とある調査*によると、22%の人が現在副業中で、今後副業を始めたい人は85%!とか。最大の理由は「収入を上げるため」で、副業の平均年収は20万円だそうです。

*出所: Job総研調査 「2023年 副業・兼業の実態調査」

なるほどと感じる状況ですが、実は副業をするのが、あなた自身である必要はありません。あなたの代わりにお金に副業をしてもらう方法があります。それが資産運用です。

20241月、非課税投資制度が規模を大幅拡大、新NISAとして再スタートします。J-REIT**への投資が可能な成長投資枠は、年間240万円で合計1,200万円分。

240万円をJ-REITに投資し、現在(2023年5月末日時点)の平均利回り4.1%/年の分配金(=配当)を受け取れば、分配金収入だけで年間10万円、1,200万円を投資すれば、年間50万円近い分配金収入を得ることができます。J-REITの中には5.5%程度の配当利回りの銘柄も存在します。

**賃貸用商業不動産に投資を行う投資法人で、一般企業の株式にあたる投資口を東証に上場しており、証券口座を通じて1口単位で売買可能です。詳しくは過去のジャーナル記事をご参照ください。

資産運用しようにもそもそもお金がない、とのご指摘をいただきそうですが、何事もはじめがあります。

NISAは、多くの人にとって十分に大きな投資枠であり、5年~10年経った時、制度を存分に活用した人と、活用しなかった人の間には大きな資産格差が生じているでしょう。

勉強して新NISAを活用するのか、それでも投資は怖いとチャンスを見送るのか、選択するのはあなた自身です。

もし、勉強する道を選ぶなら、高配当で小口投資が可能なJ-REIT投資へと、一歩足を踏み出してみませんか?

今回のジャーナルでは、最初に2023年のJ-REIT市場を振り返った上で、REIT投資で重要な物件の種類(以下、「アセットタイプ」と言います)について解説します。

さらに、J-REITで大きなシェアを占めるオフィス特化型REITの特徴について説明し、最後に「アイデアブック」で試している投資アイデアをレビューします。


      目次

  1. 2023年のJ-REIT市場振り返り
  2. アセットタイプ(投資対象物件の種類)とは?
  3. アセットタイプ別の特徴
  4. オフィスREITの特徴
  5. オフィスREIT投資に役立つ情報
  6. 「アイデアブック」投資アイデアの紹介

1. 2023年のJ-REIT市場振り返り

 

2023年のJ-REIT市場は、日銀の金融政策変更による長期金利上昇懸念に加え、新規供給の増加によるオフィス市況の悪化懸念等を背景に下落局面が続きました。

さらに、3月下旬には米国金融機関の破たんによる信用不安の影響もあり、東証REIT指数(配当なし)は一時、23ヶ月ぶりとなる1,750ppt.まで下落しました(赤丸部分)

 

4月に入って相場はやや落ち着きを取り戻しつつあるものの、ここまでは概ね1,850ppt.(緑色のライン)を上限とする頭の重い展開が続いています。

ジャーナル執筆中の2023年4月28日時点では、日銀の政策決定会合を受けて、懸念された政策変更がなかったことへの安心感から、1,870ppt.に上昇して引けました。

このまま2023年の高値を超えて1,900ppt.を回復できるか、今後の動きが注目されます。

REIT指数.jpg

(Source: 日本取引所グループHP)

買い

そんな全体的に冴えない状況ではありましたが、執筆者は1,800ppt.水準は、投資に適した局面と判断し、「アイデアブック」で個別REITに対する投資アイデアを試しはじめました(最後に紹介します)

足元J-REITの平均分配金利回りは4.1%を上回っており10年物国債利回りとの差であるイールド・スプレッド***3.6%と、過去から見ても魅力的な水準を維持しています。

***イールドスプレッドについては過去のジャーナル(「REIT投資の教科書 第8回」)で解説しておりますので、ご参照ください。

(Source: ニッセイアセットマネジメント「J-REIT市場 現状と今後の見通し(2023年4月号)

一部のオフィスを除けば、REIT保有物件の稼働率は高水準を維持しており、賃料も概ね上昇局面にあることから、物件の償却前営業利益とも言うべきNOI(Net Operating Income)の低下懸念は限定的と考えます。

 

また、物件の売買市場が活況なことから、物件売却による譲渡益を分配金の底上げに充当する例も多く見られます。

含み益の拡大は、いざという時の自己投資口買いの原資にもなり得ることから、投資の安心感につながります。

 

逆説的ですが、投資口の下落により公募増資の実施件数が減少している点も、需給面からの投資口価格の下押しを抑える要因となっています。

 

金融政策の変更による長期金利の上昇には依然警戒が必要ですが、予想上昇幅は以前の10年物国債1.0%水準から少しずつ切り下がり、0.7%~0.8%での織り込みが徐々に進んでいる印象です。

 

今後懸念すべきは、オフィス市況と借入コストの上昇という米国発の要因でしょう

いずれも日本が米国同様の状況に陥るとは考えづらいものの、当面これらのリスクを避ける投資戦略を考えるのがよさそうです

REIT指数に連動するインデックス投資よりも、個別リートに対する投資がよさそうな局面という意味です。

 

20231月~3月、東証REIT指数は5.7%下落しました。

個別REITを見ると、最もパフォーマンスが良かったいちごオフィス投資法人(IOR*** 8975)が14%近く値上がりしたのに対し、東急リアルエステート投資法人(TRE 8957)は約13%値下がりしており、両者には25%を超える大きな値動きの差が生じました

***J-REITでは投資法人名を3つのアルファベットで表す慣習があります。IORの値上がりは、一部の投資主から臨時投資主総会招集請求を受けたことによる思惑買いの面もあり、やや特殊な事例と言えそうです。

 

他にもホテルに投資するインヴィンシブル投資法人(INV 8963)が9%都心の賃貸マンションに投資するコンフォリア・レジデンシャル投資法人(CRR 3282)が6%を超えて上昇し、指数が低下する中で気を吐きました。

全体が下がる中でも上昇するREITをいかに見つけるか?

この学習しがいのあるテーマの第一歩は、投資対象となる物件の種類(アセットタイプ)毎の特徴を理解することです。

 

2. アセットタイプ(投資対象物件の種類)とは?

現在J-REIT市場には60の投資法人が上場しています(他に再生エネルギー発電を手掛けるインフラファンドが5法人あります)

賃料収入を生む賃貸不動産に投資を行うという点は共通ですが、投資対象とする不動産の種類はさまざまです。

 

J-REITが投資対象とするアセットタイプは、オフィスビル、物流倉庫、賃貸マンション、商業物件、ホテルなどです。

SMBC日興証券のレポートによれば、202212月末時点におけるJ-REITのアセットタイプ別の投資割合は、オフィス39%, 物流20%, 住宅14%, 商業14%, ホテル7%の順だそうです。

 

J-REITの多くは、特化型と呼ばれる特定のアセットタイプを専門に投資を行う投資法人で、各アセットタイプの特化型REITが存在します。

また、2種類のアセットタイプに分散投資を行う複合型や、さらに幅広い種類の不動産への投資を手掛ける総合型と呼ばれるREITも存在します。

 

アイスクリームに例えると、特化型REITに投資をするのは、バニラ、チョコレート、抹茶など異なる味の中から1種類のアイスを選ぶことに似ています。

これに対して、複合型や総合型REITへの投資は、店が決めたアイスクリームセットの購入に例えられそうです。

バニラと抹茶とか、ナッツとチョコとバナナのような組み合わせは、店があらかじめ決めているので、消費者が自由に選ぶことはできません。ただし、違う店に行けば、異なるセットを購入できます。

 

特化型REITを選ぶ、複合型や総合型REITを選ぶ、どちらが正解ということではなく、あくまで投資家の好みです。

 

一般的には、自分好みのポートフォリオを作りたいなら、特化型REITを複数組み合わせるのがいいでしょう。

それに対して、費用を抑えて、または手間をかけずに分散の効いた不動産ポートフォリオに投資をしたいなら、複合型や総合型が向いていると言えるでしょう。

とはいえ、オフィス特化型のREITだけでも10法人が存在します。同じバニラアイスでも、店が違えば味が異なるのと同様、同じアセットタイプでもリートによってそれぞれ特徴があります。

 

60法人から好みのREITを選ぶのは決して簡単ではありませんが、好みの銘柄を組み合わせて自分だけのポートフォリオを作るのは、大きな楽しみとなるはずです。

また、NISAの投資枠は、それが十分可能な規模だとも言えます

 

3. アセットタイプ別の特徴

アセットタイプが違っても、賃料収入の動向が重要な判断材料であるという点に変わりはありません。

賃料動向に変化をもたらす二大要因は、空室率(又は稼働率)と賃料という相互連鎖する要因で、足もとの状況のみならず、先行きも不動産価格に大きな影響を与えます。

アセットタイプにより特徴が異なるのは、賃貸借契約に関する慣行がアセットタイプ毎に異なることに起因しています。慣行の違いは賃料のボラティリテイにも影響を与えます。

 

賃料の変動率を大きい順に並べれば、以下のようになると思われます。

ホテル 商業 オフィス 賃貸マンション 物流倉庫

実際には個々の契約内容によって賃料の変動率は異なるため、あくまで執筆者の主観に基づく見立てです。

 

賃料の変動率が大きければ、NOIも大きく変化するため、不動産物件の価格も上下に振れやすいと言えるでしょう。

REIT投資においては、分配金が変動しやすくなるため、投資家が求める分配金(配当)利回りの目線も高くなりがちです。

 

例えば、物流倉庫や賃貸マンションREITに比べて、その他のアセットタイプのREITは分配金利回りが高くなる傾向があります。

また、ホテルREITについてはコロナ禍でNOIが激減したため、足元の分配金利回りがいびつになっている点にも注意が必要です。

 

つまり、賃料の変動率が大きいアセットタイプは、大きな儲けが期待できる一方、値下がりも大きくなりがちで、どちらかと言えば狩猟型の投資と言えるかもしれません。

例えば、売上や利益に賃料が連動する賃貸借契約を採用したホテルや商業物件では、賃料が毎月変動します(固定賃料のみの物件も多くあります)

また、オフィス物件では賃貸借契約を2年間とするのが一般的なため、当該借り手(テナント)からの賃料は2年毎に変化する可能性があります。

 

一方、賃料の変化率が小さいアセットタイプは、不動産価格が安定的なことから、農耕型の投資を志す方にとっては魅力的な選択肢となるかもしれません。

典型例としては物流倉庫や賃貸マンションが挙げられます。ちなみに物流REITLogisticsからロジREIT、賃貸マンションはResidentialからレジREITと呼ばれます。

 

ただし、実際の投資では、投資金額を調整することでリスク量の調整が可能です。値動きが大きいアセットタイプでも、投資金額を抑えることで、リスクを低減できます。

ここから各アセットタイプのREITの特徴をもう少し詳しく解説します。まずは、J-REITで大きなシェアを有するオフィスREITからです。

 

4. オフィスREITの特徴

オフィスREIT投資のポイント: 日本の商業不動産の代表格。メインのテナントである企業は、自社の業績に合わせてオフィススペースを増減する傾向があるため、景気に対する連動性が相応に高い。賃貸借契約は2年契約が多く、賃料の変動も比較的早い。東京のオフィスを中心にグローバル投資家からの注目度も高いため、マーケットデータが豊富に揃っており、投資判断のための情報が豊富。

コロナ禍での働き方の変化もあり、特に米国では大きな変革期を迎えており、今後の動向が注目される。

 

勤めている会社の事務所が自社ビル以外の方は、もしかするとREITが大家さんのビルで働らいているかもしれません。

ちなみにpafinは平和不動産リート(HFR 8966)という複合型REIT所有のビルに入居しています

 

J-REITにおける投資割合が示す通り、オフィスビルは日本の商業用不動産投資における不動の4番バッターです。その存在感の大きさゆえに東証REIT指数に与える影響も大きく、オフィスリートの投資口価格の下落は2023年のREIT指数の低下に大きな影響を与えました。

 

オフィス需要は東京を中心とする大都市、とりわけCBD(Central Business District)と呼ばれる中心部に偏在しており、大都市の中心部にある大規模ビルはその希少性から、内外の投資家の強い投資ニーズを集めます。

テナントとの賃貸借期間は一般的に2年間と短く、物件が位置する市場の賃料データも広く共有されるため、物件の賃料収入は比較的早く市場水準に収れんします。

現在の賃料と周辺地域の市場賃料の差はRent Gapと呼ばれ、各オフィスREITIR資料で開示しています。

Rent Gapがどういう状態にあるかは、そのREIT将来の売上を予想する上で大変重要な情報です。

 

主なオフィステナントである企業は、業績の変化に合わせて事務所スぺースを調整するため、オフィス物件は景気の影響を受けやすいアセットタイプとも言えます。

 

そのため、経済の拡大期には事務所の拡大ニーズから空室率の低下、賃料の上昇によるアップサイドを期待できる一方、経済の縮小期には賃料低下が懸念されます。

下のチャートは、オフィス賃貸仲介大手の三幸エステート社作成の資料ですが、水色の空室率が変化した後に、紺色の賃料が変化していることをご確認いただけると思います。

 

空室率とは、オフィスビルの賃貸可能面積のうち何%がテナントに貸せていない空室状態にあるかを示した値です。

それに対して賃料は、1ヶ月1坪あたりでテナントから受け取る賃料を示しています。1坪は3.3057…㎡で、たたみ2畳ぶんの広さです。

 

例えば、2003年から2005年にかけて、空室率が10%超のレベルから3%程度まで、急低下しています(右ゲージご参照)。

空室率が低下すると、大家は強気な値付けができるので、賃料は上昇します。2003年には23,000円程度だった賃料が、2007年には50,000円水準へと跳ね上がっています。

しかし、賃料がピークをつけた2007年頃から、空室率が再び上昇し始め、それを追うように賃料は低下しています。

 

このように、オフィス賃料は、経済サイクルと同様、シクリカルな動きを示す傾向があります。

(Source: 三幸エステート株式会社 「マーケット情報」)

このようなオフィス賃料のサイクルに影響を与える要因として、マクロ経済の動向に加え、オフィスビルの需給動向があります。

 

下のチャートは、同じく三幸エステート社作成の資料ですが、空室率が急上昇した2003年には、かつてなく大量の新築ビルがマーケットに供給されたことが確認できます。この時は「オフィスの2003年問題」と呼ばれました。

 

新築ビルのオーナーは、ビルの竣工に先立ってテナントの誘致に動きます。テナントとの契約に成功した場合、当該テナントが抜けるビルには空室が発生するため、そのビルのオーナーは他のビルからテナントの引き抜きに動きます。

こうした玉突き状態では、低い賃料を提示することが新規契約のインセンティブとなるため、空室率の上昇は賃料の低下の連鎖へとつながるわけです。

 

オフィスREITへの投資では、このような市場の需給関係を変化させる新たなオフィスビルの竣工にも目を配る必要があるでしょう。

(Source: 三幸エステート株式会社 「マーケット情報」)

まさに足元のオフィスREITの不振は、コロナ禍でのリモートワークの進展によるオフィススペースの縮小に加え、2023年以降発生する大量の新規供給による空室率の上昇、その結果としての賃料の低下懸念に振り回されていると考えられます。

 

さらに、米国においてリモートワークの定着やダウンサイジングの影響により主要都市のオフィス空室率が急激に上昇しているという事実に加え、中小金融機関の破たんの影響による貸し渋り、ひいては資金調達コストの上昇が強く懸念されており、これらの事情もオフィスREITへの投資をためらわせる要因になっていると考えられます。

 

日本のオフィス市場を同一視するつもりはありませんが、J-REIT投資の最大プレーヤーである海外機関投資家が自国で見ている景色は、J-REIT市場にも否応なく影響を与えます

海外投資家は売買金額において、取引量の約半分を占める最大投資家です。詳しくは「REITの教科書 第8回」をご参照下さい。

 

一方、オフィスREITの投資口価格は、PNAV倍率(=投資口価格/1口当たりNet Asset Value)が軒並み1倍を下回るレベルまで下落し、水準の修正が進んだこと、各REITが物件売却を行い、譲渡益の充当により分配金の低下を回避していることから、ダウンサイドの織り込みは終わったと考える投資家も出てきており、今後の投資口価格の値動きが注目されます。

 

REIT指数の本格的な回復には、比重の大きいオフィスREITの復活が必須条件と言えますが、個人の投資においては、オフィス市況の底入れを確認するまでは、あえて触らないという選択もあり得るでしょう(逆に個人だからこそ、積極的なリスクテイクができるという考え方もあります)

 

オフィス特化型REIT10法人存在しますが、投資戦略は大まかに都心を中心に大都市の大規模ビルを投資対象とするREITと、中小規模のビルを投資対象とするREITに二分されます。

大規模で新しいオフィスビルが、「Aクラスビル」と呼ばれるのに対し、中小型ビルは「Bクラスビル」と呼ばれます。

ランドマーク的な大規模ビルを「Sクラスビル」と呼ぶケースもあり、賃料水準は大きさに比例して、Sクラス > Aクラス > Bクラスとなるのが一般的です。

 

大型のAクラス物件を中心に投資する場合、物件価格が高いことから、REITの規模も大きくなりがちです。

賃料水準が高く、事務所スペースも大きいため、テナントには大企業が多く、テナントクレジットの高さは魅力の1つです。

 

大規模オフィスへの投資戦略を採るREITとしては、三井不動産系の日本ビルファンド投資法人(NBF 8951)と三菱地所系のジャパンリアルエステイト投資法人(JRE 8952)が代表的です。

NBFは、JREと並ぶ日本第1号の上場REITであり、資産規模、時価総額の両面で全リート中首位の座を維持しています。足元は異なりますが、分配金利回りが最も低いのは常に両リートの期間が長く続きました。

 

一方、中小型のBクラスオフィスビルを投資対象とする場合、個々のテナント企業の安定性は下がるものの、テナント候補となり得る企業数が多い他、投資を検討できる投資家数も多いことから、売買市場の流動性が高い点に特徴があります。大企業と中小企業を比べると、全体の企業数や従業員数は中小企業が圧倒的に多いという事象と似た感じです。

 

Bクラスビルに投資するREITの分配金利回りは、大規模オフィスREITに比べ、高くなる傾向があります。

 

オフィス特化型REIT(一部他のアセットタイプに投資実績あり)は以下の通りです。

なお。REITを比較する場合、「JAPAN-REIT.COM」というJ-REIT情報を集めたサイトが便利です。

 

Tickerリート名投資対象PNAV(倍)時価総額(億円)投資口価格(4/25)予想利回り(%)決算
8951日本ビルファンドAクラス0.949,508559,0004.11%6/12
8952ジャパンリアルエステイトAクラス0.917,627537,0004.29%3/9
8958グローバルワンAクラス0.781,077105,3005.77%3/9
8972ケネディクスオフィスBクラス0.772,570303,0004.79%4/10
8975いちごオフィスBクラス1.051,41693,6006.46%4/10
8976大和証券オフィスBクラス0.752,840594,0004.61%5/11
8987ジャパンエクセレントAクラス0.711,575117,8004.75%6/12
3234森ヒルズリートAクラス0.962,947153,8003.97%1/7
3290OneリートBクラス0.82634236,5005.46%2/8
2972サンケイリアルAクラス0.6838883,1005.33%2/8

(Source: JAPAN-REIT.COM, 投資対象は執筆者が分類)

 

5. オフィスREIT投資に役立つ情報

オフィスREITへの投資を検討する際に、まず参考にすべきなのは、各オフィスREITのホームページやIR資料です。

J-REITはIRに積極的な法人が多く、開示情報は非常に充実しています。また、証券会社のアナリストレポートなども投資判断の助けとなります。

 

投資の序盤においては、ここまでで十分だと思います。

但し、追加投資により投資額(エクスポージャー)を拡大させるときや、一定の知識を得た後は、以下のオフィス市場に関する一次データを確認するのも有益です。

 

オフィス市場の市況(空室率、賃料相場)と売買市場の状況が重要ですが、まずは情報を得やすい賃貸マーケットの状況に注目しましょう。

オフィス賃貸仲介を行う前述の三幸エステートが公表する「オフィス市況」三鬼商事が公表する「オフィスマーケット」は、賃貸市場の動向の把握に役立ちます。

 

また、CBRESavillsといった大手不動産サービス企業も賃貸市場、売買市場に関するレポートを定期的に公開しています。

CBRE 「ジャパンオフィスマーケットビュー」

Savills 「東京オフィス」

 

さらに、世界主要都市のオフィス市況を俯瞰するデータとしては、パイチャート上に賃料と空室率の動向を4象限に分けて示すJLL社のProperty Clock非常に有名です。

 

オフィスリートの投資口価格については、オフィスリートのみを抽出した「東証REITオフィス指数」が役に立ちます。

ジャーナル執筆時点で、オフィス指数に連動したETFはありませんが、将来誕生すれば、日本のオフィス市場に気軽に投資できる商品となるでしょう。

OfficeREIT.jpg

(Source: 日本取引所グループHP)

次回(第2回)は、価格の値動きが比較的穏やかで投資初心者にも手掛けやすいと思われる、賃貸住宅と物流倉庫REITを紹介します。

6. 「アイデアブック」投資アイデア紹介

執筆者が「アイデアブック」に投稿したJ-REITに関する投資アイデアのいくつかを紹介します。

J-REITNISA投資のチャンスがきたんじゃないか?」

寸評:想定通りに成長中。こういうのがあるから投資は楽しい! 当初目標の+10%近くまで来ましたが、特段の懸念材料もないため続行します。

 

リート指数が1,800ppt.まで下落したことから、値動きが小さいレジリートを主軸に、リスクを抑えた押し目買いを試みたもの。

コロナ禍での東京からの人口流出から、東京への人口再流入の報道を受けて、賃料の上昇が見込める都心の賃貸マンションを中心に投資を行う東急不動産系のコンフォリア・レジデンシャル投資法人(CRR)をピック、全体の約半分を配分

 

CRRは毎年1月に公募増資(PO)を絡めた物件取得を実施してきたが、2023年は地合いが悪い中でのPO実行が嫌気され、投資口価格がコロナ初年の2020年レベルまで下落していたため、更なる下値は限定的と判断。一方、CRRは利回りの低さが泣き所なことから、利回りが高い3REITを組み合わせて利回りを補完

 

「自社株買いオフィスリートにNISAで逆張り」

寸評:外しました。。。入るタイミングが早すぎました。ひたすら待ちます「自己投資口買い」。

 

オフィスREITの下げが続く中で、いわゆる値ごろ感から、あえて逆張りを試みたもの。シミュレーションだからこそ、試せるアイデアだとも言えます。

 

配当利回りが4%台半ばを超えたオフィスREIT2法人に均等投資。銘柄選択にあたっては、中小規模物件中心、分配金利回りが高めに加え、過去の自己投資口買い(=自社株買い)実績を重視。

投資口価格が過去の自己投資口買い水準を下回っていたことから、更なる下落時には自己投資口買いによる買い支えが期待できると判断。

 

オフィス市況への懸念が和らがず、ひたすらアゲンストの風を受けていますが、3ヶ月間の最大のマイナス幅は6%で、上下の値幅も7%程度です。外したと言っても、REITの通常時の値動きはこんなものです。

NISA投資なら、年間配当4.6%程度をまるまる受け取れるため、かなりの負けを取り返せます。こうした想定通りいかなかった時にどのくらい負けるかを体験することが、投資のいい練習になります。

 

自己投資口買いの意味:① マネジメントは決定時の投資口価格が安すぎると判断している、➁ 新規物件に投資するよりも、投資口数を減らす方が投資主メリットに資すると判断している

(分配金総額が変わらない一方、発行済の投資口数が減るため、1口当たり分配金は増加。この増加幅は、物件リノベーションや新規物件の取得によるプラス効果よりも大きいからこそ、買入消却選択したはず)。

REITに関する詳しい説明は、以前公開したジャーナル「REITの教科書」をご参照ください。

 

今回のジャーナルを読んでオフィスREIT投資に関心を持たれた方は、是非「アイデアブック」にアイデアを投稿してみてください。

アイデアを作成する際、「アイデアを非公開にする」を選択すれば、アイデアはあなたにしか見えません。

 

今回のミッション:「オフィスリートの中から、1法人を選んで買う(ロング)または売る(ショート)を試してください。何%の利益を期待し、何%負けたら止めるのかを考えた上で始めるとより実践的です。」

 

投稿に慣れたら、公開アイデアの投稿もお願いします!

第2回に続く