202 ディスカッション
昨夜のS&P、ナスダック指数は大型テク銘柄に牽引され再び最高値を更新。S&Pは7カ月連続で20.2%上昇。7か月連続の20%以上の値上がりは1990年以降4回しか起きておらず、前回はリーマン危機後の2009年9月。 その中でシカゴ日経先物が驚くほど低迷。やはり低支持率と総選挙といったカントリーリスクが顕在化し、日本株が避けられている印象を受けざるを得ない。バリュエーションの観点で実はTOPIXの今期予想PERが14.6倍と、過去10年間平均の15倍をやや下回る水準。一方、S&Pは今期予想ベースで22.4倍であり、過去10年平均の17.5倍を30%上回る。現役時代に同じ現象を何回も経験してきたが、割安ではあるがその他要因で放置されるとやはり何となく虚しさを感じる… なおS&Pの予想PERに不可欠な要素の一つが税率。ブルームバーグが集計した15人のストラテジストの中で、明確に増税を織り込んでいたのはたったの5人。2022年の予想EPSのレンジは$205~$232で、足元の22倍のPERを当てはめるとS&Pの目標株価が4510~5105と上下で13%もの差がある。 バイデン大統領の予算決議案の行方がまだ不透明の中、法人税が計画通りに21%から28%に引き上げられるか、あるいは25%や26%にとどまるかは意見が分かれている状況。増税を織り込んでいるストラテジストはその影響がEPSで約$10
ジャクソンホールにおけるパウエル議長の講演は結果としてハト派として受け止められた。金利はやや下落し、株式市場はNASDAQ中心に上昇。発言内容自体は目新しさを欠くものでもあり、テーパリングの時期を具体的に言及するものではなかったので、年内というワードと同時に具体的時期がない時点で来月ではないことから、実際には10-11月辺りに発表して12月開始、になるのであろうか。 年内の時点で今やらなくてもせいぜい2-3か月のズレでしかないので、もはやハトかタカかの話をしてもあまり意味ないような気もするが、あえて言えば利上げの時期についてはテーパリングとは全く別に考えている発言したのは1つの材料だったかもしれない。そういう意味では慎重な姿勢であるのは間違いなく、何かあればすぐに緩和方向へ撤回する可能性は確かにある。 本日の日経13面の記事にもあるが、株式オプションを米国の個人投資家が大きく購入している。それも本来のボラティリティから計算されるプレミアムとは関係なく割高でも購入していくことから、オプションをヘッジとして使う投資家が使えなくなり、相場が変動したときのリスク要因となっている。 通常オプションを購入したら、売った方も買った方もデルタヘッジと呼ばれる、原資産価格変動によるリスクを0にするように現物株を同時に売買するのだが、個人の場合はオプションをレバ取引のように利用するためこういったヘッジ
昨晩の米国市場は反落。FRB当局者の2名から、テーパリング開始についてタカ派なコメントが出たことがキッカケとなった。発言したカプランやブラードは、元々今回のテーパリングについてはタカ派の発言であったので、サプライズではないが、もう少しデルタ株についての配慮の効いた発言を株式市場は期待していたのかもしれない。今晩のジャクソンホールでのパウエル議長の講演に向けて、前日まではほぼ無警戒?に市場は上がっていたがようやくやや警戒された模様。一方で金利はほぼ変わらず。金利は逆に今週前半にジャクソンホールを警戒して大きく上がっていたので、昨晩の当局者による発言に改めて反応することはなかった。 さて、こういうどう動くかわからない相場のときは、賢人たちのポートフォリオがどうなっているのか見てみよう、ということでまずバフェット(バークシャー・ハザウェイ)のポートフォリオから。 https://www.cnbc.com/berkshire-hathaway-portfolio/ 現在、というよりかは6月末時点のポートフォリオではあるが、引き続きアップルは売却せずに持ち続けており、その後にバンカメやアメックスが続いている。コロナ禍以降、バフェットは株式を売り続けており、特に金融株はゴールドマンやJPモルガンなど全て売却して圧縮している。コカ・コーラやクラフトなど、バフェット銘柄はそのまま健在。 次にビル・
昨夜の米国市場は小康状態。主要指数は引き続き最高値更新に加え、想定以上の在庫減少を受け原油が3日連続値上がり。今後8月のマクロ指標が出揃うが、デルタ株蔓延による経済活動低下はあまりなかったのでは、と考えられる。 本日の主題は米国オフィス需要の停滞。今日の日経新聞でもヤフーの拠点集約や三鬼商事のオフィス空室率の上昇が話題となり、長引くコロナ禍で世界的にオフィス需要の戻りが極めて鈍い状態。 米国においてこの影響は非常に顕著であり、特に大都市圏が苦戦している。オフィスセキュリティを提供する大手のカストルシステムズがまとめる主要都市のオフィス稼働率は未だに10%~50%未満の水準。最も回復しているテキサス州のダラスやヒューストンは40%台に戻りつつも、ニューヨークはサンフランシスコは20%未満。 ファイザーワクチンの正式承認で義務化が可能となり、オフィスに回帰するように求めている企業が増えてはいるが、アメリカ人の抵抗が根強い。とあるVCさんの56社のポートフォリオカンパニーに対するオフィス需要アンケートが興味深かった。コロナ前は75%が原則としてオンサイトだったのに対し、今後その方針を続けると答えたのはたったの3社(5%)。 まだあまり取り上げられていないが、アメリカの多くのCMBS(証券化された賃貸住宅・事務所・商業・物流向け不動産ローン)は無論オフィスビルの賃貸収入にも依存するもの。リ
昨晩は金利があがり株式市場も微増という、ややリスクオンのような相場。ただ、ジャクソンホール前日のリアクションとして捉えると、リスクオンというより債券と株式で想定している発言内容にズレがあることを示唆している可能性がある。ただテーパリング開始時期について、早期に始まるという見方が市場においても浸透しつつあるため、予想通りの引き締めに向けたコメントであれば、株式市場もあまり反応しないかもしれない。むしろ想定よりハト派なコメントが出ると、景気回復への懸念の方が意識される可能性もある。 ただ日本株については、もはや米国のテーパリングの話はどうでもよく、それよりも選挙の方が100倍重要であろう。自公で過半が維持できるのか、あるいは他も抱き込んでの大連立としてギリギリ体裁を整えられるのか、あるいは政権交代となるのか。後者のリスクがより顕在化していると同時に、そうなったときに日本株の保有比率は海外投資家中心に大きく下がると考えられ、ワーストケースの影響が非常に大きい。 幸い今週は株式市場は上昇しており、先週の日本株独自の下げの要因が横浜市長選の懸念する向きもあったのであろう。この上昇しているタイミングで少しづつリスクを落とすことを個人的にはオススメしている。自公で過半数取れるのであれば、何の問題もなく株式市場は上昇する可能性があるが、選挙のリスクは今回は非常に読みにくいので無理にリスクを取る必要
週明けの米国市場はファイザーワクチン正式承認で株、国債、原油、金、仮想通貨、ほぼすべての主要資産が値上がり。エネルギー・リフレ・レジャー関連銘柄が3%~4%と堅調に上がり、感染者のピークアウトとワクチン義務化期待で足元の感染拡大を過去にものにした展開となった。 ピークアウトの見方はおそらく一番感染者が急増していたフロリダ州の状況によるもの。前回のピークを越えていた感染者数が足元減速し、7日平均が明確に下落方向。 フロリダ州感染者推移 なお今週金曜日のジャクソンホールへの警戒がほとんどないように見受ける。株式の先行きのボラティリティを予想するVIX指数は月曜日7%強下落し、今年4月~8月のレンジ下限に近い水準で落ち着いた。パウエル議長はこれまでリスク資産を下げるような発言や行動を極力避けてきたが、ジャクソンホールにおいてもその掟を守るだろうと市場が織り込んでいる模様。 最後にリフレ期待に欠かせないバイデン政権のインフラ対策・予算案の行方が未だに不透明。ペロシ下院議長は5500憶ドルの超党派インフラ対策と、3.5挑ドルの予算決議案を同時に通過させたいが、民主党穏健派議員の反対で対立。 予算案は今年話題となった多くの増税等を盛り込んだもので民主党内でも意見が分かれている項目が多い。党内対立を解消できなければ目玉政策である増税・格差是正対策の実現性が危うくなるだろう。 今年の夏は極力リスク
金曜日の米国市場の動きは、株式上昇、金利も小幅上昇とリスクオンの状況。テーパリングに対する懸念、あるいはその後退、コロナ再拡大に対する懸念と楽観、が商品別に入り乱れてあまり整合性のない中、様子見が続いているような状況である。今週開催されるジャクソンホールにて、今後の金融政策がどのように語られるか例年以上に注目されている。 週末の横浜市長選で立憲民主党が推す山中氏が当選となり、自民党の推す候補は敗北した。今日のマーケットの反応で、衆院選におけるリスクのある程度の見極めはできそう。先週の日経の弱さは事前にリスクを落とす向きもあったと思うが、その答え合わせにもなるだろう。報道では総裁選が不可避となっているが、正直言って誰が総裁になろうとも自民党の支持率が大きくかわるような刷新ができるとは思えない。そうなれる顔があまり思いつかないので、現実的には自公+αの連立の路線を模索するのではないか。その筆頭は維新と想定される。 自公維で過半数を確保できるのであれば、マーケットは最悪の事態にはおそらくならないが、問題は維新を取り込めるかどうか。選挙前にそれが出るとかえって維新の選挙戦略には良くない可能性もあるため、裏で繋がっているとしても事前報道では否定する可能性もある。その場合にマーケットが選挙前にどう動くか。国政で立憲が第一党になる可能性もそう大きくないとはいえ、混沌を嫌うマーケットはリスクを落と
新規失業保険申請件数が34.8万件と予想以上の改善。雇用改善は着実に進んでいる結果が出ている。一方でコロナ再拡大による経済への懸念は引き続き残っており、金利はテーパリングと経済後退の両面を見ながらやや下がっている。テーパリングそのものが、経済後退するなら後ろ倒しになる可能性が高いので、そのリスクの方を気にしていると思う。振り返ると先週のミシガン大学8月消費者信頼感指数の弱さが尾を引いている。昨日は7月の米景気先行指数が発表され、予想以上の伸びを示しているなど今週いくつかの指標は引き続き強いものとなっているが、どれも7月のデータであることが8月以降のコロナ再拡大の懸念を打ち消す動きにはなっていない。昨晩の株式市場はほぼ横ばいだったが、シクリカルが下がってハイテク株が買われているので、コロナ懸念通りの動きとなっている。毎日気にすることが変わっており、ちょっとした躁うつ病に近い状況。 決算後の動きとして、以前取り上げたドンキ(PPIH)を調べ始めている。決算後に株価が10%近く下がっており、発表された今期の会社予想計画が850億円と市場予想より10%近く低いことが主な要因と思われる。ただ、この会社はいつも会社計画は保守的なので、弱く見える計画で大きく株価調整している今がある意味買うチャンスなのでは?という視点で注目している。決算自体を俯瞰すると、インバウンドの落ち込みによるドンキの減益を
7月末に行われたFOMC議事要旨が公開された。それによると、大部分の参加者はテーパリングを開始する雇用面の条件は現時点ではまだ達成されていないものの、年内には達成される可能性があると見ている。テーパリング開始のタイミングについては、引き続き意見は分かれている模様。金融政策による支援がまだ必要である、という意見が数人から出ている一方で、同じ数人からは、経済の変化を考えると、コロナ禍前の労働市場の状況はもはや正しい基準ではないのではないか、という意見もあったようだ。他にも、少数の意見として、金融政策が経済に貢献する余地はもうほとんどないという意見もあった模様。 この公開を受けて、米国株式市場は下落。金利はほぼ横ばい。株は年内のテーパリング開始を意識されたことで売られた。ただ必ずしも、早期テーパリング開始が多数を占めているわけでもなく、コロナ含めて(当たり前ではあるが)経済指標や雇用面での数字が先に弱まるとテーパリングは後退していく印象を持った。なお、昨日発表された7月の住宅着工件数は前月比-7%と、市場予想の-2%に対して大きく下落。但し需要が弱いのではなく、供給不足ということが主な理由のようだ。一時期から落ち着いたとはいえ、資材高騰などから建設会社の着工が遅れている模様。住宅着工許可件数は前月比+2.6%と増加しており、いずれ着工件数も増えていくものとみられている。 菅政権が今週に入
米国株式市場は下落して終了。7月の小売売上高が前月比1.1%の減少と、予想の0.3%の減少を超えるマイナスとなったことがキッカケ。とはいえ、要因の1つに供給不足による売上減少もあるため、単純に消費活動が鈍化していると結論付けにくいのがややこしい。コロナの再拡大の話もあるため、弱い経済指標は経済活動の正常化が遅れている証左、という見方にもなりやすく市場のセンチメントはぶれやすいので要注意。 一方で、金利は最終的にはほぼ横ばいで終わった。小売売上高は弱かったが、鉱工業生産統計が強めだったこともあり、金利は場中下落していたがその後上昇して横ばいで引けた。他にもテーパリングを早める観測などが出回っていることもあり、そのあたりも警戒されているように思う。当局者からの発言としてテーパリングの早期化が出てくると、今週の相場だと株式市場はやや想定より混乱する可能性があると考えている。 東京エレクトロンが決算発表。言わずもがな半導体の雄である。四半期最高益を更新し、半導体製造装置は売上が前四半期比+5.4%、フラットパネルディスプレイはテレビ用大型パネル向け設備投資が一巡した事などにより前期 4Q比41%減となった。ただ、利益率のより高い半導体製造装置の売上が伸びたことで、営業利益率は同6.3pt上昇し31.4%となっている。決算は好調だが、ある程度は予想された通りであったと思う。 今後の見通しにつ
昨夜の米国株式相場はデルタ株感染拡大、テーパリング前倒し報道、タリバンの圧勝、テスラオートパイロット調査等々を無視し、寄り付きの下落から力強く反発し最高値を5日連続更新。それ以上コメントできることはないので昨日から出始めている13F(AUMが1億ドル以上のファンドや企業が提出するポジション開示資料)の印象的な変化を紹介する。 一番話題となっているのは、2008年の危機で大儲けしたビッグショートのバーリ氏のARKKショート(プット)。バーリ氏は3か月前から暴落を警告し、ミーム銘柄や仮想通貨への投資に対する注意を呼び掛けている。そのビューに合わせてキャシー・ウッド氏の旗艦ファンドに対するプットポジションを開示。30億円相当のプットを保有し、当ファンドの下落にベットしている事を明かした。バーリ氏は過去にテスラへの弱気ベットで失敗しているケースもあり、トラックレコードは決して完璧ではないが。 あと印象的だったのは多くの著名投資家のポジション削減。バフェット氏のバークシャーは多くのポジションを減らし、バイオジェン(BIIB)等を完全に売却した。 なおソロスをはじめとした多くのファンドは中国ADRへの投資を削減もしくは撤退。 13Fに興味のある方は無料で閲覧できるので検索してみてください。なお以下のようなサイトはまとめ情報を提供しているので合わせてご覧ください: https://whalewi
金曜日の米国株式市場は各指数における小幅な上昇で再び最高値を更新した。ただし、デルタ株の急速な大規模感染による消費者マインドの悪化で雲行きが怪しくなっている。市場予想は概ね先月と変わらない水準を見込んでいたが、発表されたミシガン大学消費者マインド指数が70.2と市場予想の81.2を大幅に下回った。先行景況感は65.2(市場予想78)と、実は昨年の3月コロナショックをやや下回る水準。 その中でコロナ禍で恩恵を受けたゲーム業界が堅調。 NPD調査によると7月の米国ゲーム機及びソフトの売上は46億ドルで前年比10%の伸び。年初来335億ドルと14%の前年比の増収。巣ごもり需要で昨年の7月は前年比32%も伸びていたにも関わらず、コロナ禍でゲーム需要が構造的に伸びている模様。 半導体不足で供給がひっ迫しているものの、ゲーム機の売上は3.23億ドルで前年比98%の伸び。新型プレイステーション、任天堂スイッチ、XBoxが堅調。 ゲームソフトに関しては任天堂、カプコン、ソニーのソフトが引き続き高順位。日本株全体が低迷する中、任天堂やソニーのゲーム関連売上は今年も好調であろう。 マクロ面に関しては市場の注目は来週のジャクソンホールに移りつつある。今週はFOMC議事録やパウエル議長の演説はあるが、テーパリングを示唆する可能性が極めて低い。9月にテーパリングを発表し、12月や2022年1月から開始すると
米国市場は続伸。NASDAQも上昇した。7月の卸売物価指数(PPI)が発表され、前月比+1.0%と市場予想+0.6%に対して上振れ。CPIとは対照的に今後のインフレが懸念される内容となったが、金利は結果的にはほとんど反応していない。新規失業保険申請件数は37.5万件と先週より予想通りの改善となった。 決算後の株価の動きとマクロにそこまで振らされない銘柄でスクリーニングしていて、気になっているのは8174の日本瓦斯。いわゆるニチガスだが、第1四半期の決算が見た目弱く、昨日になり株価が7%強下がった。主にガス事業を行う会社で、LPガス業界は細分化されているため、東日本から西日本へと販売地域を物流・営業網を整えながら業界シェアを拡大していっている。第1四半期は、気温が高く、エネルギー価格も高いといったことから、ガス需要が弱く、コストも高いということで、粗利が想定より低くなった。それに対して販管費を機動的に減らすことで利益は確保しているが、会計ルールの変更で第1四半期の見た目がよくなかった。とはいえ、この変更は通期には解消されるもの。 という状況の決算なので、中をしっかり見ていかないと一見すると弱く見える決算内容。だが、基本的にガス需要は非常にディフェンシブであり、景気動向で大きく需要が変わるものではない。そういう意味ではコロナ含むマクロ経済がどうなろうが、業績自体は基本的には安定している
昨晩の米国市場は、再びダウとS&Pが過去最高値を更新し、一方でNASDAQは微減となった。インフラ法案の上院可決を受けての流れが継続している。また、7月のCPIが発表されたが、前月比で+0.5%と市場予想通り、食品・エネルギーを除いたコア指数では前月比で+0.3%と、市場予想の+0.4%に比べてインフレがやや鈍化している結果となった。金利は途中にやや上昇する局面もあったが、最終的には1bpsの下げに終わるなど大きくは動かなかった。 今回のCPIの結果だけ見れば、これまでの動きを踏まえると金利はもっと下がるかと思ったが、遅かれ早かれ起こるテーパリング等を(ようやく?)リアルに意識し始めているのか、直近金利があがったところから下がってはいない。前月のCPI発表時に散々言われたインフレは一時的で今後鈍化するという話、先月より今月の発表されたCPI結果の方がよりその議論は巻き起こりそうなものだが、この話は消化されつくしたのか金利に与える影響は昨日は大きくなかった。もっとも、株式市場が好感しているインフラ法案について、債券市場でも(下院成立まではまだ数か月あるとはいえ)景気浮揚策として意識されていることは金利下落が起きていない要因の1つかもしれない。 昨日はアイフルが決算を発表。営業利益は第1四半期で57億円と前年同期比10%減となり、上期の営業利益の計画に対して進捗率60%であった。去年の
1兆ドルのインフラ法案が上院で可決され、ダウは最高値を更新。続いて3.5兆ドルの支出法案も上院にて審議入りとなった。今後はインフラ法案が下院で審議されることになるが、下院のペロシ議長は3.5兆ドルの支出法案もそろうまで審議しないと言ってるようであり、実際に下院で審議、通過するにはまだ時間がかかると考えられる。 インフラ法案自体は織り込まれていたとは思うが、昨日は改めてポジティブに反応した格好となった。3.5兆ドルの支出法案はまだ紆余曲折あると思われ、市場もそのまま織り込んではいないだろう。 金利はやや上昇したが、本日夜に発表されるCPIが本番といったところか。財政支出を受けて、いわゆるバリュー株に代表されるようなold economy株が上がった印象。ダウがあがり、NASDAQがさがるというのはまさにその典型。再度バリューとグロースの逆転が起きるかどうか注目だが、ダウロングのNASDAQショートはこれまでの動きをみるとやや勇気のいるポジションである。 決算についてはソフトバンクグループが第1四半期の決算発表。純利益が前年同期比40%減の7,600億円であった。事前報道では株価下落により赤字がささやかれていたり、アナリスト予想でも赤字を予想しているものがいるなど、市場予想からみればかなり堅調な利益水準ではある。ただ、懸念視されている中国関連のITエクスポージャーについて、例えばDiD
アミンファンの皆様、申し訳ございません。火曜日ですが、諸事情によりしばらく私が投稿します。 日本は3連休明けとなったが、その間に米国で雇用統計が発表されて金利は1.2%から1.3%へ急上昇。ここ最近の金利の動きとは異なる反応を見せている。これまで好調な統計データが関係なく金利は下がり続けていたが、最近の各連銀総裁によるテーパリングや利上げ環境が来年には整うという一連のメッセージも含めて、ようやく足元の指標の強さに金利が反応した格好。 あれだけ現状の好調さは一過性という文言の中で金利は下がり続けていたことを考えると、今回の雇用統計の結果(+94万人 vs 市場予想+85万人、失業率5.9%→5.4%)はそこまでのビッグサプライズではなかったと思う。ただ金利は大きく反応しているのは、テーパリングや利上げの可能性を過度に無視していたところからの修正点なのかもしれない。今日の日本株も金融株が大きく上昇している。この金利上昇が長続きするかどうかはなんとも言えないが、どちらかといえば金利の底が見えたという安心感が金融株の買戻しに繋がっている可能性はある。 菅政権と自民党について、朝日新聞、TBS、読売新聞によると、直近の政権支持率が発足以来最低であることを示している。政権支持率から自民党支持率を差し引いた「党内政権魅力度」も一部マイナス圏になるなど、年末に向けての選挙に相応しくない状況になって
昨晩の米国市場は金利がやや上昇し、株式市場も上昇するなどリスクオン相場となった。今週の新規失業保険申請件数が38.5万件と先週の40万件から改善していることがキッカケとも言われるが、あまり深い意味はなさそう。本日雇用統計が発表される予定でもあり、どちらかと言えばその前のちょっとした調整ではないか。 ADP雇用統計が発表された際、弱い数字であったため一時金利は急落したが、その後連銀総裁の利上げ時期に関するコメントもあり、金利は一気に戻した経緯がある。市場金利が上がっていた数か月前は、金利上昇をけん制するかのようにテーパリングの否定や金融政策に変更がないことを強調していたが、最近逆に市場金利が下がっているなかで、今度はその市場金利の下落をけん制するかのようにテーパリングや利上げを匂わせるコメントが相次いでいる。 本日の雇用統計が市場予想に到達しなかった場合、あるいは最近の傾向でいえば予想を多少上回ったとしても、金利は下落すると思うが、ただそれをあまりよしとしていないのか、連銀総裁の誰かから金利下落をけん制するようなコメントが入る可能性があり、よほど酷い結果でもない限り金利はあまり動かないか、口先介入次第ではやや上昇する可能性もあると思って注目している。 日本株の決算も総じて堅調、好調のように見える。特に大型株がしっかりしているので、全体の指数はしばらく崩れないかもしれない。ただ秋口の選
昨夜の米国株式市場の主要指数の値動きはまだら模様だったが、決算を発表している個別銘柄は引き続き活発。マクロ観点において原油価格の下落と想定より弱いADP(+33万人、市場予想+65万人)で景気減速懸念が強まった一方、非製造業ISMが64.1(市場予想60.5)と過去最高水準を記録。金利はISM発表後、一時上昇したが結局下がりほぼ変わらずの水準に回帰。 個別決算で印象的だったのは大手オンライン予約サイトのブッキング。2021年第2四半期の決算は市場予想を大きく上回り、ワクチン接種が進んでいるアメリカ人の潜在的トラベル需要を表した。 サイト経由で予約されたパッケージ総額(Gross Bookings)は152.9億㌦で前年同期比+851.7%。四半期の絶対水準として2019年第3四半期以来の高水準。宿泊日数は前年同期比+457.5%とホテル等のレジャー施設の回復を示した。航空券は前年同期比+626%で過去最高水準の400万枚台。レンタカー日数は前年同期比+558%と2019年第4四半期以来の高水準。 特に航空券の販売が市場予想を大きく上回り、コロナ禍の巣ごもりで溜まっている旅行需要を物語っている。 市場全体の方向性は金利が示すと考えている。昨日はツイッターでも共有したが、シティのマクロサプライズ指数が1年ぶりにマイナスに転じ、エコノミストの足元の予想が楽観的過ぎることが伝わってくる。本
昨日の米国市場は上昇。特段ニュースのないなか、引き続き発表される決算内容が好調であることに素直に反応した模様。金利もほぼ動かずで、マーケットもしばらく静観している状態が続いている。 中国政府による中国ネット企業締め付けや、それをキッカケにした中国株の下落に対して、振り返ってみれば結局米国に資金回帰した影響もあるのか米国株はあまり影響を受けていない。下がっているのはいつものながら日本株。まぁ日本株はそれ以外にも要因はあるので、中国規制強化のネタだけでは語れないところはあるが、いずれにしても中国の話の他市場への影響は少し落ち着いたと思われる。 ただ中国に依存度の高い銘柄は引き続き敬遠されそうなので、再度自身が保有している銘柄で中国事業が大きい会社がないか確認はした方がよさそう。ソフトバンクグループは言うまでもないが、他にも日経平均におけるウェイトが大きい影響もあるが、ユニクロ、ファナックあたりの被害が大きいのも中国リスクが引き続きくすぶっていることが影響していそう。 一方で中国政府もEVは国家事業としてサポートしているようで、中国EV業界は影響があまりない模様。そのため細かい違いを追いかけるなら、EV関係やそのサプライチェーンであれば中国向けのエクスポージャーが高くても影響は軽微に留まるという見方もある。半導体も同様。東京エレクトロンを見ても、あまり売られておらず、こういうシェアの高い
昨夜の米国市場は一段の金利低下で指数全体が小幅な値動きだったが、決算及びM&A発表等で個別銘柄の動きが活発だった。金利低下は中国の想定以下の製造業PMIをはじめとした成長懸念が原因だったと思われるが、雇用統計発表前のポジション調整等も今週影響するであろう。 本日のテーマはアマゾン対サイモン。先週アマゾンの決算が想定より弱く株価が9%値下がりした。未達要因に関して会社側の説明はコスト増と顧客行動の正常化であった。すなわち昨年3月から始まったオンラインシフトが逆流し始めている。 アマゾンを離れ実店舗に戻っている顧客の行動が本日の米国最大手商業リートのサイモン・プロパティ(SPG)のQ2決算に顕在化した。発表された実績は * 一株当たりFFOが$3.24と前年同期比52%の増加であり、市場予想対比でも36%の過達。 * 売上は12.5億ドルと前年同期比18%の伸び。市場予想対比5%の過達。 * どちらも市場予想レンジの上限を超える結果。 * 四半期配当を$1.40から$1.50に2期連続上方修正。 * 年間見通しも上方修正し、市場予想を超える水準に。 * 6月末の稼働率は91.8%と3月の90.8%から1%改善。 * 家賃はやや低下し、1sqf当たり$55.03と3月の$56.07から1.8%低下。 サイモン社長のコメントも総じて前向き。テナント確保が好調であり、顧客も戻っている。米国で