今週の注目投資トピックは「トヨタ・日産・パナソニックHD… 「蓄電池・部素材」生産増強へ経産省が支援、総投資額1兆円超」を取り上げたい。元記事はこちら。
以下9月10日のニュースイッチ by 日刊工業新聞社より引用
経済産業省は6日、電気自動車(EV)用車載電池や部素材などの生産増強に向け、トヨタ自動車や日産自動車、パナソニックホールディングスなどの設備投資計画を支援すると発表した。総投資額は1兆70億円で、そのうち最大3479億円を助成する。国内の電池生産能力は、従来比約40%増の1億2000万キロワット時に引き上がる見通し。世界での調達競争激化を受け、政府は電池のコスト低減やサプライチェーン(供給網)強靱(きょうじん)化を加速する。
経済安全保障推進法に基づき、計12件の設備投資、技術開発計画を認定した。設備投資には総事業費の3分の1を、技術開発には2分の1を補助する。政府は国内の電池生産能力を、2030年までに1億5000万キロワット時にする目標を掲げている。
SUBARU(スバル)やマツダはパナソニックエナジーと組み、車載用リチウムイオン電池(LiB)を生産する。パナソニックエナジーはスバル向けには群馬県に工場を共同で新設し28年8月から生産を始めるほか、27年度には住之江工場(大阪市住之江区)で手がける電池を供給する。マツダ向けは住之江工場などでの増強に加え、山口県でも投資を実施する。
トヨタは傘下の電池メーカーであるプライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)、プライムアースEVエナジー(PEVE)と共同で投資する。福岡県に新工場を建てるほか、全固体電池の負極材開発も行う。日産は原材料を調達しやすくコスト低減などが見込める「リン酸鉄LiB」を28年7月から生産する計画だ。
電池向け部素材では日本触媒が375億円を投じ、年2140万キロワット時分の電解質を28年7月から生産する。また東亞合成は愛知県で、26年10月から同1億4200万キロワット時分の車載電池用接着剤を生産する。投資額は38億円。経産省は、このほか電池製造装置メーカーや検査装置メーカーも支援する。
車載用蓄電池は主にEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)のモーターを駆動させるための駆動用電池として用いられる。経済産業省の調査によると、世界の蓄電池市場での日本のシェアは2015年に51.7%だったが、2020年に21.1%に低下した。日本のシェアが低下した一方中国のCATL(寧徳時代新能源科技)が大きくシェアを伸ばし2023年末時点でCATLの車載用蓄電池のトップシェア(40%近く)を持っており、次いでBYD、韓国のLGエナジー・ソリューションがともに20%前後のシェアを持っていると言われている。
現在、日本国内において車載用蓄電池について特定の国からの供給に依存している状況にはないが、今後EV・PHEVの生産拡大に伴い蓄電池の需要が増加し、国内での供給量を高める必要がある。蓄電池は半導体と同様に戦略的物資として認識されつつある。蓄電池が戦略的物資として扱われる理由であるが、エネルギー安全保障上重要であり、エネルギー技術の競争力の鍵でもあり、また蓄電池の製造にはリチウム、コバルト、ニッケルなどの希少資源が必要であり、供給リスクや地政学的リスクが伴い、サプライチェーンの観点からも戦略的物資としてみなされている。
LGエナジーソリューションが高容量新型リチウム電池「4680」の量産を韓国のオチャン工場で12月から開始すると8月に発表した。元々LGエナジーソリューションは「4680」の量産を8月から開始と年初に発表していたが、4か月延長となった。4680電池は従来の「2170電池」と比べ、エネルギー密度が5倍、出力が6倍、EV走行距離が少なくとも20%向上すると言われており注目されている。大量生産に成功すればテスラ、その他自動車メーカーに供給する予定である。(出所:AAiT 「4680電池」競争、韓国LGエナジーが年内に量産実現か」 )高容量新型リチウム電池に関してはLGエナジーソリューションがCATL、パナソニック等のライバルに先駆けて量産に成功しそうである。
日本は現在のリチウム電池ではシェアをどんどん落としており、次世代電池、特にトヨタの全固体電池での逆転を狙っており、国策に近い形で経済産業省が後押しする状況である。