2024年から「新NISA」が始まります。制度が新しくなるのに伴い、これを機にNISAを始めようとお考えの方もいらっしゃることでしょう。
この記事では、新NISAとはどのようなものなのか、そして老後資金の確保を目的に実際に月に5万円ずつ投資に回したらどのくらいの運用益がでるのかシミュレーションした結果をお伝えします。また、同様に老後資産の確保や節税のために併用されることの多い「iDeCo」を活用する際の留意点についても解説します。
新NISA制度の特徴
NISA制度とは、2014年から始まった個人投資家のための―税制優遇制度のことです。具体的には、銀行や証券会社などでNISA口座を開設し、その口座内で投資を行った場合、得た利益(配当・譲渡益など)に対しては非課税(一般的には約20%の税金がかかる)になります。
この制度が2024年より大きく変わります。大きな変更点としては投資枠の変更です。
投資枠に関する規定をまとめた下のテーブルを見てみましょう。
参照 NISAとは:金融庁
なお、新たに設置された「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の詳細については以下の通りです。
つみたて投資枠
つみたて投資枠とは、これまでのつみたてNISA(積立NISA)の役割を引継ぎ、長期の積み立て・分散投資に適した一定の投資信託に投資できます。
成長投資枠
成長投資枠とは現行の一般NISAの役割を引き継ぎ、上場株式などに幅広く投資がでます。ただし、上場廃止のおそれがある監理銘柄や上場廃止が決まっている整理銘柄、高レバレッジ型や毎月分配型の投資信託などは除外されます。
上記の通り、年間・そして生涯での投資上限が引き上げられ、個々人のリスク許容度に応じて柔軟な対応ができるようになりました。
毎月5万を積み立てた場合、老後にはいくらになる?
毎月一定額を積み立てた場合、運用益はどのくらいになるか実数を見てみたいとお考えの方も多いことでしょう。
ここでは、たとえば定年を迎える65歳まであと30年ある35歳の人が「つみたて投資枠」のみを使い、毎月5万円を投資した場合、どのくらいの運用益がでるのかを考えていきたいと思います。
一般的に資産運用の利回りは3~5%程度といわれていますので、平均利回り3%で運用した場合と5%で運用した場合のシミュレーションを見てみましょう。
① 平均利回り3%の場合
この場合、つみたて元本1,800万円に対し、運用益は1,113.7万円で、合計2,913.7万円にまでなっている試算になります。
② 平均利回り5%の場合
この場合、つみたて元本1,800万円に対し、運用益は2361.3万万円で、合計4,161.3万円にまでなっている試算になります。
参照:金融庁資産運用シミュレーションより
なお、つみたて投資枠で購入できるのは国内外の株式に投資する投資信託や、株式を含むバランス型投信のみです。債券やREIT(上場不動産投資信託)だけに投資する投資信託は含まれません。投資商品の分散は投資成功の重要な要因の1つとも言われているためこの点については留意が必要です。
そこでもし幅広い商品を検討したいと考えている場合には、「成長投資枠」と併用を検討してみるのも一案です。
毎月5万円が投資に充てられる資金なのであれば、積立金額の一部を成長投資枠に回して、1口(1,000円~30,000円程度)で買えるさまざまな商品を対象としたETFを購入するなど手もあります。
※ETFとは、投資信託の一種ですが、一般的な投資信託とは違って取引所に上場しているため、個別の株式と同じように、証券会社を通じて取引所で売買することができます。ゆえに、取引時間内であればリアルタイムに取引ができるのがメリットといえます。また、1,000円程度からの小口売買が可能のため投資に回せる資金が限られている場合には適した投資商品です。
また、実際にどのようなETFに投資したらいいかのヒントが欲しいと思ったときは、弊社の投資SNS「アイデアブック」を見てみるのもおすすめです。
【「アイデアブック」の投稿で紹介されていた5万円以下で買えるETF一覧】
最低投資金の単位は円。2023/6/6終値。
分配利回りは運用会社HPより抜粋。
*2023年4月上場のため、分配金支払実績なし
**過去の分配金支払い実績を基に執筆者が試算
【参考】各ETFの概要
・「グローバルX US テック・トップ20 ETF」は、NVIDIA, GAFAM, Teslaなど米国ビッグテック企業20社で構成するインデックスに連動するETFです。
・「NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信」とは、 東証に上場する賃貸不動産に投資を行う日本の60リートで構成する東証リート指数に連動するETFです。
・「上場インデックスファンド新興国債券」とは、インドネシア,韓国,中国,マレーシア等10ヶ国以上の新興国国債で構成するインデックスに連動ETFです。
・「グローバルX 米国優先証券 ETF」とは、米国優先株で構成するインデックスに連動ETFです。
iDeCoとNISA制度、併用時の留意点
同様に老後資産の確保や節税のために併用して利用されることの多い制度にiDeCoがあります。
iDeCoとは、自分が拠出した掛金を、自分で運用し、資産を形成する年金制度です。運用益に対して税金がかからない点はNISAと同じですが、掛金全額が所得控除の対象となります。課税所得額の減少に伴い、所得税、住民税(10%)も減少するため、結果として税金が軽減されます。
両方を併用する際、留意したいことは、毎月投資に回せる金額を考える際はiDeCoの掛け金についても考慮すべきという点です。iDeCoで拠出した金額とNISAでの投資金額の合計が毎月手元の資金としてはなくなることを前提に金額の設定を行うようにしましょう。
なお、原則としてiDeCoに拠出した資産は60歳になるまで引き出すことはできません。iDeCoの方が節税メリットは大きいものの、こうした留意点も考慮しながら、毎月それぞれにいくら回すのか考えましょう。
まとめ
給与収入がなくなった後、年金だけで生活する難しさは年々増しています。これから改正された新NISA制度、そしてiDeCoを活用して老後資金を準備しようと考えられている方は、本記事を参考にご自身の資産形成をプランニングしてみてください。
その過程で幅広い金融商品から投資対象を選びたいと考えるようになったら、フィンタクトジャーナルをチェックしてみてください。最新の国内外の個別株情報やテーマ株の情報など投資に役立つ情報を日々アップデートしています。
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