今週の注目投資トピックは「NYダウ一時1100ドル安 トランプ氏、景気後退否定せず」元記事はこちら

以下、3月11日の日経電子版の記事より引用。

10日の米株式市場で株売りの動きが加速し、ダウ工業株30種平均の前週末比下げ幅は一時1100ドルを超えた。米メディアのインタビューでトランプ米大統領が関税引き上げや政府支出の大幅削減に伴う景気後退の可能性を否定しなかったと受け止められ、市場参加者の不安心理が高まった。マネーは米国債に向かっている。

ダウ平均は前週末比890ドル(2.1%)安の4万1911ドルで引けた。ほかの主要指数も急落しており、S&P500種株価指数は2.7%安。1日の下落率としては、米連邦準備理事会(FRB)が利下げペース鈍化を示唆して相場が急落した2024年12月18日(2.9%安)以来の大きさとなった。

S&P500採用銘柄のうち下げているのは7割弱であり、全面安ではない。ただ、時価総額の大きいテクノロジー銘柄の下げが相場全体の下落を主導する。世界最大の時価総額を持つアップルは一時6%安と急落。テクノロジー銘柄の比率が高いナスダック総合株価指数は同4.0%安で引け、22年9月13日以来、約2年半ぶりの下落率を記録した。

米FOXニュースが9日放送したトランプ氏のインタビューが株安の引き金となった。年内の景気後退入りの可能性を問われたトランプ氏は「この種の事柄を予測するのは好きでない。我々は非常に重要なことをやっているため『移行期間』が存在する。我々は米国に富を取り戻そうとしている。多少時間がかかる」と述べた。

明言は避けつつも、各種施策に伴って景気後退に陥る時期がありうることを示唆した。ベッセント財務長官も前週7日に出演した米CNBCの番組で経済に軟化の兆しがあると語っていた。米市場ではトランプ氏と景気後退(リセッション)をあわせた造語「トランプセッション(トランプ不況)」が急速にはやり言葉になりつつある。

調査会社BCAリサーチのチーフ米国投資ストラテジスト、ダグ・ピータ氏は10日付リポートで「米政府効率化省(DOGE)と関税が引き起こす不確実性が米経済を後退に追いやる」と指摘し、米株の投資判断を「アンダーウエート(売り推奨)」へ引き下げた。

ロイター通信が前週実施した、米国、カナダ、メキシコのエコノミスト74人を対象とする調査では、9割超に相当する70人が各国経済の後退局面入りリスクが高まったと回答。関税引き上げなどトランプ政権の政策で北米経済の先行きに不透明感が強まっている。

個別で下げが目立ったのが電気自動車(EV)大手テスラで、一時前週末比16%安と20年9月以来の下落率となった。景気懸念に加え経営者のイーロン・マスク氏の政治的発言への反発に関連した販売減が重なり、売りが殺到した。

暗号資産(仮想通貨)も急落している。米情報サイトコインデスクによると、代表的な仮想通貨ビットコインの価格は10日に一時、7万7500ドル台まで下げ、2日に付けた直近高値9万5000ドル台から2割程度低い水準となった。

リスク回避の姿勢を強める投資家は、安全資産とされる米国債に資金を退避させている。10年債利回りは10日に一時、前週末比約0.10%低い4.20%に低下(債券価格は上昇)した。ニューヨーク外国為替市場では日米金利差の縮小観測からドル売り・円買いが進み、一時1ドル=146円台半ばと24年10月上旬以来の円高・ドル安水準を付けた。

1月20日にトランプ政権へと移行し、関税政策に関する発言が続いており、関税の対象となった国の関連企業の株価が下落しているだけでなく、アメリカ国内ではインフレの悪化やリセッション懸念が高まり、市場のボラティリティが上昇している。

トランプ政権が始まった翌日の1月21日から3月10日までの主な株式市場の騰落率は以下の通りである。

 

NYダウ▲4.8%
SP500▲7.2%
ナスダック▲11.6%
日経平均▲5.0%
Topix▲0.038%
東証グロース▲20.9%
Euro Stoxx50+4.3%
DAX(ドイツ)+7.2%

                    

アメリカの株価指数ではバリュエーションの高さからナスダックが一番下落しているが、同じく東証グロースもバリュエーションの高さから20%以上も下落している。しかし、Topixは東証プライム、スタンダード、グロース上場全銘柄の平均であるが、ほぼフラットであった。という事は自動車や半導体関連銘柄等を中心として下落しても一方で割安なバリュー株が上昇したのではと推測できる。また、ヨーロッパについては動きが異なり、アメリカの関税政策の影響を受けていない印象がある。 ドイツに関しては次期政権を担う政党が大規模な財政拡大策を発表し、積極財政に転換した事による経済回復への期待からの上昇ではないかと思われる。  

アメリカ株は大分下落した印象があるが、NYダウの3/10付けPERは25.11倍、SP500の3/7付けPERは23.37倍、ナスダックの3/7付けPERは29.85倍と長期的な平均PERが10倍台半ば(ナスダックを除く)である事を考えるとまだ下値余地はもっとありそうな印象を受ける。

ここからの日本株の投資戦略であるが、為替は基本円高ドル安基調であるので関税問題に影響を受けず、円高メリットのある割安な内需株が良いと考えている。詳しくは「関税リスクが追い風に?トランプ政権下で伸びる日本の内需株を解説」のレポートで説明しているので、ご参照ください。