202 ディスカッション
米国株式市場はより前の反発をすべて戻してしまい、小幅な値上がりにとどまった。寄り前のナスダック先物は1%強の値上がりを示していたが、金利の高止まりで小幅な下落で取引を終えた。 テックを中心としたグロースの調整は足元の金利上昇で説明できるが、全体を考える上でそれ以上に注目すべき指標がドル指数。2020年3月以降に株、仮想通貨、コモディティ、不動産等の上昇を裏付けたのは「Cash is trash」=(現金がゴミ)の発想。前代未聞の財政対策と金融緩和でお金の流通量が急増すると同時にその価値が急落した。その価値の目減りを代表したのがグローバルリザーブ通貨であるドル。 ドル指数はユーロ、円、ポンド、間ドル、クローナ、フランの六つの通貨のバスケットに基づいて算出。世界の主要通貨対比のドルの価値を示すもの。コロナショック時は大量の流動性供給で100の水準から下落し始めて2021年のはじめに2018年2月以来の低水準を記録した。「現金を持っていても意味がない」ことから様々なリスク資産に大量の資金が流れた。たとえば今年に米国株式ETFへの資金流入は5000億㌦(56兆円相当)にのぼり、全世界で約1兆㌦が株に流れた。これは過去20年間の累計金額を超える凄まじい規模である。 ただし、ここ数日金利上昇と同時にドル指数が今年の高値を抜いて2020年10月以来の水準を回復した。先進国で利上げ観測が増える中、
昨晩の米国市場は大幅安。金利の上昇が止まらず、それを受けて高Valuationのハイテク株中心にグロース株が売られる格好となった。金利が上がることで株式のValuationの是正が行われる、という意味で昨日ようやく株式市場が反応した。それにしてもここ数日の金利の上げ方は大きい。昨日も長期金利は6bpsあがり1.5%をしっかり超えてきた。直近の高値の1.7%を抜けるかがポイントだが、上げ方の急ピッチぶりが株式市場をやや混乱させ、下落をさらに誘発していると思われる。 金利が、いつ、どの程度に落ち着くのかが注目。金利の絶対水準の1.5%は正直あまり高くもなく、どちらかといえば引き続き上方向のリスクは十分あるが、個人的には今1.7%を超えて上がり続けることもないと思っており、向こう1か月は1.6%が上限としていいところなのではないかと考えている。11月からのテーパリング開始、来年の利上げ可能性の増加、という観点で先週のFOMC以降、数日遅れて金利の上昇が始まったが、ここに米国の債務上限問題やインフラ法案に紐づいた歳出増加などがさらに輪をかけている。ただし、債務上限問題(債務上限引き上げできなければ国債のデフォルトリスクもあり得る)によって債券が売られ金利が上がるのは理論的にはその通りなのだが、過去何度もあったこの問題は、それが大きく意識されたときはリスク回避で米国債が買われて金利が下がる、
昨夜の米国株式はエネルギー価格上昇と金利上昇を受け軟調な値動き。日中のコメントにて複数の連銀総裁がテーパリング開始を示唆する中でナスダックを中心に先週の反発から一旦下落。一方、「オールドエコノミー」銘柄中心のダウが小幅な値上がり。 コロナ禍は次々と前代未聞の出来事を起こし、間違いなく金融史に残され今後も多くの研究の対象になるであろう。昨夜はそこにもう一つの歴史的な出来事が加わった。2020年中の個別銘柄取引で倫理的配慮が足りないと批判されていたボストン連銀のローゼングレン総裁と、ダラス連銀のカプラン総裁が同日に引退を表明。ローゼングレン総裁は木曜日に、カプラン総裁は10月8日に辞任する。二人ともタカ派でありこれまで早期テーパリングとバブルへの懸念を主張していた。 2022年に利上げを予想していた9人のタカ派メンバーの二人が消えたことによりしばらくFOMC内のパワーバランスが不透明な状況に。社会問題が深刻化する前に二人が身を引いたことによりパウエル議長の再任へのハードルの一つも消えたであろう。 FOMC内の勢力が不透明感を増しているが、長期金利上昇が続いている。昨夜は30年金利が一時約1.5か月ぶり2%を、10年金利も2カ月ぶりに1.5%を超えた。5年金利は2020年2月以来、0.95%を超え1%の手前まで上昇。 金利上昇を受けてバリュー対グロースのポジションが再び面白くなったと考え
金曜日の米国市場の動きはほぼ横ばい。中を見るとハイテク株は売られてNASDAQは微減したが、シクリカル系の銘柄を中心に上がった。FOMCから1日遅れで金利が上昇をし始めており、金曜日も引き続き大きく上昇。金利がどの程度の水準で落ち着くのかわからないが、いったん落ち着くまではValuationの高いハイテク株より低Valuationの株の方が選好しやすいだろう。 8月の新築住宅販売件数が予想を上回るなど、デルタ株が拡大した後の指標でも強いものが出てきており、コロナ再拡大による経済への懸念よりも経済回復の路線が再度意識されつつある。クルーズ船を運営するカーニバルの決算も予想より良かったうえに、今後の予約状況がコロナ前を上回るとのことで、こういった動きもレジャー・旅行系が再度見直し買いされやすい局面であった。 今週の日本株もグロースよりバリュー株が優勢になりやすいのかな、と思う。特に金利がようやく上がっているので、保険や銀行などの金融株は先週に続いて今週も底堅そう。感染者数激減の話もあり、コロナ前への回復を意識したコロナ負け組銘柄の復活もありそう。ただ不動産関係については、恒大の話が及ぼす不動産市況全般という意味で、やや影を落としそうでもある。 仮想通貨も変動の激しい1週間であった。SECのゲンスラーによる規制関係のコメントや、もはや何度目なのかよくわからない中国が規制強化するという話な
23日の米国市場は、金利が1.4%台へ急上昇。21-22日に開かれたFOMCで、FRBが早ければ11月にテーパリングを開始し、利上げも22年中に行われるシナリオがより現実化しつつあることが示された。これを受けて22日の債券市場はメッセージの消化に混乱しており、金利が上昇する局面もあれば、下落する局面もあり方向性が定まっていなかった。一方で、昨日の23日は金利が上昇し始め最終的には1.4%台に乗せることになった。欧州の中銀もタカ派なメッセージを出し続けていることから各国の利回りが上昇しており、珍しく?米国の利回りも他の国債の流れに追随していったような模様となった。 もっとも、FOMCの受け止め方は引き続きやや混乱している部分もあり、株式市場では「特段のサプライズもなく、引き続き緩和姿勢の継続。利上げも当面ないことがわかった。」という受け止め方であり、金利の急上昇が示すようなタカ派なメッセージとは思っていない。むしろ安心感から昨日は大きく買われることとなった。 異なる市場で異なる動きとなっているように見えるが、あえて整理してみれば、株式市場の動きのように緩和姿勢の継続だったとしても、現状の金利水準はあまりに低すぎたため是正が入ったということはあるだろう。1.3-1.4%の水準というのは、あまりにハト派、ないし経済に対して悲観的すぎるとは思う。 他、中国の恒大についての懸念がいったん後退
シルバーウィークの休暇中でコメントもお休みしていたが、その間に今さら?中国の恒大の話に反応した。日本でも日経新聞で繰り返し紹介されていただけにこのタイミングで意識されるのはやや驚いたが、一度は意識される局面を迎えるものでもありアルアルだろう。 個人的にはこれまでマーケットはこの問題は大きな問題に発展しないと見ている、と考えており、事実結局はそうなのだろうと思っていたし、現在もそこは変わっていない。この辺りはアミンと見方が異なるかもしれない(休暇中で話してないのでわかりません)。つまり、 ①恒大が何らかの形で救済される ②恒大は破綻するが金融システムは救済される(セーフティネット) ③法的には破綻せずに(日本で言うと)私的整理の形で債権が整理される ④無秩序に破綻 大まかに4つわけると、①‐③になると考えていて、本線は②と思っていた。どうも報道等によると③の可能性が最も高そうだが(利払停止報道が出た際に政府が債権者通達している)、あるいは②及び③のセットなのか。 結局この手の問題は「信用不安」という連鎖反応が起きるかどうかであり、それが起きない、あるいは起こさなければ、ある企業が破綻しその債券や株式を持つ金融機関のデスクはクビになる、という話であり、金融機関ごとバンバン消滅するという話ではない。信用不安を防ぐには、最後は短期資金供給というセーフティネットを金融システム全体に用意するこ
昨夜の米国株式市場は5月以来の値下がり率で昨年10月以来の50日平均に対する下落を記録。先日S&P500の「立入禁止線」を紹介したばかりだが、早速この水準を割り込んだ。引けに向けて米株らしく押し目買いが入ったが、引け値は今月初めの最高値から約4%下落。 原因はいうまでもなく中国恒大集団(エバーグランデ)だが、何カ月も恒大の状況を紹介してきた身としてやや不思議と思いつつも、こういう局面の相場はいつも織り込み度合いが判断しづらい。恒大の話は先日のモーニングコメント、ツイッター、弊社ユーチューブで紹介しているので昨日まであったことの説明を割愛。 過去24時間でメディアやニュースで良く「これはリーマン級の危機ではない」というフレーズを見かけた。それは無論そうであって、エバーグランデ級の危機である。危機はそれぞれ異なる特徴を持ち、リーマンで起きたことだけに注目して今回の危機を理解できないであろう。不動産の証券化商品の爆発ではなく、これまでそれを許さなかった国においてGDPの1/4を占める産業における連鎖リスクと社会秩序の崩壊が目の前に起きている。 恒大を救済することにより習近平政権が掲げる格差是正の目標が著しく損害される。同社をやり玉に上げなければこれまでの規制強化の効果が問われる。と同時に救済しなければ中国が最重要視する平和的な社会秩序が危うくなるであろう。 欧米の多くの市場参加者は救済を
昨夜の米国株式市場は本日のトリプル・ウィッチング(オプション・先物の同時決済日)の前に小康状態。想定外の強い小売売上高を背景に長期金利が久しぶりに上昇したが、来週のFOMCまで様子見状況が続きそう。昨日ツイッターで共有した中国不動産最大手である中国恒大の破綻危機が意外と注目されたので、本日は少し恒大の現状を紹介しようと思う。 中国恒大がここまで追い込まれた背景には主に二つの要因がある: * 過剰なレバレッジ * コーポレートガバナンスの失敗 これら二つの問題により、年々バラナスシートを膨らませ、コア事業以外に自動車、観光、金融、音楽等々の産業に参入し、気が付いたら約40兆円相当の資産を抱える巨大企業となっていた。 恒大のコーポレートガバナンスの失敗とは、グループ全体の統括ができず各子会社で不正や不手際が発生したり、社長の殆どの財産が同社株だったため無理して頻繁に自社株買いを行ったり、資金繰りをきちんと管理せずどんどん建設等のコミットメントを増やしたり。 なお政府の格差是正政策により中国の不動産市場が冷え込む中で恒大の抱えている潜在的なリスクが一気に顕在化した。その結果、同社の債券の格付けが複数回格下げされ、株価と社債が急落中。 6月末の現金残高が867億元(1.4兆円)だが、過去3年間の平均水準が約1600億元であり足元キャッシュが半減している状況。一方、6月末の短期借入が2400
昨夜の米国株式市場は景気拡大を示すマクロ指標の発表とエネルギー価格上昇を受け先週の下落から反発。本来であれば景気拡大インジケーターでテーパリング懸念が高まるはずだが、これまで何度もあった株価上昇と金利低迷の一日だった。景気や金融政策の話よりも、2021年は実はテクニカルが主導な年かもしれない。 テクニカル指標は正直あまり重視してないし、得意でもない。その中で一番よく見るものは移動平均線。相場においてトレンドがつづく傾向が強く、テクニカル指標の中で移動平均線が「効く」局面が多いとも言える。今年の米株上昇の裏には50日移動平均線(=「立入禁止線」)もかなりの影響を与えているのでは、と思っている。過剰流動性で株を買うしかない発想がすべてを支配する中、50日に近づくたびに押し目買いが走り、急反発を繰り返す。インフレやテーパリングや業績等といった本質的な要素に関係なく、このパターンの継続が2021年を代表している。 これは別に2021年特有の要因では決してなく、2013年~2014年、2017年にもよく見られた現象。ということでTINA(=株を買うしかない)はコロナ禍でも平時でも通用し、緩和財政バブルはただ単に上昇の角度を上げたのみとも言えそう。 最後にツイッターでも何回も紹介した中国恒大がいよいよ破綻と債務再編に向かっている模様。10兆円の負債を抱える最大手不動産企業のデフォルトが中国の不
米国の8月のCPIが発表された。食品・エネルギーを除いたコア指数で前月比+0.1%(市場予想+0.3%)、前年同月比+4.0%(市場予想+4.2%)と市場予想を下回り、7月の結果である前月比+0.3%からも鈍化した。これを受けて金利は下落。株式市場は当初上がっていたが、最終的に下落して引けた。 このCPIの結果を受けての論点は2つ。①インフレが見た目通り鈍化しているのか、②そうだった場合にそれは株式市場にとってポジティブなのか。 まず①については、そうであればパウエル議長がいうインフレは一時的であり年末にかけて落ち着いていくという見通しと合致することになる。早期のテーパリング観測はやや後退したとはいえ、その上で年内テーパリングの検討開始と言っているFRBの見方通りの進んでいるので、テーパリングの時期については誤差の範囲であろう。 一方で、インフレに対する懸念は引き続き根強い。特にCPIの40%のウェイトを占める家賃が下がっておらず、10月以降に雇用復帰して都市部に戻ってくる人たちの家賃高騰が懸念されており、一時的ではなくこの高止まりした水準を維持するのではないか?とみられている。昨日の金利の反応を見るに、8月CPIについてはいったん表面通りの鈍化を意識した動きとなっているが、このインフレ持続説もくすぶっており、すぐにFRBの見方がコンセンサスになることもなさそうだ。 ②についてはさ
昨日の米国株式市場は久しぶりに反発。CPIの発表が今日あり他にも今週消費者信頼感指数の発表など、デルタ株で感染が再拡大している中で経済にどういった影響があるのか、ある程度の見通しをすることが可能となるだろう。市場の意識が向きやすいだけに事前にマーケットも弱含んでいたが、昨日はいったん反発を見せることとなった。短期的には指標が全体的に弱く、金融緩和継続が再度意識される方がいいのかもしれないが、本質的にはインフレ、消費者信頼感指数ともに強くでることで実態の経済がデルタ株の影響をあまり受けずに回復していることの方が株式市場にはプラスに効きそうだ。 一番の最悪は、CPIは強い一方で消費者信頼感指数は悪い、という状態で、これは悪いインフレを想起させ、FRB含めて難しい判断を強いられることになりそうだ。現状では過度にそれを意識する必要はないと思うが、米国経済は春から初夏にかけてすでにペントアップデマンドを取りつくしたという話もあり、さらなる需要拡大の源泉に投資家たちも頭を悩ませている。 例えば、先日ご紹介したブリッジウォーターのレイ・ダリオの6月末時点のポートフォリオなどは、米国株は消費財はじめとしたディフェンシブ銘柄で固められており、明らかに今年後半の米国経済に対してやや慎重なポートフォリオとなっている。ちなみに、保有している景気敏感株はアリババである。個人的には中国銘柄の細い穴を当てるより
8月の米国卸売物価指数(PPI)が前年同月比で+8.3%と過去10年で最大の伸びを示したことで、インフレへの懸念が広がった。金利は上昇し、株式は下落。今週発表されるCPIによっては、テーパリングだけでなく利上げの議論も市場では意識され始める可能性もある。相変わらずデルタ株の蔓延が経済にどう影響を与えるのか不透明でもあり、影響があるとすればインフレの上昇も割り引いてみられる可能性もあるが、その場合は経済自体が弱くなることを示唆するため、どっちにしても不透明感の抜けない相場が続きそうだ。 失業保険の上乗せも今月で終了になるだろうし、個人の労働市場への復帰と投資への資金流入に変化が見られるかどうか。個人的にはテーパリング含めてさっさと行った方が、先行きの不透明感が消えて市場にとってはポジティブなような気もする。まぁ市場のためだけに金融政策や財政があるわけではないので、あと1-2か月の辛抱か。 日本株は先週4%近く上昇して独歩高の様相だったが、さすがに今週からは日本株固有の話だけでは動かないと考えている。グローバルに共通するネタ、結局は米国の金融政策と経済の動きに反応する相場になると思う。あとは選挙もまだ先であり読むのが難しいが、昨日の朝日新聞による政党支持率調査によると、自民党支持率が37%と前回の32%から大きく増えた。投票先でも43%(前回35%)と大きく伸びているため、総裁選の動き
米国株式市場は微減。今週の新規失業保険申請件数は31万件と先週からさらに減少。株式市場は経済回復とテーパリングの狭間で揺れ動いてる状態である。金利は昨日は低下となった。債務上限問題が控える中、国債の発行が十分でないため再投資先の少ない現金がリバースレポに大量に流れているという記事が日経新聞にも出ていたが、超長期の国債の入札も昨日は良好であり、その結果全体的に金利が下がることとなった。債務上限引き上げが行われればこの辺りは落ち着くと思われるが、不透明なうちは国債に資金が流れやすい可能性がある。 SBIが新生銀行に対してTOBを発表。49%まで買い上げることを目的とし、価格は2000円とのこと。銀行に対しての大規模なTOBは近年珍しい。さらに新生銀行の対応次第では敵対的TOBになる可能性があるとのことで、事前に根回しをしたディールではないのが注目される。もともとSBIは20%近く保有する筆頭株主であったが、マネックスと新生銀行が近づいたことで関係悪化、今回のTOBに至るという話もあるが、それだけで30%近く買い増して実質上限いっぱいで買い上げるとも思えない(銀行を50%以上保有するとSBI本体の事業にも制約がでるため、49%がギリギリ)。 他の地銀と違って、新生銀行に対して49%も取りに行く理由はやはりレイクブランドの消費者金融はじめとした、個人向け金融事業に注目していると考えられる。
昨日の米国株式市場は小幅な値下がり。ナスダックは2週間ぶりの下落率でこれまでの上昇トレンドにやや一服感が見られた。 過去24時間以内に連銀メンバー二人がコメントを発表し、先週の雇用統計の下振れに触れつつも早期テーパリングを引き続き支持している姿勢を示した。ブラード総裁は1100万人近い全米の求人数を述べ、一カ月の弱いデータに左右されないと述べた。年内のテーパリングを想定し、来年上期までに終了したほうが望ましい見解を示した。インフレ圧力が長引いた場合、2022年内の利上げの選択肢を残したいとし、これまで通りのタカ派姿勢を維持した。 カプラン総裁も似たメッセージを発信し、テーパリングの発表を9月に行い10月から開始したほうがいいと述べた。現在行っている資産購入は供給網の問題への解決でないとし、テーパリングを遅らせた場合は政策運営の柔軟性がなくなる恐れをハイライトした。 先週の雇用統計後、相場は無限緩和が永久的に継続される期待が強まったがタカ派メンバーの態度は変わってない模様。 本日のECBでも想定より早いテーパリングが示される可能性。ラガルド総裁はこれまでパウエル議長と同様の「市場を驚かすな」姿勢を堅持してきたが、ユーロ圏も高インフレ、供給不足、需要過多の問題を資産購入で解決できない現状を認め始めている。 金融政策の主軸がコロナの感染者数である限りリスク資産の価格に対して本質的な議論は
米国株式市場はまちまち。ハイテク株中心にNASDAQは上昇した一方で、幅広いセクターで下落。S&Pやダウ指数は下落して終わった。8月に統計データで見られるようになった弱い経済指標が、コロナ再拡大が経済へ悪影響を及ぼしているのかどうか判断しづらい状況。そこに金融政策の維持かテーパリングかが絡み合うので方向感をやや見失っている。 一方で、方向性を持った動きをしているのが債券市場。金利はさらに上昇し、久々に長期金利は1.4%目前となった。先週の雇用統計の結果も、賃金上昇率や労働市場の供給不足の状況を考慮すれば、年内テーパリング開始で変更はなさそうという見方で一致しているよに思える。それに向けて金利の調整が始まっている。この動きも株式市場にとっては警戒視されていて、結果的にこういった様々な要素に一番関係が薄そうな大型ハイテク株に資金が集まっている。 総裁選とマーケット。いち早く出した岸田さんの政策(本質的には菅さんと同じ)が好感視されて、日本株は大幅に上昇した。すでに衆院選の勝利も確定したかのような織り込み方には個人的には驚いた。ただそれ以上に感染者数の激減の方が驚きでもあり、感染者数と支持率は結局逆相関で一致しているので、このまま続けば確かに選挙では普通に勝利してもおかしくはない。もっとも選挙の時期が11月とのことでそれまでコロナの状況がどうなるか誰にも読めない=支持率の動きも読めないだ
昨夜の米国株式市場はレイボー・デーで休場。本日のモーニングコメントは長引く自動車サプライチェーンの遅延に対して一言。 昨日、自動車大手二社の責任者が自動車向け半導体の見通しを表明。ダイムラーのクレニウスCEOは足元の半塔体不足は来年に解消されることなく2023年までつづくとの見解を示した。フォルクスワーゲンのディースCEOは半導体の需要の高さに言及し、不足が最低数カ月間、もしくは数年間にわたってつづくと述べた。 ほかの資材も高止まりする中、昨日アルミニウム相場も約10年ぶりの高値を付けた。南アフリカ・ギニアの政情不安で供給が懸念され、供給網の新たなリスクが顕在化。ギニアはアルミの原料であるボーキサイトの主要輸出国であり、中国の輸入量の55%を同国から調達。 自動車の軽量化等で一台当たりのアルミ使用量が構造的に上昇し、2016年に150キロだったものが2025年に200キロ近くまで上がる見込み。燃費・エネルギ効率の観点で軽量のアルミが大きな役割を果たしている。完成車1台当たり、3万個を超える部品や素材が使われる。その中で一つでも不足すると全体の生産工程に影響が出る。なおアルミの価格上昇も他の資材と同様に最終的に販売価格に転嫁される。 以前にユーチューブでも紹介したが、コロナ禍のK型回復において多くの消費者の可処分所得が上昇している。そしてリスク資産の値上がりで耐久財を購入するための余
雇用統計は前月比で23.5万人増の雇用者数と、市場予想である+72万人を大幅に下回る結果となり、過去7か月間で最も低い伸びとなった。一方で、賃金は前月比+0.6%増と市場予想の+0.3%を大きく超える上昇となり、表面上の数字だけでは消化しづらい結果となった。 債券市場では、金利は一瞬下がったがその後上昇して終わった。あまりに低調な雇用者数は景気回復への疑念となり、年内と言われているテーパリング開始時期の後ずれも意識されて金利は下がっても不思議ではない状況ではあった。ただ賃金の大きな上昇がインフレ懸念を呼び起こし、景気悪化の話よりもインフレ懸念の方が大きく金利は上昇したものと思われる。また、雇用者数についてもこれまで通り、労働者が労働市場に復帰していないことが大きな要因であると思われ(要するに皆働かずに家にいる)、景気悪化⇒需要低下、というものではないことからインフレ懸念がより意識されたのであろう。 株式市場は、NASDAQを除きやや微減。テーパリング後退観測が出れば市場はプラスになりやすい環境であるが、金利の上昇の動きを横目にこちらも低調な雇用者数⇒テーパリング後退、とは受け止められなかったようだ。 菅首相が辞任するということで、日本株は大きく上昇している。元々政権支持率が自民党支持率より低かったこともあり、総裁を替えることでより選挙を戦いやすくするよう党内でも自然と動きが出たので
新規失業保険申請件数がコロナ以降最低水準にまで下がり、エネルギーセクター中心に相場は上昇。先に発表されたADP雇用統計が予想を大きく下回る結果だっただけに、景気回復が懸念視されていたがいったん持ち直した格好となった。これまでも言っている通り、ADP雇用統計は大体当てにならないことが多いので、今晩発表される雇用統計次第なのは変わらず。年内のテーパリング路線に変更はないと思われるが、今晩の結果がよほど大きく予想を上回る、もしくは下回った場合のみテーパリングの時期、あるいは利上げについての時期についてマーケット含めて見通しに修正が入るだろう。それ以外では大きく見通しに変更も生じず、金利含めて小幅のレンジ内に収まるのではなかろうか。 先週に続いて著名投資家たちが何をやってきたか、Bridgewaterのポートフォリオを見てみた。コロナ以降、金融セクターを大幅に削っていて、コロナ前は全体の3分の1ほど持っていた金融株を現状では5%程度にまで落としている。この辺りはバフェットと共通していて興味深い。全体でみると、景気敏感とディフェンシブ銘柄の比率は1対2程となっており、ディフェンシブに寄ったポートフォリオとなっている。景気減速をある程度見越していると思われるが、景気敏感株についてもアリババなど中国銘柄中心となっており、米株はディフェンシブ系が中心。この辺りの意図は読みにくいが、米国の景気には慎
昨夜の米国市場はナスダック主導に最高値をまた更新。ADP雇用統計が37.4万人と市場予想の62万人を大きく下回り、8月のデルタ株蔓延の影響が顕在化した模様。ADPの予測性はそこまでないが、金曜日発表の雇用統計も弱ければテーパリング開始時期の遅れや、利上げが数年間ない期待が再び強まるだろう。 一方、ISM製造業指数は59.9と市場予想の58.5を上回り経済活動は懸念されるほど減速されなかった可能性もある。いずれにせよ、コロナ禍相場は毎月の各主要マクロ指標発表に基づいてその後の1か月の流れが決まるので、雇用統計が弱ければ再び金利低下、テク・グロース上昇、リフレ関連下落等々の展開が容易にありうる。 それより昨日ブルームバーグが出した一つの記事が気になる。 コロナ禍が2年目に突入しようとしている中で、企業の出張に対するマインドがやはり構造的に変わっている。この流れについて正直ずっと懐疑的だった。昨年は暴落した米国のホテルリートにも投資をし、ビジネス需要が間違いないく戻ると確信していた。しかし、ワクチン接種が進んでいてもオンラインで済むミーティングはオンラインでやれといった方針が定着している模様。 ブルームバーグの記事で欧米とアジアの大手企業45社に対するアンケートを行い、今後の出張予算の行方を探った。パンデミック後でも84%の企業が出張件数を減らすと回答。なお出張予算を減らすと答えた企業の
昨日の米国市場は小幅の下落。コンファレンス・ボードが発表した8月の消費者信頼感指数が7月から低下。今年2月以来の低水準となったことが、先日のミシガン大学による消費者信頼感指数の弱さと相まって、市場全体に影を落としている。金利はこれをうけて序盤は下落した。やはりテーパリングの先送りなどが意識されやすい結果であったためだと思うが、その後月末のリバランスの影響もあるだろうが、持ち直して結果的には金利はやや上昇という結果となった。6月の住宅価格指数が19%上昇し過去最高となったことなども多少のプラス要因であったと思われるが、6月のデータなので実際はあまり昨晩の相場への影響はなかったように思う。 相場全体の大きな上昇あるいは下落にベットしたポジションは組みにくいので、やはり個別株でマーケット以上のパフォーマンスがとれると思うものを中心に据える時期に入っていると思う。パフォーマンスは下がるかもしれないが、相対的に強いと思う個別株を買って、マーケット(日経やTOPIX)を部分的にショートする、ということをして対マーケットの優位性を取りに行くのが個人的にはオススメする。ショートの部分はダブルインバースを買う、ということでもいいと思う。 それに選挙の話も大きい。政権支持率はようやく下げ止まり横ばい。コロナの感染者数の動きと逆相関のような動きにはなっている。8月にワクチン接種率は1回目、2回目ともに1