今週の注目投資トピックは「それみたことか…世界的EV不況が進行中!欧州でもトヨタのハイブリッド車が爆売れな納得の理由」を取り上げたい。元記事はこちら

以下、10月7日の週刊現代オンラインより抜粋引用。

2030年にすべての自動車をEVに――欧州勢が掲げた目標はやはり無謀なものだった。再び脚光を浴びるのが日本のHV技術である。

「'97年に京都市で行われた地球温暖化防止のための京都会議、いわゆるCOP3で、温室効果ガスの排出削減に数値目標が設けられました。これが出発地点となり、自動車の電動化が加速しました。

さらに欧州は'22年に一歩踏み込んで、'35年に欧州域内で二酸化炭素を排出する乗用車と小型商用車の販売を禁止することで合意(環境に良い合成燃料を使う燃料車は除く)。'35年以降は欧州で原則EVしか売ってはいけなくなりました」

今年に入って欧州のEV市場に変調が起きている。欧州自動車工業会の集計によれば、今年8月のEU域内のEV販売台数は前年同月比44%減の9万2000台だったという。ドイツでは昨年末にEV購入補助金を打ち切っており、前年同月比69%減と大幅に減少した。

「なぜ売れなくなったのか。理由は単純で、EVの高い価格を受け入れる客がそれほど多くなかったということです。ドイツでは補助金を打ち切ったことも大きい。

「メルセデスやワーゲンはEVが大量に売れると思って莫大な開発資金を投入してきたが、売れ行きは芳しくありません。価格を下げられない大きな原因は、バッテリーを自前で生産できていないからです。メルセデスですら、EVに搭載するバッテリーの大半を中国からの供給で賄っている状況です。

欧州メーカーのEV大失速で窮地に陥ったフォルクスワーゲンはドイツ国内の工場閉鎖を検討していると発表。メルセデス・ベンツも'30年までに新車販売のすべてをEV化する計画をすでに撤回している。一方で、「欧州で日本製のHVが爆売れしている。とくにトヨタは大儲けしている」

やはり補助金頼みのEVは失速せざるを得なかった。EVは環境に優しいというイメージが2年前位まで言われていたが、バッテリーの製造にはリチウム、コバルト、ニッケルなどの希少金属の採掘と精製が必要であり、この過程で多くのCO2が排出される。またEVの製造コストは材料の希少金属の値段が上がっており、ガソリン車に比べて製造コストが30%程高い。EVのバッテリーのリサイクルや廃棄も環境負荷が高く、中国では作り過ぎたEVの廃棄が社会問題になっている。BYDのようにバッテリーメーカーとしてスタートし、エンジンを内製化できている、あるいはEV専業のテスラのように台数を売れないと価格競争力がなく、結局ヨーロッパの自動車メーカーはEV戦略の見直しを迫られた。走行距離の短さの問題もあり、多くの消費者はEVではなくコスパの良いハイブリッド車を選んでいるというのが今の状況である。

トヨタのカムリは21年連続全米のミッドサイズセダン部門でベストセラーであるが、2023年にモデルチェンジをし、ガソリン車をやめ全てハイブリッド車にした。2024年8月の販売台数は前年同期比50%増の2万5,000台が売れた。(出所:週刊現代オンライン 2024年10月7日 「将来的にEV化は避けられないが、それはいまではない…日本製ハイブリッド車の逆襲が始まった!」

トヨタは北米初のEV現地生産を2025年から2026年に延期し、2030年までに北米で生産する計画だったレクサスのSUVのEV生産を中止すると発表したが、EVの需要が世界的に失速しており、ハイブリッド車が北米、ヨーロッパで爆発的に売れている事もあり、EVの生産を急ぐ理由もないと思われる。

北米に関してはトランプ元大統領は大統領選挙に向けて、EVに対して強い批判を繰り返している。トランプ氏は、バイデン政権のEV推進政策が自動車業界に深刻なダメージを与え、特に「数十万ものアメリカ人の雇用が失われる」と主張している。また、彼はEVが「高すぎる」ことや、走行距離が十分でないとし、EV導入が「アメリカの自動車産業の死」を招くと警告している事もあり、11月の大統領選挙でトランプ氏が再選すればEVの助成金(具体的には新しいEV購入者に対して最大7,500ドルの税額控除、中古EV購入者に対しても条件を満たせば最大4,000ドルの税額控除)は廃止されると考えられる。