今週の注目投資トピックは「トプコンが非公開化へ、JICやKKRなどが買い手候補-関係者」元記事はこちら。
以下、12月10日のブルームバーグの記事より引用。
医療機器などを手がけるトプコンが非公開化に向けて入札プロセスに入っていることが分かった。買い手候補には、プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社の米KKRや欧州系投資ファンドのEQT、政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)が挙がっている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
複数の関係者によると、トプコンは9月に非公開に向けた1次入札を実施し、KKRとEQTが残った。JICは入札には参加しなかったものの、その後に名乗りを上げ、3社が2次入札に進む方向だ。関係者らによると、2次入札は月内実施で調整が進む。
トプコンの筆頭株主は、米アクティビストファンドのバリューアクト・キャピタルで、ブルームバーグのデータによると13.69%を保有する。複数の関係者によると、バリューアクトは、事業間のシナジーがなく、コングロマリットディスカウントになっているとして、事業売却や非公開化を求めていた。
報道を受けてトプコン株は買い注文を集め、終値は前日比23%高の2156.5円だった。
トプコンは同社の発表に基づくものではなく、現時点で決定した事実はないとした上で、常に企業価値向上に向けて、報道された施策案に限らず各種経営施策も幅広に検討しているとした。KKRとEQT、JICの広報担当者はコメントを控えた。
企業統治(コーポレートガバナンス)改革などを背景に、物言う株主(アクティビスト)からの日本企業への提案が増加。トプコンの他にも、3Dインベストメント・パートナーズが投資する富士ソフトなど、アクティビストとの対話を経て非公開化を選ぶ企業が現れている。
トプコンの時価総額は2000億円規模。3社の中で選ばれた投資ファンドが株式公開買い付け(TOB)で全株を取得し、トプコンは上場廃止となる計画だ。江藤隆志社長ら経営陣も出資するMBO(経営陣が参加する買収)になる可能性もある。
トプコンは、眼科用の医療機器を製造販売するほか、建設現場での測量計測器を利用した建機の自動制御なども扱う。同社のウェブサイトによると、1986年に東京証券取引所の市場第一部に指定され、22年にプライム市場に移行していた。かつて東芝傘下にあったが、15年に東芝がトプコンの全株を売却していた。
眼科関連の医療機器を手掛けるトプコン(7732)がアクティビストファンド等により非公開化される事になり入札プロセスに入っている事が12月10日に明らかになり株価は連日年初来高値を更新している。トプコンの筆頭株主はアクティビストファンドのバリューアクト・キャピタルで、事業売却や非公開化を求めていた。一次入札は9月に終了しており、二次入札は12月中に実施の予定との事。買い手候補は富士ソフトのTOBをベイン・キャピタルと争っているKKR、欧州系投資ファンドのEQT、産業革新投資機構(JIC)の三社である。
今年はアクティビストファンドによる株式の非公開化が市場をにぎわせているが、富士ソフト(9749)のTOBの状況はKKRは第2回TOBを11月20日から12月19日までの期間で実施中である。買付価格は1株あたり9,451円に引き上げられ、富士ソフトの取締役会はこのTOBに賛同し、株主に応募を推奨している。対するベインキャピタルは12月11日に富士ソフトに対するTOB価格を従来の1株あたり9,450円から9,600円に引き上げる提案を行い、この価格は、KKRの現在の買付価格9,451円を上回っているが、富士ソフトの取締役会は、ベインキャピタルの提案に対して反対意見を表明している。しかし富士ソフトの創業家の野澤家はベインキャピタルのTOBに応募する意向を示しており、依然として富士ソフト取締役会と創業家の意向は対立したままである。
セブン&アイ・ホールディングス(3382)に対するクシュタールからの7兆円規模の買収提案に対抗し、創業家からの9兆円規模のMBO提案であるが、2025年2月末までに資金調達完了を目指している。クシュタールからの買収提案も依然として有効であり、今後の展開が注目される。
大和総研の調べによると2024年6月株主総会はアクティビスト投資家等による株主提案が過去最高タイとなる90社にのぼり、本年は不祥事企業や低ROE企業、過大な政策保有株式を有する企業の取締役選任議案に対して従来以上に機関投資家の反対票が集まったとの事である。業績好調であるのに低ROE、PBR1倍割れの銘柄はアクティビストに狙われやすく、投資対象として魅力的である。
PBRが1倍割れの銘柄は、時価総額が純資産(株主資本)を下回っており、理論的には解散価値よりも安く評価されていると見なされる。非公開化の際、株価が買収価格まで上昇することが多いため、事前に購入しておくことでキャピタルゲインを得られる可能性が高い。以前「アクティビスト関連銘柄を追え!リスク回避のPBR1倍割れ銘柄の探し方とは」のレポートでアクティビストファンドが大量取得した銘柄の探し方を説明したが、投資手法として益々有効性が高まるのではないかと考えている。