレの本格的な低下がまだ先だとも考えられるが、利上げの停止が想定よりも早くなればベア相場の終わりが近づくであろう。とはいえ、政策金利が5%前後で維持されれば、ディスカウントレートが大きく下がらず、2023年の年間を通した上昇率が限定的になるであろう。2021年に付けたピークへの道のりが長かろう。
ただし、さらなる負の連鎖の可能性もある…。今年には、何度か2023年を「二番底の年」と呼んだ。それは、インフレが一旦収まったと見せかけたタイミングや、失業率が急に悪化した場合には、連銀が1970年代と同じような失敗をする可能性があるということを意味する。パウエル議長は「歴史から学ぶ」という姿勢を強調しているが、人は過去の過ちを研究しながらも、異なる方面から最終的に同じ失敗にたどり着くケースも多くある…。
最後に一言。投資においても経営においても、その失敗から学べば、失敗は自分の人生のバランスシートに載る未収金のようなもの!いずれ、プラスアルファで回収できると信じましょう!2021年のバブル相場で投資家デビューをされ、今年失敗された方こそ、この経験を活かし今後の成功に是非結び付けてください!
当社は、本記事の内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更または削除されることがございます。当社は本記事の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。本記事の内容に関する一切の権利は当社に帰属し、当社の事前の書面による了承なしに転用・複製・配布することはできません。