202 ディスカッション
先週金曜日の米国市場は、大幅下落。コロナのオミクロン株登場に投資家心理が急速に悪化し、原油及び金利が急降下。株式市場も大きく下げることになった。タイミング悪く感謝祭翌日で休暇を取っていることの多い日程でもあり、取引自体も半日で終了する薄商いの日であったため、一方向に動きやすかったことも大きな理由であろう。日経平均先物も27,850円まで下がっている。 コロナの変異株が現れること自体よりも、それによってこのようなマーケットの反応があることは正直に言ってサプライズ。年内はもうイベントもないんじゃないかと思っていたが、その矢先にいきなり予想を外してしまった。ただ先週金曜日のマーケットの反応はかなりオーバーリアクションだと思っている。オミクロン株が結局どういう影響があるのか今一つわからないが、感染者数が増える⇒ロックダウン、という図式を心配しているのであれば、むしろリスク資産は買いだと思っている。過去2年間の繰り返しであり、金融緩和継続、ないし拡大、財政のさらなる拡張が予想されることから、これまで見てきたコロナ禍における資産価格拡大の再現だと想定している。 実際にはオミクロン株自体が経済に与える影響はそう大きくないとは思うし、だからこそ金融緩和や財政に与える影響もあまりないと思っているが、そうであるなら金曜の下げは行き過ぎており反発が期待できるのではないか。過去に変異株は何度も出てきたが、
米国株式市場は休場。 日経1面にある「人手確保へ待遇改善急ぐ」で、製造業や飲食で期間従業員やアルバイトの給料を大きく引き上げている報道が出ている。経済正常化のサインとして受け止められ、ようやく日本でもこういう賃金上昇の動きが出てきたかと思う。これと消費回復が伴っていけばコロナ以降のペントアップデマンドが少し見えてくるかもしれず、そこに期待したい。 もう少し言えば、日本でも賃金上昇⇒インフレの流れが来る可能性がある。人出不足の解消はそう簡単に終わらない可能性があり、賃金上昇とコスト増、それを転嫁するための値上げ、というサイクルがあらゆる業種でおこる可能性がある。グローバルではすでに起きていることだが、毎度のごとく日本では絶対値としてはインフレはほとんど起きていなかった。とはいえ日本全体でこの人出不足の流れが起きるとしたら、賃金上昇とインフレという、黒田さんがずっと待っていたインフレの機会がようやくやってくる可能性がある。 シンプルに考えるとコロナ禍前に働いていた人たちがまた同じ場所に復帰すれば済む話であり、人出不足となるとこの消えた労働力はどこにいったのだ?という話ではあるのだが、実際日本以外の各国で同じことが起きており、同じ場所に戻ってくれない上に全体として労働力不足に(なぜか)なっている。経済というより、社会レベルでの人の行動学みたいなものかもしれないが、いずれにせよ先行している
昨夜の米国株式市場はナスダックを中心に値上がり。発表された主要なマクロ指標はすべて想定を上回り、継続的な金融緩和の必要性が再び問われる展開となった。高いインフレ指標及びFOMCの議事録発表でテーパリング加速に加え利上げの前倒し観測がさらに強まり、カーブのフラット化と同時に2年金利が一年ぶりの高い水準に上昇。 具体的には個人所得が予想の+0.2%に対し0.5%伸び、支出も1%の予想に対し+1.3%。ミシガン大学消費者マインド調査も67.4と先月急低下した水準からやや安定。一方連銀が好むインフレ指標であるPCEは先月の+4.4%からさらに加速し、+5%を記録。再び30年ぶりの高インフレを確認。 それを受けてドル指数も2020年1月ごろの水準を回復した。お金の量(=M2)を40%弱拡大してきたにも関わらず、ドルの相対的価値がここまで急速に戻っているのは正直、驚いている。ドル円も115円台半ばまで上昇し、2017年1月以来の円安。 これまで超ハト派のFRBを理由に多少の高いインフレでも放置されると期待されたことから、本来であれば高リスク資産の株式・コモディティ・仮想通貨等がある意味、債券化した。皮肉なことに債券自体はインフレゆえに持つことができず。「下がったらすぐに下支えするだろう」といったモラルハザードが市場の恒常的な特徴となっている。そうすると高リスク資産の継続的なリターンが事実上「保
昨日は日本市場が休場であったため、FRB議長再任前後の展開のまとめと、仮想通貨市場にもやや関係するかもしれないFRB副議長についての話。 パウエル議長の再任を受けて、米国金利は上昇している。昨晩の米国株式市場はこの流れを受けて、ハイテク株、グロース株が売られて、バリュー株や金融株などが上昇する典型的な展開となった。 パウエル議長が再任したことで利上げが一段と積極的になると予想された、という見方のようだがこの見方にはあまり同意していない。何を基準に積極的というのか言葉の問題もあるかもしれないが、これまでパウエル議長が利上げに積極的だったとはあまり思えない。マーケットもパウエル議長の再任を基本的には予想していたわけでそこまでのサプライズはないと思うが、実際には直前になってパウエル議長以外の選択肢とそうなった場合が意識されて金利や金融株が下がっていたことが、反動として昨晩逆の動きとなった要因であると予想している。 本線ではないとはいえ、ウォーレン議員の推すブレイナード氏が議長になるリスクが直前になったやや意識されたのであろう。そうなった場合は金融緩和により積極的になった可能性があるのはそうかもしれないが、むしろヘッジファンド向けの融資等に関するより厳しい規制が導入されることが予想されたため、金融セクターは弱含んでいたのかと想定される。結果、パウエル議長の再任報道を受けて反動で戻した、とい
金曜日の米国株式市場はまちまちな展開。欧州で再ロックダウンの懸念が広がると、巣ごもり系、金利下落からのグロース系銘柄が買われる一方で、銀行、エネルギー、航空系などが下落。コロナ禍初期のような反応となった。FRB高官から次回の会合でテーパリング加速について議論する可能性も示唆されたが、金利市場に大きな影響は結果的に与えなかった。 各国が原油高に対抗するために石油備蓄の放出について言及。日本でも備蓄余剰分については放出するようだ。備蓄放出による原油市場への影響は、実際のところはそう大きくないと思うが、これによる心理的な影響からの価格下落を狙ってのことだろう。そういう意味ではこけおどしに過ぎないものの、実際に原油は直近の高値から10%近く下がっており、今のところは功を奏している。ただし繰り返し使える施策ではないので、話題性含めて吸収されてしまったら、より原油高に向かう懸念もあるので要注意。 岸田政権の経済対策について、あらためて深堀りしてみようと思う。先週指摘した通り、メッセージ性が0のためあまり注目もされていないのが実際だが、だからこそ中身を見てみる。 まず規模面。事業規模79兆円、財政支出規模55.6兆円と昨年12月5日に国会通過した菅政権の総合経済対策(事業規模72.9兆円)を更に上回っている。GDP規模で換算すると米国で320兆円近い水準であり、これは現在米国で進められている、総
引き続き金利はレンジの中で安定。その中で良好な企業決算や小売り見通しに支えられて株式市場はプラスとなった。序盤はFRB当局者からインフレに関する言及もありやや警戒感から下落していたが、金利市場への影響があまりなかったこともあり素直に企業決算に反応する展開へ。今のところは想定通り安定的な適温相場が続いている。 岸田政権からようやく経済対策について、55兆円という金額が出てきた。以前ここでも「真水で20兆円近く余っているのだから総事業費でいえば40-50兆円規模のものが出てもおかしくない」と説明していたが、その上限を超えるような規模であり金額でいえば素直にポジティブ。ただその打ち出し方が下手というのか、正直言ってマーケット慣れしていないようにしか思えない。岸田政権が真面目過ぎるのか不慣れなのか理由はわからないが、安倍・菅政権のときのような10のことを10以上に見せて打ち出すような、マーケットとのコミュニケーションが出来ていない。 これは案外重要なことで、同じ政策でも市場の反応が変わってくるのだから、その効果を考えればメッセージはとても重要であり、また投資においても政権のコミュニケーション能力は判断材料の1つとなる。中身だけでは必ずしもマーケットは動かない。考えてみれば当たり前だが政策効果が出るのは年単位の話なので、中身だけで勝負となると短期では反応しない。そのためにストーリーを演出する
昨夜の米国株式市場はここ数日の流れが一旦終わり、全体が下落。先日の10年、30年債に続いて20年債も不調な入札結果となったが、ここ一週間の金利の急上昇が一服し金利が全体的に低下。バイデン大統領も引き続きガソリン価格に対して口先介入を繰り返し、FTCにエクソンとシェブロンへの調査を命令したと報道された。これを受けて原油価格が3%値下がり。 本日は「まもなく」発表されるはずのパウエル議長とブレイナード理事のFOMC議長対決に関して少しだけ考えてみたいと思います。 お二方の違い パウエル議長とブレイナード理事の主な違いは、あまりない(笑)。しいて言えば大手金融機関に対する金融規制に関してはブレイナード理事がより厳格な姿勢。パウエル議長がウォーレン議員等に名指しで批判される際は主に金融機関に対するやや緩い態度が主な原因。どちらもハト派であり、どちらも資産価格を気にする富裕層でもある。そうなるとどっちになって関係ない!と思うかもしれないけど、一つ重要な(市場の想像による)違いがある。 利上げのタイミングを巡る論争 ブレイナード理事は別に明確に利上げのタイミングに関して何か方針を出しているわけではないが、市場の見方として彼女のほうがより長くインフレを「我慢」するとみているだろう。実際のスタンスはともあれ、市場のこのビューが、FOMC議長人選発表のタイミングで様々な資産に現れるだろう。 金利カー
米国株式市場は総じて上昇。10月の小売売上高が前月比+1.7%と、予想の+1.4%を超えて増加し、3か月連続で増加している。先週末のミシガン消費者信頼感指数は予想以上に低下していたが、消費者心理とは裏腹に実際の消費はあまり陰りは見えない。金利もFOMC前の水準い戻しつつあり、消費の強さに裏付けられて株式市場も強いという展開。当面政策面で大きな動きがなさそうだし、あるとしても数か月の統計指標を見てからでないと動けないだろうから、それまでの間はややリスクオンの相場であると理解している。 一方で為替はドルが上昇。ドル円のレートもさらに円安が進んでいる。価格転嫁できない輸入系の日本株には厳しい展開となりそう。個人的にパッと思いつくのは食肉加工の銘柄とか。PERの水準もすでに低いし面白味はかけるものの、ここからショートしてもやられるリスクは少なそうとか。もっとも適温相場が続くと予想している中であえてポートフォリオを変える意味も少ないので、その状況でショートを増やす意味はもっとない。そのため反対側のロングをしっかり持っておきたいのだが、どれも上がっているものが多くて悩ましい。だったら今持ってるものを持ち続けておけばいいという結論なので、しばらくは好きな銘柄もってマーケットを静観しているだけでもよさそうではある。かといって指数を取引してもあまりボラティリティもなさそうで恩恵も薄いし。 昨日は仮想
昨夜の米国株式市場は金利高を受けやや低調な展開。原油価格は引き続きバイデン大統領の戦略備蓄放出命令を懸念しもみ合い。昨日は珍しくカーブがスティープ化(短期金利より長期金利の上昇幅が大きかった)し、30年金利が一時2%を回復した。 FOMCのインフレに対する手遅れの対応が懸念され、市場が利上げの前倒し観測を強める一方。 本日のコメントにて少し米国から離れて、全世界のインフレ状況を見てみたいと思います。 ツイッターでもこちらのコメントでも継続的に米国のインフレ状況を紹介しているが、決して米国に限った現象ではないことを改めて強調したい。特に欧州におけるインフレは米国と同様に30年ぶり高い水準を記録し、インフレの「見て見ぬふり」姿勢はパウエル議長だけの演技ではない。 以下の図で全世界のGDPの約80%を占める国のインフレ(名目CPI)推移をまとめてみた。 右に行けば行くほど、全世界が真っ赤に染まっていく。 ヨーロッパに加えてアジア、先進国、資源国すべてが数十年ぶりのインフレを経験している。ずっとマイナスだった日本でもプラスに浮上。 先進国の中央銀行は「コアCPI」や「PCE」を重視し、ボラティリティの高いエネルギーや食料品を除いて政策決定をするが、足元のインフレにおいてすべての項目が高ボラティリティ化している。以前も何度か申し上げたが、この環境下で本来であれば価格転嫁ができない業種でも転嫁
金曜日の米国株式市場は上昇。一週間終わってみればほぼ横ばいとなり、CPI発表による金利の高騰は大きなボラティリティをもたらさなかった。金利も急騰後はあまり動いていない。金曜日にはミシガン大学が発表する消費者信頼感指数の11月が発表され、10年ぶりの低水準の結果であった。これによりインフレ加速の指標、消費後退の指標が入り乱れ、金利や利上げをどう織り込んでいいのかわからないような状況になっている。 結局数か月くらい様子をみないと、FRB含めて、マーケットもよくわからないのではないかと思う。そういう意味ではやはり金利は少なくとも年内はレンジの中での動きにとどまるだろうし、方向感が持ちにくい分指標1つでの動きがいつもよりボラティリティが増す展開になるだろうが、このレンジの範囲なら株式市場にとってはもう金利の動きは年内は無視してもいいんじゃないか?と思っている。 そう考えていくと、今回の決算も含めてこれから業績が伸びていく会社をシンプルに買っておくのがいいのかと思っている。バリューよりグロースという流れに先週なっていたのもうなずける展開。旅行等の銘柄も、まさにこれからは伸びる可能性もあるので、単純にバリュー系を捨てるという意味でもないが、要するに自分なりに業績予想をして増益をしていく会社がいいのだろう。金利の話がまたやかましくなりそうな年明けには、一度見直したほうが良さそうではあるが、実は利
昨日は、債券市場が休場だったので大きな動きはなかった。前々日のCPI発表をうけて金利が11bpsも急騰し、年末まで適温相場が続くかと思われた矢先にボラティリティが上がるような動きとなった。とはいえ、それまで金利が下がりすぎていたことが要因の1つでもあり、急騰したとはいえ絶対値が1.57%程度なので水準としては何かが変わるようなものでは全くない。金利の(金利に限らずだが)ボラティリティが上がることはやや懸念ではあるが、レンジで動いている分にはあまり影響もないだろう。 それよりも金利が直近高値の1.7%を越えていくような動きを見せてくるかどうか。利上げは遅かれ早かれ行われると思うし、それを加味すると2%超えても不思議ではないとは思うが、一方で金利はこれまで実際に政策が変わってくるタイミングを見て上昇している。つまり利上げすることが決まってくる段階まではレンジ相場かなと思っており、利上げするしないはテーパリング開始して最低3か月分くらいのデータポイントはとるだろうと思えば、年内に利上げに言及する可能性は今の態度を見ているとなさそうである、というのが僕の結論。 ただ株式市場にとって一番重要なのは、これがスタグフレーションなのかどうか、であろう。直近の経済指標は力強いものが続き、必ずしも経済が停滞している中でのインフレとはなっていない。昨日はディズニーの弱い決算でダウは引っ張られたが、S&P
昨夜の米国株式市場は1990年11月ぶりの6%強の名目CPIと二日連続の長期国債入札不調を受け大幅安。なおどさくさに紛れてショートセラーっぽい投資家から中国恒大集団の破綻を煽るプレスリリースが出され、全体が久しぶりに大きく揺らいだ。 特に昨日の10年債、今日の30年債の入札不調が印象的であり、PPIにつづきCPIの発表で債券投資家の価格センシティビティーが高まっていることが伺える。 CPIに関してツイッターで纏めておりご覧ください: https://twitter.com/aminimaz/status/1458428494627565569 中国恒大集団の報道についても今朝報告しているのでご確認ください: https://twitter.com/aminimaz/status/1458533085616631808 https://twitter.com/aminimaz/status/1458561926447845376 さて、本題へ。 昨日の米国金利が全体的に大きく上昇し、相変わらずフラット化(短期金利が相対的に長期よりも上がる)が進んだ。利上げの前倒し観測が強まる一方、中央銀行による政策ミスの可能性や金利上昇による景気後退の懸念から短期・中期(2年~7年)金利が平均的に11bps程度上昇したのに対し、10年~30年金利は8bps~9.9bpsに留まった。 その中で一番動い
10月の卸売物価指数(PPI)は、前月比₊0.6%と発表され、9月の₊0.5%から引き続き物価の伸びが加速していることが確認された。本日CPIが発表されるので、インフレの動向とそれに対する反応はおそらく本日のマーケットがより顕著に表れると思われる。昨日の米国市場は、こういったCPIを控えてのPPI発表に対してバラバラの反応であった。 まず金利はさらに低下。インフレを懸念しての物価連動債を購入する動きが大きい一方で、通常の国債にも買いが入ったことで金利は大きく下落している。インフレに注目している一方で、その長期化を懸念しての物価連動債購入する投資家と、先行き不透明なところから低リスク商品かつFRBのインフレ一時的見通しを支持する投資家と分かれている。株式市場はやや下落。テスラ株が、イーロン・マスクが株を売って税金払ったほうがいいかツイッター上で問いかけていることで、株市売却懸念から10%以上下げていることも影響があった。他、連日最高値更新していることに加えてインフレ懸念も含めて、利食い売りの動きが見られている。 本日のCPIで下がっている金利がどう反応するかが気になっているが、理由はともあれ全体でみれば低金利にとどまっている状況に変わりはなく、年末にかけてFRBの方針が急にタカ派にかわることもなさそうであるため、しばらくは適温相場が続くのではないかと思っている。 日本株については、会
昨夜の米国株式市場はテスラ売却騒動を吸収し再び最高値を更新。今夜のPPIと明日のCPI発表を控え短期金利を中心に上昇しフラット化がさらに進んだ。 今日は東芝の分社化報道を受け、多くの日本企業で見られるコングロマリット・ディスカウントを少し深堀してみたいと思います。 報道によると東芝はインフラ(電力、交通、エレベーター等)、デバイス(リテール向け商品、ハードディスク等)、半導体メモリーの三つに分け、「コングロマリット・ディスカウントの解消」を目標とした再編を検討している模様。 このコングロマリット・ディスカウントとはどういうものか、投資家がどう捉えているのでしょうか。 東芝のセグメント業績を見て頂くと7つの異なる事業を手掛けていることがわかる。それぞれ2000億円~7000億円の売上規模と、0.5%の薄利から9%の高営業利益率の事業がある(ROS=return on sales、売上高対比収益=営業利益率)。 投資家は東芝のような企業を評価する際はどういった指標を使うのでしょうか。表面的な収益だけを見て全社の株価収益倍率(PER)を使うケースがもちろん多いが、長期投資を見据えた大手機関投資家はSOTP(サム・オブ・ザ・パーツ)分析を用いるケースもある。 財閥系の歴史がある日本において、複数の異なる事業体で形成されている企業が多数存在する。 SOTPとは、それぞれの事業の理論的な価値を
金曜日に10月の米国雇用統計が発表され、+53.1万人と市場予想平均の+45万人より上振れ。さらに9月の雇用統計数字も+31万人と当初発表されていた+19万人から大幅に上方修正された。想定以上の雇用者数の回復により、労働市場にいよいよ復帰してきていることと、米国の経済活動の堅調さがうかがえる結果となった。賃金も前月+0.4%増と引き続き増加を続けている。 さらにファイザーが、開発中のコロナの経口治療薬について重症化リスクが大幅に低下したことを発表したこともプラス要因となった。メルクに続いて経口薬の開発が進んでることが示唆されたことで、再びコロナからの復活銘柄が買われる展開となっている。 一方で、金利は下落した。特に長期金利が大きく下落し、イールドカーブはフラット化している。2年及び5年金利は、力強い雇用統計の結果から当初は上昇を見せていたが、終盤にかけて下がり始め最終的には金利は下落。10年債は7bpsも低下することになった。正直金利の大幅な下落はやや解せない。先週のFOMCを受けて早期利上げの観測が後退したとはいえ、それも結局は状況次第。力強い雇用統計に賃金上昇、続くインフレが堅調であれば再び利上げ観測は台頭すると思われる。 加えて金曜深夜から土曜にかけて、1兆ドルのインフラ法案がついに下院を可決した。数か月前に上院を通過した段階で期待としてはある程度織り込み済であると思われるが
米国市場は総じて上昇。早期利上げ観測の後退からグロース系を中心に上昇した。テーパリング前後から連日最高値更新を続けており、終わってみればイベントも無事に消化したような様相。テーパリングに至るまでかなりの時間をかけていたことで、ボラティリティはほぼなくなっていたのだろう。 さて、不透明な選挙とテーパリングがともに無事通過したことで、リスクを取りに行っていいかなと思っている。日経平均先物をヘッジでショートしていたが、大部分は解消しており、ここからは岸田さんの経済対策も出てくるだろうし、全体が大崩れすることはあまりなさそう。年末にかけて強い展開を予想している。 懸念があるとすれば、日本株の決算が見通し含めて、今のところは大きく上振れているわけではなさそうなところ。大型株は比較的堅調なので、日経平均やTOPIXは堅調かもしれないが、米株のように構成銘柄の80%が上振れ、という状況ではない。全体が一段あがる上で、ボトムの利益の貢献よりかはPERの水準訂正による効果に期待するしかないので、金利が再度上がり始めたりすると少し弱い側面はある。 決算はまだ全然見きれていないので、個別株のアイデアはまだ何も思いついていない。期限到来で自動的にアイデアがクローズされてしまったワコムは引き続き非常にいい決算で自社株買いとともに株価は上昇。ショートが非常に溜まっていた銘柄だったが、毎四半期好決算と自社株買い
昨夜の米国株式市場はイベント通過やショートカバー等で大きく最高値を更新。ただし、金利はカーブ全体が上昇し、スティープ化が進んだ。 歴史的なFOMC決定会合の記者会見を改めて分析してみたいと思います。 パウエル議長のそれぞれの発言の裏にFOMC自体が経験したことのない金融情勢が伝わってくる。これまでにあった金融政策の方向性に対する「自信」が感じられない会見となった。 主な質問と回答、そして私の見解は以下。 The markets anticipates that you will raise rates once or twice next year -- are they wrong?(相場は来年1,2回の利上げを織り込んでいるが相場の見方が間違っているのでしょうか) この質問に対する答えは主に目の前にあった資料からの棒読み。内容の趣旨は「様子を見ながら判断する」ということだったが、決して相場の判断を否定したわけではない。ついでにインフレは来年のQ2やQ3に減速するとの見解を示した。 アミン:何回も「um」とか「eh」と相槌を打ちながら答えた。ほかの質問への回答で見られなかった躊躇。ECBでも現れたが、相場の見方を否定すると思わぬ反応がでる恐怖があるだろう。 > Do you think it is possible that maximum employment could be
昨夜の米国株式市場は各国の中央銀行決定会合前に一段と値上がりし、再び最高値を更新した。今日は先週YCCを突如諦めたRBAのミーティングに注目。 その前に金利は米国金利が小康状態だったが、6カ月物の入札がやや不調な結果となった。市場の利上げ観測が急速に前倒しとなっている中、市場参加者の短期金利の水準へのセンシティビティーが高まっている。 マクロから一旦離れて、今日発表された最大手商業系リートのサイモンプロパティーグループ(SPG)のQ3決算をみてみたいと思う。 一株当たりFFO(償却前不動産収益による税引き後キャッシュフロー)は$3.13と、市場予想の$2.53を24%上回り、売上も$13億ドル(市場予想$12.1億ドル)と予想を超過し、極めて好決算であった。年間のFFO予想を$9.70~$9.80から$11.55~$11.65に大きく上方修正し、実績も予想も市場コンセンサスの上限を超える着地となった。一株当たり配当も10%増額。 発表後に電話会議を行ったサイモン社長のコメントが非常に印象的だった: * Q3の入居率が92.8%とQ2から1%改善。 * 米国内のNOI(償却前不動産利益)は前期比24.5%改善し、年初来8.8%の伸び。 * 年初来、3500の新規と既存テナントとリース契約を締結。これはコロナ前の2019年の同時期対比30%の増加。 * モールテナントのQ3売上高は20
注目の衆院選の結果が出揃った。自民党が261議席の獲得となり、事前の報道と比較すると想定以上の大勝となった。自民党が単独で絶対安定多数といわれる261議席に到達できたことは、マーケットでも予想されていたとは思えず、素直に考えれば市場にとってはポジティブな結果であったといえよう。マーケットの位置を考えると、自民党の過半数割れまで織り込んでいたとは思えないが、それでもここまで議席を確保できたことは今後の政権運営考えてもかなりの市場の安心感がでると思われる。 一方で、懸念は甘利幹事長の辞任である。小選挙区で敗北したことで比例で復活とはなったものの、幹事長職の辞意を岸田首相に伝えたとか。甘利さんは岸田政権における経済対策を一手に引き受けて構想・実行する立場であっただけに、経済対策の停滞が非常に気になるところ。もっともスキャンダルによる辞任でもないので、別役職を引き受けつつ経済担当は続ける可能性もあり、形だけの辞任にとどまる可能性も十分にある。現状ではどういう辞任となるか判断がつかず、またさらに、仮に経済担当から外れたときの後任もわからないため、そのインパクトすらも読みにくい。 想定以上の与党の大勝により、今日の日本株はポジティブな反応になることが予想される。甘利さんの問題がややのどに骨が刺さっているような状態だが、具体的な影響が見えてくるまでは、マーケットが下値を意識することは少なさそう。
良好な決算を背景に米国株式市場は上昇。S&P500社の内、半分近くが決算をだしており、80%程度が市場予想を上回る決算であった。またGDP速報値が出され、7-9月期の米国GDPは年率換算で₊2%と、市場予想の+2.7%を下回る弱さだった。4-6月期の+6.7%と比較して予想以上に減速することとなったが、一方で企業決算自体は予想以上の結果であった。デルタ株蔓延によって7-9月期の経済減速が懸念されていたが、GDPはその通りの結果であるものの、それと上場企業の決算は直接はリンクしなかった。このことが、企業業績に裏打ちされた上場株式市場でみれば、多少の安心感につながったものと思われる。 金利も数日ぶりに上昇に転じた。GDPは弱かったものの、同時に発表されたコア個人消費支出(PCE)価格指数が+4.5%となっており、インフレに注目して金利は上昇する結果となった。ただイールドカーブはフラット化しており、短期金利は上昇しているが来年以降はインフレ減速、あるいはデフレのような、そんな織り込みかたになっている。 昨日発表された決算、実際に投資するか考えている銘柄としてニチガス。原油上昇によるコスト増を背景に決算懸念から足元株価は軟調。そんな中、中間決算は営業利益が計画比20%下振れ。市場予想比でも17%近い下振れとなった。通期の予想は変更せず。今日さらに下がるようならアイデアブックに投稿しようかと