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元ゴールドマンサックスのマネージングディレクター。2017年末に引退し2018年1月にクリプタクト社を設立。少年時代はコーディングばっかり。GSのITに入社後、... つづきを読む
全方面からの悪材料に振り回されながらS&P500は第一四半期に4.95%下落。一時10%以上値下がりしていたが、3月後半の力強いベア相場暴騰で下落幅が大幅に縮小された。さて、 エイプリルフールから始まる4月は「相場的に良い月」だと思われる。 株式相場の季節性は、多くの売買要素の一つであり投資家が意識するほど投資行動に現れる。 規制性要因が「効く」と思われる月は以下 * 「強い」と思われる月: 1月、4月、7月、12月 * 「弱い」と思われる月: 5月、9月 特に今年の4月は終わった四半期が大きくマイナスだったため、昨夜から何回か「4月は上昇する月」のつぶやきや記事を見かけた。 今回のコーナーでは過去100年間のS&P500の季節性を紹介するが、普段あまり見られない年代ごとの傾向も合わせてお見せしたい。 一先ず月間の平均騰落率を見てみよう。 上のテーブルの「全期間平均」を見て頂ければ確かに4月は+1.41%と、1年間の中で2番目に高い平均騰落率。ただし、そのすぐ下の標準偏差をご覧いただければ、ブレも大きいことがわかる。1年間に三番目に大きい標準偏差値である。 要は普段強いが、ブレ幅が大きい。 例えば1月と12月もそれぞれ+1.14%と+1.36%だが、それぞれの標準偏差が4月よりかなり低い4.74%と3.65%。つまり1月と12月は4月よりも「強いしブレが小さい」。 なお、過去の投資
先週、今週は全世界の株式市場は数多くの懸念材料を払拭し、先日申し上げたベア相場の「吐き気がする暴騰」のような動きを見せてくれた。急なコモディティ価格上昇、急な金利上昇、地政学的リスクの長期化の影響はまだ計り知れないが、今月初めの暴落で一旦相場の恐怖が消化され、新たにパニックを起こすようなヘッドラインがなかったため過去2週間はショートカバーに加え短期的な買いでベア相場らしい暴騰が演出された。 そこでこれまで何回も紹介してきた 実質エクイティリスクプレミアム を再度見ていきたい。 おさらいだが、(実質)エクイティリスクプレミアム(以下ERP)は 株式益利回り(PERの逆数)から実質金利(名目金利ーコアCPI)を差し引いたもの。 ERPはすなわちリスク資産である株式の期待収益率が、無リスクで享受できるリターン(国債金利)をどれくらい上回っているかを表す。つまり、 株式に投資するリスクを取る意味がどこまであるか。 ERPが高いほど株式にそれ相応のリスクが含まれており(織り込まれており)、 債券対比「割安」とも言える。 一方ERPが低いほど株式のリスクに見合わない収益水準であることを意味し、 債券対比「割高」である。 ERPがゼロ近辺かゼロ以下の時は極端のバブル状況を表している。 言い換えればERPは債券と株式の相対的なバリュエーション指標である。私の投資人生の中で極めて重要視した指標の一
先月から米国金利の急なフラット化(短期金利が上昇し長期金利が低下)で「景気後退先行指数」である2年と10年のイールド・スプレッド(金利差)が話題となっている。 今回の投資家コーナーで過去40年間のインバージョン(2年金利が10年金利を上回りスプレッドがマイナスに転じる)を紹介して今後の相場の展開を考えてみたいと思いまーす。 なお、冒頭に申し上げておきたいのだが、 リスク資産は現在、 ベア相場である。 今回の投資家コーナーで少し楽観的に聞こえる発言があるかもわからないが、それはあくまでも ベア相場ならでの、吐き気がするくらいのボラティリティを意識したものだとお考えください。 ベア相場の中でも大きく上昇する局面が何度もあり、神経をすり減らしながら波乗りの覚悟で挑むか、リスクをコントロールした上で辛抱強く凌ぐかは読者様次第。 さて、チャートで語れない事情は語るに値しない!ということで早速ご紹介しましょう! 今回はめちゃくちゃ忙しいのになってしまった…。まず解説しましょう。 上段は米国の2年ー10年金利金利差(赤い折れ線グラフ)と、薄い赤色で過去45年間の景気後退局面を記載したもの。中段はS&P500の推移を対数軸で表したもの。上段と中段を横切る薄いオレンジ色の線は2年と10年金利が逆転した局面。下段はそれらの逆転局面の年月と、3か月及び12ヶ月後のS&P500株価の騰落率。 2年と10年
過去2週間のウクライナ情勢で人的被害が拡大する中、コモディティ価格と金融の安定も十数年ぶりのショックを受け、各国が大きく混乱している。 特にコモディティ価格の変動は今後、極めて要注意。先日はツイッターでも共有したが、先週のコモディティ価格指数(S&PのGSCI指数)は週次+20%の上昇。この指数の歴史の中で、これまでの最大の上昇が2009年第1週の+12.9%だった。先週の+20%の上昇は 3σどころの動きではない。 50年間の週次騰落率の分布は綺麗な正規分布だが、先週は 0.0003%の確率である6σイベントすら上回るショックに該当する。 50年間の週次リターンの平均値が+0.1%。標準偏差が2.7%。先週のリターン(20%)が平均(0.1%)から約7.4標準偏差離れている。つまり… 7σ(強)のイベント。∑(゚д゚;) GSCIのうち、エネルギー価格が約50%を占めるので今週・来週のイラン核合意次第では調整する余地がありそうだが、ウクライナ情勢が鎮静化しない限りコモディティ全般への資金流入が続きそう。 そしてインフレ加速の度合いもコモディティ価格次第。 先週の雇用統計と一緒に発表された賃金上昇率が市場予想の+5.8%を大きく下回る+5.1%となった。先月の+5.7%も+5.5%に下方修正され、賃金上昇から来るインフレ圧力が一旦緩和されるのか、と一瞬思った。 ただ、その後に更新さ
プロの基本動作の一つ。投資における断言は禁句。「絶対上がる」や「絶対儲かる」と連呼する人は全員ペテン師。 なので断言ではなく 99.9%の確率で 次の一言を言わせてください。 コロナバブルは終わった。 ドットコム以来の、鼻血が出そうな高バリュエーション。 「イノベーション」という魔法の言葉で10年かけても利益が出ない数兆円規模のIPO。 子犬の顔がついてれば暴騰する。 さぞかし楽しかったと思うが、ほぼ確実に終了している。 バブルの終わりの特徴はいろいろあるけど、最も重要なのが… ボラティリティ。 今週はウクライナ戦争で再び地政学的が顕在化して色んなリスク資産が乱高下しているが、実はその乱高下は ウクライナ戦争前から起きているし、今後も勢いを増していくであろう。 株のボラティリティが語られる際は必ずVIX指数が取り上げられる。ただし、いつも見ているVIXが何を意味するかは皆さんご存じでしょうか。 VIXというのは、 S&Pオプションのインプライドボラティリティ(IV) を表すもの。オプションのボラティリティはブラックショールズモデルの変数であり、オプション価格を求めるための一つの要素。つまりVIXは現在のオファーとビッドに基づいて価格からボラティリティを逆算したもの。 要は相場が「大きく動いている」時だけではなく「大きく動きそうな」時もVIXが上がる。 蛇足だが、VIXが表しているも
今週はFINRA(米国金融業規制機構)が定期的に公表している 証券口座信用取引残高の歴史的な減少 を見てみたいと思います。 信用買い残高や信用売り残高は、信用取引をされる方なら馴染みがある統計データ。日本は日証金や東証が信用関連データを開示するが、米国はFINRAが1か月に一度メンバー全社の残高を発表。 そして先週発表された1月の数字は 実に歴史的な値であった。 絶対値としては 829,637百万ドル(95.4兆円相当)。 大きい数字…だな。しかし、歴史的な出来事はその大きさではなく、 先月からの減少額である。 一先ずITバブル前からの、長期的な信用取引残高をみてみましょう。 上図をご覧ください。一番右側に先週発表された8300億ドルの値が記載されているが、実は最高値は昨年10月の9360億ドルであった。信用残高推移と合わせてS&P500を出しているが、わかりやすい関係性。信用残は株価が上がっている、もしくは上がりそうな局面で膨らみ、下がり始めると急速に縮小する。投資家が信用のポジションに対し追証を食らい、損失が拡大し、株価下落に拍車がかけられる。 株価全体の水準が長年右肩上がりで推移してきた影響で、残高も構造的に大きくなっている。ただ、現在の8300億ドルの水準は、まだコロナ前のピークであった6690億ドルを超えている。そしてリーマン前の住宅バブルのピークの約2倍。 つまり… 株
利上げ幅はともかく、核戦争が始まらない限り3月の利上げが確実となった。ここ2週間は多くの新聞やオンラインメディアで次のような発言を見かけた。 「実際に利上げを開始したら株価が上がるのだ」 …これをみるたびに思うことはたった一つ。 インフレとバリュエーションを舐めてないのかい? 注意を呼び掛けることで誰も喜ばないだろうね、と思いつつ今日の投資家コーナーを書きまーす。 1970年以降の利上げサイクル 1970年以降、8回の大きな利上げサイクルがあった。1970年代はオイルショックと、ボルカー議長のスタグフレーションとの戦いで2回。1980年代と1990年代もそれぞれ2回ずつのサイクル。1990年代の2回目のサイクルはITバブルのピークで終了し、その後4年間利上げはなかった。2004年から始まった、グリーンスパン議長の定期的な利上げは2006年に終了した。2015年のイエレン議長の利上げは実は10年ぶりのものとなり、2018年12月末まで3年間のサイクルとなった。 上記のチャートはFEDの1970年以降の政策金利の推移と、赤く染めた各利上げサイクル。過去20年間における利上げの珍しさが伝わってくるだろう。2009年以降、金利が実質ゼロとなっていた期間はいうまでもなく米国を皮切りに株価が右肩上がりで推移してきた。 利上げのサイクルがわかったところで、各サイクルにおいて株価がどうなったか見て
先週は、数多くの歴史的な出来事があった: * 時価総額から 1日で29兆円相当 が吹っ飛んだメタ(フェイスブック)が 米国史上最大の日次損失記録を更新 * 時価総額に 1日で22兆円相当 が上乗せされたアマゾンが 米国史上最大の日次益金記録を更新 * 日本の5年物の国債金利が 2016年1月のマイナス金利導入以降はじめてプラスに転じた * ドイツの5年金利も 約5年ぶりにプラスに転じた * 原油が6.3%上昇し、 WTIが6年ぶり$90の大台を突破 そして金曜日に発表された雇用統計は市場予想を大きく上回り、オミクロン株の感染に足止めされない米国雇用情勢の強さが再確認された。 ここまで各資産のボラティリティが同時に上昇しているのは… 何かきな臭い展開の前兆。 と言いたいところだが、S&Pをみると一週間1.55%上昇、2週間連続の上昇。ナスダックは2.4%上昇。日経平均は2.7%のプラス。先週だけで大手S&P型ETFに1.3兆円相当の資金流入。 株式はこれまで短期的に売られすぎていた、というシンプルな説明はもちろん有効。 ただ、債券市場を見ていると… 見るところによって金融危機手前の混乱が思い浮かぶ。 株式市場は嫌なことを見て見ぬふりをする傾向があるが、債券市場はむしろ潔く認めたくない現実に向き合う素質がある。 さて、具体的に債券市場のどういったところにストレスが現れているのだろうか。
コロナショックの2020年3月以降、「ビットコインと株の相関性上昇」の記事をFTやウォールストリートジャーナル等の新聞や大手メディアでしばしば見かける。 相関性が高まっているのは事実ではあるが、その原因は何だろうか。そしてそれがビットコインをはじめとした仮想通貨全体に今後どういった影響を及ぼしていくのか。 最近、話題となっているビットコインとNASDAQの相関 確か昨日や一昨日にもFTに報道されていたが、足元のビットコインとナスダック(具体的に取引時間外でも取引される先物)の相関性は驚くべき水準まで高まっている。 言葉だけではなかなか伝わらないので以下のチャートをご覧ください。 上図は2012年以降のBTCUSDとCMEに上場しているNASDAQ100の先物との30日間における相関指数の推移。おさらいのため、相関指数は-1から+1の指数であり、二つの資産の相関を表す。+1は同じ期間に全く同じ方向の動きをするのを意味し、-1は同じ期間に正反対の動きをする。 見て頂ければ2012年~2020年の間、+0.50程度のプラス相関から-0.6~-0.7のマイナス相関を行ったり来たりして、無相関の期間も多かった。ただ、 2020年3月以降はマイナス相関に転じたことが一度もなく、 それまでなかった+0.7のプラス相関を超える局面も多数。足元は+0.73と、なかなか驚異的な水準である。 つまり、ビ
機関投資家やファンドマネジャーはよくファンドフローに注目する。有料だったりするが、個人投資家でもファンドフローがみられる一般向けサイトが過去10年登場している。 なお同じ10年間の時間軸で米国におけるETF投資が爆発的に伸びている。 様々な指数、スタイル、セクターのETFが存在し、ブルとベア、レバー等の戦略を用いたものも豊富にある。 個別銘柄と異なり、ETFは毎日NAV(ネットアセットバリュー)と資金流出入を開示する。そうするとETFのファンドフローが、実はとても把握しやすい。 個人投資家の市場占有率が著しく上昇した2020年、2021年においてETFへの資金流入が非常に旺盛だった。 さて、以下のようなチャートがよく記事やSNSで出回る。 例えばこのチャートは、ETFだけではないがバンカメの調査で2021年末における株式への資金流が1.1兆ドル(125兆円相当)と、 たった1年で過去19年間の合計を上回ったことがわかる。 それ自体はもちろんすごいことだが、自分のポートフォリオや日々の投資にその知識をどう生かせるのか。 ごく当たり前だが、みんなが保有しているものであれば、潜在的な売り手が多く存在する。 一方、誰も持っていないものは、潜在的な買い手がたくさんいるとは限らないが、下落局面において売りが売りを呼ぶ展開は少ないだろう。 上のチャートが示すように「株式が持たれている」が、具体的
ご注意: 本日の投資家コーナーは一部の読者の方に不愉快な思いをさせる恐れがございます。以下の症状が疑われる読者さんは、この記事を閉じてぜひ一度ご自身の投資アドバイザーにご相談ください。 * 「テスラが完成車メーカー」を耳にすると激怒する * 10年経ってもテスラは上場ほやほやのITベンチャーと同じ倍率が相応しいと思っている * そもそもバリュエーションに意味がないと思っている * イーロン・マスク氏のツイッター暴言が面白いと思っている さてと、本日のコーナーはみんな大好きなテスラ社!昨夜はサイバートラック生産遅れの報道で株価が大きく下がったが、このコーナーは日々の動きではなくより長期的な解説をするためのコラムなので株価ファンダメンタルズの本質的な議論にお付き合いください。 これまでオンリーワンだったテスラ社 私も2011年ごろにテスラ・ロードスターのコンセプトを見た瞬間に「かっけええ!」と思った。テスラは10年間をかけて、電気自動車の可能性を見せてくれて昨年にやっと黒字化できた。排出権販売の効果は無論あるが、生産台数が順調に伸び、新たなフェーズに突入しているのも事実。ただし、それが課題でもある。 すなわち、これまでEVの夢だけで愛されてきたテスラ社はいよいよ業績で評価される時代となった。 ベンチャーあるあるの現象だが、利益がないうちは何とでも言えるが、利益が出始めると一気にリターン
過去12年間、GAFAMの出現や多くの銘柄の構造的な利益成長を背景に米国市場に多くの投資家の資金が流れ込んだ。 しかし! テクノロジーによるイノベーションとは別に、利益成長を牽引してきた量的緩和とトランプ政権中の減税効果がより重要だったのでは? そして今、その12年間を引っ張ってきた2つの推進力が消えるのか?! 市場や個別銘柄の実績をどの切り口で見るかで見方が大きく変わるだろうが、 実はリーマン後の上昇のほぼ全てをQEと減税だけで説明ができてしまう。 S&Pの本格的な上昇が始まった2009年半ばから昨年末までの上昇率は 約370%。 同期間中、リーマン後とコロナ後のQEでFEDのバランスシートが 約2兆ドルから現在の8.8兆ドルまで340%膨らんだ。 これとは別に、QEが止まっていた2016年~2019年の間にトランプ政権の 39%→26% の法人減税でS&P500銘柄の一株当たり利益(EPS)が 約14%押し上げられた。 この2つの要素を合わせると 370%の上昇の大半が裏付けられる。 下図にてバランスシートと重ねてみるとその関係性が非常にわかりやすくて、バランスシートが縮小されていた2017年ごろの減税効果も明確に顕在化。 特に2011年から2016年の間はS&P全体の利益成長がイマイチであって株価の上昇要因がまさにQEであった。本格的に利益成長が始まったのは2017年の減税後
本日のコメントが今年最後のコメントとなります。 今年4月から私と斎藤が毎朝ここに株・為替・仮想通貨等の投資家の皆様のためになる情報を提供してきましたが、来年からは少し頻度を落とし、より深くマーケットの動きだけに囚われない形で新たなコンテンツをユーザー・閲覧者の皆様に届けたいと考えております。 これまでのお付き合いを誠にありがとうございました。 そして来年からの再スタートをお楽しみに。 良いお年を!
昨夜の米国株式市場はオミクロン株の低毒性に関するデータ発表を受け、二日連続上昇。今週は私も素人の観点で共有したが、英スコットランドと南アフリカの調査でオミクロン株の入院リスクがデルタより約80%低いことが判明された。ここまで前提条件が激しく動いているのに金利がほとんど動いてないことがかなり気になるが、年末までにこの停滞感が続く可能性が高いだろう。 本日は昨夜に報道されたバイデン大統領の学生ローンに対する大統領命令を深堀してみたいと思います。 バイデン大統領はコロナショック後に導入された学生ローンの返済・利払い免除措置をさらに3カ月延長し、1月末に期限を迎えるはずだったモラトリアムが5月1日まで延ばされた。 足元の米国の高インフレ状況を作り出したのは、言うまでもなく前代未聞の金融緩和と、同時の前代未聞の財政政策(=ばらまき)。後者のばらまき以下のような形で実施されてきた。 * 現金給付 * 特別失業手当 * 住宅の差押禁止令、立ち退き禁止令 * 企業向けの各補助金制度 上記とは別に、社会問題化している学生ローンの返済・利払いの免除(=モラトリアム)も導入された。 学生ローンの残高は年々に増え、現在は約1.7兆ドル(=125兆円)まで膨張している(下図)。2000年はじめの水準の約6.6倍の規模に膨らんできた。 その残高の増加の背景に、大学費用のインフレがある。今回の40年ぶりのインフ
昨夜の米国株式市場は3営業日連続の下落。ナスダックは2か月ぶりに100日移動平均線を下回り、中小型中心のラッセル2000も8月以来の低水準。オミクロン株感染者数増や、ウェストバージニア州マンチン議員の不支持で民主党の大型歳出法案が今年中に議会を通過する見込みがなくなったことで買いが入りづらい展開となった。 12月に入ってから個人的に久しぶりに日本株に対する投資を増やしてきた。理由は以下の通り: * 先日共有した日米の相対的バリュエーションの歴史的低水準 * 低インフレのおかげで大規模の財政政策が打ちやすい * 増税というネガティブ要素が最近話題となっているが日本株を大きく売り込める投資家層が限定的 その中でも注目しているのが、誰も触りたくない旅行・航空・レジャー関連。 南アフリカは懸命にオミクロン株の低毒性を訴えているが、コロナPTSD症状となっている各国は現在その報告に聞く耳を持っていない。私の勘違いかもしれないが、1か月経ったところでWHOが認識しているオミクロン株による死者がたった一人。 私は何よりもデータを重視する人間なので、そのデータをみる限り、南アの医療関係者が毒性について仰っている内容がその通りだと思われる。 実際に南アの感染者と死者数の推移をみると、これまでの3回の感染者増の局面において死者数が約1か月後に急に上昇。感染者数がピークを打つタイミング(赤い線)で死者数
本日は火曜日のコメントに書いたFOMC前の各項目の結果・発表について解説したいと思います! ご参考まで火曜日に書いたコメントは こちら です。 テーパリングが!! 多くの市場参加者の予想がペースの倍増だったのでその通りの結果となった。そういった意味で サプライズはなし 。毎月150億ドルの減額を300億ドルに増やし、2022年第一四半期に終了する見込み。次に紹介するドットプロットで想定以上の利上げ回数を示したのに対し、 市場の利上げ織り込みがまだ進んでおらず消化にもう一日、二日くらい時間かかりそう 。 火曜日に紹介した翌日金利のカーブが動いたが、9月限月で2回(0.5%に)となり、12月限月も3回(0.75%に)に近づいた。 ドットプロットが!! テーパリングの増額に対し、 ドットプロットは実はサプライズであった 。2022年に関しては元々1回の利上げだった観測が3回に増加し、火曜日に紹介した「2022年に2回以上や2023年に1%強」のサプライズとなる水準を上回る結果となった。2022年の金利予測の中央値が0.3%→0.9%、2023年が0.6%→1.6%に上がり、 近代見ないような急激なシフトを表した。 下図に前回のドットプロットを薄く、今回のを濃く表しているが、2023年及び2024年の各自の予想値の著しい変化が一目瞭然。 2024年に関して、1年前に「利上げない!」と言って
昨夜の米国株式市場はオミクロン株によるロックダウン懸念やFOMC前のポジション調整からナスダックを中心に下落。金利の低下が大きく、長期債が約6~7bpsずつ下がった。みんな大好きなアップル(AAPL)は寄り付き、一瞬ほぼ3兆ドルの時価総額を達成したが、そこから急落し一日の終わりに2%強下落。ドル指数が上がり、ビットコインも約3か月ぶりに200日移動平均線まで下落。 本日は大注目のFOMC前に、市場が注目しているファクターを見ていきたいと思います。 市場の注目は大きく、二つの発表に集まっている: * テーパリング(資産購入の段階的減額)ペースの変化の有無と、 * 将来の政策金利を占う各自のドットプロット その次に FOMCメンバーのインフレやGDP予測 のアップデートも注目されている。 記者会見で パウエル議長の発言が前回対比どれほどタカ派シフトしているか も市場に大きく影響を与えるだろう。 それぞれを少し深堀していきましょう。 テーパリングをどないすんねん?! 前回のFOMCでテーパリングが発表された際、 毎月150億ドルの減額に設定され、 約8カ月 (毎月購入金額の1200億ドル/150億=8カ月)で終了する見込みであった。今回のFOMCにて市場の注目は この減額のペースが倍増されるかどうか に集まっている。 テーパリングの議論は一般的に市場からの流動性引き上げも意味するが、 利
昨夜の米国株式市場は、ファイザー製ワクチンの3回目の接種でオミクロン株に対する免疫反応が確認できたことで再び上昇し、オミクロン下落前の水準を回復した。ただし金利の戻りが鈍く、オミクロン下落前に1.66%だった10年金利は1.52%にとどまり、金曜日のCPI発表で大きく動く可能性が残る。 本日は印象に残ったブルームバーグの記事を深堀したいと思います。 記事ではバンカメ調査でS&P500の実質株式益利回りが1947年以来の低水準を記録したと報道された。同社の調べで現在の実質株式益利回りが-2.9%であり、利益が大きく成長しない限り株を保有することでインフレ考慮後に期待収益が著しくマイナスであることを意味する。下図にブルームバーグが算出した実質株式益利回り(=-2.34%)を表示しているが、バンカメ調査と同様の歴史的低水準である。 おさらいのため、実質株式益利回りを説明しましょう。 株式益利回りはPER(株価収益率)の逆数であり、一株当たり純利利益/時価総額で求める。例えば、時価総額1000億の企業が100億の純利益をねん出している場合、株式益利回りが100/1000=10%となる。その企業は市場に与えられている価値(=時価総額)に対し、10%のリターンを挙げていることになる。すなわち投資家として10%の収益を期待できる。 実質株式益利回りはそれからインフレを差し引いて、インフレの潜在的
昨夜の米国株式市場はリフレーション及びオールドエコノミー銘柄を中心に大きく値上がり。南アから出ているオミクロン株に関連する速報は恐れていたより軽い毒性を示しているのでその安心感からセンチメントが回復中。株式の上昇を受けて金利も久しぶりに大きく上昇。カーブがスティープ化し、20年~30年の長期金利が9bps強上がった。先週暴落していた旅行やレジャー関連銘柄の値上がりが特に堅調だった。 本日は少し話題を変えて、日米の株価の相対的バリュエーションをみてみたいと思います。 ツイッターでもこのコメントでもよく米株の話やネタを紹介するが、14年間のプロ時代において日本株の運用をメインに手掛けていた。非常に馴染みのある市場であって、魅力的な企業及び銘柄も多い。 そしてその日本株が今、過去10年間を見渡すと相対的に最も割安の水準に放置されている。 2013~2014年以降をみると米株は多くの資金の受け皿となってきた。GAFAM等の高成長銘柄が世界中の投資家の心をつかみ、構造的な右肩上がりの大相場が築き上げられてきた。なおコロナ後に行われた前代未聞の金融緩和を皮切りに米株が益々評価され、テック中心のナスダック指数がドットコムバブルを超えるバリュエーションで評価された。 さて、現在はいかがでしょうか。 上図にて日米の相対的なバリュエーション(=予想PER=予想株式収益率)の推移を表している。現在のS&
昨夜の米国株式市場は米国内オミクロン株の検出報道を受けジェットコースターのように高値から切り返し大きく下落。S&Pは一時1.9%上昇していたが、その水準から3%下落して取引を終了。ナスダックも同様に1.8%上昇の水準から3.6%値下がり。パウエル議長は証言二日目の発言は昨日のタカ派姿勢を維持したが、リスクオフ懸念から金利が大幅に低下。 昨日発表されたマクロ指標は引き続き景気拡大を示した。明日の雇用統計前のADPの+53.4万人は市場予想を上回り、3か月連続50万人以上の勢い。製造業のISMは市場予想をやや下回ったが、61.1と先月の60.8から改善し、2000年以降ほとんどなかった60強の水準を維持した。 オミクロン株蔓延で12月1日の南アにおける感染者が一昨日の水準の約倍となり、検査の陽性率が16.5%に上昇。11月中に検出された陽性者のうち、74%がオミクロン株でデルタ株を上回る。今後数週間でオミクロン株の感染力及び重症化リスクがより明確になってくるだろうが、それが判明前でも各国がすでに実施している対策の経済への影響が顕在化するであろう。 オミクロン株は言うまでもなく、インフレ圧力を加速するポテンシャルがあり、労働参加率を低くする影響を及ぼすだろう。さらなる賃上げの要求や、転職率の上昇がつづくと、より根強いインフレ圧力がますます定着する。それを背景にこれまで行ってきた大胆な金融