OfficialAmin

@amin
2018年1月1日
麹町
2024年6月にログイン
@aminimazwww.pafin.com

元ゴールドマンサックスのマネージングディレクター。2017年末に引退し2018年1月にクリプタクト社を設立。少年時代はコーディングばっかり。GSのITに入社後、... つづきを読む


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【2021.09.16】S&P500の50日立入禁止線
icon2021年9月15日
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昨夜の米国株式市場は景気拡大を示すマクロ指標の発表とエネルギー価格上昇を受け先週の下落から反発。本来であれば景気拡大インジケーターでテーパリング懸念が高まるはずだが、これまで何度もあった株価上昇と金利低迷の一日だった。景気や金融政策の話よりも、2021年は実はテクニカルが主導な年かもしれない。 テクニカル指標は正直あまり重視してないし、得意でもない。その中で一番よく見るものは移動平均線。相場においてトレンドがつづく傾向が強く、テクニカル指標の中で移動平均線が「効く」局面が多いとも言える。今年の米株上昇の裏には50日移動平均線(=「立入禁止線」)もかなりの影響を与えているのでは、と思っている。過剰流動性で株を買うしかない発想がすべてを支配する中、50日に近づくたびに押し目買いが走り、急反発を繰り返す。インフレやテーパリングや業績等といった本質的な要素に関係なく、このパターンの継続が2021年を代表している。 これは別に2021年特有の要因では決してなく、2013年~2014年、2017年にもよく見られた現象。ということでTINA(=株を買うしかない)はコロナ禍でも平時でも通用し、緩和財政バブルはただ単に上昇の角度を上げたのみとも言えそう。 最後にツイッターでも何回も紹介した中国恒大がいよいよ破綻と債務再編に向かっている模様。10兆円の負債を抱える最大手不動産企業のデフォルトが中国の不

【2021.09.09】金融政策の主軸がコロナでなくなる日が近い
icon2021年9月8日
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昨日の米国株式市場は小幅な値下がり。ナスダックは2週間ぶりの下落率でこれまでの上昇トレンドにやや一服感が見られた。 過去24時間以内に連銀メンバー二人がコメントを発表し、先週の雇用統計の下振れに触れつつも早期テーパリングを引き続き支持している姿勢を示した。ブラード総裁は1100万人近い全米の求人数を述べ、一カ月の弱いデータに左右されないと述べた。年内のテーパリングを想定し、来年上期までに終了したほうが望ましい見解を示した。インフレ圧力が長引いた場合、2022年内の利上げの選択肢を残したいとし、これまで通りのタカ派姿勢を維持した。 カプラン総裁も似たメッセージを発信し、テーパリングの発表を9月に行い10月から開始したほうがいいと述べた。現在行っている資産購入は供給網の問題への解決でないとし、テーパリングを遅らせた場合は政策運営の柔軟性がなくなる恐れをハイライトした。 先週の雇用統計後、相場は無限緩和が永久的に継続される期待が強まったがタカ派メンバーの態度は変わってない模様。 本日のECBでも想定より早いテーパリングが示される可能性。ラガルド総裁はこれまでパウエル議長と同様の「市場を驚かすな」姿勢を堅持してきたが、ユーロ圏も高インフレ、供給不足、需要過多の問題を資産購入で解決できない現状を認め始めている。 金融政策の主軸がコロナの感染者数である限りリスク資産の価格に対して本質的な議論は

【2021.09.07】完成車価格は下がる理由がない
icon2021年9月6日
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昨夜の米国株式市場はレイボー・デーで休場。本日のモーニングコメントは長引く自動車サプライチェーンの遅延に対して一言。 昨日、自動車大手二社の責任者が自動車向け半導体の見通しを表明。ダイムラーのクレニウスCEOは足元の半塔体不足は来年に解消されることなく2023年までつづくとの見解を示した。フォルクスワーゲンのディースCEOは半導体の需要の高さに言及し、不足が最低数カ月間、もしくは数年間にわたってつづくと述べた。 ほかの資材も高止まりする中、昨日アルミニウム相場も約10年ぶりの高値を付けた。南アフリカ・ギニアの政情不安で供給が懸念され、供給網の新たなリスクが顕在化。ギニアはアルミの原料であるボーキサイトの主要輸出国であり、中国の輸入量の55%を同国から調達。 自動車の軽量化等で一台当たりのアルミ使用量が構造的に上昇し、2016年に150キロだったものが2025年に200キロ近くまで上がる見込み。燃費・エネルギ効率の観点で軽量のアルミが大きな役割を果たしている。完成車1台当たり、3万個を超える部品や素材が使われる。その中で一つでも不足すると全体の生産工程に影響が出る。なおアルミの価格上昇も他の資材と同様に最終的に販売価格に転嫁される。 以前にユーチューブでも紹介したが、コロナ禍のK型回復において多くの消費者の可処分所得が上昇している。そしてリスク資産の値上がりで耐久財を購入するための余

【2021.09.02】ADP下振れで緩和継続期待再び。構造論が気になる出張需要。
icon2021年9月1日
icon2021年9月1日(編集済み)
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昨夜の米国市場はナスダック主導に最高値をまた更新。ADP雇用統計が37.4万人と市場予想の62万人を大きく下回り、8月のデルタ株蔓延の影響が顕在化した模様。ADPの予測性はそこまでないが、金曜日発表の雇用統計も弱ければテーパリング開始時期の遅れや、利上げが数年間ない期待が再び強まるだろう。 一方、ISM製造業指数は59.9と市場予想の58.5を上回り経済活動は懸念されるほど減速されなかった可能性もある。いずれにせよ、コロナ禍相場は毎月の各主要マクロ指標発表に基づいてその後の1か月の流れが決まるので、雇用統計が弱ければ再び金利低下、テク・グロース上昇、リフレ関連下落等々の展開が容易にありうる。 それより昨日ブルームバーグが出した一つの記事が気になる。 コロナ禍が2年目に突入しようとしている中で、企業の出張に対するマインドがやはり構造的に変わっている。この流れについて正直ずっと懐疑的だった。昨年は暴落した米国のホテルリートにも投資をし、ビジネス需要が間違いないく戻ると確信していた。しかし、ワクチン接種が進んでいてもオンラインで済むミーティングはオンラインでやれといった方針が定着している模様。 ブルームバーグの記事で欧米とアジアの大手企業45社に対するアンケートを行い、今後の出張予算の行方を探った。パンデミック後でも84%の企業が出張件数を減らすと回答。なお出張予算を減らすと答えた企業の

【2021.08.31】S&Pは8月中12回目の最高値だが日経先物低迷。バリュエーションとS&Pの増税織り込み度合い。
icon2021年8月30日
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昨夜のS&P、ナスダック指数は大型テク銘柄に牽引され再び最高値を更新。S&Pは7カ月連続で20.2%上昇。7か月連続の20%以上の値上がりは1990年以降4回しか起きておらず、前回はリーマン危機後の2009年9月。 その中でシカゴ日経先物が驚くほど低迷。やはり低支持率と総選挙といったカントリーリスクが顕在化し、日本株が避けられている印象を受けざるを得ない。バリュエーションの観点で実はTOPIXの今期予想PERが14.6倍と、過去10年間平均の15倍をやや下回る水準。一方、S&Pは今期予想ベースで22.4倍であり、過去10年平均の17.5倍を30%上回る。現役時代に同じ現象を何回も経験してきたが、割安ではあるがその他要因で放置されるとやはり何となく虚しさを感じる… なおS&Pの予想PERに不可欠な要素の一つが税率。ブルームバーグが集計した15人のストラテジストの中で、明確に増税を織り込んでいたのはたったの5人。2022年の予想EPSのレンジは$205~$232で、足元の22倍のPERを当てはめるとS&Pの目標株価が4510~5105と上下で13%もの差がある。 バイデン大統領の予算決議案の行方がまだ不透明の中、法人税が計画通りに21%から28%に引き上げられるか、あるいは25%や26%にとどまるかは意見が分かれている状況。増税を織り込んでいるストラテジストはその影響がEPSで約$10

【2021.08.26】戻らないオフィス需要の行方。
icon2021年8月25日
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昨夜の米国市場は小康状態。主要指数は引き続き最高値更新に加え、想定以上の在庫減少を受け原油が3日連続値上がり。今後8月のマクロ指標が出揃うが、デルタ株蔓延による経済活動低下はあまりなかったのでは、と考えられる。 本日の主題は米国オフィス需要の停滞。今日の日経新聞でもヤフーの拠点集約や三鬼商事のオフィス空室率の上昇が話題となり、長引くコロナ禍で世界的にオフィス需要の戻りが極めて鈍い状態。 米国においてこの影響は非常に顕著であり、特に大都市圏が苦戦している。オフィスセキュリティを提供する大手のカストルシステムズがまとめる主要都市のオフィス稼働率は未だに10%~50%未満の水準。最も回復しているテキサス州のダラスやヒューストンは40%台に戻りつつも、ニューヨークはサンフランシスコは20%未満。 ファイザーワクチンの正式承認で義務化が可能となり、オフィスに回帰するように求めている企業が増えてはいるが、アメリカ人の抵抗が根強い。とあるVCさんの56社のポートフォリオカンパニーに対するオフィス需要アンケートが興味深かった。コロナ前は75%が原則としてオンサイトだったのに対し、今後その方針を続けると答えたのはたったの3社(5%)。 まだあまり取り上げられていないが、アメリカの多くのCMBS(証券化された賃貸住宅・事務所・商業・物流向け不動産ローン)は無論オフィスビルの賃貸収入にも依存するもの。リ

【2021.08.24】デルタ株鎮静化期待で再び最高値更新。ジャクソンホール前のVIXは低位。
icon2021年8月23日
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週明けの米国市場はファイザーワクチン正式承認で株、国債、原油、金、仮想通貨、ほぼすべての主要資産が値上がり。エネルギー・リフレ・レジャー関連銘柄が3%~4%と堅調に上がり、感染者のピークアウトとワクチン義務化期待で足元の感染拡大を過去にものにした展開となった。 ピークアウトの見方はおそらく一番感染者が急増していたフロリダ州の状況によるもの。前回のピークを越えていた感染者数が足元減速し、7日平均が明確に下落方向。 フロリダ州感染者推移 なお今週金曜日のジャクソンホールへの警戒がほとんどないように見受ける。株式の先行きのボラティリティを予想するVIX指数は月曜日7%強下落し、今年4月~8月のレンジ下限に近い水準で落ち着いた。パウエル議長はこれまでリスク資産を下げるような発言や行動を極力避けてきたが、ジャクソンホールにおいてもその掟を守るだろうと市場が織り込んでいる模様。 最後にリフレ期待に欠かせないバイデン政権のインフラ対策・予算案の行方が未だに不透明。ペロシ下院議長は5500憶ドルの超党派インフラ対策と、3.5挑ドルの予算決議案を同時に通過させたいが、民主党穏健派議員の反対で対立。 予算案は今年話題となった多くの増税等を盛り込んだもので民主党内でも意見が分かれている項目が多い。党内対立を解消できなければ目玉政策である増税・格差是正対策の実現性が危うくなるだろう。 今年の夏は極力リスク

【2021.08.17】悪材料に興味のない米株。2Qの13F:バーリ氏vsウッド氏他
icon2021年8月16日
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昨夜の米国株式相場はデルタ株感染拡大、テーパリング前倒し報道、タリバンの圧勝、テスラオートパイロット調査等々を無視し、寄り付きの下落から力強く反発し最高値を5日連続更新。それ以上コメントできることはないので昨日から出始めている13F(AUMが1億ドル以上のファンドや企業が提出するポジション開示資料)の印象的な変化を紹介する。 一番話題となっているのは、2008年の危機で大儲けしたビッグショートのバーリ氏のARKKショート(プット)。バーリ氏は3か月前から暴落を警告し、ミーム銘柄や仮想通貨への投資に対する注意を呼び掛けている。そのビューに合わせてキャシー・ウッド氏の旗艦ファンドに対するプットポジションを開示。30億円相当のプットを保有し、当ファンドの下落にベットしている事を明かした。バーリ氏は過去にテスラへの弱気ベットで失敗しているケースもあり、トラックレコードは決して完璧ではないが。 あと印象的だったのは多くの著名投資家のポジション削減。バフェット氏のバークシャーは多くのポジションを減らし、バイオジェン(BIIB)等を完全に売却した。 なおソロスをはじめとした多くのファンドは中国ADRへの投資を削減もしくは撤退。 13Fに興味のある方は無料で閲覧できるので検索してみてください。なお以下のようなサイトはまとめ情報を提供しているので合わせてご覧ください: https://whalewi

【2021.08.16】コロナ禍長期化の現実味が増す
icon2021年8月15日
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金曜日の米国株式市場は各指数における小幅な上昇で再び最高値を更新した。ただし、デルタ株の急速な大規模感染による消費者マインドの悪化で雲行きが怪しくなっている。市場予想は概ね先月と変わらない水準を見込んでいたが、発表されたミシガン大学消費者マインド指数が70.2と市場予想の81.2を大幅に下回った。先行景況感は65.2(市場予想78)と、実は昨年の3月コロナショックをやや下回る水準。 その中でコロナ禍で恩恵を受けたゲーム業界が堅調。 NPD調査によると7月の米国ゲーム機及びソフトの売上は46億ドルで前年比10%の伸び。年初来335億ドルと14%の前年比の増収。巣ごもり需要で昨年の7月は前年比32%も伸びていたにも関わらず、コロナ禍でゲーム需要が構造的に伸びている模様。 半導体不足で供給がひっ迫しているものの、ゲーム機の売上は3.23億ドルで前年比98%の伸び。新型プレイステーション、任天堂スイッチ、XBoxが堅調。 ゲームソフトに関しては任天堂、カプコン、ソニーのソフトが引き続き高順位。日本株全体が低迷する中、任天堂やソニーのゲーム関連売上は今年も好調であろう。 マクロ面に関しては市場の注目は来週のジャクソンホールに移りつつある。今週はFOMC議事録やパウエル議長の演説はあるが、テーパリングを示唆する可能性が極めて低い。9月にテーパリングを発表し、12月や2022年1月から開始すると

【2021.08.05】米国オンライン予約大手決算から見た旅行・観光需要
icon2021年8月4日
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昨夜の米国株式市場の主要指数の値動きはまだら模様だったが、決算を発表している個別銘柄は引き続き活発。マクロ観点において原油価格の下落と想定より弱いADP(+33万人、市場予想+65万人)で景気減速懸念が強まった一方、非製造業ISMが64.1(市場予想60.5)と過去最高水準を記録。金利はISM発表後、一時上昇したが結局下がりほぼ変わらずの水準に回帰。 個別決算で印象的だったのは大手オンライン予約サイトのブッキング。2021年第2四半期の決算は市場予想を大きく上回り、ワクチン接種が進んでいるアメリカ人の潜在的トラベル需要を表した。 サイト経由で予約されたパッケージ総額(Gross Bookings)は152.9億㌦で前年同期比+851.7%。四半期の絶対水準として2019年第3四半期以来の高水準。宿泊日数は前年同期比+457.5%とホテル等のレジャー施設の回復を示した。航空券は前年同期比+626%で過去最高水準の400万枚台。レンタカー日数は前年同期比+558%と2019年第4四半期以来の高水準。 特に航空券の販売が市場予想を大きく上回り、コロナ禍の巣ごもりで溜まっている旅行需要を物語っている。 市場全体の方向性は金利が示すと考えている。昨日はツイッターでも共有したが、シティのマクロサプライズ指数が1年ぶりにマイナスに転じ、エコノミストの足元の予想が楽観的過ぎることが伝わってくる。本

【2021.08.03】アマゾンが未達だったのに対し最大手商業リートが大幅過達
icon2021年8月2日
icon2021年8月2日(編集済み)
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昨夜の米国市場は一段の金利低下で指数全体が小幅な値動きだったが、決算及びM&A発表等で個別銘柄の動きが活発だった。金利低下は中国の想定以下の製造業PMIをはじめとした成長懸念が原因だったと思われるが、雇用統計発表前のポジション調整等も今週影響するであろう。 本日のテーマはアマゾン対サイモン。先週アマゾンの決算が想定より弱く株価が9%値下がりした。未達要因に関して会社側の説明はコスト増と顧客行動の正常化であった。すなわち昨年3月から始まったオンラインシフトが逆流し始めている。 アマゾンを離れ実店舗に戻っている顧客の行動が本日の米国最大手商業リートのサイモン・プロパティ(SPG)のQ2決算に顕在化した。発表された実績は * 一株当たりFFOが$3.24と前年同期比52%の増加であり、市場予想対比でも36%の過達。 * 売上は12.5億ドルと前年同期比18%の伸び。市場予想対比5%の過達。 * どちらも市場予想レンジの上限を超える結果。 * 四半期配当を$1.40から$1.50に2期連続上方修正。 * 年間見通しも上方修正し、市場予想を超える水準に。 * 6月末の稼働率は91.8%と3月の90.8%から1%改善。 * 家賃はやや低下し、1sqf当たり$55.03と3月の$56.07から1.8%低下。 サイモン社長のコメントも総じて前向き。テナント確保が好調であり、顧客も戻っている。米国で

【2021.07.29】台本通りFOMC。ブレーキを踏む気のない連銀と踏んだブレーキを緩める中国。
icon2021年7月28日
icon2021年7月28日(編集済み)
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FOMC後の米国市場は結局小幅な動き。先月のタカ派シフトに比べ今月は現状維持に受け止められ、ジャクソンホールまでマクロデータと感染拡大を分析していく日々が続きそう。 一方大暴落していた中国ADRが大きく反発。中国政府は国内銀行と緊急会議を行い、教育関連の非営利化義務に対する姿勢を改めて説明した模様。ほかの産業へ飛び火しないと確信した市場は様々な銘柄を拾い、多くのADRが10%~30%値上がり。 決算を発表したフェイスブックの実績は市場予想を上回ったが、プラットフォーム(アップル等)のルール変化や規制等の影響で今後の広告収入が減速するとコメント。目先の不透明感からアフターマーケットで株価下落。 米国株式を牽引している大手テク銘柄の決算は非常に好調だが、各銘柄が約7週間ぶり小幅に下落中。ナスダック全体のバリュエーションがドットコム並みに上がっている中でこれまでの成長率だけで株価維持が難しい局面。バリュエーション、規制強化、成長鈍化を考慮すると、どれも買う気にならない。 原油価格は再び$72台を回復。夏のドライビングシーズンが好調のようで昨日発表されたDOE原油在庫の減少が市場予想を上回り、主要貯蔵ハブであるクッシングの在庫水準が2019年12月ぶりの低水準に下落。 コロナ禍がもたらした前代未聞の緩和・財政対策からすでに1年が経過。過去にないスピード感で無理やりに景気回復と資産価格暴騰に

【2021.07.27】中国ADRからさらに14兆円消滅。月初から54兆円消え去る。
icon2021年7月26日
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FOMC前の米国主要指数は小康状態。一方、今月の中国ADR、中国株の波乱が継続。今月の暴落の影響はどういうタイミングでどこに現れるか要注意。 この数日だけで中国は様々な抜本的な規制強化を発表した: * 学習塾の非営利化義務 * 独占的な音楽配信権の放棄命令 * フードデリバリーの監督義務化 「資本の悪影響」を受けている産業や企業を名指しに次々と切り刻み、株価を暴落させている。米国に上場している教育関連銘柄大手のGOTU、TAL、EDUは今月80%値下がりし最も打撃を受けている。 昨日は不動産事業のさらなる監督強化憶測で香港に上場している関連銘柄も16%下落。 フードデリバリーを手掛けている美団も14%下落。 これらの暴力的な値動きは間違いなく多くのファンドや企業に影響を及ぼす。例えばTALの筆頭株主は実はモルスタであり、おそらく顧客のスワップ等やレンディング用のポジション。GOTUの筆頭株主もクレディスイス。アルケゴスのような状態に追い込まれているファンドがほかにあるかどうか。 タイガーグローバル、ブラックロック、GIC等々もこういった銘柄を幅広く保有。 まだ上場していない中国企業を保有しているVCファンドも多数。 一銘柄だけであればリスク管理可能な状況だろうが、ほぼ無差別的に米中両方の市場が同時に暴落すると資金面の危機的な事態が発生する。解約のための流動性確保や、担保提供している

【2021.07.20】ピークグロース懸念を言い訳にテクニカル主導の調整?
icon2021年7月19日
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昨夜の米国市場は久しぶりに1%~2%の下落を記録し、弱気の雰囲気が少し広がっているがダウ、ナスダック、S&Pの各指標はまだ年初来10%強の値上がりでまだリスクオフとは言い難い状況。 OPEC+の合意を受けて原油が7.5%下落し、感染拡大とピークグロース懸念から10年金利も大きく10bps低下。金融・エネルギー関連が特に売られた一日。 その中で実はもう一つ面白い局面を迎えている。テクニカルをあまり紹介しないが、テクニカルの基本である移動平均線(MA)が面白いシグナルを示している。 昨夜のS&Pが一時50DMAを下回っていたが、引けに向けて反発。一方、ダウは50DMAを下回り100日を僅か0.7%上回っている。欧州においてもUKXやDAXが昨年の10月以来、100DMAを割り込み、サポート水準を通過して下落。昨日の日経平均がちょうど200DMA近辺で引けたが、CME先物が一段安となり本日は200日まで反発できるかどうかでテクニカル面の雰囲気が大きく左右される。 経済指標や決算は決して悪化してない中で、相場は悪化する前提で動いている。市場参加者が前提条件を迷っている時はテクニカルが意外と重視される。 ファンダメンタルズ面は引き続き強い状況。昨日のキャノンの市場予想を上回る上方修正や、昨夜のIBMの決算発表もコンセンサス以上。景気敏感銘柄の決算はこれからだが、前年対比の伸び率がピークだとし

【2021.07.15】台本通りパウエル議長。住宅ローン健全性の深堀。
icon2021年7月14日
icon2021年7月14日(編集済み)
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カナダやニュージーランドの中央銀行が引き締めに動く中、昨夜のパウエル議長はこれまで通りのメッセージを議会に伝え、お祭りの幕を閉じる気がないことを改めて強調した。 目新しい情報がないという意味で本日は米国住宅ローン市場の健全性に少し触れたいと思う。住宅バブルが加速する中でイエレン財務長官をはじめとした何人かの重要人物がリーマン前のサブプライムとの比較を述べ、今回が健全であり制度的なリスクはないとコメントしている。 今週金曜日にイエレン財務長官とパウエル議長が金融安定監督評議会(FSOC)の非公開会議に参加する予定。議題は住宅市場の制度的リスクの評価。 確かにローン規制の厳格化でリーマン前に起きていた「ライヤー・ローン」(借り手の所得を偽るローン)のような事例が少ないし、サブプライム比率も極めて低い(下図)。 クレジットスコア別ローン融資額(10億ドル) 日本人にとっては馴染みのない制度だが、米国消費者の信用力は大手3社の消費者信用情報管理企業のエクィファクスとエクスペリアンとトランズユニオンにて評価される。クレジットスコアは300~850のレンジ内で評価され、620以下のスコアがサブプライムに該当する。 上の図を見て頂ければ、住宅ローン市場全体の希望が急拡大しているにも関わらず借り手のプロフィールが極めて健全であり、サブプライムやニア・プライム(660以下)層がほとんどいない。 でも

【2021.07.13】すべての道は金融緩和に通ず
icon2021年7月12日
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本日発表予定のCPIは5月に続き高水準のインフレを示すと予想されているが、足元の株式相場の上昇を見ていると仮に想定より強かったとしても「ピークインフレ論」の材料となりそう。相場は高インフレが長続きするかどうかに興味がなく、伸び率さえ低下すれば金融緩和への妨げがなくなると思い込んでいる印象。 同じ意味で今週から本格化する米国決算発表も「ピーク成長率」を示すだろう。昨年の4~6月期が多くの産業にとって最悪期であったため、前年比の増収率、増益率も当面のピークを迎えそう。S&P500のQ1利益は前年比+52.5%だったのに対してQ2は+64%になる見込みだが、この大半が昨年のー31.6%の反動増。ただし、これもインフレと同じ捉え方をすれば、ピーク成長=金融緩和継続という至ってシンプルな結論にたどり着く。 足元の新型コロナウイルスの変異株感染拡大も、人的被害をもたらしながら相場に緩和継続の安心感を与えているだろう。 この構造が変わるには金融緩和を継続できないと思わせる材料の登場が必要だが、相場の動きを見ているとそういった材料は何なんだろうと思ってしまう。 最後に昨日の日本PPI(国内企業物価指数)にて面白いと思った数字のご紹介。木材先物はすでに大暴落し、昨年の11月の水準に戻っているが、高止まりしていた時期の打撃がまさに今企業業績に反映されつつある。昨日のPPIのうち、製材・木の前年比の上昇

【2021.07.08】長期金利低下が一時的インフレ予測を間違える余裕を無くす
icon2021年7月7日
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昨夜の米国株式が過去最高値を更新する中、長期金利の低下がFOMCの金融政策運営を一層困難にしている。 ECBも2%強のインフレを容認する方向性だと報道され、ドイツ等の長期金利も昨夜一段と低下。 FOMC議事録は意見が二つに分かれているメンバーの議論を改めて示した。パウエル議長の一時的なインフレ宣言を信頼している市場が金利をさらに低下させ、金融緩和の長期継続と想定以下の経済成長リスクを再び意識した。 5月~6月のインフレがピークだったという見方が広がる中、FOMCの予測がハズれた際のリスクも高まっている。テーパータントラムを回避すべく台本通りのセリフを言い続けているパウエル議長の行動が裏目に出る可能性が顕在化。 日本で再び緊急事態宣言発令が検討されている中、足元回復していた鉄道、空運、観光やレジャー銘柄が再び手放されるだろう。日本において抜本的な業界再編は危機の中でしか起きないので、今回の長期化する需要低迷で脆弱な企業の再編が進むかもしれない。時価総額の約2倍の負債を抱えている私鉄の近鉄グループ(9041)は3月から資産と持ち合いの売却を進めており、株価が2012年の水準に下落。米国においては大手レンタカー会社や商業系リート等が破綻しており、少しずつ債務再編が進んでいるが低迷期が長引くほど日本もそういった局面に追い込まれるだろう。オリンピック後の大規模な経済対策が不可欠だろう。 最後

【2021.07.06】原油価格一段高。米国ガソリン価格はすでに2014年水準。バンカメ分析をご紹介。
icon2021年7月5日
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独立記念日で株式市場が休場の中、原油をはじめとしたコモディティ価格が値上がり。中古車価格に続き、原油価格も「年後半正常化」説に加わるのか。 昨日のOPEC+は結局合意に至らず会合を中止。サウジとUAEの対立が解決できず、一先ず8月の生産水準を据え置き。それを受けて原油価格が1ドル上昇し、4年ぶり高値を更新。足元、原油価格以上に米国のガソリン価格が上昇し、すでに2014年以来の水準。消費者の手元に現金がある状態でガソリン価格が上がっても払える状況を考えると、ガソリン消費が落ち込まずむしろさらなるガソリン高を招くだろう。 ほかでバンカメの面白い分析を紹介。2021年上期の株式リターンは過去100年で7番目に高かった。年換算で20%を超えるリターンを出した後、次の6か月のリターンは平均としてー9%。プラスは一回のみで2008年のリーマン危機後。それほど深く考えるものでもないが、年前半に満足する程度のリターンが出れば後半はさほどリスクを取らないという自然な行動。ただし、それは機関投資家の発想であり、個人投資家の存在感が高まっている現在においては同じ原理が働くかどうか。 主要市場の動き * ダウ 休場 * S&P 休場 * NASDAQ 休場 * FTSE 7164.91 (+0.58%) * 米国10年金利 休場 * 原油 76.26 (+1.46%) * ビットコイン 3783263円

【2021.07.01】ドル指数と金利が語っているそれぞれの異なる物語。
icon2021年6月30日
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S&Pが過去最高値で第2四半期を終えた中、金曜日の雇用統計前にドル指数と長期金利がそれぞれ異なるメッセージを伝えている。 ドル指数は6日連続上昇し、昨日のドル円も111円台に突入。ドルが買われている背景にいくつかの要素が考えられる。特に6月のFOMC決定会合後に * 永遠緩和期待が後退 * 過度に高インフレ・資産価格バブルを放置しない姿勢の表れ * テーパリングの早期開始の合図 * 投機筋のドルショートカバー といった要素から昨年春先から失われてきたドルの信頼が少し回復している印象。 しかし、通常ドルが買われる理由の一つが「米国経済成長期待」とすれば、長期金利が全く異なるシナリオを描いている。 10年金利が三日連続低下し、今年3月の水準から約0.3%下落。金利の低下が意味していることは色々考えられるが、 * 連銀がブレーキを踏み始めたことで予想外の景気後退リスクが高まった * 引き締めで足元のインフレが急速に低下し、2010~2020年の低インフレパラダイムが繰り返される * 現金給付と失業手当が打ち切られると個人消費も悪化する * 新型コロナウイルスの変異株の影響でコロナ禍が想定より長くつづく * 動機筋の債券ショートカバーで金利上昇ベットが巻き戻された といったところではないでしょうか。 それぞれの矛盾が明確だと思うが、想定以上の景気回復と高インフレだからこそFOMCメンバーの

【2021.06.29】独禁法提訴棄却でFBが1兆ドルクラブ入り。リフレトレードが沈んだ一日。
icon2021年6月28日
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昨夜の米国市場はコロナ禍相場再来を思わせる動きを見せた。フェイスブックはインスタグラムとワッツアップの買収で昨年12月に独禁法違反で提訴されたが、FTCの主張が法的に不十分だった理由からワシントン連邦地裁理事に棄却された。過年度の許可済みの買収で提訴される根拠が薄いとしたが、30日以内に再提訴の可能性を残した。これを受けてFB株が4%値上がりし、めでたく1兆ドルクラブ入りした。再提訴の可能性が残り、6つの独禁法関連法案が論議されている中でFBの独禁法問題が解決されたとは言い難いが、一先ずFBの勝利。 FBを切っ掛けにグロースが急騰してNASDAQが最高値を更新し、これまでのリフレや景気回復銘柄が総じて低調だった。長期金利も再び低下し、引き続き違和感を感じさせる値動きが繰り返される日々。 一方、FRBのストレステストに合格した大手金融機関の株主還元が再開される。引け後に複数の金融機関が還元政策を発表: * JPモルガン四半期配当を$0.90から$1.00に増配し、現在の自社株買いプログラムの継続を発表。 * モルガンスタンレーは四半期配当を$0.70に倍増し、120億㌦(1.3兆円相当)の自社株買いを発表。 * バンカメは四半期配当を17%増配と発表。 * ゴールドマンサックスは四半期配当を$1.25から$2.00に増配。 金利低下で金融株が6月月初から大きく調整しており、株主還元再