今週の注目投資トピックは「ローソンは売上高最高・セブン&アイは大幅減益…コンビニ3社、3-8月期決算で明暗」を取り上げたい。元記事はこちら。
以下、10月15日のニュースイッチ by 日刊工業新聞より引用。
コンビニエンスストア大手3社の2024年3―8月期連結決算は、子会社譲渡の影響があったファミリーマートを除く2社が増収となった。ローソンは売上高に当たる営業収益、営業利益、当期利益の全てで過去最高だった。消費者の節約志向が高まる中、各社は品ぞろえの拡充や価格の見直しで差別化する。
ローソンの国内コンビニ事業は客数、客単価がともに前年を上回った。商品の刷新や配達サービス導入店の拡大、専門店との協業による高付加価値商品の販売が寄与。竹増貞信社長は「顧客の変化に合わせ、既存店への投資や商品開発に取り組んだ」と述べた。
同社は人工知能(AI)を活用した次世代発注システムを全店舗に導入した。実証してより効果的な活用法を探る。KDDIとの取り組みでは店舗、本部業務のデジタル変革(DX)で30%以上の効率化を目標に掲げる。
ファミマは中食やプライベートブランド(PB)が好調で、オリジナルの衣料品も売り上げを伸ばした。下期は店内のイートインスペースを転換して売り場面積を拡大し、日用品などの生活必需品の品ぞろえを拡充する。AIを用いた店舗支援や、生成AIによる業務効率化を進める。
セブン&アイ・ホールディングス(HD)はインフレによる海外事業低迷の影響が大きく、全利益段階で大幅減となった。商品を手頃な価格で提供する「うれしい値」キャンペーンで商品が「割高」とのイメージを払拭し、客数増を目指す。
コンビニ3社の中間決算が発表になった。ローソンは販促活動と宅配の強化で客数と客単価が伸び売上高、営業利益、四半期純利益ともに過去最高を達成した。ファミリーマートはプライベートブランド(PB)商品の衣料品が好調で、中国事業の再編に伴う特別利益を計上し、四半期純利益は前年同期比倍増となった。一方セブン&アイ・ホールディングスは海外のコンビニの不振で大幅減益の決算となった。セブン&アイは中間決算と同時に北米の7-Eleven店舗444店を閉鎖、またイトーヨーカ堂が運営するネットスーパー事業から撤退と発表した。
さて、2Q時点でのコンビニ3社の既存店の売上、客数及び客単価の前年同期比伸び率、全店、新店の平均日販は以下の通りである。(出所:各社決算説明会資料)
既存店売上 | 既存店客数 | 既存店客単価 | 全店平均日販 | 新店平均日販 | |
セブン&アイ | ▲0.4% | ▲0.4% | 0.0% | 69万9千円 | 59万2千円 |
ローソン | 3.1% | 1.5% | 1.5% | 57万3千円 | 54万5千円 |
ファミリーマート | 2.7% | 0.6% | 2.2% | 57万3千円 | 54万2千円 |
全店平均日販を見ると7-11の全店平均日販はローソン、ファミリーマートよりも12万円以上高いが、月次の既存店売上は2024年6月▲0.5%、7月▲0.6%、8月▲0.2%と三か月連続減収であった。これが一時的な落ち込みで回復するのか、或いはこのまま落ち込み続けるのか今回の決算のみで判断するのは早急であるが、今まで稼ぎ頭であった国内コンビニ事業が苦戦している事は事実である。
7-11は割高であるというイメージが客離れを招いたという意見も散見される。7-11はPBの「セブンプレミアム」で総菜を多く開発してきたが、価格的にはナショナルブランドよりも高いアイテムもある。一方ローソン、ファミリーマートもPB商品を開発しているが、価格競争力が高くかつ健康やダイエットを意識している商品を開発している。7-11は9月から低価格商品の投入、ポイント施策、粗利の高い新たなカウンター商品の販売、デリバリーの「7NOW」の拡大を決算説明会上で発表した。
セブン&アイ・ホールディングスは決算発表と同時に北米の7-11の不採算店舗444店の閉鎖、イトーヨーカ堂が運営するネットスーパー事業からの撤退、ファミリレスのデニーズ、雑貨店のロフト、赤ちゃん本舗の一部株式売却も発表した。また、社名を「セブン-イレブン・コーポレーション」に変更すると発表した。コンビニ事業に経営資源を集中し、企業価値の向上を目指すとの事である。これら施策はアリマンタシォン・クシュタール社からの買収提案を受けての事であるが、稼ぎ頭の国内コンビニ事業の回復となるか注目している。