今週の注目投資トピックは「NVIDIA、バイデン政権を批判 トランプ氏に輸出緩和期待」元記事はこちら。
以下、1月14日の日経電子版の記事より引用。
【シリコンバレー=清水孝輔】米エヌビディアは13日、バイデン米政権が同日発表した人工知能(AI)向け先端半導体に関する輸出規制の見直し案を巡り、「技術革新と経済成長を妨げる」と批判する声明を出した。同社が公の声明で米政権を批判するのは珍しい。トランプ次期政権に現在の輸出規制の緩和を求める狙いがありそうだ。
エヌビディアで公共政策を担当するネッド・フィンクル副社長が声明を出した。フィンクル氏は「バイデン政権は退任間際に200ページを超える規制を秘密裏に作成し、適切な立法審査もせずに米国の主導権を弱体化させようとしている」と述べた。
新たな規制では東南アジアや中東向け輸出に数量制限をかける。エヌビディア製の先端AI半導体が対象になる見込みだ。第三国を介した中国へのAI半導体の迂回輸出を防ぐ狙いがある。エヌビディアの株価は13日の米株式市場で、前日終値に比べ一時約5%下落した。
エヌビディアは「『反中国』の措置という名目で覆い隠されているが、米国の安全保障を強化しない」と述べた。「米国の競争力を弱体化させるだけだ」と指摘した。
バイデン米政権は2022年10月以降、中国へのAI半導体の輸出規制を段階的に強化してきた。エヌビディアは新たな規制が出るたびに従う方針を示し、米政権を直接的に批判するのを避けてきた。
声明ではトランプ次期政権による規制緩和への期待もにじませた。次期政権のAI政策について「米国の競争力を維持する政策への回帰を期待したい」と表明。トランプ氏の1期目についても「米国の産業が国家安全保障を損なうことなく、実力で競争し、勝利できる環境を整えた」と評価した。
先端AIの開発では米国が先行する。エヌビディアは「AI主権」の重要性を訴え、米国以外の国々にも国産AIの開発を促してきた。新たな規制で東南アジアや中東に輸出できる量が制限されれば、こうした戦略が停滞する恐れがある。
規制の見直し案にはエヌビディア以外からも批判の声があがった。米国半導体工業会(SIA)は13日、「深く失望した」と批判する声明を出した。「業界からの意見を一切聞かずに、大統領交代を控えた時期に、大規模かつ影響力のある政策変更が急きょ決定された」と指摘した。
一週間もしないうちにアメリカはトランプ政権に移行するのに、バイデン政権は先端AI半導体の輸出に数量制限を行う見直し案を発表し、エヌビディアの株価は一時前営業日終値比5%下落した事を受けて三連休明けの日本株市場では半導体関連株が下落した。
先端AI半導体の輸出の数量制限を行う見直し案であるが、規制は120日間の意見募集期間を経て施行される予定であり、その間にトランプ次期政権が発足する。トランプ氏は、AI技術の発展と国際競争力の強化を重視しており、バイデン政権の規制を見直す可能性がある。したがって、これらの規制が新政権下で撤回または修正される可能性は十分に考えられるので過度に心配する必要はないと考えている。しかし、エヌビディアに対し中国の独占禁止法当局が先月より調査を開始したとの事である。また、米国防総省は今月6日、中国人民解放軍とのつながりが疑われるとして、テンセント・ホールディングスを「中国軍事企業」リストに追加したとの事であるが、米中関係の更なる悪化はテック・セクターにとりマイナス要因である。中国経済は内需が冷え込んでいるのに関わらずソーラーパネルや自動車、鉄鋼産業における過剰生産が問題視されている。不動産市況の低迷も続いており、日本企業も影響を受ける。
先週アメリカで発表された雇用指標とミシガン大学消費者センチメント速報値を背景にインフレ再加速が懸念される中でアメリカでの利下げ期待が後退し、日本では本日新発40年債利回りが2.755%と過去最高、新発10年債と新発20年債の利回りは2011年以来の高水準を更新した。来週の日銀金融政策決定会合を控え、昨年8月のような大幅な株価下落を起こさないように日銀は慎重な判断をすると思われるが、日本株はしばらくは神経質な展開になる事が予想され、ポートフォリオは内需関連等のディフェンシブなセクターがアウトパフォームするのではないかと考えている。