2022年の各国金融政策
1月5日に12月の米連邦準備制度理事会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公開され、前倒しの金融引き締め、バランスシート縮小開始の観測から米長期金利が大きく上昇した。2月下旬にロシアのウクライナ侵攻が始まると西側各国によるロシアへの経済制裁からエネルギー価格、穀物価格等の商品価格が高騰し、欧米は1970年代のオイルショック以来の高インフレに見舞われている。3月から米FRBは0.25%の利上げを開始し、5月には0.5%へと利上げ幅を拡大し、6月から11月には4回連続の0.75%の利上げを実施し、12月には0.5%の利上げを決定した。
米FRBに続き西側主要各国中央銀行も金融引き締めに転じた。欧州中央銀行(ECB)は7月に0.5%の利上げ、9月、10月と2回連続の0.75%の利上げを実施し、12月は利上げ幅を0.5%に減速させた。
一方日本は西側先進国で唯一金融緩和を継続していたが、年末の12月20日というサプライズなタイミングで金融緩和策の修正を発表した。日銀は長期金利の変動幅を従来のプラスマイナス0.25%程度から同0.5%程度に拡大することを決定し、これにより長期金利と円が急上昇した。
2022年の日本株式市場
日本株の2022年のパフォーマンスは1月4日の大発会に日経平均株価は年末の終値より500円以上上昇し29,301.79円で引け新年最初の株価が前年末を上回ったのは、2018年の時以来4年ぶりであった。翌5日には日経平均株価は今年の高値の29,388.16円をつけた。しかし、その後米長期金利が大きく上昇し、米国株式市場ではGAFAMを中心として大幅に下落したが、日本株も、米国の金融引き締めへの警戒感、新型コロナウイルスのオミクロン型の感染拡大で先行きの景気不透明感が強まったことから大幅安となった。
2月下旬のロシアによるウクライナ侵攻が始まりエネルギー価格、商品価格の急騰を受けインフレ懸念より米長期金利の上昇、サプライチェーン、世界経済への懸念から3月9日には日経平均株価は今年の安値である24,681.74円をつけた。しかし、3月中旬にはウクライナ危機による資源価格の高騰が一服した事、米国株式市場の反発、円安進行による輸出企業の業績改善の期待等から日本株も2万8千円台まで回復したが上値は重かった。その後は中国のロックダウンのサプライチェーンへの悪影響、中国経済の先行きへの不安、米消費者物価指数(CPI)の上振れからの金融引き締め観測の強まり等から日本株は冴えない展開だった。
7月の参院選で自民党が勝利し、安定した政権運営の期待から上昇し、8月には日経平均株価が2万9千円台を回復する場面もあったが、その後は米国でインフレ警戒感が再燃した事により米国株は下落し、日本株も下落した。11月には米CPIが市場予想を下回った事、また中国のゼロコロナ政策の一部緩和から世界的に株式市場は上昇した。このように日本株は米国の金利動向に左右された動きをずっとしていた。
しかし、年末の12月20日に日銀が金融緩和策の修正を発表すると、長期金利と円が上昇し、日経平均株価は一時800円と急落した。
主な株価指数のパフォーマンス(12/23までの年初来騰落率)
日経平均株価 | ▲8.88% |
Topix | ▲4.74% |
東証マザーズ指数 | ▲28.41% |
NYダウ | ▲8.63% |
ナスダック | ▲32.90% |
SP500 | ▲19.33% |
FTSE100(英国) | +1.2% |
DAX(ドイツ) | ▲12.24% |
CAC40 (フランス) | ▲9.06% |
FTSEMIB(イタリア) | ▲12.69% |
日銀がサプライズの金融緩和策の修正をする前日(2022/12/19)までの年初来騰落率は日経平均株価が▲5.40%、Topixが▲2.89%、東証マザーズ指数が▲22.79%であった。英国のFTSE100のみプラスのパフォーマンスで日本株のパフォーマンスは英国を除きマイナスではあったがマイナス幅が大きくなかったが、日銀によるサプライズな金融緩和策の修正で日本株のパフォーマンスは低下した。
2022年に人気だった投資テーマ
2022年に人気だった日本株の投資テーマであるが、ウクライナ危機勃発を受けて資源エネルギー株、電力不足から原発再稼働の方針が首相から発表されると原発関連株が人気であった。年後半になりメモリーを中心とする半導体の需要減速が明らかになってからは国策で中長期的な成長が期待されるパワー半導体、防衛費増額を受けて防衛関連が注目されているが、ここに来て円高メリット銘柄、金利上昇予測から銀行株も注目されている。
2023年の各国の経済成長予測
来年の各国の経済成長の予測であるが、OECD(経済協力開発機構)が2022年11月22日に最新の「世界経済見通し」を発表し、世界の経済成長率(実質GDP伸び率)を2022年に3.1%、2023年には2.2%と予測した。前回の9月予測と比較して、2022年は0.1ポイントの上方修正、2023年は据え置いた。
OECDの予測によると、2023年の経済成長率は日本1.8%、米国0.5%、カナダ1.0%、英国▲0.4%、フランス0.6%、ドイツ▲0.3%、イタリア0.2%とG7のなかでトップの経済成長が予測されている。各国の金融引き締め政策が2023年により顕在化する事、欧米ではインフレが鎮静化していない。
一方日本は10月から実施された「全国旅行支援」の影響で消費活動指数は上昇しており、また直近の日銀短観によると22年度の設備投資計画は全規模産業で前年度比15.1%増、ソフトウェア投資は全規模合計で前年度比は17.8%増と高く、加えて10月に解禁されたインバウンド需要も期待でき堅調であると言えるだろう。
2023年度の上場企業の業績見通し
大和証券は12月13日までにまとめた主要上場企業の業績見通しで、金融と投資損益の影響が大きいソフトバンクグループを除く約200社の2022年度の経常利益が前年度比9.6%増で過去最高となり、2023年度も0.6%増とほぼ横ばいながら最高益を更新するとの予想を発表した。ただ2023年度は半導体不足による自動車の生産回復遅れなどのため8月時点の4.2%増益予想から下方修正した。2022年度は円安が押し上げ要因となり、経常利益の合計は46兆円になると予想。2023年度は世界景気減速などの懸念から、増益は維持するものの微増の46兆2,000億円になると見込んだ。
上記の大和証券の業績見通しは日銀による金融緩和策の修正の前にまとめられたものであり、現在の為替が円高傾向にふれているために企業業績的には円安からの業績押し上げ分が減少し、2022年度、2023年度ともに予想増益幅より低いものになるだろう。
また12月23日に総務省から発表された11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比3.7%の上昇であった。伸び率は前月の3.6%から拡大した。日銀が物価安定目標に掲げる2%を8カ月連続して上回った。日銀の黒田総裁は2023年3月末で任期終了になるが、新総裁によりマイナス金利解除の可能性もあり、その場合には更に円高が進行し輸出企業にとりマイナスのインパクトである。
2022年にテンバガーを達成した銘柄
2023年のテンバガー銘柄候補の前に2022年に実際テンバガーを達成した銘柄をあげてみる。2022年の一年間にテンバガーを達成した銘柄はバンク・オブ・イノベーション(4393)とマツモト(7901)の二銘柄であった。
バンク・オブ・イノベーションはスマホゲーム・アプリの開発・運営企業であるが、RPGゲーム「メメントメモリ」が170万ダウンロードを突破し、1月末の年初来安値1,450円から11月初旬に16,300円の年初来高値を達成した。バンク・オブ・イノベーションの株価情報
マツモトは学校の卒業・記念アルバム制作の大手企業であるが、ファンダメンタルズの改善というよりは株式インフルエンサーが紹介した事等から人気株となり3月末の年初来安値1,772円から6月下旬に年初来高値の21,450円を達成した。マツモトの株価情報
2023年テンバガー候補銘柄10選
テンバガー候補の銘柄を選ぶ基準として原則としてIPOをして5年以内の新興企業で利益率が高く成長をしており、これからも業績が伸びそうな企業、または利益成長が正当に評価されず割安に放置されている銘柄で時価総額が1,000億円以下の企業から選びたいと思う。所謂ボロ株からテンバガーを狙うという方法もあるが、100円以下のボロ株は2022年12月23日時点で66銘柄あり、それら企業のファンダメンタルズを調べたところテンバガーになりそうな企業はないように思えたのでボロ株は対象としない事とした。
業種は限定しないが、欧米のリセッション入りの影響を受けず、かつ①内需拡大のメリットを受ける企業で優れたビジネス・モデルを持っている企業、あるいは②ニッチなカテゴリーのトップ企業で、③既に黒字でROE、ROICなどの投下資本に対しての利益率が高い企業を選びたい。
①アズーム(3496)
株価(12/26/22) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
4,485円 | 263億円 | 57.6% | 34.2% | 32.3% |
予想PER | PBR | EV/EBITDA | PEGレシオ | 配当利回り |
32.77倍 | 15.08倍 | 18.7倍 | 0.6倍 | 0.45% |
企業概要:2009年創業。2018年上場。アズームは創業以来「不動産 x IT」を掲げ遊休不動産の問題をITの力で解決してきた。日本最大級の月極駐車場検索サイト「カーパーキング」の運営を軸に、月極駐車場に関するソリューションを提供している。主力はオフィスビル等の駐車場のサブリースでサブリースによるストック収入が全売上高の94%を占めている。
自社で保有・更新している月極駐車場の情報や、年間20万件以上の問い合わせ情報を活用することで精度の高い分析を実現し、駐車場の空き物件と利用希望者の登録データベースを構築し続けており、国内最大級の搭載車室数5万件のマッチング・プラットフォームを作り上げた。国内の対象駐車場数500万件のなかでは成長余地が大きそうである。
2022年9月期決算は過去最高益を更新した。年間の稼働率は92%であった。2022年9月期の業績は売上高64億円(29%YoY)、営業利益8億7,800万円(73.1%YoY)、当期純利益5億9,700万円(83.2%YoY)であった。営業利益率は13.7%、純利益率が9.9%と高く、自己資本比率が57.6%でROEが34.2%、ROICが32.3%と突出して高い。2025年9月期に売上高125億円、営業利益25億円、営業利益率20%、FY22~FY25の営業利益のCAGR(年平均成長率)42%を中期経営計画の目標としている。
②壽屋(7809)
株価(12/26/22) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
10,570円 | 274億円 | 42.6% | 31.2% | 16.3% |
予想PER | PBR | EV/EBITDA | PEGレシオ | 配当利回り |
22.73倍 | 5.35倍 | 11.4倍 | 0.7倍 | 0.66倍 |
企業概要:1953年創業。2017年上場。壽屋はフィギュアやプラモデルの企画・製造・販売を手掛けるファブレスメーカーである。1995年にエヴァンゲリオンを商品化した。主に他社IP(Intellectual Property、キャラクター等の知的財産権)の版権使用許諾を受けて企画・製造しているが、相対的に利益率の高い自社オリジナルIP製品も強化している。
直近の決算の2023年6月期1Q決算では、フィギュアは、アニメ『無職転生~異世界行ったら本気だす~』から「ロキシー・ミグルディア」等のアイテムが、プラモデルは、自社IPの『メガミデバイス』『フレームアームズ・ガール』関連アイテムが販売好調であり、売上高、収益性ともに向上した。売上高は48億円(39.7%QoQ)、営業利益は9億2,600万円(48.2%QoQ)、四半期純利益は6億円(39.2%QoQ)であった。営業利益率は前年同期比1.1pt上昇の19.4%であった。
国内のみならず北米でも「アニメエキスポ」「サンディエゴ・コミックコンベンション2022」等に出展し販路拡大をしている。アジアにおいてもプロモーションや販路拡大を積極的に行っている。需要は国内、海外ともに旺盛である。国内には秋葉原に小売販売拠点及び各種ホビー関連イベントスペースを所有している。またEC販売も手掛けている。
海外売上比率は28%である。円安時は輸出分に関して為替差益が生じたが、現在の円高により原材料費増を吸収する事が期待できる。壽屋に期待しているのはインバウンド需要の回復である。日本は2022年10月11日に個人旅行客の入国を解禁したばかりだが、2022年10月は訪日旅行者数は50万人弱であった。コロナ前の2019年のインバウンドの総数は3188万人、旅行消費額は4兆8135億円だった。2023年に2019年の半分、いや三分の一まで回復すると想定すると、利益率の高い壽屋にとっては相当な利益増が期待できるのではないかと考えている。
③フルハシEPO(9221)
株価(12/26/22) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
1,443円 | 77億円 | 29.8% | 20.0% | 7.1% |
予想PER | PBR | EV/EBITDA | PEGレシオ | 配当利回り |
9.38倍 | 2.51倍 | 8.8倍 | 0.4倍 | 2.77% |
企業概要:1948年創業。2022年上場。フルハシEPOは木質系廃材のリサイクル処理とその過程で発生する木質チップを燃料、または製紙用や建材用の原料製品として販売している。また、建設現場から生じる建設副産物の再資源化、リユース・リサイクルまで考慮した物流機器の製造・仕入・販売や中古物流機器の買取・販売などを行っている。
木質廃棄物の処理量は東海地区ではトップで、木質系が主力で再資源化率が高いビジネスモデルにより上場産廃企業10社の連結売上総利益率29.3%と比べてフルハシEPOは43.9%と高水準の収益性を実現している。また、フルハシEPOは川崎バイオマス発電所(発電出力33,000kW)、CEPO半田バイオマス発電所(発電出力 約50,000kW)に参画している。木質バイオマス発電は燃焼時にCO2を排出するが、樹木の成長過程で光合成により大気中のCO2を吸収するので、排出と吸収によるCO2のプラスマイナスはゼロになる。
国内のバイオマス発電所の導入量は過去5年間で2倍に増え、3月時点の出力は合計約470万キロワットに達した。政府は2030年度には同800万キロワット、国内の電源構成の5%まで増やす計画を立てている。バイオマス発電に使う燃料の6割を輸入に頼っていたが、フルハシEPOのように木質廃棄物をリサイクルして燃料に使用している企業は珍しくこれからも電力会社等とともにバイオマス発電に参画して行く予定であるが、バイオマス発電の拡大とともに業績拡大が期待される。
④エラン(6099)
株価(12/26/22) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
945円 | 573億円 | 58.8% | 21.9% | 21.6% |
予想PER | PBR | EV/EBITDA | PEGレシオ | 配当利回り |
28.57倍 | 6.56倍 | 15.2倍 | 1.6倍 | 1.06% |
企業概要:1997年創業。2014年上場。エランは病院に入院する人、 介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホーム、ケアハウス等の介護施設に入所する人に対して、入院・入所生活に必要となる衣類・タオル・紙おむつや日常生活用品などを日額定額制でレンタルできるサービス 「CSセット(ケア・サポートセット)」を提供している。また関連サービスとして入院費・介護費保証やトラブル保証といった保証サービスも提供している。
業績は13期連続最高益を更新しており、2022年12月期3Q時点で契約施設数は2,005施設(21.12期末から新規+226施設、解約35施設)、月間利用者数は363,259名(21.12期末から+21,849名)であった。病院のターゲット数は7,297施設で開拓率は17.1%、老健と介護医療院のターゲット数は4,101施設で、開拓率は7.5%であった。
少子高齢化、核家族化、また単身高齢者の増加により需要は益々増加する一方であると言ってよいだろう。エランは入院セットのパイオニアで業界首位を独走しており、解約率も約2%と低く日本全国のターゲット施設の開拓余地は大きく、これからも安定した成長が期待される。
⑤クラシコム(7110)
株価(12/26/22) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
1,360円 | 98億円 | 82.5% | 14.9% | 14.1% |
予想PER | PBR | EV/EBITDA | PEGレシオ | 配当利回り |
15.82倍 | 2.66倍 | 7.1倍 | N/A | N/A |
企業概要:2006年創業。2022年上場。ECサイト「北欧、暮らしの道具」でビンテージの北欧食器の販売から始まり、現在は雑貨、服飾品を販売している。「暮らしを自分らしく、美しいものにすること」「日常のささやかな幸せを大事にすること」といった世界観を提供している。D2C(Direct to consumers)という形態をとり、ECモールやECプラットフォームは介在していない。
コラム、ドキュメンタリー、ドラマ、そしてポッドキャストや劇場映画も発信するようになり顧客を拡大し、これらは顧客に世界観を浸透させ、長期にわたるロイヤルティを醸成する資産であると会社は認識している。通常の小売業者のように広告費や宣伝費といったコストに大きく依存しないビジネスモデルである点が大きく違う点であると言えるだろう。また、クラシコムの世界観に共感する国内のナショナルブランドを中心とした事業者に向けてマーケティングソリューションを提供している。
2022年11月末時点で、エンゲージメントアカウント数は560万人、このうち実際に会員登録をし、買い物をした会員数が累積51万人、年間購入者数が18万人とアクティブ率が高い状況である。
直近の2023年7月期1Q決算は売上高が16億円(QoQ22.6%)、円安下でも粗利率は41.7%、営業利益は2億7,000万円、営業利益率は17.1%、四半期純利益率は1億8,000万円、純利益率は11.5%と高い水準を維持した。自己資本比率が82.5%と高いがROEが14.9%、ROICが14.1%と高い。台湾や韓国にも進出を考えているようであるが、世界観に訴求する異色の小売業がどこまで成長するのか楽しみである。
⑥セカンドサイトアナリティカ(5028)
株価(12/26/22) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
1,580円 | 42億円 | 85.4% | 16.1% | 15.9% |
予想PER | PBR | EV/EBITDA | PEGレシオ | 配当利回り |
24.58倍 | 6.55倍 | 13.3倍 | 0.5倍 | N/A |
企業概要:2016年創業。2022年上場。アナリティクスとテクノロジーを活用したサービスを提供する専門企業。「AI」の核となる機械学習やディープラーニングなど 新技術のR&Dを行い、様々な業種・分野に対するアナリティクス・コンサルティングサービスと、それを動かすIT基盤やAIサービス(プロダクト)をSaaS形態で提供している。
収益の柱のアナリティクス・コンサルティングサービスは金融業に加えて建設、製造業の顧客が増加している。顧客としては新生銀行、SBペイメントサービスの比率が大きかったが、直近では両社合わせて約30%と比率が低下している。
TIS(3626)、セブン銀行(8410)、ミロク情報サービス(9928)は資本業務提携先であり、三井住友海上火災保険は業務提携先であり、新規顧客の獲得の際の信用力補完になっているようである。
業績的には下期偏重型であり、2023年3月期中間決算は赤字決算であったが、通期の業績予想は売上高10億円(41.9%YoY)、営業利益2.5億円(63%YoY)、当期純利益1.7億円(62.4%YoY)に変更はない。通期の業績で見ると、2022年3月期は営業利益率24%、純利益率16.1%と競合より利益率が高く、AI関連銘柄でもバリュエーションは低く、これからの業績拡大が期待される。
⑦アドベンチャー(6030)
株価(12/26/22) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
9,360円 | 682億円 | 51.8% | 15.6% | 7.9% |
予想PER | PBR | EV/EBITDA | PEGレシオ | 配当利回り |
41.3倍 | 6.81倍 | 12.8倍 | 1.2倍 | 0.24% |
企業概要:2006年創業。2014年上場。格安航空券予約サイト「スカイチケット」を運営するOTA(Online Travel Agent)。旅行関連アプリ「skyticket」が、iOS・Androidで累計1,800万ダウンロードを2022年7月に達成した。コロナで旅行需要が大分低迷していたが、国内は旅行需要が高まり上期(7~12月期)にレンタカーやホテル等が想定以上に伸びた。
国内の取扱商品はレンタカーやカーシェア、ホテル等の契約件数を増やし拡大している。2022年11月にレオパレスフィリピンを取得し、完全子会社化した。(取得費用は1億2,000万円)この他にも海外のOTA買収等海外進出に積極姿勢である。
海外旅行の需要は日本帰国時のPCR検査等も近い将来撤廃されて海外旅行需要の戻りも大きく期待され、業績的にはこれから一層の拡大が期待される。
⑧AViC(9554)
株価(12/26/22) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
1,003円 | 58億円 | 48.7% | 31.9% | 31.6% |
予想PER | PBR | EV/EBITDA | PEGレシオ | 配当利回り |
18.42倍 | 8.06倍 | 11.3倍 | 0.2倍 | N/A |
企業概要:2013年創業。2022年上場。中堅企業、スタートアップ企業が対象のネット広告、SEO代理店。インターネット広告サービスではリスティング広告、ディスプレイ広告、インフィード広告などの運用型広告を提供している。SEOコンサルティングサービスに関しては検索キーワードの選定、競合分析を踏まえた戦略の立案と実行、サイトの構造最適化等を提供している。
市場拡大が追い風で大幅増益であるが、顧客は新規開拓に加えて他社からの乗り換えも増加している。大手広告代理店やマーケティング・コンサル事業者との協業を拡大して新規顧客の開拓をする予定である。
これから人材を積極的に採用していくので利益率は低下する事が予想されるが、2022年9月期通期の営業利益率は25.4%、純利益率は10.4%と高く、自己資本比率48.4%でROEが31.9%、ROICが31.6%と高かった。
⑨ケアネット(2150)
株価(12/26/22) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
1,044円 | 471億円 | 83.4% | 17.3% | 18.1% |
予想PER | PBR | EV/EBITDA | PEGレシオ | 配当利回り |
25.43倍 | 4.96倍 | 13.3倍 | 0.6倍 | 0.57% |
企業概要:1996年創業。2007年上場。医師向け情報サイトを通じ製薬の営業支援、DVD、動画配信により医療教育コンテンツの配信もしている。外資系製薬顧客の予算圧縮があるが、医薬営業支援は高い伸びである。過去6年間毎年最高益を更新しており、今年も最高益更新の可能性が高い。新規事業としてMR代替事業の拡大を図る方針である。M&Aにより拡大している。
自己資本比率は83.4%と高いが、ROEは17.3%、ROICは18.1%と高い。製薬業界は薬価引き下げより縮小傾向にあり、自社で人員を丸抱えせずに、営業支援、MR代替を外部で調達する動きは加速するのではないかと思われ、ケアネットの業績には追い風であると思われる。
⑩クイック(4318)
株価(12/26/22) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
2,047円 | 379億円 | 72.0% | 16.1% | 16.2% |
予想PER | PBR | EV/EBITDA | PEGレシオ | 配当利回り |
12.90倍 | 2.77倍 | 5.6倍 | 0.4倍 | 3.13倍 |
企業概要:1980年創業、2001年上場。看護師、建設関連の専門職、エンジニア、製薬業界、建設業界等特定業種の人材紹介を軸にし、人材派遣、求人広告の広告代理事業、また海外でも人材紹介、人材派遣を手掛けている。
創業して長い企業であるが、昨今の人手不足で業績は右肩上がりである。求人広告もコロナ禍からの戻りが顕著である。また海外事業も黒字化している。看護師、建設業界、エンジニア、製薬業界等人手不足が顕著な業界に特化し、採用難度が高い職種に力を入れており、これからも業績の伸びが期待できる。
2023年3月期中間決算で売上、各利益ともに過去最高を更新した。自己資本比率72%でROEは16.1%、ROICは16.2%と高めである。
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