今週の注目投資トピックは「 「【日本市況】株価急落、報復関税で「貿易戦争」懸念-円と債券は上昇」元記事はこちら。
以下、4月7日のブルームバーグの記事より引用。
7日の日本市場はトランプ米大統領の関税政策による「貿易戦争」への不安からマネーのリスク回避が鮮明になり、株式が急落して円と債券が買われている。
日経平均株価、東証株価指数(TOPIX)ともに取引開始で8%超の値下がりになっている。この2指数の先物は取引が一時停止されるサーキット・ブレーカーが発動された。リスクオフから円が買われて、債券先物も上昇している。トランプ関税に報復する形で中国が米国からの輸入品全てに34%の関税を課すことを4日明らかにした。
週明けの日本市場はトランプ関税の直接の影響に加えて、各国の対抗・報復措置による世界経済・物価への懸念に見舞われている。投資資金の安全志向は欧州を含む海外市場にも尾を引きそうだ。世界の金融市場はトランプ関税で先週末の2日間にわたり株価は急落、金利は低下していた。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは7日付リポートに中国の報復関税を受けて「金融市場が抱いている『世界貿易戦争』激化の懸念が刺激された」と記した。同時に対米関税撤廃を提案したベトナムを引き合いにして、足元の市場の警戒感には「やや過大な部分がある」と指摘した。
トランプ政権が4月2日(日本時間4月3日早朝)に発表した相互関税政策(貿易相手国と対等の関税率を求める政策)で4月3日、4日の二日間で日経平均株価は3.6%下落し、TOPIXは4.5%下落した。中国が報復関税で米国からの輸入品全てに34%の関税を課すと発表した事が世界同時株安に拍車をかけた。4月7日の東京株式市場が開く前にアジア時間7日午前にS&P500先物、ナスダック100先物はいずれも4%程下落し、日本株市場では日経平均株価、TOPIXが取引開始で8%超下落し、香港ハンセン株指数は10%下落した。
日本に対する自動車関税25%は既に4月3日に発動し、自動車以外の輸出品に対する相互関税24%は4月9日(米東部時間)から発動の予定である。
世界的に貿易戦争の様相を呈している状況で、石破首相は来週中にでもトランプ大統領と電話会談や早期の訪米を通じて関税の引き下げを強く求めていくとの事である。第一次トランプ政権から日米貿易不均衡の要因は円安」と「日本の消費税政策(アベノミクス)」をトランプ氏は問題視しており、2日の関税政策のスピーチでもトヨタ自動車を名指しした。トヨタのような輸出企業に還付される輸出還付金を輸出補助金とトランプ政権はみなしている訳である。WTOルールではVAT(付加価値税)が輸出品に課税せずに還付を行う事は合法とされているが、トランプ政権は制度的な不公平と認識している以上アメリカ側が日本政府の譲歩なしに関税の引き下げに応じるとは思えない。しかし、関税政策で貿易条件を公平にすればアメリカ車が日本で売れるかについては別問題である。
今回の世界的な株価下落の連鎖は投資家心理と自動売買の影響も大きく実態経済を超えた動きになりがちである。実際、輸出依存度がGDPの15〜18%程度、つまり内需が80%以上の日本において、米国の関税強化が直ちに日本経済全体を揺るがすとは考えづらい。日本株投資家はしばらく静観が基本戦略になり、米中間で関税報復がエスカレートする場合には中長期にわたるボラティリティを覚悟する必要があると考えられる。内需株に関しては現状は「つれ安」になっており、長期的な選別買いのタイミング待ちで銘柄リサーチをしておくのも良いのではと思われる。