今週の注目投資トピックは「東京電力、送電網に4700億円投資 AIで電力消費急増」を取り上げたい。元記事はこちら。
以下8月29日の日経新聞電子版【イブニングスクープ】より引用
電力会社がデータセンターや半導体工場の増加に対応して送電網を増強する。東京電力ホールディングスは2027年度までに送電網の増強に4700億円を投じ、大型変電所を新増設する。データセンターが集まる首都圏に変電所の新増設計画の半数が集中しており、安定供給に向けて人工知能(AI)の普及をにらんだ電力インフラ整備が課題となってきた。
生成AIの普及と共に電力需要が大幅に伸びている。三菱総合研究所が生成AIの電力消費について独自の定量モデルに基づく分析を行い、長期的な影響を予測した。この予測によると2040年の日本の総計算量は2020年比で最大十万倍以上に達する可能性があるとの事である。三菱総合研究所の予測によると2040年の電力需要は2020年比で約2倍から27倍と幅が生じ、半導体の電力効率次第と結論づけている。(出所:三菱総合研究所 【提言】生成AIの普及が与える日本の電力需要への影響 2024年8月28日)
NTTのIOWNにより電力効率の大幅な改善が期待されるが、実際にデータセンターに採用されるまで数年は要すると推測され、それまでの大幅な電力需要の増加に電力会社は備えなければならない。特に東京電力(9501)は2011年の福島第一原発の事故以来全ての原発は停止しており、火力発電、再生可能エネルギー、また他の電力会社から買電して電力供給を行っている。データセンターは東京電力管内に集中しており、送電網の増強、大型変電所の新増設が必要である。
さて、ここで気になるのは送電網、大型変電所建設を東京電力から受注する企業である。送電網には電線、変圧器、遮断機、開閉器、鉄塔、絶縁体、通信システム等が必要である。変電所には変圧器、遮断機、開閉器、計測機器、保護装置、通信システム等が必要である。これらを作っている企業は以下の通りである。
①フジクラ(5803):電線
②古河電工(5801):電線、絶縁体
③住友電工(5802):電線、絶縁体、鉄塔
④三菱電機(6503):遮断機、開閉器、保護装置、変圧器
⑤日立製作所(6501):遮断機、開閉器、送電網向け通信システム、保護装置、変圧器
⑥富士電機(6504):遮断機、開閉器、保護装置、変圧器
⑦日本製鉄(5401):鉄塔
⑧大同特殊鋼(5471):鉄塔
⑨日立金属(5486):絶縁体
⑩NEC(6701):送電網向け通信システム
⑪富士通(6702):送電網向け通信システム
⑫横河電機(6841):計測機器
⑬キーエンス(6861):計測機器
⑭日立ハイテク(8036):計測機器
以上、東京電力の送電網、大型変電所建設の関連企業を列記したが、過去の東京電力との実績を考えると日立製作所(6501)が一番恩恵を受けるように思われる。